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太陽は気を失う (文春文庫 お 27-5) 文庫 – 2018/9/4

4.2 5つ星のうち4.2 21個の評価

あの日、私はあと十五分も土手でぼんやりしていたら、津波に吞まれていたかもしれない。奇跡のような十五分に恵まれた自分と、そうでない人とを比べて思う――。
福島県の実家で震災に遭遇した女性の実人生に基づく表題作をはじめ、ままならない人生を直視する市井の人々を描いた大人のための名品14篇。
第66回芸術選奨文部科学大臣賞受賞作
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登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 文藝春秋 (2018/9/4)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2018/9/4
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 文庫 ‏ : ‎ 320ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4167911353
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4167911355
  • 寸法 ‏ : ‎ 10.6 x 1.4 x 15.3 cm
  • カスタマーレビュー:
    4.2 5つ星のうち4.2 21個の評価

著者について

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乙川 優三郎
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1953(昭和28)年、東京生れ。千葉県立国府台高校卒。’96(平成8)年に『薮燕』でオール讀物新人賞、’97年に『霧の橋』で時代小説大賞、 2001年に『五年の梅』で山本周五郎賞、’02年に『生きる』で直木賞、’04年に『武家用心集』で中山義秀文学賞をそれぞれ受賞。(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 さざなみ情話 (新潮文庫) (ISBN-13: 4101192243 )』が刊行された当時に掲載されていたものです)

カスタマーレビュー

星5つ中4.2つ
5つのうち4.2つ
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上位レビュー、対象国: 日本

2015年7月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
14編の短編集。タイトルがおもしろい。
東日本大震災に遭遇した女性。「あの日の午後、太陽は気を失ったような気がする」と述懐する主人公。混乱時の人々の様子、彼女の人生も短い中にしっかりと描かれている。
「単なる人生の素人」「ろくに味わいもしないで」等、タイトルのおもしろさの中に息づくさまざまな人生、人間模様。どの作品も映像がぱぁーっと浮かび上がるようだ。小説は文章力と改めて思わせてくれる作品ばかり。
「髪の中の宝石」の粋な老芸者の姿。こんな人が今もいるのだろうか。
乙川作品を読んでいると、痛い苦しい思い出も、時間を経てどちらが得したとも言えない成り行きに思いが及ぶ。人は生きているから色々あるのだなあと思わせてくれる大人の小説だ。
時を経て読んでも、その時々にうなずくことがありそうだ。
23人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2019年3月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
拙い感想文ですけども・・
一見恵まれているように見える大人たち、我々日本人というか。
しかし表面だけでは見えてこない誰かのそして誰にでもありえそうな、人生の晩秋の孤独や焦燥や苦悩やらを覗かせてもらったような気持ちです。 
短い文章でも表現力がなんともいえない芸術的な言葉の羅列。
痛快に感じるのは社会的成功者と言えるお父さんの熟年崩壊。
ありえるな~、と。
皮肉たっぷりと言いますか、著者はそういう方面の方に何か恨みでも?と勘ぐってしまうほど。
清濁あわせ持った人々の打算や愚かさ滑稽さもところどころ。
切ないのはやっぱり老齢といわれる時期にさしかかっても、消えない、消せやしない情愛の章でしょうか。
若年時代とは異なる分別ある不自由がなんとも切なくさせます。
心の機微が細かすぎて疲れる章もありましたが、全て晩節ゆえのドラマですね。
4人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2018年12月29日に日本でレビュー済み
 雑誌『オール讀物』で2013年9月号から2015年3月号まで2か月おきに掲載された14の短編を集めた一冊です。

 そのほとんどが50代を超えた男や女の人生から切り出したある時節を描いています。
 余命いくばくもないと宣告された矢吹は、若いころにやむなく別れた百合恵と一目会いたいと思い、今彼女が暮らす町へと旅しますが、百合恵の現在の境遇を知らされて何も告げずに町を後にします。(「海にたどりつけない川」)
 元国家公務員の小安は定年退職した今、妻・寿枝子との関係は倦怠の言葉が似あうものとなりつつも、そのかたわらで彼は天下り先の秘書だった暁子と関係を続けています。しかしその二人の女から関係の解消を迫られ、あわてふためく姿がなんともわびしく滑稽です。(「単なる人生の素人」)

 しかしこの2つの短編を除くと、残りの12編に共通するのは、人生に区切りをつけた主人公たちが、初老の域に入ってなお、老いに従うのではなく、次の日に向かって一歩を踏み出す清々しい姿です。
「がらくたを整理して」の杏子は「年とともに物を溜め、埋もれ、人生のはかなさを知るとき、その無駄に気づく」ところから始めて、「これから生まれる記憶の入り口に待っている人を想」うのです。
「坂道はおしまい」は、亡夫の残した浮子(うき)づくりの手職を引きついだ奈央子が、学生時代の友人・小西との新たな関係を意識し始め、「ようやく夫婦が終わるのを感じ」るのです。
「日曜に戻るから」は定年後に田舎に別宅を買い、妻と離れて暮らし始める園井が主人公です。彼もまたその地で新たな出会いを得て、「過ぎ去った膨大な日々より遥かに居心地のよい世界を感じ、もう戻れない自分を知ってしまった」と思うのです。
 こんな具合に、仕事の区切りや夫婦の別離を経た主人公たちですが、彼らは諦念を抱くことはありません。
 老境が目の前に迫りつつある私にとって、この短編群は心をざわつかせることこの上ないものです。と同時に、こんなふうに明日に向かって一歩を踏み出す勇気が自分にあるかと自問せざるをえない焦慮の念を感じさせるのです。
「人を不安にもすれば突き動かしもする微妙な言葉の羅列、規範のない流動的な芸術、それを文学というのさ」
二十五年後の読書 』で乙川が記したこの言葉がよみがえってくる読書でした。

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1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2018年12月17日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
 氏には、山本周五郎や藤沢周平を継ぐ作家として、期待もし、事実好きな時代小説に何篇か出逢って、今後を心待ちにしておりました。近年は、舞台を現代に移されたようですね。諸氏のレビューにありますように、私も心動いたものは幾つかありました。極めの細かさは相変わらずですし、筋に無理がなく、行きつ戻りつする主人公の心に、一緒にこちらも動かされてしまう、そういう作品が集められてはいます。しかしながら、はて何処かで読んだような、そんな既視感とも云えるものが、拭い様もなくあったのも事実でした。乙川節、それこそ求めるもの、そうでもありましょうが、折角舞台を現代に移したのであれば、そこに新たに開かれた境地を見たかった、果たして欲張りでしょうか。
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2018年10月17日に日本でレビュー済み
『太陽は気を失う』(乙川優三郎著、文春文庫)には、さまざまな人生の分岐点を描いた14の短篇が収められています。

とりわけ、私の印象に強く残ったのは、「海にたどりつけない川」です。

3年前に妻を亡くした主人公、62歳の矢吹孝は、医師からがんの状況説明と余命宣告を受けます。「人生で最も後悔していることを思い出した彼は、最後の時間をかけて、その後悔と向き合うことを考えた。自己満足にしろ、そこを避けて終わるよりはましに思えたし、ほかに貴重な時間の使い方を知らなかった。どのみち自分は消えてゆくのだから、と何を見ても受け容れるつもりであった。ただ相手には迷惑なことかもしれず、まずそれを見極めなければならない」。

彼には、若い頃、生活設計を知らず蓄財をしない両親と、精神を病んで働かない兄のために、結婚を断念した女性がいたのです。「頼りになる地縁もなく、遠くに家族という重荷を抱えた二人は守り合うようにつながり、愛し合うようになっていた」。「辛い話し合いと抱擁を繰り返したあと、(鬼頭)百合恵を解放するために彼は転職した。別のホテルへ移り、一からまたやり直すつもりであった。彼女には転職先も教えなかったが、風の頼りはあって、不本意な別れから間もなく奈良橋と結婚し、渡米し、子を儲け、十数年後に離婚したと聞いている」。捨てた百合恵のことが、命を終えようとする今、悔やまれてならず、彼女が暮らしているという彼女の故郷を訪れます。

そこで起こったことは意外なものでした。

「心残りを清算したとは言えなかった。大切にしてきた古い布を洗って、落ちない染みを目立たせてしまったような夜であった」。

小説を読むことは、もう一つの人生を経験することと、私は考えているのですが、この作品を読み終わって、その感が一層強まりました。
8人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2019年12月17日に日本でレビュー済み
 正直、作品の水準にはばらつきがあるように思う。物語全体を俯瞰した、いわゆる神の目視点で描かれた物語だけに、ツボにはまった時の切れ味は見事だ。しかし、ぼんやりとした生きざまで焦点が散漫になっている作品もある。
 やはり、東日本大震災に見舞われた点景を、一人の女性の人生の横軸に、無理なく挿入して見せた表題作は出色。「海にたどり着けない川」の、美しい追憶をことごとくホコリまみれにして呆然とさせるラストも印象的だ。
 数編の、ガラス工芸品のような作品があるというだけで、この短編集には価値がある。
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2019年5月22日に日本でレビュー済み
人生の意味、歳月の流れを考えさせられる短編が14編。
しぶとい深みのある、落ち着いたストーリー、静謐な文体が醸し出す掌編が味わい深い。
表題作もいいが、深みあるラストが余韻を残す『まだ夜は長い』『さいげつ』、
そしてミステリ調の『単なる人生の素人』が秀逸3編。
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2018年10月11日に日本でレビュー済み
実は、店頭でタイトルに惹かれて購入しました。乙川さんの著書は初めてですが、この
緻密で緊張感がありながら、窮屈ではない、丁寧に整えられた世界に引き込まれ、“本を読んでいる事”を忘れます。
3人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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