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フリッカー、あるいは映画の魔 上 (文春文庫 ロ 4-1) 文庫 – 1999/12/1

4.6 5つ星のうち4.6 21個の評価

映画の中には魔物がいる!ミステリファンのみならず、映画ファン、文学ファンをも堪能させ、昨年の話題をさらった悩殺的小説
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登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 文藝春秋 (1999/12/1)
  • 発売日 ‏ : ‎ 1999/12/1
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 文庫 ‏ : ‎ 464ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 416713621X
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4167136215
  • カスタマーレビュー:
    4.6 5つ星のうち4.6 21個の評価

カスタマーレビュー

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上位レビュー、対象国: 日本

2010年7月12日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
フリッカーとは、蛍光灯などが明滅するときに、
チカチカと明かりと闇が交互に出現する現象で、
この作品の主題である「映画」を
上映するときの状態を象徴的に示しています。
そこに潜む「映画の魔」とは?

1950年代半ば、ロサンジェルスにある裏びれた名画座、
クラシック座に入り浸っていた<ぼく>、
ジョニー・ゲイツは、UCLAの学生。
彼はクラシック座の女経営者クレア・スワンと知り合い、
ベッドで性の手ほどきを受けつつ、映画について学ぶことに。
やがて1920年代から活躍し、40年代に忽然と姿を消した
マックス・キャッスルという映画監督(架空の人物ですが)の作品を
目にすることになります。
それは、B級作品でありながら、妖しい魅力に満ちており、
一度見たら忘れられない映像美に彩られたものでした…。
物語は、このマックス・キャッスルの映画に関する「謎」を解いていく、
70年代までの軌跡を描いています。

この作品、上・下2巻の構成で改行がとても少なく、
活字がびっしり詰まっていますが、
そこには映画への思い入れが感じられる文章が綴られていて、
読むことがこれほど楽しい作業だと思ったことはありません。
キャッスル監督の撮った映像がどんなものか、
その描写がとても素晴らしく、
本当に観てみたいと感じさせるものばかり。
また、70年代までの映画の題名や俳優名がめじろ押しですが、
そうした事実を巧く織り交ぜて、
キャッスル監督が実在するかのように
感じさせることにも成功しているのです。

物語については、その後、
キリスト教の異端、カタリ派の教団が登場してきて、
中世ヨーロッパの歴史に話が及び、
だんだんとスケールが大きくなっていくのですが、
終盤に来て、意外なところに着地したという感じ。

虚実を見事に混ぜながら、
不思議な「映像体験」をさせてくれる、
ミステリと映画が好きな方にオススメの作品です。
6人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2022年2月1日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
主に映画と宗教においての博覧強記な小説世界が惜しみなく展開されて頭がくらくらする読書体験であった。といっても特段、内容が難しいわけではない。
主人公とクレアの関係も独特なもので物語にスパイスをあたえ、中弛みしそうな折々で小説を引き締めてくれる。
ただ、惜しむらくは、マックス・キャッスルがあくまでも架空の映画監督であり、言わずもがなそのフィルモグラフィーも架空のものであるため、作品の悪魔的な魅力にどれほど文字数を費やそうと、読者はそれを感得できないことである。
マックス・キャッスルの映画に言及する文章を読む限りでは、主人公がなぜこうまで彼に執着するのか理解できないのだ。
では、作品を実際に鑑賞すればわかるはずだと思い至るが、もちろんそのような映画はこの世界のどこにも存在しない。
それを含めて謎を孕むミステリーと捉えることができる読者にとってのみ本作は最高の小説となり得るだろう。
3人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2008年10月12日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
UCLA映画学科に在籍する青年ジョナサンは、カタコンベ(地下墓地)を思わせるむさくるしい映画館、クラシック座に入り浸る生活を送っていた。

その後、クラシック座の女経営者、クレアから映画評論と性の手ほどきを受けるようになったジョナサンは、ある日、幻のドイツ人映画監督、故マックス・キャッスルの手になるB級吸血鬼映画を目にし、その不快極まる映像に嫌悪を催しながらも、何故か抗いがたい強い魅力を感じるのであった。

クレアの勧めと助力によって、マックス・キャッスルの再評価を業績としてUCLAの教授職を得るに至ったジョナサンは、マックス作品についてさらなる探求を進める。

いわゆるサブリミナル効果等、悪魔的なまでに巧緻かつ多彩なマックスの映像トリックの背後に、単に人々に不快や嫌悪をもたらすにとどまらない邪悪な意図を察知したジョナサンは、マックスの生い立ち、彼の生涯に関わった人々を次々とリサーチしていく中、遂にマックス作品の鍵を握ると思われる「嵐の孤児」教団の存在に行き当たった…

この小説、何と表現したらよいのだろう? 文庫版にして上下巻、計1000頁を超える、まさに浩瀚たる超大作
帯の惹句や解説によればゴチック・ミステリーとか、悩殺的小説とか、黙示録的スリラーとか…… いずれにせよ、単純なミステリーには収まらない。

虚実皮膜の間という言葉があるが、実在の人物や史実に巧みにこの物語を組み入れることによって、読者は、どこまでが史実で、どこまでが虚構か判然としない不安な気持ちに置かれることになる。また、この手法により、一見(一読?)、荒唐無稽なこの物語にリアリティを感じさせる効果が生じている。

はっきり言って読みやすい代物ではない。終始、ジョナサンの一人称で語られるのだが、映画をめぐる(虚実ない交ぜの)トリヴィアがてんこ盛り状態なだけでなく、マックスの映画が微に入り、細に入り描写される(この小説の売り物とも言えるが)こともあり、かなりな映画好きでないと、面白いというより、わずらわしく感じてしまうのではないか。

しかし、上巻の後半辺り、漸くマックスの映画の謎に焦点が当たりだした頃から、未曾有の陰謀が少しずつ姿を現し出し、一気に頁をめくる手が早まる。
全体としては、稀有壮大な悪夢を見たような印象。「嵐の孤児」教団に話が及んできた辺りから、キリスト教の教義や異端審問、二元論等の問題が中心に躍り出てきて日本人にはやや取っつきにくい感じもするが、「謎解き」のくだりで、歪で邪な世界観が次第に露わになるプロセスには鬼気迫るものがある。

決して万人にお薦めできる小説ではないが、ミステリー好きかつ映画好きには応えられない重厚かつ一級のエンターテインメントだろう。
8人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2018年1月4日に日本でレビュー済み
読みたかったけど、長い間品切れ。一時帰国のとき、ブックオフで偶然見つけました。

1998年の「このミス」ベストワンであること以外は全く知らずに読書開始。すぐに、ぶったまげました。
まずは、つかみの悪さ。決して好ましい性格とは言えない登場人物の紹介が延々と続きます。本書は細かい文字で上下巻1000ページを越える大長編。しかも、セリフの中には映画の薀蓄、余計とも言える修辞的表現が続き、結構手強いです。さらには、ストーリーがなかなか進みません。
1時間で投げ出してもおかしくない本ですが、完読して、しかも満足度は★★★★★でした。

1960年代初頭、うらぶれた名画座で主人公はマックス・キャッスルの映画に出会います。キャッスルはB級ホラーの下らない映画がわずかに知られているだけの監督。しかし、彼の作品を見て、主人公はその映画に隠された魔に魅入られてしまいます。
本書は後々UCLA映画学科の教授になる主人公がキャッスルの謎に迫る姿を描きます。
圧倒的なディテールと、オーソン・ウェルズやジョン・ヒューストンなどの実在の人物を登場で、ノンフィクションではないかと錯覚を覚えてしまう上巻。テンペル騎士団やカタリ派が絡み、想像を絶する荒唐無稽なストーリー展開となる下巻。最初の数時間を我慢すれば、読書の楽しさが十分味わえるミステリーです。

ただし、やはり、ある程度の映画ファンでなければ本書はきつい思います。「ローズバッド」という言葉は知っているけど、「二十四時間の情事」は未見という程度の映画ファン(すなわち私)であれば、十分楽しめます。「薔薇の名前」が楽しめた人は必読です。
4人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2016年7月21日に日本でレビュー済み
上下巻というなかなかのボリュームということもあって
ちびちびと読んでいこうと思っていたが
当初の目論見に反してずるずるとはまり込んでいき、
気づけば夜を徹してページをめくっていた。

薔薇十字からフリッカーと
著者の幅広い博識ぶりにも圧倒されたが、
それ以上にマックス・キャッスルなる架空の映画監督、
そしてその謎に満ちた人物が手がけた映画作品など
微に入り細を穿った架空世界に酔いしれた。
2人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2008年7月29日に日本でレビュー済み
’98年、「このミステリーがすごい!」海外編堂々第1位に輝いた大巨編。なにしろ文庫上・下巻にしてちょうど1000ページ、会話文が少なく、ほとんどぎっしりの内容なのである。

読者は、主人公の‘ぼく’ことジョナサン・ゲイツと一緒に伝説の映画監督マックス・キャッスルのB級映画と出会う。そして観る者の心へ扇情的に訴えかける彼の映画に魅せられる。才能の絶頂期に忽然と姿を消したキャッスルの謎に取り憑かれ、そしてそれを調べるうちに、ある宗教団体と遭遇する。

ストーリーの進行はきわめてゆっくりだが、キャッスルの謎とあわせて、めくるめく映画のトリビアが読むものを圧倒する。

本書は、キャッスルのとりこになった‘ぼく’の悲劇の物語であると共に、ミステリーというよりは映画ファンを充分悩殺させる文学作品のおもむきを持っている。
3人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2015年4月25日に日本でレビュー済み
ある青年が名画座で観た映画に惹きつけられ・・・というお話。
世界に映画史の裏面とキリスト教の異端カタリ派の歴史を絡めた伝奇小説。その映画史に関する知識の量や見識は並大抵のものではなく、よくここまで書いたなと感心してしまいます。カタリ派の方の叙述もかなり奥深くここに書かれていることが全て事実かどうかは判りませんが、事実と受け取っても語弊はないとさえ思いました。この小説の虚実皮膜ぶりは半端じゃない超弩級のメタ・ムーヴィー・ミステリともいうべき大作。特に、映画の技術的な部分で微に入り細を穿つような部分が数多くでてきますが、これはよっぽど知っているか、研究しないととても書けないタイプのもので著者の映画に対する入れ込みように脱帽してしまいました。ただ、かなりマニアックな作品なので、これが年末のベストテンで一位になったのは些か驚きましたが。
私の場合、若い頃映画が好きで盛んに観ましたが本書のような観方はしないで単純に娯楽として観ていましたが映画の歴史にはかくも壮大な歴史と暗喩が潜んでいたのかと驚嘆してしまいました。尤もここに書かれていることの殆どは著者による想像でしょうが・・・。
奇想に満ちた映画伝奇小説の大作。是非ご一読を。
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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