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将軍の世紀 上巻 パクス・トクガワナを築いた家康の戦略から遊王・家斉の爛熟まで 単行本 – 2023/4/26
山内 昌之
(著)
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イスラーム研究の泰斗として知られる山内昌之東大名誉教授の新たなる挑戦。徳川幕府の通史がついに完結! 上巻は、家康の創業から、家斉の爛熟までを描く。家康の本質は、世界的に稀有な軍人政治家だったところにある。関ヶ原の戦いにおける冷酷な政治リアリズムによって形作られた「天下取りの大局観」は、天皇家を法度の内側へと追い込み、豊臣家を滅ぼすことで徳川の世を現出した。その強靭なシステムは、四代家綱時代の文治政治への転換、八代吉宗時代の享保の改革などを経て、十一代家斉の爛熟の時代、化政時代を生み出すまで続く。しかし、半世紀に及ぶ家斉の時代こそが、徳川の世の終わりの始まりだった。
- 本の長さ736ページ
- 言語日本語
- 出版社文藝春秋
- 発売日2023/4/26
- 寸法14 x 4.1 x 19.5 cm
- ISBN-104163916911
- ISBN-13978-4163916910
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登録情報
- 出版社 : 文藝春秋 (2023/4/26)
- 発売日 : 2023/4/26
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 736ページ
- ISBN-10 : 4163916911
- ISBN-13 : 978-4163916910
- 寸法 : 14 x 4.1 x 19.5 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 332,279位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
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上位レビュー、対象国: 日本
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2023年6月8日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
他のレビュワーの方も述べているが、これは通常の「歴史書」ではなくて、著者が自らの興味に任せて徳川時代から題材を拾い上げて綴った高級な歴史エッセイ集だ。
著者は夙に中東史の泰斗として高名だが、”専門外”である筈の日本史に関する博覧強記ぶりに舌を巻く。加えて、取り上げた題材に関する資料跋渉も、まことに徹底していることにはほとほと感心させられる。だから、本書を楽しむためには、読者の方も、それ相応の江戸時代に関する史的予備知識を持っていることが求められる。
ただ、著者は「あとがき」で、本書のタイトルは大佛次郎の未完の大著「天皇の世紀」に触発されたと書いているが、「天皇の世紀」に比べると、衒学的濃度は高くても、歴史の流れを語っていく”story telling" の面に関しては、大分見劣りがする。そこは「鞍馬天狗」の作家である大佛次郎と、あくまでアカデミックな歴史学者である著者の違いなのだろう。
著者は夙に中東史の泰斗として高名だが、”専門外”である筈の日本史に関する博覧強記ぶりに舌を巻く。加えて、取り上げた題材に関する資料跋渉も、まことに徹底していることにはほとほと感心させられる。だから、本書を楽しむためには、読者の方も、それ相応の江戸時代に関する史的予備知識を持っていることが求められる。
ただ、著者は「あとがき」で、本書のタイトルは大佛次郎の未完の大著「天皇の世紀」に触発されたと書いているが、「天皇の世紀」に比べると、衒学的濃度は高くても、歴史の流れを語っていく”story telling" の面に関しては、大分見劣りがする。そこは「鞍馬天狗」の作家である大佛次郎と、あくまでアカデミックな歴史学者である著者の違いなのだろう。
2023年6月2日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
本書で感銘を受けた点を挙げていけば星の数となるが、
総じていえば「歴史の感動」を味わうことができた書だった。「事件や人物の意義を知る」「人物の心理の意味を知る」「世界史の枠組みで捉える」「江戸時代のリアルを知る」
「知らなかった歴史を知る」「人物の器量を知る」といった点で感動を得た。
「事件や人物の意義を知る」という点は、たとえば
「刃傷から討入りに至る赤穂事件は、近現代における法の支配につながる幕府法の規範と、武士道の常識や価値観の支えられた武家慣習法とのズレをあからさまにして、公儀が存在する理由と根拠をゆさぶった点に事件の本質があった」という箇所や、本居宣長の「冴え」が「みよさし」の説明に表れていること、生麦事件によって島津久光の矛盾が表出した、といった箇所になる。これらの記述は、近年の歴史学の成果も踏まえていることでさらに厚みが生まれており、「禁中并公家諸法度」の箇所のように海外の研究者の見方も紹介されていることが、本書をさらに価値あるものにしている。
「人物の心理の意味を知る」ことができる描写は、特に下巻に多い。人物の微妙な、あるいはあからさまな感情を読み解いている点に引き込まれた。
水野忠邦の時代、南町奉行鳥居忠耀は歌舞伎役者の五代目市川海老蔵を江戸から追放したのだが、「鳥居(忠耀)が海老蔵を許せなかった心性には、武家式楽の「能」『安宅』が成田屋の『勧進帳』で汚されたと感じる武士道美学も感覚的に潜んでいたのではないか」などは歌舞伎にも詳しい著者だからこその指摘だし、その後も「あてこすり」「強烈な皮肉」「冷酷な痛みを伴う無視」といった文言をひりひりするような思いで読んだ。
「世界史の枠組で捉える」という点は、本書の「あとがき」に記されていた「高度に洗練された議論の試み」としてのエッセイの魅力を感じるものであった。
「家康は、古代ローマの軍人政治家カエサルと同じく、憎悪や怨念や復讐心を超越してきた男である。しかし彼は、カエサルと同じく、軽蔑すべき敵への侮りだけは隠せなかった」といった人物評、また文久元年(1861年)のロシア艦対馬占拠事件に関する「十九世紀中東のオスマン帝国やエジプトをめぐる欧州大国間の東方問題と同じ構図が日本を襲おうとしていた」といった記述から、日本近世史をより普遍的な視点で捉えることができた。
この点は特に日本史の専門家の著書にはあまり見られないもので、本書の第一の特徴なのではないだろうか。
「江戸時代のリアルを知る」とは、たとえば津軽越中守信順が「轅(ながえ)」に乗ったことが波紋を引き起こした、といった現在とは異なる価値観など、江戸時代独特の概念を学ぶことができたことを指す。随所に登場する「狂歌」もこのカテゴリーに入るかもしれない。なんと洗練された批判か、と驚くことが多々あった。私が特に見事だと唸ったのは、文化三年(1806年)にロシア艦がエトロフで略奪行為をした「エトロフ事変」と、同時期に江戸の永代橋が崩落した事件を詠んだ、「打死と落死をする海と河 えぞは箱館江戸は箱崎」である。
「知らなかった歴史を知る」というのは、単純に知らなかったことを知ったということ。官女密通事件、水戸藩の密勅返納事件や、家茂の将軍職返上事件、また荻原重秀が26万両を私していたことなどを初めて知った。
「人物の器量」も著者ならではの記述である。
実務官僚・石谷と異なる田沼意次の大局観、女郎屋主人の思いつきと大差ない発想を示していた徳川斉昭の、政治家としての限界、端倪すべからざる政治センスを示した西郷隆盛など、為政者の分析が見事であった。器量ある為政者の姿を知ることが、歴史を知る一つの醍醐味であることを実感した。
まだまだあるが、このあたりでやめておこう。いくら書いても本書の巨大さを捉えきることなど、できはしない。
ただ、本書を読む時間が至福の時間であったのは確かなことであった。
総じていえば「歴史の感動」を味わうことができた書だった。「事件や人物の意義を知る」「人物の心理の意味を知る」「世界史の枠組みで捉える」「江戸時代のリアルを知る」
「知らなかった歴史を知る」「人物の器量を知る」といった点で感動を得た。
「事件や人物の意義を知る」という点は、たとえば
「刃傷から討入りに至る赤穂事件は、近現代における法の支配につながる幕府法の規範と、武士道の常識や価値観の支えられた武家慣習法とのズレをあからさまにして、公儀が存在する理由と根拠をゆさぶった点に事件の本質があった」という箇所や、本居宣長の「冴え」が「みよさし」の説明に表れていること、生麦事件によって島津久光の矛盾が表出した、といった箇所になる。これらの記述は、近年の歴史学の成果も踏まえていることでさらに厚みが生まれており、「禁中并公家諸法度」の箇所のように海外の研究者の見方も紹介されていることが、本書をさらに価値あるものにしている。
「人物の心理の意味を知る」ことができる描写は、特に下巻に多い。人物の微妙な、あるいはあからさまな感情を読み解いている点に引き込まれた。
水野忠邦の時代、南町奉行鳥居忠耀は歌舞伎役者の五代目市川海老蔵を江戸から追放したのだが、「鳥居(忠耀)が海老蔵を許せなかった心性には、武家式楽の「能」『安宅』が成田屋の『勧進帳』で汚されたと感じる武士道美学も感覚的に潜んでいたのではないか」などは歌舞伎にも詳しい著者だからこその指摘だし、その後も「あてこすり」「強烈な皮肉」「冷酷な痛みを伴う無視」といった文言をひりひりするような思いで読んだ。
「世界史の枠組で捉える」という点は、本書の「あとがき」に記されていた「高度に洗練された議論の試み」としてのエッセイの魅力を感じるものであった。
「家康は、古代ローマの軍人政治家カエサルと同じく、憎悪や怨念や復讐心を超越してきた男である。しかし彼は、カエサルと同じく、軽蔑すべき敵への侮りだけは隠せなかった」といった人物評、また文久元年(1861年)のロシア艦対馬占拠事件に関する「十九世紀中東のオスマン帝国やエジプトをめぐる欧州大国間の東方問題と同じ構図が日本を襲おうとしていた」といった記述から、日本近世史をより普遍的な視点で捉えることができた。
この点は特に日本史の専門家の著書にはあまり見られないもので、本書の第一の特徴なのではないだろうか。
「江戸時代のリアルを知る」とは、たとえば津軽越中守信順が「轅(ながえ)」に乗ったことが波紋を引き起こした、といった現在とは異なる価値観など、江戸時代独特の概念を学ぶことができたことを指す。随所に登場する「狂歌」もこのカテゴリーに入るかもしれない。なんと洗練された批判か、と驚くことが多々あった。私が特に見事だと唸ったのは、文化三年(1806年)にロシア艦がエトロフで略奪行為をした「エトロフ事変」と、同時期に江戸の永代橋が崩落した事件を詠んだ、「打死と落死をする海と河 えぞは箱館江戸は箱崎」である。
「知らなかった歴史を知る」というのは、単純に知らなかったことを知ったということ。官女密通事件、水戸藩の密勅返納事件や、家茂の将軍職返上事件、また荻原重秀が26万両を私していたことなどを初めて知った。
「人物の器量」も著者ならではの記述である。
実務官僚・石谷と異なる田沼意次の大局観、女郎屋主人の思いつきと大差ない発想を示していた徳川斉昭の、政治家としての限界、端倪すべからざる政治センスを示した西郷隆盛など、為政者の分析が見事であった。器量ある為政者の姿を知ることが、歴史を知る一つの醍醐味であることを実感した。
まだまだあるが、このあたりでやめておこう。いくら書いても本書の巨大さを捉えきることなど、できはしない。
ただ、本書を読む時間が至福の時間であったのは確かなことであった。
2023年6月7日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
参考文献の活字が小さすぎて判読できない。
2024年1月28日に日本でレビュー済み
イスラム史の泰斗・山内昌之氏が江戸時代の通史に挑んだ上下2冊の大作。徳川政権を一言で表せば、中世の分裂を克服して日本を「一つの国家」に近づけたとする。上巻は家康から家斉までを扱っていて、家康が作り上げた強靭な統治のシステムは爛熟の家斉の時代まで続くが、半世紀に及んだ家斉の治世こそが徳川の世の終わりの始まりだったとしています。
上巻だけで735ページという分厚い造りに小さな文字がびっしり。さすがに知らなかったことが次々と出てきます。冒頭の「序章 関ヶ原」において、“幕府、藩、朝廷、天皇”などの用語をどう扱うか、という議論が展開されていて、その内容からしてまず、知らなかったことだらけ。大作だけに、大きな流れを叙述するというよりは、ポイントとなる出来事や事柄を順に叙述していって、その中で大きな流れについても記述していく、というスタイルです。
読んでいて興味深かったのは、個人による通史だけあって、氏がさまざまな出来事や人物についての評価が率直に語られている点です。突き放したような否定的評価もあちこちに登場します。(もっとも私の読解力不足から、どのように解釈すればよいか分からない箇所もいくつもありました。)
イスラム史が専門の山内氏が日本の江戸時代の通史を個人で著わされるに当たっては、相当の勉強が必要だっただろうと想像します。各章に参考文献がびっしり並んでいます。氏の情熱にただただ頭が下がります。
何故に氏が専門外にも拘らず本書『将軍の世紀』を書くに至ったか。その答えが、「序章 関ヶ原」の末尾で明かされています。平成28年から「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」に参加した経験と繋がっており、日本人のメンタリティや現代日本の政治行動の基礎を改めて理解する手がかりを得られるのでないかと考えたためだ、というのです。
上巻だけで735ページという分厚い造りに小さな文字がびっしり。さすがに知らなかったことが次々と出てきます。冒頭の「序章 関ヶ原」において、“幕府、藩、朝廷、天皇”などの用語をどう扱うか、という議論が展開されていて、その内容からしてまず、知らなかったことだらけ。大作だけに、大きな流れを叙述するというよりは、ポイントとなる出来事や事柄を順に叙述していって、その中で大きな流れについても記述していく、というスタイルです。
読んでいて興味深かったのは、個人による通史だけあって、氏がさまざまな出来事や人物についての評価が率直に語られている点です。突き放したような否定的評価もあちこちに登場します。(もっとも私の読解力不足から、どのように解釈すればよいか分からない箇所もいくつもありました。)
イスラム史が専門の山内氏が日本の江戸時代の通史を個人で著わされるに当たっては、相当の勉強が必要だっただろうと想像します。各章に参考文献がびっしり並んでいます。氏の情熱にただただ頭が下がります。
何故に氏が専門外にも拘らず本書『将軍の世紀』を書くに至ったか。その答えが、「序章 関ヶ原」の末尾で明かされています。平成28年から「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」に参加した経験と繋がっており、日本人のメンタリティや現代日本の政治行動の基礎を改めて理解する手がかりを得られるのでないかと考えたためだ、というのです。
2023年5月1日に日本でレビュー済み
『文藝春秋』で連載されて、デジタル版で読んだ。元々はイスラム史の専門家で、小泉政権の頃は外務省顧問として政府の中東政策を諮問した学者がどうして徳川時代の日本を将軍の権力と権威という視点から深掘り出来たのかが不思議でならない。
恐らくは中東史の複雑怪奇な権力闘争を鋭く観察することで鍛えられた心眼が、対象を徳川時代に向けた時、従来の日本史家が見逃していた権力と権威の構造と機能を摘出することにつながったようである。
序章では、関ヶ原の戦いや家康の勝利を論じているが、従来の家康のリーダーシップを讃える論が多いのとは対照的に、西軍の総大将に担がれた毛利元就の孫の毛利輝元の性格の弱さと毛利家と本家を支えた吉川と小早川家の両分家の関係性がもたらした脆弱さを指摘している論考はさすがだと思った。
家康が豊臣贔屓の後陽成天皇に対して公儀の威光を徐々に示して屈服させてゆく過程も、権力と権威の関係性を考える上で参考になった。
著者は天皇の公務の在り方を議論する審議会の座長の経験を通して、元首の権力や権威の在り方に関心が向いたと述べている。
読み進むうちに、筆者の世界史に対する膨大な知識がもたらす家康とイスラムや欧州の君主との比較に惹かれる。家康を世界史的な視点から捉え直すことに見事に成功している。
綱吉や吉宗は映画やテレビによく登場する将軍だが、意外と著者が地味な四代家綱を高く評価していることが意外だった。七代将軍家継逝去の際に、江戸城への登城において紀州の吉宗が一番乗りをして将軍職継承を確実にした背後に付家老の安藤らの情報力があったというエピソードは興味深かった。代々の将軍を支えたブレーンの性格や功績の紹介もよく分かった。とりわけ、新井白石が世界的な知の巨人であったという評価は目から鱗であった。
日本を訪れた外国人の史料から将軍や側近を捉えているので、立体的な論考となっている。
著者の国や社会を思う志がこの大著を世に出したと言える。古希を過ぎてよくもこれだけの本格的な書を世に出したと感服する。実に楽しい読書の醍醐味を味わっている。
恐らくは中東史の複雑怪奇な権力闘争を鋭く観察することで鍛えられた心眼が、対象を徳川時代に向けた時、従来の日本史家が見逃していた権力と権威の構造と機能を摘出することにつながったようである。
序章では、関ヶ原の戦いや家康の勝利を論じているが、従来の家康のリーダーシップを讃える論が多いのとは対照的に、西軍の総大将に担がれた毛利元就の孫の毛利輝元の性格の弱さと毛利家と本家を支えた吉川と小早川家の両分家の関係性がもたらした脆弱さを指摘している論考はさすがだと思った。
家康が豊臣贔屓の後陽成天皇に対して公儀の威光を徐々に示して屈服させてゆく過程も、権力と権威の関係性を考える上で参考になった。
著者は天皇の公務の在り方を議論する審議会の座長の経験を通して、元首の権力や権威の在り方に関心が向いたと述べている。
読み進むうちに、筆者の世界史に対する膨大な知識がもたらす家康とイスラムや欧州の君主との比較に惹かれる。家康を世界史的な視点から捉え直すことに見事に成功している。
綱吉や吉宗は映画やテレビによく登場する将軍だが、意外と著者が地味な四代家綱を高く評価していることが意外だった。七代将軍家継逝去の際に、江戸城への登城において紀州の吉宗が一番乗りをして将軍職継承を確実にした背後に付家老の安藤らの情報力があったというエピソードは興味深かった。代々の将軍を支えたブレーンの性格や功績の紹介もよく分かった。とりわけ、新井白石が世界的な知の巨人であったという評価は目から鱗であった。
日本を訪れた外国人の史料から将軍や側近を捉えているので、立体的な論考となっている。
著者の国や社会を思う志がこの大著を世に出したと言える。古希を過ぎてよくもこれだけの本格的な書を世に出したと感服する。実に楽しい読書の醍醐味を味わっている。
2023年4月29日に日本でレビュー済み
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下巻後書に著者が記すように、歴史書というより、江戸時代の政治史についての高級なエッセイであり、中東史研究の大家である著者の古今東西の歴史への該博な知識を交えて語られる才筆には感心さられます。時折り、挟まれる世界史の用語や人名を使った江戸時代史への叙述を衒学と感じるかどうかで評価が分かれるかも知れません。
2023年6月15日に日本でレビュー済み
徳川幕府の15代の各将軍と将軍の生きた時代の事件や歴史を読みやすく描かれています。特に大きな事件や政策などについては紙面を割いて詳細に書かれているので読み始めたら止まりません。上下巻の分厚い本ですが一気に読めなくても15代将軍なので将軍ごとに区切って読んでもいいでしょう。久々に一気読みさせていただいたいい作品です。