本書の筆者は、虐待問題や児童福祉について書かれた本に興味がある人ならおなじみの作家だ。
私はてっきり日本の貧困についてローカルな取材活動をしている人物だと思っていたが、実際はそうではなかった。
大学一年のころから貧困をリアルに感じるためにアフガニスタンやパキスタンのスラムで生活したり、殺人事件の発生率が世界トップクラスのホンジュラスに行って刑務所に入っているギャングにインタビューしたり、コロンビアに行って革命軍の少年兵にインタビューしたり、ウガンダに行って神の抵抗軍の少年兵士に話を聞いたりもしている。
リアルな経験をもとに本を書くことを信条としていて、実際にいくつものスラムを渡り歩きそこで生活して腸チフスにかかったり、コレラにかかったりもしている。
これは普通の作家にはなかなかできることではないと思う。
日本の貧困だけでなく、世界の貧困を見てきた筆者だからこそ語ることができる貧困の本質と実態には、説得力を感じた。
そんな筆者が、自身の経験をもとに、貧困について総括的に著したのが本書だ。
読者は本書に限らず、貧困や虐待について書かれた本を読むとき、自分も何かしたい、解決するためには何をどうしたらいいのか考えることがあるだろう。
そういう場合、たいてい途方にくれることになる。問題の根っこが想像を絶するくらい広く深く、山積する問題の前では所詮一個人は無力同然だからだ。
筆者は読者とは比べものにならないくらい多くの悲しく痛ましい貧困を見て、聞いて、それについて同じように悩んで考えてきたはずだ。
本書は、そんな経験を経てきた筆者に現在見えている景色を伝えてくれるとともに、ひとりひとりが貧困や虐待問題に対峙する勇気を与えてくれる。
端的にいうと、筆者の結論は「地域支援」だ。ボランティアでもこども食堂でも、一人ひとりができる範囲でできることをやる。100人を助けることができないなら、目の前の1人を助ける。
非常に現実的で、自分にも何かができるという気持ちにさせてくれる。
本書の文体は、17歳の子どもに語りかける体裁で書かれている。これは何も読者として17歳の子どもたちを想定しているからではないと思う。
圧倒的な量の目をそむけたくなるような悲惨で残酷な現実を見てきた筆者が、それでも世界はこうあってほしいという希望をやさしく伝えたいからだと思う。
押しつけがましい語り口にならず、一緒に前を見よう、前を見てほしいと穏やかに語り掛けてくる、筆者の温かいまなざしと願いを感じた。
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本当の貧困の話をしよう 未来を変える方程式 単行本 – 2019/9/27
石井 光太
(著)
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君たちが幸せをつかむために今知るべきこと
最底辺のリアルから始まる「新しい世界」のかたち
・日本は国民の7人に1人が貧困層
・なぜ川崎の少年たちは中学生を殺したのか?
・世界各地の子供兵のあまりに悲惨な現実
・クリスティアーノ・ロナウド、孫正義、安室奈美恵……
「貧困の壁」を突破した先人たちの勇気
格差の固定化、少年犯罪、メガスラム、ストリートチルドレン、人身売買、売春、薬物依存、世界各地の少年兵……すべての「繋がり」と貧困問題の「構造」を解き明かし、解決へ向けた未来へのヒントを示す著者集大成となる一冊。
人生への向き合い方が「180度変わる」感動の講座!
どうやれば、貧困から脱出できるのか。
どうやれば、人生を輝かすことができるのか。
どうやれば、社会や世界をより良いものに変えることができるのか。
僕が示すのは、人生や社会に革命をもたらすための方程式だ。きちんと身につければ、君が置かれている環境や君がいる社会を変えることができる。
――「はじめに 17歳の君たちへ」
最底辺のリアルから始まる「新しい世界」のかたち
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僕が示すのは、人生や社会に革命をもたらすための方程式だ。きちんと身につければ、君が置かれている環境や君がいる社会を変えることができる。
――「はじめに 17歳の君たちへ」
- 本の長さ255ページ
- 言語日本語
- 出版社文藝春秋
- 発売日2019/9/27
- ISBN-104163911030
- ISBN-13978-4163911038
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- 言語 : 日本語
- 単行本 : 255ページ
- ISBN-10 : 4163911030
- ISBN-13 : 978-4163911038
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2024年1月9日に日本でレビュー済み
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非正規雇用、シングルマザー、外国人労働者、子ども食堂云々・・・新自由主義は何といびつな社会を作り上げたものかと思う。餓死がないことをもって日本の貧困を軽視する向きもあるが、日本では貧富の二極化という形で深刻化している。あまり表面化されずマスコミもあまり政策の失敗として報道しないが、貧困は世代間連鎖し教育格差を生み、非行や犯罪の可能性を増やしている。
著者は17歳の君へ語りかけているが中学生こそ読むべき。17歳では自己否定感が固まってしまっているので手遅れではないか。今の中学生はこの程度の文章は難なく読めるし、充分に理解も出来る。
著者は17歳の君へ語りかけているが中学生こそ読むべき。17歳では自己否定感が固まってしまっているので手遅れではないか。今の中学生はこの程度の文章は難なく読めるし、充分に理解も出来る。
2023年9月12日に日本でレビュー済み
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著者は器が大きい。そういう人には困難がなぜかやって来ると思うが、精神的に高い次元にいる人間だと思う。素直に尊敬する。
私は発達障がい児や自然災害のボランティアをしていたが、いつのまにか俗世間の価値観(世間で立派?とされていること)に染まっていた。本当は福祉関係に関わりたいが弱い人間なので、身近な家族を大切にするので精一杯。家族が落ちついたら、社会貢献したいと思った。良書である。
私は発達障がい児や自然災害のボランティアをしていたが、いつのまにか俗世間の価値観(世間で立派?とされていること)に染まっていた。本当は福祉関係に関わりたいが弱い人間なので、身近な家族を大切にするので精一杯。家族が落ちついたら、社会貢献したいと思った。良書である。
2024年1月24日に日本でレビュー済み
生まれ落ちてまもなく貧困と親の暴力に晒され、無関心な社会の中に安らげる場所もなく、法に背き処刑されてこの世を去る。最初から最後まで不幸な命。何不自由の無い家で育ち、彼らを助けることも関心を寄せることもなく、罪を犯すに至らしめた背景も知らずに、ただニュースを見て犯罪者を糾弾していた自分。
幼くして奴隷、売春を強いられているのに、今日食べることすらままならない遠い国の子供たち。物欲を押さえられずに週に何度もポチる自分。あのブランド品一つ我慢すれば何人分のご飯になったのか。
たまたま図書館で見つけて読みましたが、40代半ばを越えた中年男が猛省させられる一冊でした。「人新世の資本論」を越えるインパクトでした。
幼くして奴隷、売春を強いられているのに、今日食べることすらままならない遠い国の子供たち。物欲を押さえられずに週に何度もポチる自分。あのブランド品一つ我慢すれば何人分のご飯になったのか。
たまたま図書館で見つけて読みましたが、40代半ばを越えた中年男が猛省させられる一冊でした。「人新世の資本論」を越えるインパクトでした。
2022年4月22日に日本でレビュー済み
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貧困、経済格差、紛争などのキーワードに興味がありましたが、21歳になった今でも難しい文章を読むのが苦手で正確な情報や知識、経験談を知ろうとしなかった自分がいました。
しかし、この本のタイトルと学生にも分かりやすいというコンセプトに惹かれ、読み始めた私は、「知りたいと思ったらことに対してもっと早くアクションを起こせばよかった」と感じました
しかし、この本のタイトルと学生にも分かりやすいというコンセプトに惹かれ、読み始めた私は、「知りたいと思ったらことに対してもっと早くアクションを起こせばよかった」と感じました
2022年11月12日に日本でレビュー済み
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貧困は自己責任である。一部の人はそう主張するかもしれない。
しかし多くの場合の貧困は、運、制度、社会構造により引き起こされている。
もちろん自己責任の貧困もあるとは思うが、私は子供の貧困は100%大人側の問題であると考えている。
放置すれば、さらなるコストとなる大問題である。
では貧困をどうすれば解決できるか。
おそらくシンプルな答えは無い。ただし貧困の痛みを低減させるヒントや貧困を減らす手引はこの本に書いてある。
まずはこの本を読んで貧困の実態を知り、他人事では無く自分事であると知る。つまり関心を持つ事である。
いたずらに弱者を蔑む「ひろゆき」的主張が多すぎる時代にこそ、こういう本が読まれて欲しい。
しかし多くの場合の貧困は、運、制度、社会構造により引き起こされている。
もちろん自己責任の貧困もあるとは思うが、私は子供の貧困は100%大人側の問題であると考えている。
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では貧困をどうすれば解決できるか。
おそらくシンプルな答えは無い。ただし貧困の痛みを低減させるヒントや貧困を減らす手引はこの本に書いてある。
まずはこの本を読んで貧困の実態を知り、他人事では無く自分事であると知る。つまり関心を持つ事である。
いたずらに弱者を蔑む「ひろゆき」的主張が多すぎる時代にこそ、こういう本が読まれて欲しい。
2021年10月13日に日本でレビュー済み
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貧困をテーマに講演をするので、
参考書に。
平坦な文調であるが、的確で分かりやすい。素晴らしい。
参考書に。
平坦な文調であるが、的確で分かりやすい。素晴らしい。