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ホライズン 単行本 – 2017/4/20
孤独と自立、家族と友情……。今、女性が「生きる」ことに正面から向き合った傑作長篇。
- 本の長さ390ページ
- 言語日本語
- 出版社文藝春秋
- 発売日2017/4/20
- ISBN-104163906347
- ISBN-13978-4163906348
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商品の説明
メディア掲載レビューほか
今の“小島慶子"だから書けた、海外在住の妻たちのリアル
小島さんの2作目の小説、初の長編の舞台は、南半球のとある国。現地の日本人コミュニティに属する女性たちが描かれるが、彼女らは絶え間ない噂話や同調圧力に煩わしさや息苦しさを感じている。小島さん自身も家族とオーストラリアのパースに住み、3週間毎に日豪を行き来しているが、
「私は現地の日本人ソサエティとは無縁なんです(笑)。だからこの作品は、いっさい取材をしていない全くのフィクション。ベースは、30年前に商社マンの娘として海外で生まれ育った私が、子供の目で見て肌で感じたことなんです」
主人公の真知子は学歴コンプレックスが強く、夫とのコミュニケーション不全に悩む。夫の家族ともうまく行かず、実の親から愛されなかったという思いも強い。3度の流産の末に産んだ、まだ幼い娘のももかが唯一の心の拠り所だ。
「彼女は主人公としてはとても地味。でも、“異国に住む日本人"という共通項を持つ集団の中にあって居場所をなくしてしまう人を普遍的に描きたかったので、主人公に強烈なキャラクターを背負わせたくなかった」
ひたすらティピカルな価値観に囚われている郁子とは対照的に、一見世渡り上手な宏美も、夫の店を自慢する弓子も、内面には複雑な葛藤を抱えている。仕事を辞めた悔い、子供の有無、いずれ日本に帰る者と現地での生を全うする覚悟を決めた者。日本人同士にある幾つもの差異が摩擦を生む。
「海外の日本人コミュニティの暴露話をしたいわけじゃないんです。人種や会社といった属性によって、私たちは“群れ"の線引きをしますが、人の居場所は必ずしもその群れとイコールではないということを書きたかった」
日本人会で起きたある事件をきっかけに、真知子、宏美、弓子はそれぞれ少しずつ自らの道を歩み始める。決して全てを分かり合えるわけではないが、彼女らの間に微かな共感も生まれる。
小島さんはかつて『解縛(げばく)』(新潮文庫)で、実母との確執を余すところなく書いた。
「母に対する感情に一区切りついたから、この小説を書けたと思います。33歳で不安障害になり、カウンセリングを受けたり本を書いたりしながら、ようやく母も1人の不完全な人間だったとわかった。今の私より若かった母が不安の中で子供を産み育てたパースに行って、その風景を見て初めて分かったことです」
終盤、真知子が母として娘のももかの瞳の中に見たものに、深い感動が広がる。
評者:「週刊文春」編集部
(週刊文春 2017.05.25号掲載)登録情報
- 出版社 : 文藝春秋 (2017/4/20)
- 発売日 : 2017/4/20
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 390ページ
- ISBN-10 : 4163906347
- ISBN-13 : 978-4163906348
- Amazon 売れ筋ランキング: - 986,582位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 22,953位日本文学
- カスタマーレビュー:
著者について

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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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悩んだり 葛藤したり 共感したり そして反発したりする三人の女性が描かれている。
同年代とはいえ物事の受け取り方 感じ方 行動の仕方が三者三様で興味深い。
そんな彼女たちを癒すようにオーストラリアの雄大な自然が美しく随所に書かれていて
これはやはり作者が観光ではなく 実際に生活していたからだろう。
弓子の一人息子「陸」のくだりでは 少しホロッ・・・とさせられ 小さな背中にエールを
送りたくなった。でも彼もきっと英語も日本語もバッチリなカッコイイ大人になるのだろうな・・・
そう期待したい。
最初は嫌なおばさんだな・・・と思ったセレブな郁子さんも 後半には 面白いキャラを
現し 郁子さん目線のストーリーも もっと読んでみたかった気がする。
私はもう郁子さん世代なので 三人の若い女性たちを俯瞰してみているが 今 彼女たちの世代は
本当にこの物語の女性たちのようにいろいろな感情と戦いながら生きているのだろう。
過ぎてみれば 「あんなに頑張らなくてもよかったかなぁ・・・」ともおもうが 同時に
「若いころは よくもあんなに頑張れたなぁ・・・」と懐かしさも感じさせてくれた。
久々にいい一冊だった。
ことをしている方だということは読み終えて初めて知った。
結婚してフリーになって二人のお子さんとTV業界出の専業主夫の御主人はオーストラリア
に置いて自分だけ稼ぎに日本と行ったり来たりしているのだという。
ラジオなどのトークを聞くと華やかな容姿とはギャップのぶっちゃけトークで人気らしい。
正直言えば僕はあまり好感を持つタイプの文化人では無いのだが、この長編小説は逆に
そのあたりの予備知識を全く入れずに読んだので良かったように思う。
舞台は作者がかつて産まれたオーストラリアの西海岸。
現地で暮らす日本人社会の中で知り合った四者四様の妻たちを描きます。
主人公の真知子は夫と共に移住したばかり。この地で娘を出産した。
学歴や家族関係、自分の容姿などいろんなものにコンプレックスが強く
人間関係に不用心ですぐ心を許して傷ついたり疎んじられたりするが
天然で人が良く結局こういう人が最終的に幸福な人生を送るのだろうと
思わせる。
他の三人はやや年の離れたセレブっぽい奥様を除くと、商社マンの妻で
世渡り上手でいながら誰とでも傷つけない傷つけられない距離を保つ裕美と、
日本食の店長の夫と前夫との間に産んだ溺愛する息子を自慢する弓子も
それぞれが作者小島慶子のテレビやラジオ、著作でその時その時メディア
に切り取られる自分の一面であり分身なのだろうなと思いながら読むと
感じ深いものがある。
異国の街に暮らす日本人達の特異なコミュニティのをのぞき見する物珍しさ
嫌ったらしいヒエラルキーや家族毎のカースト意識一杯の表裏の怖さ、などが
出版社やレビューでのこの本のわかりやすい扇りなのだが この本の読み応えは
それぞれ3人の女性(妻であり、母であり、娘でもある)に投影した小島慶子の
自身についての考察であり、葛藤や希望や人生を如何に語っているかにある。
三人とも決して幸福でないし、女友達としても妻としてもどこか足りなかったり
過剰であったりしてとても気分良く付き合える相手ではないが、きっとそんな
関係性こそが現実:リアルなのであろう。(男たちだってそうである)
合格点どころか赤点ラインにもやっとだわ、と思いつつストレスため込みながら
やりくりしているのである。
それでも3人なりにそれぞれ少しずつ自ら作った不幸の籠から歩み出てゆく。
決して全てを分かり合えるわけではないが、彼女らの間に微かな共感も生まれる。
それはきっと作者自身が自分を見つめ、否定しがちだった自分を認めることに
繋がっているのかもしれない。
満たされた妻たちや能天気な夫には響かない、葛藤や未達感を常に感じている
女性にとってのみ深く刺さる本のようだ。繰り返すがメディアでの小島慶子の
イメージはとりあえず置いておいて読んだほうがいい。
海外で生活する女性同士の人間関係がリアルに描かれていました。
そこまで嫌味に描かなくても良いのでは?と思う部分もありましたが、海外で暮らしていた時に感じていた感覚が、作者の手によって活字になってよみがえったように感じる瞬間がたくさんありました。
色んなタイプの女性が出てくるので、それぞれの立場でこんなことを考えたり感じたりしているのかと、いい勉強になりました。
これから海外生活をする予定のある方は、出発前に読んでみると、役立つこともあるかもしれません。
もやもや、ハラハラ、ざわざわしながらも、一気に読んでしまいました。
多少のデフォルメはあるものの、女性を幾つかのありがちなタイプに分類し、共感ができた。私は現地組の生きるのに必死な弓子に自分を投影していた。佐倉さんをもう少し書き込んでくれたらバランスが取れたと思う。主人公の真知子も良く描かれていた。久しぶりに読み応えのある作品だった。大満足❗️❗️