アメリカで世を騒がせた発言、よく耳にするようになった新語、それらを通じてアメリカ社会の「今」を伝えるエッセイ集です。
本書では、政治、経済、文化、社会、宗教、芸能、犯罪など様々なテーマが取り上げられていますが、やはり政治/経済に大きな紙幅が取られています。
民主党の政策を支持する町山氏は、前政権の野放図な政策と無責任なお抱えメディアに対して、本書でもキツイ皮肉を浴びせています。
ただ、共和党が唱える「小さな政府と自由な競争」という理念そのものが間違っていると誤解してはいけません。
今のアメリカで問題なのは
・「小さな政府と自由な競争」「政府の積極的な介入と公平な社会」これら2つの理念のどちらを、今のアメリカ社会が必要としているか。
・共和党が政権を取ると本来の理念とかけ離れた、無茶苦茶な政策をとる。
という点です。
ある資料によれば、1年に100万人もの人がアメリカに不法に入国してくるそうです。
近隣の国から大量の不法移民が流れ込んでくるようになれば、在来の市民が不法移民に対して「義務も果たさずに国にたかろうとする」と考えるようになるのは無理もないことです。
(不法移民にアメリカの市民権はなくても、不法移民がアメリカ国内で子供を産めば、その子供はアメリカの市民権を有します。)
「彼らの分まで医療保険費を払うのは嫌だ」という発言は、(中流社会のレベルに限って言えば)差別意識だけから生まれる発言ではないことは理解できるでしょう。
そうした意味で、私としては町山氏に不法移民の現実や社会に生まれる軋轢についてもっと取り上げ、保守の立場を取る中流層の声をレポートして欲しいと感じました。
とは言え、高額な医療費の支払いのために破産をする人が後を絶たない社会というのは、どう考えても幸福からかけ離れた社会です。
さらに本書は、胸に腫瘍を抱えた老人が刑務所で治療を受けることを意図して銀行強盗を実行したという痛ましいエピソードを紹介しています。
アメリカ社会が抱える問題は何か特殊な出来事のように感じますが、その根底にあるものは我々と共通の課題です。
アメリカの姿に学ぶ、それが間に合うのは我々が『アメリカ』になってしまう前だということを肝に銘じるべきでしょう。
※「Brother, Can You Spare a Dime?」は大恐慌下の1931年にアメリカで流行した曲です。
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教科書に載ってないUSA語録 単行本 – 2012/10/9
町山 智浩
(著)
「週刊文春」連載中の人気コラム「言霊USA」、待望のペーパーバック化です。新聞、テレビ、ウェブでは分からない超大国アメリカの素顔を、現地在住の著者がレポートしています。登場するのは、イスラム教徒扱いをされるオバマ、トンデモ発言でおなじみのペイリン、上場が落胆に終わったフェイスブック、過激なティーパーティ勢力、ウォール街のプレイヤー、民主主義を主張するレディ・ガガ、ギャル語を話すアメリカの女子高生など。本書のポイントは、「日本人の知らないアメリカ語」を引きつつ解説しているところです。Frenemy (フレネミー)=友だちぶった敵、Chinamerica (チナメリカ)=中国とアメリカの運命共同体、Greater Fool Theory(グレーター・フール・セオリー)=もっとバカがいる理論、Nothing,,, (ナッシング)=別に……など。アメリカ国内を騒がせたこれらの名言、失言、流行語を通して、政治や経済の仕組みから、キリスト教原理主義、ネット業界の最新動向、陰謀論の真偽、今のアメリカを知ることができます。ちなみに映画監督クリンスト・イーストウッドの「アメリカは今、ハーフタイムなんだ」という言葉に、自信を失ったアメリカ国民はみな涙を流したとか。連載でタッグを組んでいる漫画家・澤井健さんによる、ギャグセンスあふれる爆笑イラストも収録しました。まさに町山ワールド全開!一級のアメリカ批評本です。
- 本の長さ415ページ
- 言語日本語
- 出版社文藝春秋
- 発売日2012/10/9
- ISBN-104163756809
- ISBN-13978-4163756806
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登録情報
- 出版社 : 文藝春秋 (2012/10/9)
- 発売日 : 2012/10/9
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 415ページ
- ISBN-10 : 4163756809
- ISBN-13 : 978-4163756806
- Amazon 売れ筋ランキング: - 854,825位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 49,256位投資・金融・会社経営 (本)
- - 214,959位文学・評論 (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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映画評論家、コラムニスト。1962年東京生まれ。早稲田大学法学部卒。宝島社社員を経て、洋泉社にて『映画秘宝』を創刊。現在カリフォルニア州バークレーに在住。TBSラジオ「たまむすび」レギュラー。週刊文春などにコラム連載中。映画評論の著作に『映画の見方がわかる本』『ブレードランナーの未来世紀』『トラウマ映画館』『トラウマ恋愛映画入門』など。アメリカについてのエッセイ集に『底抜け合衆国』『アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない』などがある。
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2012年10月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2013年12月19日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
【概要と感想】
言葉って世間を表す。だから、面白い。アメリカを表す言葉たちをあの映画評論家がピックアップ!
今年の”流行語大賞”が「おもてなし」・「じぇじぇじぇ」・「半沢直樹」・「今でしょ!」に決まったんでしたっけ。
ドラマは2つとも見てないし、東京オリンピックはやるべきじゃないと思うし、東進は関わりないし、ということで、全て、ネタでも口にしなかった言葉たち。
ご紹介した言葉は日本の”流行語”ですが、この本はアメリカの”流行語”を紹介してくれます。
ただ、筆者もはじめに書いている通り、「今でしょ!」のようなノリで使うと危険な単語もたくさんありますし、英語の勉強にはほぼ、役に立ちませんので、あしからず。
アメリカで出来た新しい言葉からアメリカを読みとく1冊。著者は映画評論家としてもお馴染みの町山智浩さん。TBSラジオのPodcast愛好家の私は「小島慶子キラ☆キラ」・「たまむすび」での映画評論コーナーでの分かりやすい解説で映画選びの際に大変お世話になっているアメリカ在住の方。
そんな町山さんがアメリカの現場で使われるようになった新語を取り上げて、背景とともに解説する『週刊文春』で行っていた連載が1冊の本にまとまった。
エンタメ・事件・科学など、様々な分野から言葉をピックアップしているが、一番多いのは政治の言葉。連載が2009年から2012年ということもあり、オバマ、ティーパーティー、サラ・ペイリンがよく出てきます。
もちろん、2011年の東日本大震災の時の連載も収録。政治の言葉が多いのはそれなりに注目されているからでしょう。4つも”流行語大賞”が出たのに、1つも政治の言葉が入らない日本ってどうなんでしょうね。
それはさておき、事件ものでは日本の最近の話題とダブるものがある。フラれた相手を脅して、復縁を迫る際に付き合っていた頃に撮影したアダルトな画像をネタにするという「リベンジポルノ」がジワジワと話題になっていますが、そういう写真を送ることを「Sexting」と呼び、アメリカでは自殺者まで出る問題になっているとのこと。
「Overshare」の話題もたまに目にしますし、「Frenemy」は大人も子供も心当たりあるんじゃないでしょうか。意味はこの本を読むか、調べてみてください。
タイム誌が選ぶ2011年の顔についても触れています。発表された際にも話題になりましたが、「Protester(反対する人)」でした。これに対するイラストがブラックジョークで面白い。
2011年の(ガラパゴス版)重要人物のイラストがあり、「日本では広告代理店が重要人物を選ぶんだョ!」と”元気よく”言っています。
そーいえば、そのイラストの人は今、どこに居るんだろう。見なくなったんですよね。
イラストが誰かは読んで確かめてみてください。
【引用】
世の中が善意だけじゃないって現実を。
「信じる」って言葉はこんなに安易に乱発するものなのかね?パチンコ屋の「出る出る詐欺」と同じで、信じる信じると安易に言う奴ほど信じられないものもない。
【入手きっかけ】
町山さんの映画評論とクーリエ・ジャポンでの連載が面白く、この人の視点をじっくり一度、読んでみたいと思ったので購入しました。
言葉って世間を表す。だから、面白い。アメリカを表す言葉たちをあの映画評論家がピックアップ!
今年の”流行語大賞”が「おもてなし」・「じぇじぇじぇ」・「半沢直樹」・「今でしょ!」に決まったんでしたっけ。
ドラマは2つとも見てないし、東京オリンピックはやるべきじゃないと思うし、東進は関わりないし、ということで、全て、ネタでも口にしなかった言葉たち。
ご紹介した言葉は日本の”流行語”ですが、この本はアメリカの”流行語”を紹介してくれます。
ただ、筆者もはじめに書いている通り、「今でしょ!」のようなノリで使うと危険な単語もたくさんありますし、英語の勉強にはほぼ、役に立ちませんので、あしからず。
アメリカで出来た新しい言葉からアメリカを読みとく1冊。著者は映画評論家としてもお馴染みの町山智浩さん。TBSラジオのPodcast愛好家の私は「小島慶子キラ☆キラ」・「たまむすび」での映画評論コーナーでの分かりやすい解説で映画選びの際に大変お世話になっているアメリカ在住の方。
そんな町山さんがアメリカの現場で使われるようになった新語を取り上げて、背景とともに解説する『週刊文春』で行っていた連載が1冊の本にまとまった。
エンタメ・事件・科学など、様々な分野から言葉をピックアップしているが、一番多いのは政治の言葉。連載が2009年から2012年ということもあり、オバマ、ティーパーティー、サラ・ペイリンがよく出てきます。
もちろん、2011年の東日本大震災の時の連載も収録。政治の言葉が多いのはそれなりに注目されているからでしょう。4つも”流行語大賞”が出たのに、1つも政治の言葉が入らない日本ってどうなんでしょうね。
それはさておき、事件ものでは日本の最近の話題とダブるものがある。フラれた相手を脅して、復縁を迫る際に付き合っていた頃に撮影したアダルトな画像をネタにするという「リベンジポルノ」がジワジワと話題になっていますが、そういう写真を送ることを「Sexting」と呼び、アメリカでは自殺者まで出る問題になっているとのこと。
「Overshare」の話題もたまに目にしますし、「Frenemy」は大人も子供も心当たりあるんじゃないでしょうか。意味はこの本を読むか、調べてみてください。
タイム誌が選ぶ2011年の顔についても触れています。発表された際にも話題になりましたが、「Protester(反対する人)」でした。これに対するイラストがブラックジョークで面白い。
2011年の(ガラパゴス版)重要人物のイラストがあり、「日本では広告代理店が重要人物を選ぶんだョ!」と”元気よく”言っています。
そーいえば、そのイラストの人は今、どこに居るんだろう。見なくなったんですよね。
イラストが誰かは読んで確かめてみてください。
【引用】
世の中が善意だけじゃないって現実を。
「信じる」って言葉はこんなに安易に乱発するものなのかね?パチンコ屋の「出る出る詐欺」と同じで、信じる信じると安易に言う奴ほど信じられないものもない。
【入手きっかけ】
町山さんの映画評論とクーリエ・ジャポンでの連載が面白く、この人の視点をじっくり一度、読んでみたいと思ったので購入しました。
2017年11月30日に日本でレビュー済み
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米国在住の映画評論家である筆者が、米国における時の言葉を紹介しつつ、米国社会の最新のトレンドを紹介する書物。英語学習に役立つと何かのサイトに書いてあったので
本書を手にとってみたのだが、良くも悪くも、想像以上に軽いタッチの本。芸能ネタが多く、米国の芸能界に関心が無い人(=私)にとっては、あまり楽しめないネタも少なくなかった。また、多くのスラングや流行語が紹介されており、勉強になるのだが、数年前に書かれた本なので、本書で書かれている言葉が現在でも使われているかは大いに疑わしい。英語学習目的で本書を読むと、肩透かしを食らう。
ただ、筆者が紹介する時の言葉とそれにまつわるエピソードを通じて、米国社会の「今」(正確に言えば、数年前の米国社会)が見えてくる。このような本は、あるようでいて実はほとんど無く、結構貴重である。筆者は、類書をトランプ政権発足後も出版しているようなので、読んでみたい。
本書を手にとってみたのだが、良くも悪くも、想像以上に軽いタッチの本。芸能ネタが多く、米国の芸能界に関心が無い人(=私)にとっては、あまり楽しめないネタも少なくなかった。また、多くのスラングや流行語が紹介されており、勉強になるのだが、数年前に書かれた本なので、本書で書かれている言葉が現在でも使われているかは大いに疑わしい。英語学習目的で本書を読むと、肩透かしを食らう。
ただ、筆者が紹介する時の言葉とそれにまつわるエピソードを通じて、米国社会の「今」(正確に言えば、数年前の米国社会)が見えてくる。このような本は、あるようでいて実はほとんど無く、結構貴重である。筆者は、類書をトランプ政権発足後も出版しているようなので、読んでみたい。
2014年8月9日に日本でレビュー済み
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近年、安直な編集の本が多く最後まで読めないようなクズ本が多い中、この本は最後まで一気に読めました。
平易で面白い文章の中からも、現代のアメリカの抱える闇の部分を「言葉」を鍵に読み解いていく筆者の眼力に敬服します。
とにかくおもしろい文章、挿絵や表紙にもセンスを感じますね。
平易で面白い文章の中からも、現代のアメリカの抱える闇の部分を「言葉」を鍵に読み解いていく筆者の眼力に敬服します。
とにかくおもしろい文章、挿絵や表紙にもセンスを感じますね。
2015年5月13日に日本でレビュー済み
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澤井健のイラストがいいですね。アメリカって矢っ張り病んでることを町山さんが教えてくれているわ。
2014年7月14日に日本でレビュー済み
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「まえがき」の最初の方で、awesome(畏敬(畏怖)の念を抱(いだ)かせる)が、すばらしいやかっこいいの意味で使われるとあり、それは正しいのですが、だめだ、ひどいの意味でも使われます。どちらも、一般市民的、日常的、口語的な用法であり、どちらの意味かは前後の文脈で分かります。
目次もざっと見ましたが、中には、これはどうかな?と思うものもいくつかあります。
まあ、たった一人の人間の言語体験なんて、狭いもんです。この私にしたって、それは同じ。だからこそ、複数の人がレビューやコメントを書けるインターネットのすばらしさがあります。限られた一人の人間の書いた、貧しいコンテンツでも、よってたかって豊かなコンテンツになりえます。今回私はawesomeについて補足しましたが、ほかの方からの補足や批判も読みたいと思います。
目次もざっと見ましたが、中には、これはどうかな?と思うものもいくつかあります。
まあ、たった一人の人間の言語体験なんて、狭いもんです。この私にしたって、それは同じ。だからこそ、複数の人がレビューやコメントを書けるインターネットのすばらしさがあります。限られた一人の人間の書いた、貧しいコンテンツでも、よってたかって豊かなコンテンツになりえます。今回私はawesomeについて補足しましたが、ほかの方からの補足や批判も読みたいと思います。
2013年5月7日に日本でレビュー済み
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久しぶりに面白い本に出会いました。
日本のメディアのいい加減さは、色々聞きますがこの本を読むと実感できます。
何となく変だなと感じていたことが、やっぱりと納得いくのも困ったものですが、日本人の多くが抱いているアメリカのイメージが音をたてて崩れていきます。
人間は本能的に自分とあまりにも異質な考え方の人間には近づかないから判らないのかも知れませんが,外人からは意外と日本人も変だと思われていますからね。
お互い様か?
日本のメディアのいい加減さは、色々聞きますがこの本を読むと実感できます。
何となく変だなと感じていたことが、やっぱりと納得いくのも困ったものですが、日本人の多くが抱いているアメリカのイメージが音をたてて崩れていきます。
人間は本能的に自分とあまりにも異質な考え方の人間には近づかないから判らないのかも知れませんが,外人からは意外と日本人も変だと思われていますからね。
お互い様か?
2014年3月23日に日本でレビュー済み
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米国文化に興味のある方や米国に住んだことのある方なら、十分楽しく読めます。職場のデスクに置いておくには、イラストがちと恥ずかしい。良い意味で、トイレで読む本です。結構厚い本なので、幾つかにちぎり分けて持ち歩くのも良いかも(粗末にするなと叱られそうですが)。軽〜い内容ですが、著者さんの深い知識には関心しました。