情報とヒトの根本的な位置づけとしては、日本人による知的実りがすでに豊かですが（『情報の文明学／
梅棹忠夫著』『人間にとって科学とは何か／湯川秀樹・梅棹忠夫著』『基礎情報学／西垣通著』などなど）
海の向こうの若いチャレンジ精神の本書では、実社会での実りがヴィヴィッドに探索されているのでした。
第９章 経済の複雑性の進化（抜粋）
なぜ、知識やノウハウは地理的に集中しているのか？
・・
産業は、ある場所の人々や企業のネットワークに具象化された知識の現われと言える・・。
＜知識やノウハウ＞の代わりに＜産業＞を見るのは、生物学者が表現型（生物の物理的・機能的特質）を、遺伝型（生物のDNAに具象化された情報）の表れとしてとらえるのと似ている。
（遺伝子は、もっとも単純な定義で言えば、たんぱく質をコードするDNAの部分だが、
表現型は、髪の毛の色や高血圧のなりやすさなど、生物の物理的・機能的な特質を指す。）
私が本書でしようとしていることは、遺伝学の主な目的と似ているが、私は表現型と遺伝型とを関連づける
代わりに、＜ある場所に存在する知識やノウハウ＞と＜その場所の産業＞とを関連づけてみたいと思う。
表現型と遺伝型が良い例えだと言えるのは、一方の方がもう一方よりも、”観察しやすい”、という点が共通しているからだ。表現型が遺伝型よりも観察しやすいのと同じで、＜産業＞は＜知識やノウハウ＞よりも、観察しやすい。
第１２章 物理的秩序の進化 原子から経済まで（要約） ※筆者補足
宇宙はエネルギー、物質、情報でできている。
エネルギーと物質はもともと存在するが、情報は生じる道を探さなければならない。
情報が生まれるにはエネルギーが、そして情報が生き残るには個体が必要だ。
（※情報は生命と共に生じるが、個体による情報の選択や統合力、そして個体の生き抜く場所が必要だ。）
重要な概念は次の３つ
①非平衡系における情報の自然な発生（※カオスにおける情報の大量発生。）
②個体としての情報の蓄積（※個体発生が系統発生を繰り返すのは、個体に蓄積された情報処理の働き。）
③物質の持つ計算能力（※自然には計算能力が備わっているので、自己組織化現象が生まれる。）
ラスト「謝辞」
・・・・社会的ネットワークや職業的ネットワークの起源や構造についてももう少し加筆したかった。
人間社会が知識やノウハウを蓄積する基本単位はネットワークであり、ネットワークの持つ蓄積能力が
社会制度や社会学的プロセスによっても左右される・・・・
信頼、つまり何の得がなくても”正しい”ことをしてくれるだろうという他者への確信は、
もしも生まれるとすれば、社会的ネットワークの中で生まれる。マーク・グラノヴェッター P149
”ヒトと情報が成長する時、ネットワーク丸ごとで成長する”という世界観が、未来を創造する若者らしく、希望に満ちていて明るいのでした。自分の場所で、ネットワーク丸ごとの新しい産業にチャレンジしよう！
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
