「カリブ海の秘密」とは?
直接、この「秘密」を解く鍵となる言葉は、何なのか?
見つかりませんでした。
「カリブ海の秘密」は、誰かの秘密です。
噂話でばらまかれます。いつまでたっても消えません。
特に未解決の殺人事件はいつまでも、あちらこちらで噂されるものです。
なので、脅迫されないように、おしゃべりなヤツの口は封じなければ・・・
これが、次の殺人事件を呼び込むのです。
本書の舞台は、カリブ海の西インド諸島のひとつ、サン・トレノ島にあるホテル。
ホテルの名前は、
ゴールデン・パーム・ホテル(表紙カバーのソデ、登場人物、15頁、27頁)
ゴールデン・パーム(32頁)
ゴールデン・パーム・トリー・ホテル(267頁)
「パーム・トリー」は、
「しゅろの樹」(16頁)、椰子の木、または「ココナッツの木」(230頁)
厳密には、どう訳すべき木でしょうか?
冒頭の「登場人物」では、
「ゴールデン・パーム・ホテルの滞在客」としか紹介されていない人たち。
なぜでしょう? 本文の中では、詳しく書かれているのに。謎です。
というわけで、読者は著者に成り代わって、紹介してみます。
・パルグレイヴ少佐: 懐古談にふける醜(ぶ)男老人(9頁)。なぜか殺された(197頁)
・ラフィール: 老人(32頁)。体の自由がほとんどきかない(33頁)。お金持ち(212頁)
・エスター・ウォルターズ: ラフィール氏の秘書。娘がいる(226頁)。
・アーサー・ジャクスン: ラフィール氏のマッサージ師。看護係(33頁)
・ジェレミー・プレスコット: 兄。聖堂参事会員(16頁)
・ジョーン・プレスコット: 妹
・グレゴリー・ダイスン: アメリカ人(34頁)。夫。ラッキーと再婚(102頁)
・ラッキー・ダイソン: アメリカ人(34頁)。妻。前の奥さんの親戚(103頁)
・エドワード・ヒリンドン: 夫。背が高く痩せた植物学者(34頁)。大佐(34頁)
・イーヴリン・ヒリンドン: 妻。日に焼けた植物学者(34頁)
・グレアム: 年配の博士(16頁)、医師(119頁)
心に残った文章。
「探偵小説の被害者はどんなタイプかね? 大金持ちの老人だよ」(223頁)
「大金持ちの老人」ラフィール氏と、ミス・マープルとの老成した推理の会話が興味深い。
特に、第17章の「ラフィール氏、活動を開始する」が面白かったです。
本書『カリブ海の秘密』は、1964年の作品。アガサ、74歳の時の作品。
古い作品なのに、面白さは変わりません。
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カリブ海の秘密 (ハヤカワ文庫 クリスティー文庫 43) 文庫 – 2003/12/15
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- 本の長さ354ページ
- 言語日本語
- 出版社早川書房
- 発売日2003/12/15
- ISBN-104151300430
- ISBN-13978-4151300431
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登録情報
- 出版社 : 早川書房 (2003/12/15)
- 発売日 : 2003/12/15
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 354ページ
- ISBN-10 : 4151300430
- ISBN-13 : 978-4151300431
- Amazon 売れ筋ランキング: - 252,655位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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1890年、保養地として有名なイギリスのデヴォン州トーキーに生まれる。中産階級の家庭に育つが、のちに一家の経済状況は悪化してしまい、やがてお金のかからない読書に熱中するようになる。特にコナン・ドイルのシャーロック・ホームズものを読んでミステリに夢中になる。
1914年に24歳でイギリス航空隊のアーチボルド・クリスティーと結婚し、1920年には長篇『スタイルズ荘の怪事件』で作家デビュー。1926年には謎の失踪を遂げる。様々な憶測が飛び交うが、10日後に発見された。1928年にアーチボルドと離婚し、1930年に考古学者のマックス・マローワンに出会い、嵐のようなロマンスののち結婚した。
1976年に亡くなるまで、長篇、短篇、戯曲など、その作品群は100以上にのぼる。現在も全世界の読者に愛読されており、その功績をたたえて大英帝国勲章が授与されている。
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2023年7月26日に日本でレビュー済み
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2023年8月29日に日本でレビュー済み
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ミス・マープルは言わずもがな、登場人物にもうひとり、とても印象に残る人物がいました。
えらい年寄りで偏屈、身体の自由は利かないけれど、頭脳明晰の富豪、ラフィール氏。棺桶に片足突っ込んだようなこの年寄りと、我らがヒーロー、ミス・マープルのやり取り、お互いに敬意を払うふたりの関係に、ぐっと来ました。ラストの台詞なんか、思わずこちらも〝敬礼〟したくなりましたよ。
永井 淳(ながい じゅん)の訳文は、まずまず読みやすかったです。訳文の初出は1971年(昭和46年)と古いにも関わらず、ほとんど違和感なく読み通すことができました。
それと、何かの儀式を行っているみたいなシルエット姿のカバー写真が、なかなかにインパクトがあって良いなと。
登場人物が見かけとは異なり、その陰に邪悪なものを潜ませている‥‥。本篇で醸成されてゆくその不吉な雰囲気とイメージが重なるところがあって、このカバー写真の選択は、グッジョブや!思いました。
えらい年寄りで偏屈、身体の自由は利かないけれど、頭脳明晰の富豪、ラフィール氏。棺桶に片足突っ込んだようなこの年寄りと、我らがヒーロー、ミス・マープルのやり取り、お互いに敬意を払うふたりの関係に、ぐっと来ました。ラストの台詞なんか、思わずこちらも〝敬礼〟したくなりましたよ。
永井 淳(ながい じゅん)の訳文は、まずまず読みやすかったです。訳文の初出は1971年(昭和46年)と古いにも関わらず、ほとんど違和感なく読み通すことができました。
それと、何かの儀式を行っているみたいなシルエット姿のカバー写真が、なかなかにインパクトがあって良いなと。
登場人物が見かけとは異なり、その陰に邪悪なものを潜ませている‥‥。本篇で醸成されてゆくその不吉な雰囲気とイメージが重なるところがあって、このカバー写真の選択は、グッジョブや!思いました。
2022年1月31日に日本でレビュー済み
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クリスティの作品はどれも人物造形に秀でていますが、今回はマープルの捜査に協力するラフィール氏が特に優れていると感じました。
最初は「なんだこの嫌味を体現したかのような爺さんは!」と不快に思ったのですが、その爺さんが「あの婆さん(マープル)のことを見誤っておった!」と言った頃には、私も「あんたのこと見誤っておったよ!」となりました(笑)
このラフィール氏とマープルのやりとりが夫婦漫才のように軽快で面白く、数ある登場人物の中でも、彼らお年寄りコンビが一番若々しくてエネルギッシュに感じました。
ストーリーですが、どの人物も怪しく描かれていて、ミスリードも巧みで期待を裏切らない出来でした。
ただ、クリスティの作品をよく読まれる方であれば、どこかで見たことのあるようなパターンなので、比較的犯人がわかりやすい方かなと思います。
トリックも凝ったものではなく、ミステリーとして見ると少々物足りなさはあるのですが、全体的にテンポが良くスラスラ読めたのでとても楽しめました。
でも楽しめた理由の大半は、上述したお年寄りコンビのおかげかなと思います。
これがもしポアロ物であれば、変わった爺さんがいるだけのあまり印象に残らない作品になっていたかもしれません。
それだけマープルとラフィール氏のコンビがとても素晴らしかったです。
クリスティの人物描写が好きな方であれば、この2人のやりとりを読むだけでも価値のある作品ではないかと思います。
最初は「なんだこの嫌味を体現したかのような爺さんは!」と不快に思ったのですが、その爺さんが「あの婆さん(マープル)のことを見誤っておった!」と言った頃には、私も「あんたのこと見誤っておったよ!」となりました(笑)
このラフィール氏とマープルのやりとりが夫婦漫才のように軽快で面白く、数ある登場人物の中でも、彼らお年寄りコンビが一番若々しくてエネルギッシュに感じました。
ストーリーですが、どの人物も怪しく描かれていて、ミスリードも巧みで期待を裏切らない出来でした。
ただ、クリスティの作品をよく読まれる方であれば、どこかで見たことのあるようなパターンなので、比較的犯人がわかりやすい方かなと思います。
トリックも凝ったものではなく、ミステリーとして見ると少々物足りなさはあるのですが、全体的にテンポが良くスラスラ読めたのでとても楽しめました。
でも楽しめた理由の大半は、上述したお年寄りコンビのおかげかなと思います。
これがもしポアロ物であれば、変わった爺さんがいるだけのあまり印象に残らない作品になっていたかもしれません。
それだけマープルとラフィール氏のコンビがとても素晴らしかったです。
クリスティの人物描写が好きな方であれば、この2人のやりとりを読むだけでも価値のある作品ではないかと思います。
2016年12月26日に日本でレビュー済み
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とても綺麗な商品でした。
安価だったので、こんなに綺麗な本が送られて来るとは思っていませんでした。ありがとうございました。
安価だったので、こんなに綺麗な本が送られて来るとは思っていませんでした。ありがとうございました。
2019年10月4日に日本でレビュー済み
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ミスマープル、村を離れてカリブ海でも大活躍。
今回のサポート役、大富豪で介助がないと動けないラフィール氏、いいキャラです。
そして「復讐の女神」に続きます。
今回のサポート役、大富豪で介助がないと動けないラフィール氏、いいキャラです。
そして「復讐の女神」に続きます。
2022年4月7日に日本でレビュー済み
リゾート地で殺人事件が起きて、いろんな噂話が飛び交い、老婦人が犯人に立ち向かってゆくという、この世界観がなんとも心地良いのです。正直、そんな大ネタでは無かったし、高い点数はつけてませんが、いつもと変わらぬ、これぞクリスティ!という肌触りが最高でした。
2014年2月17日に日本でレビュー済み
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お年寄りの突然死は当たり前。
いえいえ、お年寄りを見くびってはいけません。
経験と知恵、狡猾さ、正義の信念、仕事に縛られない時間を持ってます。
とても、面白かったです。
いえいえ、お年寄りを見くびってはいけません。
経験と知恵、狡猾さ、正義の信念、仕事に縛られない時間を持ってます。
とても、面白かったです。
2015年3月6日に日本でレビュー済み
セントメアリーミード村から一転、陽光あふれる西インド諸島へやってきたミス・マープル。
血なまぐさい事件の萌芽は、ミス・マープルの到着を待っていたかのように成長してしまった。
ここに出てくるパルグレイブ少佐的な人物(驚くほどつまらない回顧話を繰り返す)は、
ほかのクリスティ作品にもしょっちゅう出てくるし、
『髪を染めた軽い女性』『陽気でガサツなタイプの男性』的な存在もよくみられる。
物静かで知性的なカップルもしかり。
長くクリスティ作品を読んでいると、名前だけで「あぁ、あんなタイプの人物ね・・・」と
予想できてしまう。
それでも今回のこの作品がたいそう面白いものになったのは、トリックもさることながら
一人の大金持ちのお爺さんのおかげだ。
この人は、クリスティ全作品を振り返ってみてもあまり見られない新顔キャラクターであり、
とっつきにくいのはとっつきにくいけれど、この偽悪的な人は実は頭脳明晰、
心の奥底に他人に対しての深い思いやりを持っているとても魅力的な老人だ。
そばにいたら大変だと思うけれど・・・。
二人で、お互いの持つ‘ものすごい脳みそ’を駆使しながら二人三脚で事件を解決してしまった。
この作品がおもしろかった理由は訳も与っていると思う。
こなれた会話、すいすい読ませる情景描写。
なかでも気に入っているのは、「おい、そこの人!」という呼びかけ。
原語でどうなっているのかわからないが、いかにもラフィール氏らしい口調で、
いつもここにきてはくすっと笑ってしまう。
続編『復讐の女神』も同じ役者に訳してもらいたかった
(悪いことはないけれど)。
血なまぐさい事件の萌芽は、ミス・マープルの到着を待っていたかのように成長してしまった。
ここに出てくるパルグレイブ少佐的な人物(驚くほどつまらない回顧話を繰り返す)は、
ほかのクリスティ作品にもしょっちゅう出てくるし、
『髪を染めた軽い女性』『陽気でガサツなタイプの男性』的な存在もよくみられる。
物静かで知性的なカップルもしかり。
長くクリスティ作品を読んでいると、名前だけで「あぁ、あんなタイプの人物ね・・・」と
予想できてしまう。
それでも今回のこの作品がたいそう面白いものになったのは、トリックもさることながら
一人の大金持ちのお爺さんのおかげだ。
この人は、クリスティ全作品を振り返ってみてもあまり見られない新顔キャラクターであり、
とっつきにくいのはとっつきにくいけれど、この偽悪的な人は実は頭脳明晰、
心の奥底に他人に対しての深い思いやりを持っているとても魅力的な老人だ。
そばにいたら大変だと思うけれど・・・。
二人で、お互いの持つ‘ものすごい脳みそ’を駆使しながら二人三脚で事件を解決してしまった。
この作品がおもしろかった理由は訳も与っていると思う。
こなれた会話、すいすい読ませる情景描写。
なかでも気に入っているのは、「おい、そこの人!」という呼びかけ。
原語でどうなっているのかわからないが、いかにもラフィール氏らしい口調で、
いつもここにきてはくすっと笑ってしまう。
続編『復讐の女神』も同じ役者に訳してもらいたかった
(悪いことはないけれど)。