長いし堅苦しい話かなと思っていたのですが、とても面白く一気に読めました。
一見平和な裕福な家庭で生活している少年が、自分の両親の過去を知り、街を出ていく決心をする。
第一部は1931年から1963年まで、第二部は1963年の秋とはっきり書かれています。時に物語は主人公の両親や祖父母、周囲の人々に飛び、しばしば1931年以前に遡って描かれる。過去の出来事を一つ一つ重層的に積み重ねて人物像を描く手法はモリスンの他作品にも通じています。
第一部ではその手法を目一杯に使って人間というものを炙り出していく。両親の過去を聞いた主人公の受け止め方によって物語が動き、ドラマが形作られていく様子は読んでいてドキドキしました。
誰もが懸命に、自分に忠実に生きようとする姿からは、登場人物一人ひとりに対する作者の愛を感じます。丁寧に描写される瞬間たちは、まるですべての人の人生にドラマがあり脇役などいないのだと言われているようです。それまでスポットライトの当たらなかった主人公の姉・コリンシアンズが冒頭の出来事を回想するシーンで特にそう感じました。
第二部では、それまで北部の街でしか生活したことのなかった主人公が過去への旅に出ます。両親の故郷、祖父の農場、ヴァージニアの自然の美しさやそこに住む人々との交流などが、宝探しと祖先にまつわる謎解きを巡って描かれます。「ソロモンの歌」というタイトルが見事回収される場面では鳥肌が立ったし、そこからラストのカタルシスへ向かって一気に突っ走ってしまいました。読み終えると冒頭のシーンにも意味があったことに気づきます。
訳文もモリスンの淡々とした、けれども流れるような語り口が再現されていると感じました。ところどころに書き込まれている訳註もしつこくなく理解を助けてくれます。
ルーツ探しの話とよく紹介されているのを見ますが、群像劇でもあり、サスペンス要素もあり、人種を超えた普遍性を持つ「人間」について描かれたお話なんだなぁと思いました。
この小説に出会えて良かったです。
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ソロモンの歌 (ハヤカワepi文庫) 文庫 – 2009/7/5
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- 本の長さ645ページ
- 言語日本語
- 出版社早川書房
- 発売日2009/7/5
- ISBN-104151200541
- ISBN-13978-4151200540
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登録情報
- 出版社 : 早川書房 (2009/7/5)
- 発売日 : 2009/7/5
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 645ページ
- ISBN-10 : 4151200541
- ISBN-13 : 978-4151200540
- Amazon 売れ筋ランキング: - 414,581位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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2021年4月4日に日本でレビュー済み
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2021年8月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ミルクマンというあだ名の黒人男性が、自分のルーツ(三代前)を探し求める。三代前のルーツを調べるのさえ大変な苦労がいる、という彼らの置かれた社会は、悲しい。
ただし、600ページを超える本書のうち、ミルクマンがルーツ探しの旅に出るのは、最後の三分の一くらいのところで始まる第二部になってから。
全体を通して、思わず目を背けたくなるような残酷なシーンはほとんどないが、物語は常に殺伐としていて、心温まるエピソードは無い。
少年時代のエピソードによって「ミルクマン」と呼ばれるようになったのだが、物語のほとんどは大人になってからの話である。ミルクマンは、他人を助けることもなく、かなり自分勝手で、本書を読んでいる間も好感は持てなかった。
訳者によるあとがきがいい。結末に曖昧なところがあり、2つの読み方ができるということを議論している。実際に本編を読んでいる最中は、一つの可能性しか読み取れず、もう一つの可能性など思いもしなかったので、このあとがきは、物語を深く理解する上で参考になった。あとがきの内容はネタバレになるので、最後に読むことを勧める。
ただし、600ページを超える本書のうち、ミルクマンがルーツ探しの旅に出るのは、最後の三分の一くらいのところで始まる第二部になってから。
全体を通して、思わず目を背けたくなるような残酷なシーンはほとんどないが、物語は常に殺伐としていて、心温まるエピソードは無い。
少年時代のエピソードによって「ミルクマン」と呼ばれるようになったのだが、物語のほとんどは大人になってからの話である。ミルクマンは、他人を助けることもなく、かなり自分勝手で、本書を読んでいる間も好感は持てなかった。
訳者によるあとがきがいい。結末に曖昧なところがあり、2つの読み方ができるということを議論している。実際に本編を読んでいる最中は、一つの可能性しか読み取れず、もう一つの可能性など思いもしなかったので、このあとがきは、物語を深く理解する上で参考になった。あとがきの内容はネタバレになるので、最後に読むことを勧める。
2013年1月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
一気に読めて、感動。
パールバックの描写する日本の子供の
生きる力、友情、生き生きとつたえられる
愛の物語。
パールバックの描写する日本の子供の
生きる力、友情、生き生きとつたえられる
愛の物語。
2018年2月4日に日本でレビュー済み
久しぶりにこんなに凄い本を読んだ。
主人公は裕福な黒人の家に産まれ、何不自由なく育つが、自身の出生の秘密を知ることを切っ掛けとして、今まで自分が見ていた、生活していた世界や関係性がガラガラと崩れていく。そして玉ねぎの皮を剥くように様々な物事や関係性が明らかになっていく。理解と後悔。そして自分のアイデンティティーやルーツを知ることで、新たに世界を築きあげていく物語。黒人や黒人社会が表面上語られているが本質的には誰にでも当てはまる普遍的なテーマを扱っている。
ストーリーも面白く先が気になり一気に読んでしまった。
訳文も申し分なく兎に角良い本なのでオススメしたい。
主人公は裕福な黒人の家に産まれ、何不自由なく育つが、自身の出生の秘密を知ることを切っ掛けとして、今まで自分が見ていた、生活していた世界や関係性がガラガラと崩れていく。そして玉ねぎの皮を剥くように様々な物事や関係性が明らかになっていく。理解と後悔。そして自分のアイデンティティーやルーツを知ることで、新たに世界を築きあげていく物語。黒人や黒人社会が表面上語られているが本質的には誰にでも当てはまる普遍的なテーマを扱っている。
ストーリーも面白く先が気になり一気に読んでしまった。
訳文も申し分なく兎に角良い本なのでオススメしたい。
2010年10月20日に日本でレビュー済み
物語の年代がはっきり特定されてないですが、断片的記述から推測するとケネディが大統領になった頃ではないかと思いますが、第一部では主人公の通称ミルクマンの出自から人間関係が語られ、第二部ではミルクマンのルーツ探究が語られる構成になっているようです。
第一部では日本の学校などではまず語られぬこの当時のアフリカ系アメリカ人の生活模様やどうゆう事を考えていたか価値観等が描かれ、それがとりもなおさず白人以外の作った部分のアメリカという国のオルタネイト・ヒストリーになってると思いました。
第二部のルーツ探究は自分の祖先の足跡を訪ねる事で翻ってアフリカ系アメリカ人とはなにかという自分のアイデンティティ探究を探る旅になってると思いました。
そのアフリカ系アメリカ人のアイデンティティとは何かというと、精神的解放、つまりあらゆる束縛から逃れて鳥のように自由に空を飛び故郷に帰らねばならない、という暗喩を指示していると個人的に解釈しましたが、どうでしょうか。あと、タイトルの「ソロモン」の意味だけよくわかりませんでした。知ってる方に教えてほしいです。
色々なところに話が飛び、登場人物も多く、抽象的な所もあり全体を把握しずらいですが、文章自体は平明で読みやすかったです。
作者は名だたる賞を持ってるだけに作品が難解なイメージがありますがあまり敬遠しないで普通に読んだ方がいいと思います。
第一部では日本の学校などではまず語られぬこの当時のアフリカ系アメリカ人の生活模様やどうゆう事を考えていたか価値観等が描かれ、それがとりもなおさず白人以外の作った部分のアメリカという国のオルタネイト・ヒストリーになってると思いました。
第二部のルーツ探究は自分の祖先の足跡を訪ねる事で翻ってアフリカ系アメリカ人とはなにかという自分のアイデンティティ探究を探る旅になってると思いました。
そのアフリカ系アメリカ人のアイデンティティとは何かというと、精神的解放、つまりあらゆる束縛から逃れて鳥のように自由に空を飛び故郷に帰らねばならない、という暗喩を指示していると個人的に解釈しましたが、どうでしょうか。あと、タイトルの「ソロモン」の意味だけよくわかりませんでした。知ってる方に教えてほしいです。
色々なところに話が飛び、登場人物も多く、抽象的な所もあり全体を把握しずらいですが、文章自体は平明で読みやすかったです。
作者は名だたる賞を持ってるだけに作品が難解なイメージがありますがあまり敬遠しないで普通に読んだ方がいいと思います。
2020年9月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
歴史を知っていれば、もっと理解ができたのだろうけれど、アメリカの歴史や黒人の歴史に詳しくない私には難しかった。登場人物の関係、性格の把握も十分にできず、終始、「何故?」や「どういうこと?」がつきまとってしまった。
次に読む時には、もう少し、楽しめると思う。
次に読む時には、もう少し、楽しめると思う。
2011年2月20日に日本でレビュー済み
この本を英語のまま読めたらまた違うのだろう。
この訳の仕方がどうにも読みにくい。まるで英語の原文を翻訳機械にかけてそのまま出版しちゃった感じ。
もう少し日本人にわかりやすいように訳はできなかったのか?
読んでいると、情景は想像できるし全くわけがわからないわけではないけど、
訳文の意味を考えながら読まなければならないことにイライラする。日本語なのに!
この訳の仕方がどうにも読みにくい。まるで英語の原文を翻訳機械にかけてそのまま出版しちゃった感じ。
もう少し日本人にわかりやすいように訳はできなかったのか?
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