大学1年生の教養課程科目として、初心者の入門書として書かれている。したがって、難しくは書いてないが、比較的近い時代の哲学者が書いたものを関連付けながらその流れや変化や関連性を丁寧に説明してくれている。時代の変化によってさまざまな流派というか、考え方の違いがあり、また、その流派の独特の発明した言葉も使われており、あらかじめそれが何か知らないと、ちんぷんかんぷんか、頓珍漢なことになりかねない。
アメリカの思想は浅い歴史でしかなく、いわゆる欧州系の古くからの哲学思想とは違い、先に読んだ『アメリカ哲学』(鶴見俊輔著)のプラグマチズムから始まっている。序は、ちょうど鶴見氏の本を要約したような形で始まっている。そして、アメリカ発のリベラリズムについて、講義風に書き進んで行くが、時代が進むにつれてリベラリズム(自由主義)は大きな矛盾に突き当たっていく。つまり、自由競争である限り、極度の貧富の差や移住による人種や宗教の違う人々が多くなり、さべつや排除の論理が出てくる。単に「自由主義」を唱えていれば良いという時代が過ぎていき、何とかその矛盾を解決しなければならないという事で、「古典的自由主義(経済自由主義)」を再検討、修正しなければやっていけないという考えが出てくる。
一方、第二次世界大戦でナチズム、ファシズムから逃れてくるドイツ、フランス、イギリスの科学者(哲学者も含む)がかなり亡命してくる。そこで、アメリカ人は今まで知らなかったいろんな哲学と遭遇する。しかし、この本を読んでみると、もともと、キリスト教カソリックや王制のドグマと権威主義に抵抗したプロテスタントがアメリカの地に渡った人たち及びその子孫であり、国家権力や教会の権威主義には「虫唾が走る」新思考の人たちであり、しかも資本主義で一儲けしようという連中であり、ごちゃごちゃ難しい哲学は受け付けない体質を持っているようである。
したがって、プラグマチズムやリベラリズムがアメリカの基本的姿勢であることは時代が進んでも変わらない。ただし、問題が多いので、リベラリズムという言葉には「寛容」という意味合いもあるので、それを加味して、もともとの荒っぽい裸の自由唯一主義では国としてのまとまりが取れなくなり、さまざまの学説、考え方が出されてくる。この著者は、丁寧にしかも優しく書き進めてくれているが、私のような初心者には、再度読み、他の本も読んでみないと、理解半分以下である。これは著者の責任ではないが。
次に、同じ著者の『日本の現代思想』買ったので、読むことにしている。

無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
集中講義! アメリカ現代思想 リベラリズムの冒険 (NHKブックス) 単行本(ソフトカバー) – 2008/9/25
仲正 昌樹
(著)
リベラルが分かれば、アメリカが見える!
ロールズからローティ、ネオコン思想まで。初の入門書!
- ISBN-104140911204
- ISBN-13978-4140911204
- 出版社NHK出版
- 発売日2008/9/25
- 言語日本語
- 本の長さ291ページ
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
商品の説明
出版社からのコメント
自由をめぐる思考の冒険。
格差社会から地域紛争まで、喫緊の課題をどう読み解くか。
現実的な社会変革をめざす思想として、近年注目されるアメリカ発のリベラリズム。
社会全体の「平等」と個人の「自由」の両立を構想することで、自由をめぐる現代的課題を考察したロールズの正義論からリバタリアニズムにコミュニタリアニズム、ネオコン思想まで。
リベラリズムを中心とするアメリカ現代思想のあらましを、時代背景とともに明快に解説し、日本をはじめ現代の思想状況にリベラリズムが与えた影響を探る。
著者について
● 仲正昌樹(なかまさ・まさき)
1963年、広島県生まれ。東京大学総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程修了。現在、金沢大学法学類教授。専攻は、政治思想史、比較文学。
主な著書に『集中講義! 日本の現代思想』(NHKブックス)など多数。
登録情報
- 出版社 : NHK出版 (2008/9/25)
- 発売日 : 2008/9/25
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 291ページ
- ISBN-10 : 4140911204
- ISBN-13 : 978-4140911204
- Amazon 売れ筋ランキング: - 137,637位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 25位イギリス・アメリカの思想
- - 192位近代西洋哲学
- - 247位西洋哲学入門
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。

著者の本をもっと発見したり、よく似た著者を見つけたり、著者のブログを読んだりしましょう
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2020年10月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2024年1月11日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
緻密な文章力と分析が読んでいて心地よく、読むに従い頭が良くなっていくような感覚すらある。
Kindle版を購入したが、紙面版でも読みたくなったので、その後、紙面版の本も購入した。
Kindle版を購入したが、紙面版でも読みたくなったので、その後、紙面版の本も購入した。
2010年7月19日に日本でレビュー済み
一応、名は通っていると思われるけど、“クロカン並み”の“オリジナリティの無さ”と“悪口雑言”が売りのアルファブロガーが、よく「経済学の教科書を読んだことのない××」などと、政治家等に悪態をついているのを見掛けることがある。この“東大××”の典型的人物が語る「教科書」とは、主にアメリカのエコノミスト達が書いたテキスト等を指す場合が殆どだが、経済学を含む社会科学に唯一不変の「教科書」などある訳がない。その経済学と密接に関連する現代アメリカの哲学・思想状況を俯瞰しているのが本著である。
こうした経済学との連関は、いみじくも佐伯啓思氏が述べていたように「リベラリズム、デモクラシー、ビジネスの三者の結合がアメリカの『普遍』」、つまり「ビジネス(経済活動)を媒介とした、リベラリズムとデモクラシーの結合」(『 「アメリカニズム」の終焉 』p.126)―この場合、ビジネスをキャピタリズムと置換してもよいが―このことが「哲学不毛の地」アメリカの思想風土を特徴付け、アメリカナイゼーション(アメリカ主導のグローバリゼーション)の波に乗って、西欧諸国や日本などの哲学・思想業界を席巻しているのかもしれない。
従って、著者の仲正昌樹氏(金沢大学)のいう「“哲学・思想のアメリカ化”傾向」(本書p.17)も、この文脈で理解できよう。無論、“哲学・思想のアメリカ化”傾向なるものを「アメリカ主導のグローバリゼーション」がもたらした結果というには、著者も制するごとく「それではあまりにも大雑把」(同p.18)である。それを踏まえて書き下ろされたのが当書であり、リベラリズム(自由主義)を中心に据えたアメリカ現代思想(リバタリアニズム〔自由至上主義〕やコミュニタリアニズム〔共同体主義〕等)の諸潮流を知るには絶好のテキストだ。
わが国においてもリバタリアニズムと結び付いた現代シカゴ学派(フリードマン学派=市場至上主義)が近年猖獗を極め、「アメリカではの守」一派が闊歩している、だが、先述したように唯一不変の経済学教科書や哲学・思想のみがアメリカ本国に存在している訳ではない。むしろ、これらを相対化する多様な批判的材料も湧き出ていることに留意する必要があるだろう。
Amazonで購入
一応、名は通っていると思われるけど、“クロカン並み”の“オリジナリティの無さ”と“悪口雑言”が売りのアルファブロガーが、よく「経済学の教科書を読んだことのない××」などと、政治家等に悪態をついているのを見掛けることがある。この“東大××”の典型的人物が語る「教科書」とは、主にアメリカのエコノミスト達が書いたテキスト等を指す場合が殆どだが、経済学を含む社会科学に唯一不変の「教科書」などある訳がない。その経済学と密接に関連する現代アメリカの哲学・思想状況を俯瞰しているのが本著である。
こうした経済学との連関は、いみじくも佐伯啓思氏が述べていたように「リベラリズム、デモクラシー、ビジネスの三者の結合がアメリカの『普遍』」、つまり「ビジネス(経済活動)を媒介とした、リベラリズムとデモクラシーの結合」(『 「アメリカニズム」の終焉 』p.126)―この場合、ビジネスをキャピタリズムと置換してもよいが―このことが「哲学不毛の地」アメリカの思想風土を特徴付け、アメリカナイゼーション(アメリカ主導のグローバリゼーション)の波に乗って、西欧諸国や日本などの哲学・思想業界を席巻しているのかもしれない。
従って、著者の仲正昌樹氏(金沢大学)のいう「“哲学・思想のアメリカ化”傾向」(本書p.17)も、この文脈で理解できよう。無論、“哲学・思想のアメリカ化”傾向なるものを「アメリカ主導のグローバリゼーション」がもたらした結果というには、著者も制するごとく「それではあまりにも大雑把」(同p.18)である。それを踏まえて書き下ろされたのが当書であり、リベラリズム(自由主義)を中心に据えたアメリカ現代思想(リバタリアニズム〔自由至上主義〕やコミュニタリアニズム〔共同体主義〕等)の諸潮流を知るには絶好のテキストだ。
わが国においてもリバタリアニズムと結び付いた現代シカゴ学派(フリードマン学派=市場至上主義)が近年猖獗を極め、「アメリカではの守」一派が闊歩している、だが、先述したように唯一不変の経済学教科書や哲学・思想のみがアメリカ本国に存在している訳ではない。むしろ、これらを相対化する多様な批判的材料も湧き出ていることに留意する必要があるだろう。
2019年6月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
本書は、アメリカ現代思想を、ジョン・ロールズの1971年の「正義論」により打ち立てられたリベラルな政治哲学を中心にして、アメリカの政治状況と絡みつつ、各思想家、哲学者が、どのような必要にかられて自分の思想、哲学を構築していったのか、歴史的に述べている。そして、アメリカの哲学がいつのまにか、伝統的なフランス・ドイツ系の哲学から、哲学の主流を奪ってしまったことについての、納得いく記述、回答になっている。
その哲学の主流の変化は、まずアメリカにおいて、文芸批評家ポール・ド・マン、ジョナサン・カラー等によりフランス・ドイツ系のポストモダンと言われた哲学が咀嚼、紹介され、盛んに研究された。一方、フランスでは、フーコー、デリダ等が亡くなって以降、哲学的に生産的な書き手がいなくなっていった。そこで、ポストモダン系の議論が、アメリカに吸収されてしまった。こういう吸収の過程がある。
また、欧州の大きな哲学の流れである、ウィーン学派論理実証主義が、英米にて分析哲学として継承され、ラッセル、ヴィトゲンシュタインらが発展させる。それを、アメリカのハーヴァード大学のクワインが、伝統的なアメリカ発の哲学であるプログマティズムと総合し、ネオ・プラグマティズムとして打ち出す。
上記のような2つの大きな流れで、英米の哲学が、哲学研究の中心となった。
そこで、ロールズである。ロールズの正義論とは、リベラルの再定義。公正と自由の両立、つまりは民主的手続きと自由主義的価値の統合を図っている。なぜ、リベラルの再定義が必要にされたかといえば、1930年代、世界恐慌の解決策として、民主党のフランクリン・ローズヴェルト大統領によるニューディール政策(イギリスの経済学者ケインズの考えを援用し福祉や雇用政策に政府が積極的介入を行なっていく)、この政策が実施され、実際に成果も上がったと言える。だが、第二次大戦後1947年、トルーマン・ドクトリンにより共産主義封じ込め政策が、実施され、共産主義を許容しない自由主義国家という矛盾した状態に、アメリカは陥った。そして、その理論的支柱として、計画経済、ソヴィエトを全体主義へ至る道とし、同時にドイツのナチスも全体主義として批判する、ユダヤ系でドイツから亡命した思想家ハンナ・アーレントの「全体主義の起源」が、古典的自由主義によって立ち、アメリカ哲学界、思想界をリードした。また、ウィーン大学のオーストリア学派として出発。ロンドンのLSEを経て、アメリカのシカゴ大学に移ったハイエクもまた、古典的自由主義の論陣を張った。このような状況下でリベラル勢力は、ローズヴェルト政権のリベラルな政策の実施以外に、強力な哲学的な基礎を欠いていた。
そこでハーヴァード大学で、倫理学を研究、分析哲学のムーアによるメタ倫理学に飽き足らなかったロールズが、社会的な正義についての議論を深めたいとの意図から、アメリカの憲法制定における理念に立ち返り、公正と正義が、両立すべき条件を探ったのが、『正義論』である。この本の一番のハイライトが、このロールズの、憲法典の根本に立ち返り、憲法を生きているものとして、不断に解釈を改めねばならないとする姿の描写にある。1971年にあっても、第三代大統領ジェファーソンと同じ臨場感、緊張感を持って、憲法典を再解釈し、市民に訴えていく、その態度が、全く今まで知らなかったアメリカの一面である。
日本においては、明治憲法、日本国憲法、どちらにせよ、憲法起草者と同じように、不断に解釈を行い、世に問うという精神の動きは無いと、言っていい。比べて、アメリカの生きている憲法という理念と、それを実際に生かすロールズの姿勢に驚きを持った。そのロールズの精神を再確認したいと感じさせる本である。
また、リベラル、コミュニタリアン、リバタリアンの3つの思想潮流が切磋琢磨する様子など、アメリカ思想界のダイナミクスを充分描いた良書であり、得られるものは大きい。
その哲学の主流の変化は、まずアメリカにおいて、文芸批評家ポール・ド・マン、ジョナサン・カラー等によりフランス・ドイツ系のポストモダンと言われた哲学が咀嚼、紹介され、盛んに研究された。一方、フランスでは、フーコー、デリダ等が亡くなって以降、哲学的に生産的な書き手がいなくなっていった。そこで、ポストモダン系の議論が、アメリカに吸収されてしまった。こういう吸収の過程がある。
また、欧州の大きな哲学の流れである、ウィーン学派論理実証主義が、英米にて分析哲学として継承され、ラッセル、ヴィトゲンシュタインらが発展させる。それを、アメリカのハーヴァード大学のクワインが、伝統的なアメリカ発の哲学であるプログマティズムと総合し、ネオ・プラグマティズムとして打ち出す。
上記のような2つの大きな流れで、英米の哲学が、哲学研究の中心となった。
そこで、ロールズである。ロールズの正義論とは、リベラルの再定義。公正と自由の両立、つまりは民主的手続きと自由主義的価値の統合を図っている。なぜ、リベラルの再定義が必要にされたかといえば、1930年代、世界恐慌の解決策として、民主党のフランクリン・ローズヴェルト大統領によるニューディール政策(イギリスの経済学者ケインズの考えを援用し福祉や雇用政策に政府が積極的介入を行なっていく)、この政策が実施され、実際に成果も上がったと言える。だが、第二次大戦後1947年、トルーマン・ドクトリンにより共産主義封じ込め政策が、実施され、共産主義を許容しない自由主義国家という矛盾した状態に、アメリカは陥った。そして、その理論的支柱として、計画経済、ソヴィエトを全体主義へ至る道とし、同時にドイツのナチスも全体主義として批判する、ユダヤ系でドイツから亡命した思想家ハンナ・アーレントの「全体主義の起源」が、古典的自由主義によって立ち、アメリカ哲学界、思想界をリードした。また、ウィーン大学のオーストリア学派として出発。ロンドンのLSEを経て、アメリカのシカゴ大学に移ったハイエクもまた、古典的自由主義の論陣を張った。このような状況下でリベラル勢力は、ローズヴェルト政権のリベラルな政策の実施以外に、強力な哲学的な基礎を欠いていた。
そこでハーヴァード大学で、倫理学を研究、分析哲学のムーアによるメタ倫理学に飽き足らなかったロールズが、社会的な正義についての議論を深めたいとの意図から、アメリカの憲法制定における理念に立ち返り、公正と正義が、両立すべき条件を探ったのが、『正義論』である。この本の一番のハイライトが、このロールズの、憲法典の根本に立ち返り、憲法を生きているものとして、不断に解釈を改めねばならないとする姿の描写にある。1971年にあっても、第三代大統領ジェファーソンと同じ臨場感、緊張感を持って、憲法典を再解釈し、市民に訴えていく、その態度が、全く今まで知らなかったアメリカの一面である。
日本においては、明治憲法、日本国憲法、どちらにせよ、憲法起草者と同じように、不断に解釈を行い、世に問うという精神の動きは無いと、言っていい。比べて、アメリカの生きている憲法という理念と、それを実際に生かすロールズの姿勢に驚きを持った。そのロールズの精神を再確認したいと感じさせる本である。
また、リベラル、コミュニタリアン、リバタリアンの3つの思想潮流が切磋琢磨する様子など、アメリカ思想界のダイナミクスを充分描いた良書であり、得られるものは大きい。
2016年12月12日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
タイトルに偽りは無い。全体を良く纏めてあるので、インデックスとして使うには良いだろう。ただし、深みがあるわけでは無い。
2010年10月18日に日本でレビュー済み
20年前大学を卒業したきり、その後の現代思想の潮流など
ほとんど知らないできた身としてはありがたい一冊。
もちろん分量的にアメリカ現代思想の全てを解説できるわけはないが
本書をスタートに、どこからどう勉強していけば良いのか、
有用な指針は示してもらえるだろう。
本書「序」によれば、アメリカのプラグマティズムとしての哲学は
大きく分けて三つの異なった経路でグローバル化しているという。
(1) アメリカ版ポストモダン思想
(2) 分析哲学の潮流
(3) リベラリズムをめぐる理論
上記(1)、(2)に関しては従来の独仏系思想の名残で
何とか理解可能と思われる。よって本書で詳しく解説されるのは
ロールズ『正義論』に始まる米国の政治哲学・法哲学的議論である。
構造主義・ポスト構造主義の基本的概念を齧っておけば、
(たとえそれが浅いものであったとしても)浅田・中沢の議論に
一応ついていけたのと同じように、リベラリズムをざっと齧れば
宮台・東・北田氏らが現在、何を議題にしているかは分かりそうな気がする。
ほとんど知らないできた身としてはありがたい一冊。
もちろん分量的にアメリカ現代思想の全てを解説できるわけはないが
本書をスタートに、どこからどう勉強していけば良いのか、
有用な指針は示してもらえるだろう。
本書「序」によれば、アメリカのプラグマティズムとしての哲学は
大きく分けて三つの異なった経路でグローバル化しているという。
(1) アメリカ版ポストモダン思想
(2) 分析哲学の潮流
(3) リベラリズムをめぐる理論
上記(1)、(2)に関しては従来の独仏系思想の名残で
何とか理解可能と思われる。よって本書で詳しく解説されるのは
ロールズ『正義論』に始まる米国の政治哲学・法哲学的議論である。
構造主義・ポスト構造主義の基本的概念を齧っておけば、
(たとえそれが浅いものであったとしても)浅田・中沢の議論に
一応ついていけたのと同じように、リベラリズムをざっと齧れば
宮台・東・北田氏らが現在、何を議題にしているかは分かりそうな気がする。
2020年6月12日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
わかりやすい。
小説、音楽、映画などのポップカルチャーをより楽しめるようになるね。
小説、音楽、映画などのポップカルチャーをより楽しめるようになるね。
2013年10月13日に日本でレビュー済み
アメリカの政治思想というと、ロールズやローティーと言った名前は聞いたことがありましたが、その思想の中身までは興味を持っていませんでした。
日本語で読める手ごろな本が無かったこともあって、思想史のなかでの位置づけを考えたり、頭の中の歴史の流れに組み込んだりすることはことはずっと出来ていませんでした。
マイケル・サンデルが話題になった際に、政治的に(一応は)超大国のアメリカだけど、その政治思想史についてはあまりに不勉強だったなと反省混じりに考え、何か良い本無いかな…と思っていたらこれが出たので読みました。
文章のうまさに定評がある仲正昌樹、個別の思想家の説明は大変わかりやすいです。
ただ、あとがきで筆者が触れているように「全体像が知られていないテーマ」であるので、どのような流れの、どこに位置づけられるものなのか、がよく分からなくて、まだきちんと理解して読めた気がしていません。
どこかでもう一回再読したいと思います。
日本語で読める手ごろな本が無かったこともあって、思想史のなかでの位置づけを考えたり、頭の中の歴史の流れに組み込んだりすることはことはずっと出来ていませんでした。
マイケル・サンデルが話題になった際に、政治的に(一応は)超大国のアメリカだけど、その政治思想史についてはあまりに不勉強だったなと反省混じりに考え、何か良い本無いかな…と思っていたらこれが出たので読みました。
文章のうまさに定評がある仲正昌樹、個別の思想家の説明は大変わかりやすいです。
ただ、あとがきで筆者が触れているように「全体像が知られていないテーマ」であるので、どのような流れの、どこに位置づけられるものなのか、がよく分からなくて、まだきちんと理解して読めた気がしていません。
どこかでもう一回再読したいと思います。