日本共産党の公式の「100年史」も読んでいる。そしてこの「日本共産党」を併せて読むと、いろんなことが重層的にわかる。「100年史」はこれまでの党史と比べても読みやすいし、誤りについても率直であり、所々で歴史家の著書を紹介するなど、通史としての出来栄えはよい。こんな「党史」を書ける政党は、世界を見渡してもそうそうあるものではない。その一点からも貴重である。しかし、公式党史ゆえの欠陥もある。嘘は書いていない。しかし都合のよくないことも書いていない。詳細に書くべきことを省略している。それは、これだけを読んでもわからない。それを補うものが「日本共産党」である。頭ごなしに日本共産党を拒否する人はともかくとして、まともに日本の共産主義・社会主義運動の歴史に関心のある人は、「100年史」とこの「日本共産党」を読めば、大きな筋道は理解することができるだろう。そして、それはいまいまの日本の政治の現状と、これからの日本政治の進むべき方向を考える上で役にたつだろう。いずれにせよ、日本における共産主義運動の根は深く広い。日本共産党がいまはその潮流の中心にいることは明らかだが、しかし、それがこれから永く続くとはかぎらない。資本主義体制を乗り越えよりよい社会をめざす思想と運動は決してなくなることはない。
本書はその点でも政治学の書として貴重な文献である。
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日本共産党-「革命」を夢見た100年 (中公新書 2695) 新書 – 2022/5/23
中北 浩爾
(著)
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戦前から高度成長期にかけて多くの若者や知識人を惹きつけ、巨大な政治的磁場を作った日本共産党。東欧革命・ソ連崩壊などで深刻な打撃を受けたが、しぶとく生き残り、近年、野党共闘による政権交代を目標に据える。政権を担える事実上の社会民主主義政党になったのか、今なお暴力革命を狙っているのか。本書は、一貫して「革命」を目指しつつも大きく変化した百年の歴史を追い、国際比較と現状分析を交え同党の全貌を描く。
- 本の長さ440ページ
- 言語日本語
- 出版社中央公論新社
- 発売日2022/5/23
- 寸法11 x 1.8 x 17.3 cm
- ISBN-104121026950
- ISBN-13978-4121026958
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商品の説明
著者について
中北浩爾
1968年三重県生まれ.91年東京大学法学部卒業.95年東京大学大学院法学政治学研究科 博士課程中途退学.博士(法学).大阪市立大学法学部助教授,立教大学法学部教授などを経て,現在,一橋大学大学院社会学研究科教授.専門は日本政治外交史,現代日本政治論.著書『経済復興と戦後政治』(東京大学出版会,1998年)『一九五五年体制の成立』(東京大学出版会,2002年)『日本労働政治の国際関係史』(岩波書店,2008年)『現代日本の政党デモクラシー』(岩波新書,2012年)『自民党政治の変容』(NHKブックス,2014年)ほか
1968年三重県生まれ.91年東京大学法学部卒業.95年東京大学大学院法学政治学研究科 博士課程中途退学.博士(法学).大阪市立大学法学部助教授,立教大学法学部教授などを経て,現在,一橋大学大学院社会学研究科教授.専門は日本政治外交史,現代日本政治論.著書『経済復興と戦後政治』(東京大学出版会,1998年)『一九五五年体制の成立』(東京大学出版会,2002年)『日本労働政治の国際関係史』(岩波書店,2008年)『現代日本の政党デモクラシー』(岩波新書,2012年)『自民党政治の変容』(NHKブックス,2014年)ほか
登録情報
- 出版社 : 中央公論新社 (2022/5/23)
- 発売日 : 2022/5/23
- 言語 : 日本語
- 新書 : 440ページ
- ISBN-10 : 4121026950
- ISBN-13 : 978-4121026958
- 寸法 : 11 x 1.8 x 17.3 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 21,614位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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2023年11月13日に日本でレビュー済み
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日本の政党で100年の歴史を持つのは共産党だけである。そしてその歴史を節目の時期に文書の形で保存しているのも共産党だけである。この本は、共産党が発表した「正史」や離党した人たちが編集した「運動史研究」などを参考にしながら、できるだけ客観的に共産党の歴史の歩みを描こうとしている。政党研究者には必読の本であろう。
2022年6月26日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
私は80年代に入党しましたが、2000年ごろからの日本共産党の北朝鮮擁護、親中国路線に衝撃を受け、離党しました。そういう人、多いと思います。この問題に触れてほしかった。
90年代まで、自主独立路線で、中国も北朝鮮も批判していたのに、突然の不破哲三氏の国会質問「拉致には証拠はない、それよりも北朝鮮との国交回復を優先させるべき」に心底、驚きました。だまされたと思った。その後の急激な北朝鮮擁護路線(拉致問題に触れない、朝鮮総連の大会に出て連帯のあいさつ、それを批判した萩原氏を除籍、北朝鮮人権法を「北朝鮮の国内問題だ」と反対)、中国との友好路線復活(綱領で中国の「市場経済を通じた社会主義建設」を肯定的に評価、不破氏が訪中して懇談、天安門問題を「赤旗」で触れない、中国の一帯一路、AIIBに参加すべきと国会で主張)など、驚きと怒りの連続で、悶絶しました。
共産党の自主独立は偽物だと思いました。結局、ソ連・東欧崩壊で、世界史的な展望を失いかけて、残された希望として、(あろうことか)北朝鮮や中国に期待をかけた、というところでしょうか。で、ものの見事に期待が外れています、笑っちゃう。
不破哲三氏の北京訪問記などの本を読むと、中国は、市場経済路線をとっているが、生産手段の基本部分を「社会主義権力」が握っている。だから、社会主義に向かう勢力であり、平和勢力だ、みたいなことが書いてあった。そういう「社会主義権力」への無批判な信頼、帰依って、ソ連・東欧を信用していたころと全く変わらないではないか。ソ連・東欧の失敗から日本共産党は「何も学んでいなかった」ということですね。
結局、その程度の連中だった。いやもう、やめてせいせいしました。
追記:日本共産党の党勢や路線の行き詰まりの原因は、ソ連や中国、北朝鮮と共通だと思う。それは、現実や党員、国民の声に学ぶのでなく、専ら決まっているドグマで党員、国民を教化するのみ、批判を攻撃と受け取り、党や指導者の権威を守ることが至上命令となる。袋小路から抜け出せないのは、「20世紀社会主義勢力」に共通の哲学・習性に、原因があるのだ。そこのところを分析してほしかったな。
追記2:この本、共産党の危険な本質について捉え切れていないと思う。共産党は、選挙であれ暴力であれ、「国家権力を握る」ことを主目的としている。国家権力と言っても「政府」だけじゃない。国家の暴力装置も掌握しないといけない(レーニン「国家と革命」、学生時代に党合宿で勉強した)。なぜ自衛隊、米軍に反対するか。それが権力奪取の最大の障害だから。オウムに似ている。民主集中制をやめない理由も、秘密結社的軍事組織で本気で権力(国家の暴力装置)を狙っているからだろう。私、昔はこの問題をそんなに意識していなかったが、日本共産党が中国や北朝鮮のような「社会主義権力」を擁護している姿勢を見るに至って、マジに、オウム並みの「剣呑」な体質があると感じた。中国や北朝鮮のような「社会主義権力」の種子がここにあると思った。いや、もう、党員の脳内にバーチャル社会主義国があるというべきか。
追記3:日本共産党の安全保障政策は、90年代まで「自衛中立」策だったのに、90年代末より、事実上、「非武装中立」策になった。憲法9条永久護持、自衛隊は違憲なので縮小・廃止、というものだ。日米安保も廃止方針だから、とても国民に理解されない。ロシアのウクライナ侵攻以降、他党からも批判され、散々だ。自衛隊=違憲論(ほかの野党は合憲論)が、安倍改憲案の理由にされ、政権に加わったら「自衛隊も活用する」という、立憲主義に反するご都合主義が叩かれている。90年代末に、非武装中立策を選択した理由は、当時、中国の経済成長と政治力で、東アジアに平和が訪れ、安保も自衛隊も不要になるだろうという「おめでたい」情勢判断、予測に基づくものだ。中国が、尖閣や台湾に武力で圧力をかけるような近未来を、まるきり予測していなかったのだ。このお目出度さ、社会主義妄信は、日本共産党の宿痾の病だ。この政策の間違いは、日本共産党の衰退、滅亡に拍車をかけるだろう。51綱領の暴力路線の誤りよりも、ある意味深刻だ。若い世代がついて行かないからだ。もう、後がない。
90年代まで、自主独立路線で、中国も北朝鮮も批判していたのに、突然の不破哲三氏の国会質問「拉致には証拠はない、それよりも北朝鮮との国交回復を優先させるべき」に心底、驚きました。だまされたと思った。その後の急激な北朝鮮擁護路線(拉致問題に触れない、朝鮮総連の大会に出て連帯のあいさつ、それを批判した萩原氏を除籍、北朝鮮人権法を「北朝鮮の国内問題だ」と反対)、中国との友好路線復活(綱領で中国の「市場経済を通じた社会主義建設」を肯定的に評価、不破氏が訪中して懇談、天安門問題を「赤旗」で触れない、中国の一帯一路、AIIBに参加すべきと国会で主張)など、驚きと怒りの連続で、悶絶しました。
共産党の自主独立は偽物だと思いました。結局、ソ連・東欧崩壊で、世界史的な展望を失いかけて、残された希望として、(あろうことか)北朝鮮や中国に期待をかけた、というところでしょうか。で、ものの見事に期待が外れています、笑っちゃう。
不破哲三氏の北京訪問記などの本を読むと、中国は、市場経済路線をとっているが、生産手段の基本部分を「社会主義権力」が握っている。だから、社会主義に向かう勢力であり、平和勢力だ、みたいなことが書いてあった。そういう「社会主義権力」への無批判な信頼、帰依って、ソ連・東欧を信用していたころと全く変わらないではないか。ソ連・東欧の失敗から日本共産党は「何も学んでいなかった」ということですね。
結局、その程度の連中だった。いやもう、やめてせいせいしました。
追記:日本共産党の党勢や路線の行き詰まりの原因は、ソ連や中国、北朝鮮と共通だと思う。それは、現実や党員、国民の声に学ぶのでなく、専ら決まっているドグマで党員、国民を教化するのみ、批判を攻撃と受け取り、党や指導者の権威を守ることが至上命令となる。袋小路から抜け出せないのは、「20世紀社会主義勢力」に共通の哲学・習性に、原因があるのだ。そこのところを分析してほしかったな。
追記2:この本、共産党の危険な本質について捉え切れていないと思う。共産党は、選挙であれ暴力であれ、「国家権力を握る」ことを主目的としている。国家権力と言っても「政府」だけじゃない。国家の暴力装置も掌握しないといけない(レーニン「国家と革命」、学生時代に党合宿で勉強した)。なぜ自衛隊、米軍に反対するか。それが権力奪取の最大の障害だから。オウムに似ている。民主集中制をやめない理由も、秘密結社的軍事組織で本気で権力(国家の暴力装置)を狙っているからだろう。私、昔はこの問題をそんなに意識していなかったが、日本共産党が中国や北朝鮮のような「社会主義権力」を擁護している姿勢を見るに至って、マジに、オウム並みの「剣呑」な体質があると感じた。中国や北朝鮮のような「社会主義権力」の種子がここにあると思った。いや、もう、党員の脳内にバーチャル社会主義国があるというべきか。
追記3:日本共産党の安全保障政策は、90年代まで「自衛中立」策だったのに、90年代末より、事実上、「非武装中立」策になった。憲法9条永久護持、自衛隊は違憲なので縮小・廃止、というものだ。日米安保も廃止方針だから、とても国民に理解されない。ロシアのウクライナ侵攻以降、他党からも批判され、散々だ。自衛隊=違憲論(ほかの野党は合憲論)が、安倍改憲案の理由にされ、政権に加わったら「自衛隊も活用する」という、立憲主義に反するご都合主義が叩かれている。90年代末に、非武装中立策を選択した理由は、当時、中国の経済成長と政治力で、東アジアに平和が訪れ、安保も自衛隊も不要になるだろうという「おめでたい」情勢判断、予測に基づくものだ。中国が、尖閣や台湾に武力で圧力をかけるような近未来を、まるきり予測していなかったのだ。このお目出度さ、社会主義妄信は、日本共産党の宿痾の病だ。この政策の間違いは、日本共産党の衰退、滅亡に拍車をかけるだろう。51綱領の暴力路線の誤りよりも、ある意味深刻だ。若い世代がついて行かないからだ。もう、後がない。
2022年6月1日に日本でレビュー済み
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日本共産党の歴史と現況を、書き手のイデオロギーのようなものは抜きにして、中立的にまとめた労作。
蛇蝎のごとく嫌う人からすれば、本書の中立的な記述は何だか拍子抜けするだろうし、一方で一定数いるだろう熱心な支持者からしても何だか物足りないという評価を受けそう。ただ、そのバランスの良さが本書の最大の売りにして、日本共産党に関する既存の書籍にはなかなか見られない特徴ではないだろうか。
本書は序章と終章の他に四章から構成される。まず共産党の国際比較を行った序章からその内容は大変興味深い。同じ「共産党」でも、日本の共産党は何とも特異な存在であることが分かる。その特異さを形成することになった歴史について、第1章で日本での創設から戦後に至るまでを整理する。そして、戦後の合法化から武装闘争を書いた第2章、宮本路線での躍進を書いた第3章と続き、第4章では国会での議席数の停滞や孤立化を書く。ここから、現在の野党共闘路線への転換から現況を的確にまとめたのが終章である。
新書とは思えないほど充実した「註記」、さらに、数は多くないものの有用な「日本共産党各種データ」が巻末に付されており、本文のみならず全編にわたって濃密な内容が詰まった一冊である。
蛇蝎のごとく嫌う人からすれば、本書の中立的な記述は何だか拍子抜けするだろうし、一方で一定数いるだろう熱心な支持者からしても何だか物足りないという評価を受けそう。ただ、そのバランスの良さが本書の最大の売りにして、日本共産党に関する既存の書籍にはなかなか見られない特徴ではないだろうか。
本書は序章と終章の他に四章から構成される。まず共産党の国際比較を行った序章からその内容は大変興味深い。同じ「共産党」でも、日本の共産党は何とも特異な存在であることが分かる。その特異さを形成することになった歴史について、第1章で日本での創設から戦後に至るまでを整理する。そして、戦後の合法化から武装闘争を書いた第2章、宮本路線での躍進を書いた第3章と続き、第4章では国会での議席数の停滞や孤立化を書く。ここから、現在の野党共闘路線への転換から現況を的確にまとめたのが終章である。
新書とは思えないほど充実した「註記」、さらに、数は多くないものの有用な「日本共産党各種データ」が巻末に付されており、本文のみならず全編にわたって濃密な内容が詰まった一冊である。
2022年6月28日に日本でレビュー済み
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日本共産党の将来についてイタリヤ型が良いとしていますが、日本には適していないと思います。日本には日本独自の発展方法があると思います。特に高齢化党員の占める比率は確かに高くなっていますが、それを克服する方法を共産党自身が生みの苦しみをしているのが現状です。そのことを評価せずに共産党の将来を暗く描くのは著者自身にあるのではないかと思う。
2022年6月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
この本は、日本共産党に対して、極端な見方に立たず、客観的に書かれた優れた本です。
ただ、今後の見通しを考えると、非常に厳しいと言えるでしょう。
「民主集中制」という鉄の規律で支えられた「前衛党」日本共産党は、「ネットクラシー」によって出現した「ポピュリズム」時代には対応できるとは思えないのです。
党員や支持者の高齢化は、その表れだと思います。
ただ、今後の見通しを考えると、非常に厳しいと言えるでしょう。
「民主集中制」という鉄の規律で支えられた「前衛党」日本共産党は、「ネットクラシー」によって出現した「ポピュリズム」時代には対応できるとは思えないのです。
党員や支持者の高齢化は、その表れだと思います。
2022年6月27日に日本でレビュー済み
本書は、日本共産党の100年の歴史を綴った一冊である。
著者のこれまでの著作は 自公政権とはなにか や 現代日本の政党デモクラシー のように、まず理論的分析枠組を導入してそれをもとに実際の動きを見る、というところに持ち味のある本が多いが、本書はそういう形式ではなく、普通の政治史として書かれている。
そういう意味では、北岡 自民党―政権党の38年 、薬師寺 公明党 - 創価学会と50年の軌跡 、原 戦後史のなかの日本社会党―その理想主義とは何であったのか の共産党版という感じの著作である。
内容はスタンダードな通史であるが、結構いろいろな変遷を経ていることが見て取れる。
武装闘争の考え方から自衛戦争に肯定的であったり、アメリカの核は悪い核だがソ連の核実験は肯定したり、天皇制や民主集中制などとの関係などから護憲を名乗らなかったりと、今とはなかなか違う一面も見れる。結局現在の共産党の主張は、当時の社会党(すべての戦争や核に反対と言っていた。勿論これも建前だけの面もあっただろうが)の主張に重なるものとなっている。
ただし本書は教義面では日本共産党の公式見解をそのまま受け入れるスタンスを取っており、過去との整合性や、過去の立場や党の行動をどのように評価・解釈しているのかなどは議論されておらず、そこは消化不良であった。
全体として、共産党の立ち位置を公式発表を基準に組み立てており、ある事件などに至る過程で共産党がどういう影響を与えたか、過去どういうスタンスだったかなどは触れられない傾向がある。そのような問題が生じそうな事案にはそもそも言及がなかったりもする。
例えば北朝鮮には、拉致事件を長らく否定(正確には「十分な根拠が無いなら言及すべきでない」という立場)していたり、ミサイル発射などで批判的態度を避けたりと、同じ共産圏だからか融和的な面が見られるが、そうしたことには言及はない。
成田空港の三里塚闘争では、反対同盟立ち上げに共産党も深く関わっており、途中から批判に転じたからといってその後の様々な暴力的展開に何ら責任なしとできるのかは疑問が残る。
ただしこうしたどろどろして危なっかしい部分は、踏み込むと火傷しそうだから避けたのかなとも思う。
全体としては日本共産党の独自路線への道(ソ連共産党や中国共産党との強い対立)やその長い影響、それでも維持される民主集中制や科学的社会主義、「2つの敵」論、それが妨げる野党連合など、なかなか重厚である。
最近の共産党のことを知りたい人には、特に戦前パートはいささか長すぎるかなとは思った(徳田球一や野坂参三からでも十分だった気もする)。
あと著者の腕を活かすなら、歴史に寄り過ぎるよりも、社会主義の世界全体での動き方、左派勢力の位置などを理論的に考察して、昨今の動向を俎上に載せたほうが良かったかもと思う。
(これに近いものでは及川 戦後日本の「革新」勢力:抵抗と衰亡の政治史 などの方向がある)
ただしこれは考え方次第でもあろう。
気になるところはあれど、全体としては客観的に近い視点から記述された日本共産党史で、価値が高い作だと思う。
著者のこれまでの著作は 自公政権とはなにか や 現代日本の政党デモクラシー のように、まず理論的分析枠組を導入してそれをもとに実際の動きを見る、というところに持ち味のある本が多いが、本書はそういう形式ではなく、普通の政治史として書かれている。
そういう意味では、北岡 自民党―政権党の38年 、薬師寺 公明党 - 創価学会と50年の軌跡 、原 戦後史のなかの日本社会党―その理想主義とは何であったのか の共産党版という感じの著作である。
内容はスタンダードな通史であるが、結構いろいろな変遷を経ていることが見て取れる。
武装闘争の考え方から自衛戦争に肯定的であったり、アメリカの核は悪い核だがソ連の核実験は肯定したり、天皇制や民主集中制などとの関係などから護憲を名乗らなかったりと、今とはなかなか違う一面も見れる。結局現在の共産党の主張は、当時の社会党(すべての戦争や核に反対と言っていた。勿論これも建前だけの面もあっただろうが)の主張に重なるものとなっている。
ただし本書は教義面では日本共産党の公式見解をそのまま受け入れるスタンスを取っており、過去との整合性や、過去の立場や党の行動をどのように評価・解釈しているのかなどは議論されておらず、そこは消化不良であった。
全体として、共産党の立ち位置を公式発表を基準に組み立てており、ある事件などに至る過程で共産党がどういう影響を与えたか、過去どういうスタンスだったかなどは触れられない傾向がある。そのような問題が生じそうな事案にはそもそも言及がなかったりもする。
例えば北朝鮮には、拉致事件を長らく否定(正確には「十分な根拠が無いなら言及すべきでない」という立場)していたり、ミサイル発射などで批判的態度を避けたりと、同じ共産圏だからか融和的な面が見られるが、そうしたことには言及はない。
成田空港の三里塚闘争では、反対同盟立ち上げに共産党も深く関わっており、途中から批判に転じたからといってその後の様々な暴力的展開に何ら責任なしとできるのかは疑問が残る。
ただしこうしたどろどろして危なっかしい部分は、踏み込むと火傷しそうだから避けたのかなとも思う。
全体としては日本共産党の独自路線への道(ソ連共産党や中国共産党との強い対立)やその長い影響、それでも維持される民主集中制や科学的社会主義、「2つの敵」論、それが妨げる野党連合など、なかなか重厚である。
最近の共産党のことを知りたい人には、特に戦前パートはいささか長すぎるかなとは思った(徳田球一や野坂参三からでも十分だった気もする)。
あと著者の腕を活かすなら、歴史に寄り過ぎるよりも、社会主義の世界全体での動き方、左派勢力の位置などを理論的に考察して、昨今の動向を俎上に載せたほうが良かったかもと思う。
(これに近いものでは及川 戦後日本の「革新」勢力:抵抗と衰亡の政治史 などの方向がある)
ただしこれは考え方次第でもあろう。
気になるところはあれど、全体としては客観的に近い視点から記述された日本共産党史で、価値が高い作だと思う。