歴史の教科書に載っていて誰もが名前だけは知っている、平民宰相・原敬。彼には初の本格的政党内閣を樹立したという功績がある。しかし、そこに至るまでの彼の人生は意外と知られていないかもしれない。
戊辰戦争で敗れた南部藩に生まれ、苦学生、新聞記者、外務省と歩んだ原は、どのような政治家だったのか。彼は大久保、西郷、木戸といった明治の偉人とは異なる大正デモクラシーの政治家だった。また、現実主義者として自助努力をする者を引き上げるという面もあった。原敬の人生・人物像を見つめることで、日本の近代を振り返り現代の生き方について考えるきっかけになる。
かつて「ロマンチストであるためには徹底したリアリストでなければならない。さもないと、結局ただの虚無主義者になってしまう。」と言った人がいた。高い理想を掲げた明治から、政党政治の実践に向かう大正。原敬はこの時代において、大衆に迎合することなく日本の進むべき道を示した。
明治維新150年を超え原敬の没後100年を迎えたいま、改めて彼の生き様を知ることの意義は大きい。
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原敬-「平民宰相」の虚像と実像 (中公新書, 2660) 新書 – 2021/9/17
清水 唯一朗
(著)
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初の「平民」首相として、本格的政党内閣を率いた原敬。戊辰戦争で敗れた盛岡藩出身の原は苦学を重ね、新聞記者から外務省入省、次官まで栄進する。その後、伊藤博文の政友会に参加、政治家の道を歩む。大正政変、米騒動など民意高揚の中、閣僚を経て党の看板として藩閥と時に敵対、時に妥協し改革を主導。首相就任後、未来を見据えた改革途上で凶刃に倒れた。独裁的、権威的と評されるリアリスト原の軌跡とその真意を描く。
- 本の長さ320ページ
- 言語日本語
- 出版社中央公論新社
- 発売日2021/9/17
- ISBN-104121026608
- ISBN-13978-4121026606
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商品の説明
著者について
清水唯一朗
1974(昭和49)年長野県生まれ. 99年慶應義塾大学法学部政治学科卒. 2003年慶應義塾大学大学院法学研究科単位取得, 退学. 05年博士(法学). 東京大学先端科学技術センター特任助手などを経て, 07年慶應義塾大学総合政策学部専任講師, 准教授を経て, 17年より慶應義塾大学総合政策学部教授. 専攻/日本政治外交史. オーラル・ヒストリー. 著書に『政党と官僚の近代』(藤原書店,2007年),『近代日本の官僚』(中公新書, 2013年. 日本公共政策学会賞)などほか多数.
1974(昭和49)年長野県生まれ. 99年慶應義塾大学法学部政治学科卒. 2003年慶應義塾大学大学院法学研究科単位取得, 退学. 05年博士(法学). 東京大学先端科学技術センター特任助手などを経て, 07年慶應義塾大学総合政策学部専任講師, 准教授を経て, 17年より慶應義塾大学総合政策学部教授. 専攻/日本政治外交史. オーラル・ヒストリー. 著書に『政党と官僚の近代』(藤原書店,2007年),『近代日本の官僚』(中公新書, 2013年. 日本公共政策学会賞)などほか多数.
登録情報
- 出版社 : 中央公論新社 (2021/9/17)
- 発売日 : 2021/9/17
- 言語 : 日本語
- 新書 : 320ページ
- ISBN-10 : 4121026608
- ISBN-13 : 978-4121026606
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- - 1,317位中公新書
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著者について
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慶應義塾大学総合政策学部教授兼大学院政策・メディア研究科委員。博士(法学)。専門は日本政治外交史、政官関係論、官僚制、オーラルヒストリー。主著に『政党と官僚の近代』(藤原書店、2007年)、『近代日本の官僚』(中公新書、2013年)、The Origins of the Modern Japanese Bureaucracy(Bloomsbury, 2019年)、『原敬』(中公新書、2021年)。共編書に『憲法判例からみる日本』(日本評論社、2016年)『総合政策学の方法論的展開』(慶應義塾大学出版会、2023年)。
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5 星
現実主義者としての原敬
歴史の教科書に載っていて誰もが名前だけは知っている、平民宰相・原敬。彼には初の本格的政党内閣を樹立したという功績がある。しかし、そこに至るまでの彼の人生は意外と知られていないかもしれない。 戊辰戦争で敗れた南部藩に生まれ、苦学生、新聞記者、外務省と歩んだ原は、どのような政治家だったのか。彼は大久保、西郷、木戸といった明治の偉人とは異なる大正デモクラシーの政治家だった。また、現実主義者として自助努力をする者を引き上げるという面もあった。原敬の人生・人物像を見つめることで、日本の近代を振り返り現代の生き方について考えるきっかけになる。 かつて「ロマンチストであるためには徹底したリアリストでなければならない。さもないと、結局ただの虚無主義者になってしまう。」と言った人がいた。高い理想を掲げた明治から、政党政治の実践に向かう大正。原敬はこの時代において、大衆に迎合することなく日本の進むべき道を示した。 明治維新150年を超え原敬の没後100年を迎えたいま、改めて彼の生き様を知ることの意義は大きい。
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2021年9月22日に日本でレビュー済み
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歴史の教科書に載っていて誰もが名前だけは知っている、平民宰相・原敬。彼には初の本格的政党内閣を樹立したという功績がある。しかし、そこに至るまでの彼の人生は意外と知られていないかもしれない。
戊辰戦争で敗れた南部藩に生まれ、苦学生、新聞記者、外務省と歩んだ原は、どのような政治家だったのか。彼は大久保、西郷、木戸といった明治の偉人とは異なる大正デモクラシーの政治家だった。また、現実主義者として自助努力をする者を引き上げるという面もあった。原敬の人生・人物像を見つめることで、日本の近代を振り返り現代の生き方について考えるきっかけになる。
かつて「ロマンチストであるためには徹底したリアリストでなければならない。さもないと、結局ただの虚無主義者になってしまう。」と言った人がいた。高い理想を掲げた明治から、政党政治の実践に向かう大正。原敬はこの時代において、大衆に迎合することなく日本の進むべき道を示した。
明治維新150年を超え原敬の没後100年を迎えたいま、改めて彼の生き様を知ることの意義は大きい。
戊辰戦争で敗れた南部藩に生まれ、苦学生、新聞記者、外務省と歩んだ原は、どのような政治家だったのか。彼は大久保、西郷、木戸といった明治の偉人とは異なる大正デモクラシーの政治家だった。また、現実主義者として自助努力をする者を引き上げるという面もあった。原敬の人生・人物像を見つめることで、日本の近代を振り返り現代の生き方について考えるきっかけになる。
かつて「ロマンチストであるためには徹底したリアリストでなければならない。さもないと、結局ただの虚無主義者になってしまう。」と言った人がいた。高い理想を掲げた明治から、政党政治の実践に向かう大正。原敬はこの時代において、大衆に迎合することなく日本の進むべき道を示した。
明治維新150年を超え原敬の没後100年を迎えたいま、改めて彼の生き様を知ることの意義は大きい。
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2022年10月13日に日本でレビュー済み
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「平民宰相 原敬」とはよく習いましたが、実はその意味をあまりよく理解できていない私にとって、大変勉強になった一冊でした。原敬の人となりとその事績を詳述します。
明治維新を成し遂げた元勲たちの「次の世代」であることの困難に立ち向かった原の行動を描きます。政党内閣を樹立したこと、爵位を持たない平民として総理大臣になったことは大きな意義を持ちます。原敬の自助論、現実主義は人気が無かったといいますが、こうした先人の活躍の線上に今の政治があります。原敬はあの世から、今の「政党政治」、「政治家」をどの様な思いでみていることでしょう。
明治維新を成し遂げた元勲たちの「次の世代」であることの困難に立ち向かった原の行動を描きます。政党内閣を樹立したこと、爵位を持たない平民として総理大臣になったことは大きな意義を持ちます。原敬の自助論、現実主義は人気が無かったといいますが、こうした先人の活躍の線上に今の政治があります。原敬はあの世から、今の「政党政治」、「政治家」をどの様な思いでみていることでしょう。
2021年10月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
原の視点のみならず、当時の新聞等の批評も載せて、原について立体的に描こうとした評伝。
ただし、新聞等のメディアにも党派性があるのだが、それについてはあまり書かれていない。
ただし、新聞等のメディアにも党派性があるのだが、それについてはあまり書かれていない。
2021年11月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
リアリスト政治家原敬の思考と行動を丹念に追い、同時代の評価と照らし合わせるという趣旨の新書版伝記。
原敬没後100年をちょっとフライングするような形で、去年の8月に講談社現代新書から伊藤之雄氏の『真実の原敬』が出たが、本書は正真正銘の没後100年出版である。
本書も『真実の原敬』(以下講談社本)も、原敬を偉大な政治家としている点では変わりないが、講談社本が、ほぼ原敬礼賛本で、原敬の理念、ビジョンを重視するのに比して、本書はリアリスト政治家原敬の国民的不人気、マスコミ的不人気にも焦点を当てた点が面白い。
原敬没後100年をちょっとフライングするような形で、去年の8月に講談社現代新書から伊藤之雄氏の『真実の原敬』が出たが、本書は正真正銘の没後100年出版である。
本書も『真実の原敬』(以下講談社本)も、原敬を偉大な政治家としている点では変わりないが、講談社本が、ほぼ原敬礼賛本で、原敬の理念、ビジョンを重視するのに比して、本書はリアリスト政治家原敬の国民的不人気、マスコミ的不人気にも焦点を当てた点が面白い。
2021年10月9日に日本でレビュー済み
岩手出身の「平民宰相」原敬の評伝。没落士族が上京して苦学生から仏語翻訳者・論説記者となり、外交官に転じて外務次官、新聞社社長、そして大臣・首相にたどり着くまでの立身出世の階梯を手厚く描いている。
手厚く書かれた前半生を読んでいると、原が首相になるまででも十分歴史に名を残す明治人だったことがわかる。官報創刊にかかわったほか、通商局長・外務次官として陸奥外相の条約改正を直接下支えし、日清戦争、閔妃暗殺事件の処理を指揮した。大阪毎日新聞社長に転じると、外電を重視して朝日に迫る部数増を実現した。政党人としても、名士ぞろいの政友会を巧みに操作し10年以上かけて掌握していく。
その才気が井上馨、陸奥宗光、伊藤博文、最後は政敵・山県有朋といった藩閥の重鎮に愛されて引き上げられた。だが、決して藩閥の擁護者ではなく、統治機構の近代化に力を入れた。例えば、外務省幹部時代には外交官試験を導入し、内相時代には全国の藩閥古参知事を一掃し学士官僚に差し替えた。
原の代名詞でもある「平民」についても語られる。爵位を得て華族になると、政党の拠点である衆議院に議席を持てなくなる、という理由以上に、自身が世襲文化を嫌っていたためだという。「華族が皇室の藩屏」というのは立憲国家にふさわしくない。「全国民が皇室の藩屏であるべきだ」と。身分によらない社会を目指していたことがうかがわれる。
暗殺によって唐突に原政権は終わり、その後の日本は短命内閣が続いて政治は混乱し軍国主義化していく。本書のいうように、「原が生きていれば」と思う。しかし、二・二六事件のリストに挙げられていたのではないか……
一文は短く、リズミカルだ。評伝的な記述で読みやすい。年表や写真、史資料の出典もあるなど学びたいという要求にも応じた内容だ。
手厚く書かれた前半生を読んでいると、原が首相になるまででも十分歴史に名を残す明治人だったことがわかる。官報創刊にかかわったほか、通商局長・外務次官として陸奥外相の条約改正を直接下支えし、日清戦争、閔妃暗殺事件の処理を指揮した。大阪毎日新聞社長に転じると、外電を重視して朝日に迫る部数増を実現した。政党人としても、名士ぞろいの政友会を巧みに操作し10年以上かけて掌握していく。
その才気が井上馨、陸奥宗光、伊藤博文、最後は政敵・山県有朋といった藩閥の重鎮に愛されて引き上げられた。だが、決して藩閥の擁護者ではなく、統治機構の近代化に力を入れた。例えば、外務省幹部時代には外交官試験を導入し、内相時代には全国の藩閥古参知事を一掃し学士官僚に差し替えた。
原の代名詞でもある「平民」についても語られる。爵位を得て華族になると、政党の拠点である衆議院に議席を持てなくなる、という理由以上に、自身が世襲文化を嫌っていたためだという。「華族が皇室の藩屏」というのは立憲国家にふさわしくない。「全国民が皇室の藩屏であるべきだ」と。身分によらない社会を目指していたことがうかがわれる。
暗殺によって唐突に原政権は終わり、その後の日本は短命内閣が続いて政治は混乱し軍国主義化していく。本書のいうように、「原が生きていれば」と思う。しかし、二・二六事件のリストに挙げられていたのではないか……
一文は短く、リズミカルだ。評伝的な記述で読みやすい。年表や写真、史資料の出典もあるなど学びたいという要求にも応じた内容だ。
2021年10月15日に日本でレビュー済み
敬の政治家になる前の前半生がしっかり描かれており、原敬のこれまでのイメージに新たな色彩を加えることに成功している。外務省や農商務省といった政府部門、新聞、政党などを様々な場所を渡り歩き、どこにおいても必ずしも恵まれた環境とは言い難い状況であったが、行く先々で最高のパフォーマンスを発揮し、最終的に首相まで上り詰めた様子が描かれている。「平民宰相」という一見親しみのある呼称を持ちつつも同時に実力主義で冷酷なイメージもある原敬であるが、彼の人格や価値観がどう形成されていったかがよく理解でき、非常に価値のある一冊と評価できるのではないか。
話は逸れるが、作者は同月発売の『中央公論』において令和の『平民宰相』である菅義偉と原敬を比較している。この二人の政治家としての信念、政治手法、置かれた政治状況があまりにも違うことを強調しつつ、特に世間の側の受け止め方に着目した評価を行っている。小学校35人学級、高齢者保険料の見直し、携帯電話料金の値下げ、ワクチン接種の拡大など国民目線の政策を展開していったものの、わずか一年で辞任に追い込まれた菅氏。戦後恐慌やスペイン風邪の流行に対し、紡績業をはじめとする基幹産業への資金繰りを確保し、破綻のおそれがある金融機関には積極的に融資を進めて支え、経済崩壊を回避したにものの、青年の凶刃に倒れた原氏。この両者の似たような結末を見て、作者は福沢諭吉の言葉を引用しつつ、立憲政治の骨は育っているのかと厳しく世間に問いかけている。現代の民主主義を考える上でも非常に意義のある本だった。
話は逸れるが、作者は同月発売の『中央公論』において令和の『平民宰相』である菅義偉と原敬を比較している。この二人の政治家としての信念、政治手法、置かれた政治状況があまりにも違うことを強調しつつ、特に世間の側の受け止め方に着目した評価を行っている。小学校35人学級、高齢者保険料の見直し、携帯電話料金の値下げ、ワクチン接種の拡大など国民目線の政策を展開していったものの、わずか一年で辞任に追い込まれた菅氏。戦後恐慌やスペイン風邪の流行に対し、紡績業をはじめとする基幹産業への資金繰りを確保し、破綻のおそれがある金融機関には積極的に融資を進めて支え、経済崩壊を回避したにものの、青年の凶刃に倒れた原氏。この両者の似たような結末を見て、作者は福沢諭吉の言葉を引用しつつ、立憲政治の骨は育っているのかと厳しく世間に問いかけている。現代の民主主義を考える上でも非常に意義のある本だった。
2021年12月31日に日本でレビュー済み
賊軍となった南部藩の士族の家に生まれ、藩校で漢学とフランス語を学んだ後、上京して司法省法学校に入る。しかし寮の生活や学習内容になじめず退学となる。しばらく新聞社に勤務するが、フランス語の能力を買われて外務省に職を得る。それから井上馨、伊藤博文、陸奥宗光らの知遇を得て次官まで順調に昇進を重ねていく。そして伊藤博文らと立憲政友会創立に関わり、その後は衆議院議員となって政治の世界に入っていく。このあたりまでは苦労や挫折を味わった原の人間らしさも加味されて比較的よく描かれている。
しかし、これ以降、政友会総裁、そして首相となってからは、内閣人事や議会対応など政治史のような淡々とした記述が続き、原の真意(例えばなぜ普通選挙運動に反対したのかなど)や人柄に迫る記述は少ないように感じる。「虚像と実像」というサブタイトルが付いているが、その違いが明確に対比されているとは思えない。
また、本書には注が一切ついていないが、「文官任用令」、「爵位」など、現在の一般読者には理解がむずかしい用語には注をつけるという配慮がほしかった。
しかし、これ以降、政友会総裁、そして首相となってからは、内閣人事や議会対応など政治史のような淡々とした記述が続き、原の真意(例えばなぜ普通選挙運動に反対したのかなど)や人柄に迫る記述は少ないように感じる。「虚像と実像」というサブタイトルが付いているが、その違いが明確に対比されているとは思えない。
また、本書には注が一切ついていないが、「文官任用令」、「爵位」など、現在の一般読者には理解がむずかしい用語には注をつけるという配慮がほしかった。
2021年9月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
大正期の政治家「原敬」の評伝である。
原敬は明治維新で敗れた盛岡藩の出身。藩閥政治から政党政治へ。藩閥による感情から議論の重視。
それまでは官制学校重視から私学教育改革を実行した人物。
つまり明治維新の価値観のターニングポイントに位置する政治家、大正デモクラシーの中心人物だ。
そして現在も歴史的に見れば政治的価値観の転換期にあるように思える。
アナログからデジタルへの急転換である。そこではSNSを核にポピュリスト型の政治家が短期間で登場しては消えて行く。
なんとなく従来型の民主主義が行き詰まり不安をおぼえる世の中であるが、今こそ読まれるべき本であると思う。賢者は歴史に学ぶのだ。
付記 最近の中公新書の歴史本は絶妙のタイミングで「いい本」を放り込む。中公新書オススメです。
原敬は明治維新で敗れた盛岡藩の出身。藩閥政治から政党政治へ。藩閥による感情から議論の重視。
それまでは官制学校重視から私学教育改革を実行した人物。
つまり明治維新の価値観のターニングポイントに位置する政治家、大正デモクラシーの中心人物だ。
そして現在も歴史的に見れば政治的価値観の転換期にあるように思える。
アナログからデジタルへの急転換である。そこではSNSを核にポピュリスト型の政治家が短期間で登場しては消えて行く。
なんとなく従来型の民主主義が行き詰まり不安をおぼえる世の中であるが、今こそ読まれるべき本であると思う。賢者は歴史に学ぶのだ。
付記 最近の中公新書の歴史本は絶妙のタイミングで「いい本」を放り込む。中公新書オススメです。