『二・二六事件と青年将校』と一緒に拝読。
時代背景も恐慌や不作でマジョリティーの地方農民が苦しみ、
利するのは財閥といった大企業で格差があり既視感がありました。
ワーキングプア×軍部×社会主義×若さの組み合わせで急進的で過激なものになりがちで、
歴史を学ぶことの重要性を知らしめてくれる貴重な一冊です。思想の重要性も軽視出来ません。
舞台が広くステークホルダーに軍部が前景にいるだけでこのような惨事に繋がるとは…
簡単な構図で見てみると、
「雅な都市型の資本主義 対 野蛮な地方型の社会主義志向」とも捉える事が出来て
昭和初期にも前者が勝利してしまい歴史は何度も繰り返されるということでしょうか。
今の世では、せいぜい資本論の出版ブームでインテリ×ワープアの組み合わせで
不満分子のはけ口や教養のファッション程度のものです。
全国津々浦々をTVや芸能がアバターとなり駆け巡る時代となりましたし、
ユースバルジの季節も終わり、年々、スケールダウンしていますし、
良い世の中です。
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五・一五事件-海軍青年将校たちの「昭和維新」 (中公新書 (2587)) 新書 – 2020/4/18
小山 俊樹
(著)
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ロンドン海軍軍縮条約をきっかけに、政党政治を憂えた海軍青年将校、民間右翼らが起こした五・一五事件。首相暗殺、内大臣邸・警視庁を襲撃、変電所爆破による「帝都暗黒化」も目論んだ。本書は、大川周明、北一輝、橘孝三郎、井上日召ら国家主義者と結合した青年将校らが、天皇親政の「昭和維新」を唱え、兇行に走った軌跡を描く。事件後、政党内閣は崩壊し軍部が台頭。実行犯の減刑嘆願に国民は熱狂する。昭和戦前の最大の分岐点。
- 本の長さ304ページ
- 言語日本語
- 出版社中央公論新社
- 発売日2020/4/18
- 寸法11.2 x 1.4 x 17.4 cm
- ISBN-104121025873
- ISBN-13978-4121025876
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商品の説明
著者について
小山俊樹
1976(昭和51)年広島県生まれ.99年京都大学文学部(日本史学専攻)卒.2007年京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程修了 .博士(人間・環境学).立命館大学文学部講師などを経て,10年帝京大学文学部史学科講師.准教授を経て,17年より帝京大学文学部史学科教授.専攻・日本近現代史. 著書『憲政常道と政党政治――近代日本二大政党制の構想と挫折』(思文閣,2012年)『評伝 森恪――日中対立の焦点』(ウエッジ,2017年) 共著『昭和史講義1~3』(ちくま新書,2015~17年) 『大学でまなぶ日本の歴史』(吉川弘文館,2016年)『日本政治史の中のリーダーたち―― 明治維新から敗戦後の秩序変容まで』(京都大学学術出版会,2018年)他多数
1976(昭和51)年広島県生まれ.99年京都大学文学部(日本史学専攻)卒.2007年京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程修了 .博士(人間・環境学).立命館大学文学部講師などを経て,10年帝京大学文学部史学科講師.准教授を経て,17年より帝京大学文学部史学科教授.専攻・日本近現代史. 著書『憲政常道と政党政治――近代日本二大政党制の構想と挫折』(思文閣,2012年)『評伝 森恪――日中対立の焦点』(ウエッジ,2017年) 共著『昭和史講義1~3』(ちくま新書,2015~17年) 『大学でまなぶ日本の歴史』(吉川弘文館,2016年)『日本政治史の中のリーダーたち―― 明治維新から敗戦後の秩序変容まで』(京都大学学術出版会,2018年)他多数
登録情報
- 出版社 : 中央公論新社 (2020/4/18)
- 発売日 : 2020/4/18
- 言語 : 日本語
- 新書 : 304ページ
- ISBN-10 : 4121025873
- ISBN-13 : 978-4121025876
- 寸法 : 11.2 x 1.4 x 17.4 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 170,631位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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著者について
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1976年(昭和51)広島県生まれ。京都大学文学部(日本史学専攻)卒業。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程修了 。博士(人間・環境学)。現在、帝京大学文学部史学科教授。専攻日本近現代史。 主著に『憲政常道と政党政治』(思文閣出版)、『評伝森恪』(ウェッジ)、『五・一五事件』(中公新書)、『近代機密費史料集成Ⅰ・Ⅱ』(ゆまに書房、監修・編集・解説)など。
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トップレビュー
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2022年1月19日に日本でレビュー済み
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2020年8月12日に日本でレビュー済み
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五・一五事件の内容を詳しく掘り下げていてとても面白かった。また、この事件がどう歴史に影響したかも理解できた。
2021年2月15日に日本でレビュー済み
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五・一五事件の被告たちに対し全国から減刑嘆願書が殺到したということに対し、以前より違和感を持っていた。白昼堂々と総理大臣を殺した者たちに何故減刑嘆願なんだ。こういう現象が起こること自体、日本全体が既に精神的におかしくなっていたということではないか。それと、テロがあったからといって何故挙国一致内閣になってしまうのか。従来通りの政党内閣を何故なくす必要があったのか。原敬の時も、濱口雄幸の時もテロがあったからといって政党内閣が終わりになることはなかったではないか。
本書はこの二つの疑問によく答えてくれる内容であった。
減刑嘆願の殺到というのは、事件後すぐに起こったことかと思っていたがそうではなかった。事件直後の新聞報道では軍部に対する批判がされていた。ものごとをありのままに見たら、そういう報道にならざるを得ないと思う。この流れが変わったのは、事件の1年後に裁判が開始されてからである。初日の公判ののち、陸軍の西村琢磨判士長は控室に戻るなり巨体を震わせて泣いたという。弁護人も新聞記者も同様の心情にとらわれ、被告たちの供述に感激した。「私心なき青年の純真」という被告イメージが形成され、その主張である「政党による軍部の圧迫」「政党・財閥ら支配層の腐敗」「農村の窮乏」といったトピックが、裁判報道の名目で大量にメディアから流れ出たことが、全国からの減刑嘆願書殺到に結びついた。
軍の上層部は、軍が主導権を得るために、この事件を利用したのだろう。
しかし、いくら軍とメディアが組んでプロパガンダを仕掛けたからといって、被告たちが総理大臣を殺したことを忘れて彼らに同情が集るとは一体どういうことなのか。国民に普通の常識があればあり得ないことだろう。この時点で国民はもう軍によって精神的に乗っ取られていたのだ。しかし、この精神的乗っ取りは経済不況、政財界の腐敗により軍への期待が高まっていたことと無縁ではない。これがあったから国民こぞってこのプロパガンダに乗ってしまったのだと思う。
政党内閣が終焉したのも結局は同様の理由に行き着くようだ。
本書によれば、事件後に政党内閣を継続することの軍からの拒否感が強く、宮中方面ではすでに政党政治を続ける意思は失われていたという。元老の西園寺は政友会の鈴木喜三郎を首相とする憲政の常道の継続を考えていたが、鈴木を好まぬ昭和天皇の意向を察して、内大臣秘書官長の木戸幸一の描いた斎藤實を首班とする挙国一致内閣の考えに傾いた。
ということは、昭和7年5月というこの時点でもう軍を抑えられる状況ではなかったということだ。それでも、そんなものに屈して憲政の常道を曲げることはできないという西園寺の感覚はまともなものであったと思う。しかし、憲政の常道を採るとなると現実としては政友会、鈴木喜三郎首相の流れになる。鈴木ではとても軍を抑えられないという下馬評であったし、昭和天皇も鈴木の人柄に疑問を持っていたのでぎりぎりのタイミングで西園寺は憲政の常道を諦めた。これは、昭和6年9月の満州事変から昭和7年3月の満州国建国の流れの中で、この流れを継続するには政党内閣ではもうだめだというのが、当時のリアリティであったからだと思う。
二・二六と比べて、五・一五では、被告たちの純粋さに国民は共鳴した。五・一五の被告たちは、二・二六の時のように天皇を担いでクーデターを起こそうとしていたわけではない。自分たちが、政財界の不正を正すためのその後の国民決起の捨て石になればよいとの考えて立ったのだ。彼らの純粋さに嘘はなかったのだと思う。
戦後本当に潰さなければいけなかったのは、軍ではなく、五・一五の若手将校が改革を唱えていた政治の腐敗であったろう。このことは、権限だけ強大で責任を取らない官僚の無責任体制を潰すという話しになるはずだ。悪かったのは軍ではなくて官僚の無責任体制なのだ。(勿論、軍人も官僚の一部であるから官僚としての軍人の無責任体制も当然正されなければならない)
戦後、なくすべきでない軍をなくして、なくすべき官僚の無責任体制が70年以上も続いている。五・一五の被告たちが純粋に国を思う心からなくそうとしたことが未だに続いていることが何ともやるせない。
本書はこの二つの疑問によく答えてくれる内容であった。
減刑嘆願の殺到というのは、事件後すぐに起こったことかと思っていたがそうではなかった。事件直後の新聞報道では軍部に対する批判がされていた。ものごとをありのままに見たら、そういう報道にならざるを得ないと思う。この流れが変わったのは、事件の1年後に裁判が開始されてからである。初日の公判ののち、陸軍の西村琢磨判士長は控室に戻るなり巨体を震わせて泣いたという。弁護人も新聞記者も同様の心情にとらわれ、被告たちの供述に感激した。「私心なき青年の純真」という被告イメージが形成され、その主張である「政党による軍部の圧迫」「政党・財閥ら支配層の腐敗」「農村の窮乏」といったトピックが、裁判報道の名目で大量にメディアから流れ出たことが、全国からの減刑嘆願書殺到に結びついた。
軍の上層部は、軍が主導権を得るために、この事件を利用したのだろう。
しかし、いくら軍とメディアが組んでプロパガンダを仕掛けたからといって、被告たちが総理大臣を殺したことを忘れて彼らに同情が集るとは一体どういうことなのか。国民に普通の常識があればあり得ないことだろう。この時点で国民はもう軍によって精神的に乗っ取られていたのだ。しかし、この精神的乗っ取りは経済不況、政財界の腐敗により軍への期待が高まっていたことと無縁ではない。これがあったから国民こぞってこのプロパガンダに乗ってしまったのだと思う。
政党内閣が終焉したのも結局は同様の理由に行き着くようだ。
本書によれば、事件後に政党内閣を継続することの軍からの拒否感が強く、宮中方面ではすでに政党政治を続ける意思は失われていたという。元老の西園寺は政友会の鈴木喜三郎を首相とする憲政の常道の継続を考えていたが、鈴木を好まぬ昭和天皇の意向を察して、内大臣秘書官長の木戸幸一の描いた斎藤實を首班とする挙国一致内閣の考えに傾いた。
ということは、昭和7年5月というこの時点でもう軍を抑えられる状況ではなかったということだ。それでも、そんなものに屈して憲政の常道を曲げることはできないという西園寺の感覚はまともなものであったと思う。しかし、憲政の常道を採るとなると現実としては政友会、鈴木喜三郎首相の流れになる。鈴木ではとても軍を抑えられないという下馬評であったし、昭和天皇も鈴木の人柄に疑問を持っていたのでぎりぎりのタイミングで西園寺は憲政の常道を諦めた。これは、昭和6年9月の満州事変から昭和7年3月の満州国建国の流れの中で、この流れを継続するには政党内閣ではもうだめだというのが、当時のリアリティであったからだと思う。
二・二六と比べて、五・一五では、被告たちの純粋さに国民は共鳴した。五・一五の被告たちは、二・二六の時のように天皇を担いでクーデターを起こそうとしていたわけではない。自分たちが、政財界の不正を正すためのその後の国民決起の捨て石になればよいとの考えて立ったのだ。彼らの純粋さに嘘はなかったのだと思う。
戦後本当に潰さなければいけなかったのは、軍ではなく、五・一五の若手将校が改革を唱えていた政治の腐敗であったろう。このことは、権限だけ強大で責任を取らない官僚の無責任体制を潰すという話しになるはずだ。悪かったのは軍ではなくて官僚の無責任体制なのだ。(勿論、軍人も官僚の一部であるから官僚としての軍人の無責任体制も当然正されなければならない)
戦後、なくすべきでない軍をなくして、なくすべき官僚の無責任体制が70年以上も続いている。五・一五の被告たちが純粋に国を思う心からなくそうとしたことが未だに続いていることが何ともやるせない。
2020年6月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
五・一五事件の纏まった本が欲しかったので購入。事件前後の出来事も含めて詳しく書かれています。ただ私には少し読み辛かった。①誰が誰に会ったという類の木を見て森を見ない傾向。②キーワードらしき「〇〇」が多用されて内容がすんなり入ってこない。③時系列が前後する部分がある。等々・・・つまるところ青年将校たちは憎んでもいない犬養首相殺害や発電所攻撃をして何をしたかったのかな。彼らはあたかも幕末の尊皇攘夷運動に奔走した志士気取りに見えますが、「ひと暴れすれば何かが起きる」的で将来構想を持たない迷惑な行動だと思います。或いは明治維新で尊皇攘夷が実現できず尊皇開国に止まったことへの総決算的な考えがあったのかなとも思いました。
2021年4月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
事件の背景と詳細、そしてこの事件が二・二六事件などに与える影響などがよくわかる大変優れた本で読みごたえがあった。
2022年7月18日に日本でレビュー済み
本書は、タイトル通りで五・一五事件の前史から後日譚までを描いた一冊である。
政党政治が終焉し、首相を殺害したテロ実行犯が国民から擁護され減刑嘆願が多数集まるという異常事態であったにもかかわらず、二・二六事件と比べて五・一五事件は研究はあまり進んでいないのだという。
正直なところ、実行犯たちの事件に至るまで、及び事件後の動きについての記述は、ただ事実を書き連ねたような感じで、そんなに面白くない。右翼内部でのごたごたや変遷は、より俯瞰的な視点から整理してくれないとそこまで読みやすくはない。
本書の読みどころは、政党政治がなぜ終わったのかを描く4章と、犯人がなぜ減刑されたかを描く5章であろう。この2章は問題設定がしっかりしており、疑問を解き明かす形で話が進められていく。
犬養首相以前にも首相暗殺はあった(原敬、濱口雄幸)が、その場合には所属政党の後継首班がそのまま首相に選ばれた。犬養首相の場合が例外なのである。
本書で注目されているのは、犬養内閣書記官長の森恪である。犬養とはそりが合わず、軍部にも近く政党政治への執着もない森は、繰り返し五一五事件の黒幕として言及される。筆者は黒幕説は退け、自身の外交姿勢に合う人間を首相に付けて権力を握ろうとした人物として描いている。
森はまず政友会の後継首班に鈴木喜三郎を付ける工作を行い、これを首尾よく成功させる。また、政党政治に難色を示す陸軍の内情も森は把握しており、それを覆す奇策として民政党との大連立、挙国一致内閣の形成の裏交渉を行う。こちらも民政党や軍部の同意取り付けなど相応に進むが、当の政友会の鈴木や鳩山一郎は憲政の常道を当然視し同意しなかった。鈴木らは軍部を嫌悪しており、森のそれ以降の工作は完全に裏目に出て、互いに互いを排除し合う激化した状態に陥り、両者の不信の溝は開いていった。
木戸幸一や昭和天皇も、党利優先の政党政治への批判、軍部を押さえて外交を円滑に進める能力の欠如などから鈴木内閣には難色を示し、結局西園寺も同意して齋藤実の挙国一致・超然内閣が組閣されることとなる。
減刑運動も、こうした政党政治への根深い不信、党利ばかりの政党、エリートや財閥のための政治、窮乏する農村、こういった背景が、テロリストの掲げた「腐敗した政党政治の打破」という「大義」に多くの人を惹きつけることとなる。
エリートとしての成功の道をなげうつ姿勢、「犬養首相個人に恨みはない」「自分は捨て石になればいい」という権力欲ではなくあくまでも大義に殉じる姿勢は、実行犯を赤穂浪士や桜田門外の変の義士になぞらえる動きを引き起こした。新聞も実行犯の主張をそのまま垂れ流して褒めたたえるような報道で、テロリストをたたえる戯曲やレコードまで作られる始末であった。殺人という暴挙の存在がいつの間にか押し流され、実行犯への同情が支配的になってしまったのである。
ただしこれがうつろいやすきものであるのもその通りで、陸軍や海軍は軽い刑になったのに対し、民間人は総じて(死刑にはならなかったものの)厳罰が下った。民間人の裁判の頃には盛り上がりはなくなっていたのである。
面白い部分とそうでない部分のむらが大きいが、五一五事件という昭和史においてとても重要でありながら意外と研究が進んでいない歴史の解明として、本書はなかなか意義深い本であろう。
政党政治が終焉し、首相を殺害したテロ実行犯が国民から擁護され減刑嘆願が多数集まるという異常事態であったにもかかわらず、二・二六事件と比べて五・一五事件は研究はあまり進んでいないのだという。
正直なところ、実行犯たちの事件に至るまで、及び事件後の動きについての記述は、ただ事実を書き連ねたような感じで、そんなに面白くない。右翼内部でのごたごたや変遷は、より俯瞰的な視点から整理してくれないとそこまで読みやすくはない。
本書の読みどころは、政党政治がなぜ終わったのかを描く4章と、犯人がなぜ減刑されたかを描く5章であろう。この2章は問題設定がしっかりしており、疑問を解き明かす形で話が進められていく。
犬養首相以前にも首相暗殺はあった(原敬、濱口雄幸)が、その場合には所属政党の後継首班がそのまま首相に選ばれた。犬養首相の場合が例外なのである。
本書で注目されているのは、犬養内閣書記官長の森恪である。犬養とはそりが合わず、軍部にも近く政党政治への執着もない森は、繰り返し五一五事件の黒幕として言及される。筆者は黒幕説は退け、自身の外交姿勢に合う人間を首相に付けて権力を握ろうとした人物として描いている。
森はまず政友会の後継首班に鈴木喜三郎を付ける工作を行い、これを首尾よく成功させる。また、政党政治に難色を示す陸軍の内情も森は把握しており、それを覆す奇策として民政党との大連立、挙国一致内閣の形成の裏交渉を行う。こちらも民政党や軍部の同意取り付けなど相応に進むが、当の政友会の鈴木や鳩山一郎は憲政の常道を当然視し同意しなかった。鈴木らは軍部を嫌悪しており、森のそれ以降の工作は完全に裏目に出て、互いに互いを排除し合う激化した状態に陥り、両者の不信の溝は開いていった。
木戸幸一や昭和天皇も、党利優先の政党政治への批判、軍部を押さえて外交を円滑に進める能力の欠如などから鈴木内閣には難色を示し、結局西園寺も同意して齋藤実の挙国一致・超然内閣が組閣されることとなる。
減刑運動も、こうした政党政治への根深い不信、党利ばかりの政党、エリートや財閥のための政治、窮乏する農村、こういった背景が、テロリストの掲げた「腐敗した政党政治の打破」という「大義」に多くの人を惹きつけることとなる。
エリートとしての成功の道をなげうつ姿勢、「犬養首相個人に恨みはない」「自分は捨て石になればいい」という権力欲ではなくあくまでも大義に殉じる姿勢は、実行犯を赤穂浪士や桜田門外の変の義士になぞらえる動きを引き起こした。新聞も実行犯の主張をそのまま垂れ流して褒めたたえるような報道で、テロリストをたたえる戯曲やレコードまで作られる始末であった。殺人という暴挙の存在がいつの間にか押し流され、実行犯への同情が支配的になってしまったのである。
ただしこれがうつろいやすきものであるのもその通りで、陸軍や海軍は軽い刑になったのに対し、民間人は総じて(死刑にはならなかったものの)厳罰が下った。民間人の裁判の頃には盛り上がりはなくなっていたのである。
面白い部分とそうでない部分のむらが大きいが、五一五事件という昭和史においてとても重要でありながら意外と研究が進んでいない歴史の解明として、本書はなかなか意義深い本であろう。
2020年12月1日に日本でレビュー済み
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2.26事件に繋がる日本が軍国主義に向かう最初の事件。決起した背景や各人の思いなどが詳しく書かれている。
2020年4月28日に日本でレビュー済み
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五一五事件だけでなく、これをきっかけとしたほかの事件や日本の状況を余すとこなく伝えてくれる。事件当事者達のその後の人生にも記載されている。この作品は、五一五事件を中心とする作品では古典になるのではないか。
新書ではあるが、大作である。
新書ではあるが、大作である。