AMAZONから「寂聴 般若心経 生きるとは」が届き、読み終えたその日、奇しくも瀬戸内寂聴さんが永眠されたことを後日のニュースで知った私は、その偶然に驚かされました。
33年前の1988年に初版が発行された本ですが、購入したものは2006年発行の第66版で、わずかな背焼けと臭いが気になるとはいえ、帯も付いており、使用感や汚れはほとんどありませんでした。本年（2021年）発行された新装版も立ち読みしてみましたが、内容的にはほぼ同じと思えるので「本体19円＋送料の合計250円」で購入できて、とても得をした気分です。
内容は「般若心経法話」と「般若心経について」とに分かれており、全体のほぼ四分の三を占める前者は1987年の一年間、寂庵で毎月行われた法話を収載したもの、後者は月刊新聞「寂庵だより」に掲載されていたものです。「般若心経法話」の方は、よくテレビで見るように「寂聴節全開」で、自身の豊富な体験談やエピソードを交えながら、般若心経をやさしく楽しく解説したものです。一方、「般若心経について」では般若心経そのものに絞って解説したものです。
読者のレベルに応じて様々な読み方ができるので、「般若心経について勉強してみたいけど、何か敷居が高そう」と思っている方には特にお勧めします。「19円の本」ではありますが、読み終えた後には余韻が残り、所有しているだけで心の安らぎを覚える、私にとっては「お守り」のような存在となっています。
参考までに般若心経に対する私の解釈を紹介しておきます。あくまでも「私独自の勝手な解釈」ですから、あまり信用しないでください（笑）。
般若心経の262字を4字で表すとしたら、有名な「色即是空」ではなくて「五蘊皆空」となり、さらに1字にまで凝縮すれば、もちろん「空」となります。そして全体の意味としては「この世のすべては“空”であることを悟り、一切の苦を除く無上の呪文“羯諦羯諦･･･”を唱えなさい」となります。かの空海も「般若心経は呪文である」と見抜いていました。
愛し、書き、祈り、大正から令和に至る一世紀を駆け抜け、私たちに多くの教えと思い出を遺してくれた、寂聴さんのご冥福をお祈りします。 合掌
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