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裁判所の正体:法服を着た役人たち 単行本(ソフトカバー) – 2017/5/18
原発差止めで「左遷」、国賠訴訟は「原告敗訴決め打ち」、
再審決定なら「退官覚悟」……驚愕、戦慄の実態!
最高裁を頂点とした官僚機構によって強力に統制され、
政治への忖度で判決を下す裁判官たち。
警察の腐敗を暴き、検察の闇に迫った辣腕事件記者の
清水潔(文庫X『殺人犯はそこにいる』)が、
元エリート裁判官・瀬木比呂志(『絶望の裁判所』)とともに
驚くべき裁判所の荒廃ぶりを抉り出す!
まえがき 清水潔
第1章 裁判官の知られざる日常
なぜ裁判官に一礼するのか
裁判官は人間じゃない?
法廷に遺影を持ち込めない理由
傍聴が裁判に与える影響
裁判官はどんなところに住んでいるか
裁判官はどうやって判決を下すのか
裁判所の強固なヒエラルキー
裁判官の出世 ほか
第2章 裁判所の仕組み
裁判官に庶民の心はわかるのか
裁判官の天下り
裁判官の給与体系
裁判官の反社会的行為
裁判官が統制される三つの理由
裁判官を追いつめる新たな再任制度
個人の問題か制度の問題か ほか
第3章 裁判とは何か
「押し付け和解」が生まれる理由
民事裁判官と刑事裁判官はどこで分かれるか
刑事裁判とは何か
民事系裁判官からみた刑事系裁判官の特徴 ほか
第4章 刑事司法の闇
足利事件──冤罪はなぜ生まれるか
北関東連続幼女誘拐殺人事件──誤っていたDNA型鑑定
裁判官は鑑定書をちゃんと理解しているか
桶川ストーカー殺人事件──ゆがめられた判決 ほか
第5章 冤罪と死刑
飯塚事件
死刑制度とその機能
司法ジャーナリズムは機能しているか
ジャーナリズムと司法の劣化は相似形 ほか
第6章 民事司法の闇
名誉棄損裁判の高額化
スラップ訴訟
国家賠償訴訟で国が有利な理由
原発訴訟と裁判官会議
原発訴訟の判決・決定
憲法訴訟について ほか
第7章 最高裁と権力
最高裁の統制の方法
最高裁のヒエラルキー
最高裁長官と事務総局がもつ絶大な権力
裁判官が国の弁護士に?──三権分立は嘘だった
最高裁判決に拘束力はない?
最高裁と時の権力の関係
「憲法の番人」ではなく「権力の番人」 ほか
第8章 日本の裁判所の未来
求められる国民のあり方
法曹一元化を提言した理由
国のあり方は司法で変わる
日本の裁判所とジャーナリズムが進むべき道
あとがき 瀬木比呂志
- 本の長さ368ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日2017/5/18
- 寸法18.8 x 12.8 x 2.5 cm
- ISBN-104104405035
- ISBN-13978-4104405039
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商品の説明
メディア掲載レビューほか
権力の番人と化す
日本は三権分立の国だと子どもの頃に教えられ、そう信じて半世紀ほど生きてきた。判決に何度か首を傾げても、その前提は崩れなかった。しかし、元裁判官の瀬木比呂志とジャーナリストの清水潔の対談をまとめた『裁判所の正体』を読んだ私は今、暗澹とした気分になっている。
清水が聞き役となって進む二人のやりとりは、前半、裁判官の日常や裁判所の仕組みについて言及する。そこでは、〈裁判所の強固なヒエラルキー〉や〈裁判官が統制される三つの理由〉などが紹介され、後半のテーマである司法の闇や最高裁と権力の問題の伏線となっている。たとえば、裁判官が統制されるのは、(1)彼らが隔離された「精神的な収容所」にいて価値観がおかしくなり、(2)司法試験に通った「期」を中心に競争させられ、(3)任地がすごく広いために「判決と出世」を天秤にかけられるからと瀬木は指摘する。
こんなのはほんの一部で、数ページ読むたびに、いかに自分が裁判所や裁判官について無知だったか思い知る。そして、最高裁が「権力補完機構」に堕しているとわかるあたりでは溜息をつき、最高裁と法務省の間に人事交流があると知って愕然とした。この本の副題にある〈法服を着た役人たち〉は「統治と支配」を金科玉条とし、権力の番人と化していたのだ。一票の格差裁判で、「違憲状態」というわけのわからない判決が出る背景もここにある。
権力のもう一つの監視役であるメディアの怠慢もあるが、裁判所や司法の正体を知らないことは恐ろしいと切実に思う。歪んでしまったこの国の三権分立の内実を知るためにも、この本をお勧めする。
評者:長薗安浩
(週刊朝日 掲載)出版社からのコメント
瀬木さんと私は和室のこたつで向き合った。
しかし聞きたいことはあまりに膨大だった。
お茶を啜りながらのやりとりは三日間にも及ぶ。計一八時間。
当初、私が頭の中で描いていた元裁判官と記者の「対談」と
いう目論見は脆くも崩壊した。私は夢中になってひたすら話
を聞くという単なる取材者となった。水面の波紋のごとく聞
きたいことはただ広がっていった。
最高裁の真の権限とは。冤罪が起こりうる構造、国策捜査、
原発訴訟や憲法訴訟の裏に大きく広がる闇、そしてスラップ
訴訟とは……。まさに私の知らない世界のオンパレードだっ
たからである。瀬木さんは司法ド素人の私に丁寧に説明を繰
り返してくれた。
この取材以降、私の裁判への見方は大きく変わった。
法服姿で壇上に立つその人たちの日常や環境を少しだけ想像
できるようになり、そしてまた司法の裏に封じ込まれている、
恐ろしい現実をも知ることができたからだ。
私にとってもっとも衝撃だったことは、これまで盲信してい
た「三権分立」というものが極めて危うげなものであったと
いうことだ。そしてまた法務省や裁判所の正体とは……。
と、まあ冒頭からグダグダ感想を並べても仕方あるまい。本
書には裁判と裁判官の知られざる世界をページの許す限り詰
め込んでみた。もちろん瀬木さん一人に対する取材だけで、
裁判所や裁判官の全てを知ったつもりになっているわけでは
ない。しかしそれでも伺ったその内容には唸らざるを得ない。
とにかくめくっていって頂ければ幸いだ。
そこには必ず驚きがあるはずだ。
2017年4月17日 清水 潔
登録情報
- 出版社 : 新潮社 (2017/5/18)
- 発売日 : 2017/5/18
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 368ページ
- ISBN-10 : 4104405035
- ISBN-13 : 978-4104405039
- 寸法 : 18.8 x 12.8 x 2.5 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 308,366位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 49,094位ノンフィクション (本)
- カスタマーレビュー:
著者について

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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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ジャーナリストである著者の視点で、
国民が納得できない判決が言い渡される原因が追究されている。
例えば、原発が運転しているところ、
運転差し止めの訴えが提起され、一審判決が差し止めを認めたら、
認めた裁判官は定期異動で出世から外れたポストとなる。
だから、出世したい裁判官は国の意向を忖度して判決し、
住民が納得できない判決となる。
これでは「日本は三権分立ではない」ということだ。
元裁判官の話だから、忖度と統制で判決する裁判所は事実であり、
本書は、裁判所が腐っている事実を公にしている重要な一冊である。
現役の裁判官も読んでいるだろう。
自分の人生を否定されている感があるだろうが、
そのとおり、それが国民の目である。
裁判官の生態、なんで裁判官は上だけ気にするヒラメになるのか・・・
刑事事件では裁判官、検察、警察はどう動くのか・・・・
裁判で明らかになると期待してもむなしいのは何故か・・・
とんでもなく面白い(しかし深刻な)話の満載である。
「連続幼児殺人事件」の犯人が未だ逮捕されない裏事情、司法の闇も簡単ではあるが触れられている。
ほんとうに慄然とする法治国家である。
私たちがどれほどの後進国に住んでいるのか、よく分かる。
また、私たち国民の無関心と無知の罪深さが思い知らされる本だ。
非常に面白い!
本書からわかる日本の司法の抱える病巣は以下のようなものです。第一は、裁判のテーマが国家統治に関係する問題になると最高裁の事務総局が様々な手段を講じて行政との対立を避けて過度に自制的になり法の支配を空洞化させていることです。第二は、これに関連して厳しい裁判官統制により裁判官が自由にいきいきと裁判をすることができない状況があることです。第三は、刑事裁判が冤罪を生みやすい構造を抱えており裁判員制度も英米の陪審制に比べて制度的欠陥を抱えていることです。
瀬木氏には、今後は、裁判所制度改革に向けた具体的な提言を期待したいと思います。