「ぼくはあと何回、満月を見るだろう(2023年刊)」を先に読み、遡るように本書(2009年刊)を読んだ。
なるほどな、と思わせるエピソードが語られている。
・中学~高校時代に知能テストや教養で自分を上回る優秀な同窓がいた。しかも、こともあろうかその男の彼女にラブレター(のようなもの)を無記名で出した
・高校時代、自分を好きになった上級生女子がいたが自殺してしまった
父親的なものとの確執は作者に特徴的であるし、ユース時代の身近な者の「死」は、本人は意識していなくても、何らかの人格形成に影響を及ぼしていると思う(例えば、矢野顕子を前夫から「救う」という使命感)。
逝去された後、作品の系譜から感じたのは、意外に本人のエゴを投影したものは成功していないということだ。
映画音楽は監督の指揮下の表現であるし、編曲は作者がいての表現だ。YMOも細野・高橋のポップ/ロック知識あっての成功だろう。最も売れた♪エナジーフローは広告企画だ。
こうした特徴を本人は正しく理解している。「怠け者」「やむを得ずやっている」「後ろ向き」「行きがかり上」と表している。
従って、やっつけ仕事、頼まれ仕事、反抗的動機に動かされた仕事、などでこそより才能を発揮する傾向がある。
決してビジョンに突き動かされるようなロマンチックなアーティストではない。
浅田彰は坂本龍一を「音楽機械」と表したが、いい得て妙だろう。さらに、村上龍は「移住者の匂いがする(根なし草っぽい)」と言ったそうだ。これも、本質を突いているように思う。
慧眼だと思うのは、憧れのドビュッシーの音楽にも「フランスの帝国主義、植民地主義の犯罪性が宿っている」ことを「意識しておくべき」と言っている。
さすがは、「世界のサカモト」だ。
恐らく、先達らにとって欧米は憧れでしかなく、そんな意識は持ち合わせていなかっただろう。
その辺が、坂本龍一がパイオニアとして切り拓いた新たな地平と景色であり、残された我々にとっても課題となるはずだ。
坂本龍一さん、アートだけでなく、あなたの人生の軌跡も、本書などを通じて、長く生き続けると思います。
ありがとう。
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音楽は自由にする 単行本 – 2009/2/26
坂本龍一
(著)
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購入オプションとあわせ買い
ちょっとしたはずみで、人生を振り返ってみることになりました――。57年間の半生と、いつも響いていた音楽。自らの言葉ですべてを語った、初の自伝。
- 本の長さ256ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日2009/2/26
- 寸法13.5 x 2.4 x 19.7 cm
- ISBN-10410410602X
- ISBN-13978-4104106028
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登録情報
- 出版社 : 新潮社 (2009/2/26)
- 発売日 : 2009/2/26
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 256ページ
- ISBN-10 : 410410602X
- ISBN-13 : 978-4104106028
- 寸法 : 13.5 x 2.4 x 19.7 cm
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2023年8月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2024年2月1日に日本でレビュー済み
YMOやソロでも活躍され2023年に亡くなった音楽家、坂本龍一さんの自叙伝です。
作業中によく2023年に発表された「12」というアルバムを気に入って聞いていて、坂本龍一さんってどんな人生を歩んできたのだろう?と純粋に知りたくなったから読んでみました。
YMOでのテクノから有名な「戦場のピアニスト」や「energy flow」などのピアノソロ曲、そして僕の好きなアンビエント・ミュージックまで音楽性の幅広さはどこからきているのか、そういったことが坂本さんの言葉で綴られた作品です。
坂本龍一さんだって音楽がはじめから好きだったわけじゃない。坂本さんが初めて音楽が好きだと気付いたのは中学の頃。バスケ部に入って、音楽に一度別れを告げた時だそう。そして、ドビュッシーとの出合いから、音楽の世界にのめり込んでいく。
デモと闘争の60-70年代を学生として過ごし、その後YMOとの出会いと別れ、坂本龍一としての仕事など、あの音楽の生まれた時の時代背景や社会情勢、坂本龍一さんの思考など、彼の音楽をより深く知ることができる自叙伝でした。
作業中によく2023年に発表された「12」というアルバムを気に入って聞いていて、坂本龍一さんってどんな人生を歩んできたのだろう?と純粋に知りたくなったから読んでみました。
YMOでのテクノから有名な「戦場のピアニスト」や「energy flow」などのピアノソロ曲、そして僕の好きなアンビエント・ミュージックまで音楽性の幅広さはどこからきているのか、そういったことが坂本さんの言葉で綴られた作品です。
坂本龍一さんだって音楽がはじめから好きだったわけじゃない。坂本さんが初めて音楽が好きだと気付いたのは中学の頃。バスケ部に入って、音楽に一度別れを告げた時だそう。そして、ドビュッシーとの出合いから、音楽の世界にのめり込んでいく。
デモと闘争の60-70年代を学生として過ごし、その後YMOとの出会いと別れ、坂本龍一としての仕事など、あの音楽の生まれた時の時代背景や社会情勢、坂本龍一さんの思考など、彼の音楽をより深く知ることができる自叙伝でした。
2023年8月10日に日本でレビュー済み
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坂本龍一教授の知らなかった世界を知ることができた。改めて才能とは何かを知ることになった。
2023年7月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
本屋でなんとなく目に留まって買いました。
今年亡くなったというニュースが頭のどこかにあったからなのかもしれません。
この本を何か一言で表すなら、「歴史」という単語が浮かびます。
坂本龍一さんの、日本の、世界の、音楽の、歴史を追体験できるところがこの本の面白かったところです。
脚注も細かく丁寧で、当時を知らない私はとても助かりました。
ちなみに、この本はYMOや坂本龍一さんの曲を聴きながら読みました。
それがまたこの本の世界観に没入できた理由かもしれません。
今年亡くなったというニュースが頭のどこかにあったからなのかもしれません。
この本を何か一言で表すなら、「歴史」という単語が浮かびます。
坂本龍一さんの、日本の、世界の、音楽の、歴史を追体験できるところがこの本の面白かったところです。
脚注も細かく丁寧で、当時を知らない私はとても助かりました。
ちなみに、この本はYMOや坂本龍一さんの曲を聴きながら読みました。
それがまたこの本の世界観に没入できた理由かもしれません。
2023年9月26日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
前半は昔の出来事を一生懸命思い出そうとした感じで、箇条書きみたいな感じで、深みがありません。もうちょっと聞き取りとか編集の力で面白くできたのではないかという印象です。後半の方が断然坂本さんの考えていたことなどが伝わって面白かったです。その意味で最後に出た本に期待しています。
2023年7月5日に日本でレビュー済み
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坂本龍一のCDは本人のは2枚、YMOが4枚で映画は例の2本だけと言うレベルのファン?ですが、取敢えず読んでみました。子供ころの坂本を知る知人は「とにかくわがままだった。」という話もあり、ほぼ年代も近いので、どれどれと手に取りました。生まれた1952年から2009年までを語ります。9.11に恐怖してレンジローバーを買い水と食料を積み込む話はニューヨークに住む人でないとわからな感覚でしょうか。ストーンズは雑でビートルズはインド音楽をアクセサリーにしたというあたりが高慢ちきですね。
2023年7月1日に日本でレビュー済み
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坂本龍一さんのことが少し理解できました。
いい本でした!
いい本でした!