普天間基地移設の経緯が、防衛事務次官しての立場から詳細に語られており、とても満足できました。
商品もそこそこ綺麗で満足です。
ありがとうごさいます。

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「普天間」交渉秘録 (新潮文庫 も 36-1) 文庫 – 2012/8/27
守屋 武昌
(著)
- 本の長さ472ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日2012/8/27
- 寸法10.7 x 1.7 x 15.1 cm
- ISBN-104101366616
- ISBN-13978-4101366616
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登録情報
- 出版社 : 新潮社; 文庫版 (2012/8/27)
- 発売日 : 2012/8/27
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 472ページ
- ISBN-10 : 4101366616
- ISBN-13 : 978-4101366616
- 寸法 : 10.7 x 1.7 x 15.1 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 149,561位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 3,138位新潮文庫
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2015年8月22日に日本でレビュー済み
2010年の本。著者は元・防衛事務次官であり、執筆当時は収賄容疑で裁判中(その後、実刑判決)。
曰く・・・
環境という言葉に国民は弱い。(基地建設で)環境派を相手に戦ってはダメだ(小泉純一郎)。
防衛庁と警察庁は仲が悪い。因縁は226事件にさかのぼる。226事件のとき警察は軍に無力だった。戦後、自衛隊を国内の治安維持に投入する政治的ハードルが高かった。警察は機動隊を増強し、自らの組織を大きくして対処した。
辺野古の埋め立てについては、国と県が基本確認書にサインしたが、稲嶺沖縄県知事は合意書の形にならないようにと書式に最後までこだわった。その後、記者会見で責められると、稲嶺知事は合意はしていないと答弁している(著者はこの稲嶺知事については相当含むところがあるようである)。
橋本内閣は、普天間移設の受け入れと北部振興策をセットにしたが、この方針が沖縄に反発され、小渕内閣のとき二つの施策はまったく関係ないということで閣議決定された。
小泉総理は、チェイニー副大統領から集団的自衛権の議論への期待を示されたが、小泉総理はまだ時間がかかると答えている。副大統領は「米軍も日本軍相手に弱かったからな」とがっかりしている。総理はこれがどういう意味かわからなかった。著者は、アメリカにとっての第二次世界大戦は対ドイツ・イタリアというよりは対日本であり、それだけに戦後日本の力を抑えるために日本という国を無害化することに重点が行き過ぎ、日本人を平和主義者にしすぎたことを副大統領は悔やんでいるのではないか、と考えている。海兵隊は、硫黄島の戦いを海兵隊スピリッツの原点としているくらい、アメリカは硫黄島で苦戦している。
軍事は、正面1に対して後方2の割合なので、日本が安全保障の面で普通の国になるには、集団的自衛権行使の問題が発生しないように気をつけて後方を担うべき。後方任務を過不足なく果たせる国は限られている(守屋)。
防衛庁発足のとき、中曽根総理は文民優位をどう考えるかというのが当時の問題だったという。辻政信議員は統帥権独立を認めないで戦いはできないと会議に怒鳴りこんできた。
ロシアの不凍港はウラジオストクしかない。ウラジオストクの太平洋艦隊が太平洋に出るためには、宗谷海峡、対馬海峡、津軽海峡のどれかを通過せざるを得ないので、冷戦当時はこの三海峡を監視していれば太平洋艦隊の動きを把握できた。
海兵隊は、歩兵部隊、輸送・戦闘ヘリコプター部隊、対地支援ジェット戦闘機部隊から成り、紛争発生時に迅速に投入して対処させることで紛争の長期化を防ぐ。この特性を維持するためには各種訓練を連携して行える広大な演習場が近接していなければならない。沖縄は本州や九州よりも中国、フィリピンに近い。沖縄はアジア・太平洋・インド洋地域の安全保障の重要地にあり、他の地域で代替できるものではない。グアムへ基地が移転すると海兵隊が沖縄に駆けつけるまで余分な日数がかかる。
冷戦時代は各国とも軍事情報を必死に隠したが、隠すからスパイ活動が盛んだった。冷戦後は、手の内を明かした方が無用な緊張を高めないで済むと考えるようになってきた。
みたいな話。
曰く・・・
環境という言葉に国民は弱い。(基地建設で)環境派を相手に戦ってはダメだ(小泉純一郎)。
防衛庁と警察庁は仲が悪い。因縁は226事件にさかのぼる。226事件のとき警察は軍に無力だった。戦後、自衛隊を国内の治安維持に投入する政治的ハードルが高かった。警察は機動隊を増強し、自らの組織を大きくして対処した。
辺野古の埋め立てについては、国と県が基本確認書にサインしたが、稲嶺沖縄県知事は合意書の形にならないようにと書式に最後までこだわった。その後、記者会見で責められると、稲嶺知事は合意はしていないと答弁している(著者はこの稲嶺知事については相当含むところがあるようである)。
橋本内閣は、普天間移設の受け入れと北部振興策をセットにしたが、この方針が沖縄に反発され、小渕内閣のとき二つの施策はまったく関係ないということで閣議決定された。
小泉総理は、チェイニー副大統領から集団的自衛権の議論への期待を示されたが、小泉総理はまだ時間がかかると答えている。副大統領は「米軍も日本軍相手に弱かったからな」とがっかりしている。総理はこれがどういう意味かわからなかった。著者は、アメリカにとっての第二次世界大戦は対ドイツ・イタリアというよりは対日本であり、それだけに戦後日本の力を抑えるために日本という国を無害化することに重点が行き過ぎ、日本人を平和主義者にしすぎたことを副大統領は悔やんでいるのではないか、と考えている。海兵隊は、硫黄島の戦いを海兵隊スピリッツの原点としているくらい、アメリカは硫黄島で苦戦している。
軍事は、正面1に対して後方2の割合なので、日本が安全保障の面で普通の国になるには、集団的自衛権行使の問題が発生しないように気をつけて後方を担うべき。後方任務を過不足なく果たせる国は限られている(守屋)。
防衛庁発足のとき、中曽根総理は文民優位をどう考えるかというのが当時の問題だったという。辻政信議員は統帥権独立を認めないで戦いはできないと会議に怒鳴りこんできた。
ロシアの不凍港はウラジオストクしかない。ウラジオストクの太平洋艦隊が太平洋に出るためには、宗谷海峡、対馬海峡、津軽海峡のどれかを通過せざるを得ないので、冷戦当時はこの三海峡を監視していれば太平洋艦隊の動きを把握できた。
海兵隊は、歩兵部隊、輸送・戦闘ヘリコプター部隊、対地支援ジェット戦闘機部隊から成り、紛争発生時に迅速に投入して対処させることで紛争の長期化を防ぐ。この特性を維持するためには各種訓練を連携して行える広大な演習場が近接していなければならない。沖縄は本州や九州よりも中国、フィリピンに近い。沖縄はアジア・太平洋・インド洋地域の安全保障の重要地にあり、他の地域で代替できるものではない。グアムへ基地が移転すると海兵隊が沖縄に駆けつけるまで余分な日数がかかる。
冷戦時代は各国とも軍事情報を必死に隠したが、隠すからスパイ活動が盛んだった。冷戦後は、手の内を明かした方が無用な緊張を高めないで済むと考えるようになってきた。
みたいな話。
2013年7月17日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
沖縄の反米軍基地の真実がやっとではあるが本土の人間にも知らしめられるようになってきた
ケント・E・カルダー氏の米軍再編の政治学にも下記のような記述がある
「反対派は財政的な理由から、基地問題を紛糾させておきたい。沖縄の基地政策に問題があるかぎり、日本政府が、過激な行動を抑えるための賠償金を払いつづけると踏んでいるからだ。それは、過去の経験から確かめられている。」
沖縄県民の二枚下は巨大な中国や武力をもった薩摩に挟まれた地政学的な発展をとげ、それらは驚くほど技巧的だ
そういった真実を本書を読めば多くの方に理解できるのではないか・・・・・
沖縄も登場した政治家や官僚たちも本書に対して反論の言葉があるなら反論すべきだ
もちろん彼らは反論はしないというか、できないであろうが・・・・
沖縄の自然が多く残る地域の多くは米軍管理下だが、どうして米軍管理下の地区に自然が残るのかも本書を読んだ読書なら容易に理解できるだろう・・
沖縄の癒着した政財界は全国最下位の教育水準やきわめて高い経済格差をもたらしている
沖縄の敵は米軍を食い物にする政財界なのだ
ケント・E・カルダー氏の米軍再編の政治学にも下記のような記述がある
「反対派は財政的な理由から、基地問題を紛糾させておきたい。沖縄の基地政策に問題があるかぎり、日本政府が、過激な行動を抑えるための賠償金を払いつづけると踏んでいるからだ。それは、過去の経験から確かめられている。」
沖縄県民の二枚下は巨大な中国や武力をもった薩摩に挟まれた地政学的な発展をとげ、それらは驚くほど技巧的だ
そういった真実を本書を読めば多くの方に理解できるのではないか・・・・・
沖縄も登場した政治家や官僚たちも本書に対して反論の言葉があるなら反論すべきだ
もちろん彼らは反論はしないというか、できないであろうが・・・・
沖縄の自然が多く残る地域の多くは米軍管理下だが、どうして米軍管理下の地区に自然が残るのかも本書を読んだ読書なら容易に理解できるだろう・・
沖縄の癒着した政財界は全国最下位の教育水準やきわめて高い経済格差をもたらしている
沖縄の敵は米軍を食い物にする政財界なのだ
2014年1月3日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
史記をはじめとして優れた歴史書は敗北したものから書かれたものが多い。
この意味でも、普天間交渉の経緯について今後第一級の資料となることが確定した本である。
「不実なのは誰なのか?」というあおり文句が入っているのだが、これは単に沖縄だとか政治家だ、外務省だといった確定ができるわけではない。またそのような解釈を避けなければならない。ここに書かれているのは権力の場において政策が決定していく過程である。
利害関係者がからむ魑魅魍魎の世界である。単に誰かが悪いとか不実という話ではない。
また防衛庁が官庁として強力になっていく過程において他官庁との紛争を書いた本ととらえることもできる。そして、結論を言うならば、まぎれもなく防衛庁(と守屋次官)はこの魑魅魍魎の戦いで敗北したのだ。
1)沖縄の米軍基地はそもそも再編されるべきか?(外務省・総務省・警察庁vs防衛庁)
2)普天間はどこに移設されるべきか?(沖縄自治体・米軍vs防衛庁)
3)また辺野古にどのような形式で移設されるべきか?(沖縄自治体・米軍vs防衛庁)
といったイッシューに対して、既存の官庁はそもそも1)の時点でこれらを執行する防衛庁の能力自体を疑問視していたと思われる。そして、これは正しかったのだ。
著者は防衛庁の人間として本書を記載した。したがって、防衛庁の評価が甘くなっている感は否めない。
「基地周辺の住民が本当の被害者ではないか」という観点は倫理的には正しい。米軍再編に乗じてこれらの基地問題を解決するという方策は政策的に正しいであろう。だが、権力闘争の場において正しかったかどうか、当時の防衛庁で達成可能か課題であったかは疑問である。
結局のところ「参議院議員一人出せない」「国民の信頼がない」2流官庁であった当時の防衛庁にとって過重な課題であったということなのだ。本書を流れる悲痛な恨み、怒りの空気は著者がこのことを自覚していることを示しているといえよう。
私は、これは失敗例として官僚や政策決定者を目指す人間が読んでおくべき必読書だと考える。
何が当時の防衛庁に足りなかったのか?多くの課題を扱いすぎていなかったのか?
そういったことを考え、現代における「日本軍の失敗の研究」として読むべきなのであろう。
この意味でも、普天間交渉の経緯について今後第一級の資料となることが確定した本である。
「不実なのは誰なのか?」というあおり文句が入っているのだが、これは単に沖縄だとか政治家だ、外務省だといった確定ができるわけではない。またそのような解釈を避けなければならない。ここに書かれているのは権力の場において政策が決定していく過程である。
利害関係者がからむ魑魅魍魎の世界である。単に誰かが悪いとか不実という話ではない。
また防衛庁が官庁として強力になっていく過程において他官庁との紛争を書いた本ととらえることもできる。そして、結論を言うならば、まぎれもなく防衛庁(と守屋次官)はこの魑魅魍魎の戦いで敗北したのだ。
1)沖縄の米軍基地はそもそも再編されるべきか?(外務省・総務省・警察庁vs防衛庁)
2)普天間はどこに移設されるべきか?(沖縄自治体・米軍vs防衛庁)
3)また辺野古にどのような形式で移設されるべきか?(沖縄自治体・米軍vs防衛庁)
といったイッシューに対して、既存の官庁はそもそも1)の時点でこれらを執行する防衛庁の能力自体を疑問視していたと思われる。そして、これは正しかったのだ。
著者は防衛庁の人間として本書を記載した。したがって、防衛庁の評価が甘くなっている感は否めない。
「基地周辺の住民が本当の被害者ではないか」という観点は倫理的には正しい。米軍再編に乗じてこれらの基地問題を解決するという方策は政策的に正しいであろう。だが、権力闘争の場において正しかったかどうか、当時の防衛庁で達成可能か課題であったかは疑問である。
結局のところ「参議院議員一人出せない」「国民の信頼がない」2流官庁であった当時の防衛庁にとって過重な課題であったということなのだ。本書を流れる悲痛な恨み、怒りの空気は著者がこのことを自覚していることを示しているといえよう。
私は、これは失敗例として官僚や政策決定者を目指す人間が読んでおくべき必読書だと考える。
何が当時の防衛庁に足りなかったのか?多くの課題を扱いすぎていなかったのか?
そういったことを考え、現代における「日本軍の失敗の研究」として読むべきなのであろう。
2013年5月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
文庫に通常付される解説は付されていない。帯の小泉元首相の賛辞も単行本の時そのままのものである。ただ、文庫化が著者の出所に合わせられたのだろう、逆にそれによって許諾できたものであろうという推察ができる。
内容は、マスコミと検察に追われた者の弁だけあって、奇怪とまでは言わないまでも数奇に満ちたものだ。田中角栄の逮捕ほどではないが、謎に包まれた部分についての一端、その実情として窺い知れよう。官僚だけあって堅実で几帳面、綿密な印象が保てるのにどうして、と思われる反面、他方ではやはり、その時々の力関係、偶然、気分で揺れ動かされて行ってついには政権交代という政治の転換によってそれが台無しになっていくことがよく解る、それが詳らかにされているとも言える。幾つかの案、桟橋・浮体という方式から、沿岸・陸上という位置、L字・X字・V字という形態に至るまで突き詰めれば十分に根拠がない中でとにかく何か試行錯誤しているだけだった。
これはそもそも基地返還が、現今の中国軍拡への対応とセットにならざるを得ない状況に対する地元沖縄の果敢無い抵抗であったという面、その点が少なくとも最終部では著者も自覚して理解できるような事になっていたのにも関わらずである。生活や経済があるとしても、新しい基地を認めるわけにはいかない沖縄の、これは婉曲的で非合理、非論理的と白けて映るかもしれないもののギリギリの結論先延ばし戦略、それも自覚した戦略と言えるようなものではなかったのかもしれない、その無意識の成行に日本も米国も翻弄されざるを得なかったという事なのである。最初から、沖縄の意志をそれそのもの以上に汲み取って、全面返還する上では単なる施設ではなく日米同盟自体の強化によってこれを代替するという新しい事態に適応した国家構想がなかったのである。その事が根本の問題だったという処まではさすがの著者も踏み込んではいない。それがなかったという事こそが本書で判る。
こまごまとした処では、東京上空の制空権がいまだに回復されていない事、中国軍にした処で情報開示の方の引き込められれば事態は避けられるだろう事、官僚のトップはこれだけ恐ろしい、強面であるという事も本書で理解できる。
いずれにせよ、東郷和彦の『北方領土交渉秘録』と並んで、現代史、現代日本の理解には欠かせない一書と言えよう。
内容は、マスコミと検察に追われた者の弁だけあって、奇怪とまでは言わないまでも数奇に満ちたものだ。田中角栄の逮捕ほどではないが、謎に包まれた部分についての一端、その実情として窺い知れよう。官僚だけあって堅実で几帳面、綿密な印象が保てるのにどうして、と思われる反面、他方ではやはり、その時々の力関係、偶然、気分で揺れ動かされて行ってついには政権交代という政治の転換によってそれが台無しになっていくことがよく解る、それが詳らかにされているとも言える。幾つかの案、桟橋・浮体という方式から、沿岸・陸上という位置、L字・X字・V字という形態に至るまで突き詰めれば十分に根拠がない中でとにかく何か試行錯誤しているだけだった。
これはそもそも基地返還が、現今の中国軍拡への対応とセットにならざるを得ない状況に対する地元沖縄の果敢無い抵抗であったという面、その点が少なくとも最終部では著者も自覚して理解できるような事になっていたのにも関わらずである。生活や経済があるとしても、新しい基地を認めるわけにはいかない沖縄の、これは婉曲的で非合理、非論理的と白けて映るかもしれないもののギリギリの結論先延ばし戦略、それも自覚した戦略と言えるようなものではなかったのかもしれない、その無意識の成行に日本も米国も翻弄されざるを得なかったという事なのである。最初から、沖縄の意志をそれそのもの以上に汲み取って、全面返還する上では単なる施設ではなく日米同盟自体の強化によってこれを代替するという新しい事態に適応した国家構想がなかったのである。その事が根本の問題だったという処まではさすがの著者も踏み込んではいない。それがなかったという事こそが本書で判る。
こまごまとした処では、東京上空の制空権がいまだに回復されていない事、中国軍にした処で情報開示の方の引き込められれば事態は避けられるだろう事、官僚のトップはこれだけ恐ろしい、強面であるという事も本書で理解できる。
いずれにせよ、東郷和彦の『北方領土交渉秘録』と並んで、現代史、現代日本の理解には欠かせない一書と言えよう。
2011年1月2日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
事務次官経験者はすべて回顧録を残すべきである。そう考える私としては、4年にわたって事務次官を務めた守屋氏が普天間交渉と防衛省昇格に限定してではあるが記録を発表したこと自体は賞賛に値する。
また、本書は沖縄の現実を知る上で文字通り必読の書だ。
革新の大田県政からせっかく自民党の自前候補として当選させた稲嶺知事が、かえって混乱の元となった自民党政治の皮肉。
基地移転を迫る県内世論を盛り上げながら解決を引き延ばすことで利益を得る、沖縄政財界の構造(「政府は沖縄に悪い癖をつけてしまったね。何も進まなくてもカネをやるという、悪い癖をつけてしまったんだよ」諸井太平洋セメント相談役)。
マスコミにしばしば登場する沖縄に同情情的な議論の薄っぺらさがよくわかる。
そして、本書ほど官僚から政治家の見え方がよくわかる本は少ないと思う。
まるで沖縄県や名護市の御用聞きとなっているかのように描かれた山崎拓、石破茂、小池百合子、久間章生。逆に終始ブレなかった小泉純一郎。
著者のように小泉に信用された官僚はそざかし仕事しやすかったのだろう。それが巨大なやっかみを生むことも理解できる。
ここまでなら星5つなのだが、やはり著者が東京地検特捜部に逮捕される容疑となった山田洋行と日本ミライズによる尋常でない接待について一言もないのはどうかと思う。自らは利権の罠にはまらなかったのか。本の記述全体が自分の行動や考え方の正しさを強調する筆致になっているのは、手記として仕方ないとしても。
また、本書は沖縄の現実を知る上で文字通り必読の書だ。
革新の大田県政からせっかく自民党の自前候補として当選させた稲嶺知事が、かえって混乱の元となった自民党政治の皮肉。
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マスコミにしばしば登場する沖縄に同情情的な議論の薄っぺらさがよくわかる。
そして、本書ほど官僚から政治家の見え方がよくわかる本は少ないと思う。
まるで沖縄県や名護市の御用聞きとなっているかのように描かれた山崎拓、石破茂、小池百合子、久間章生。逆に終始ブレなかった小泉純一郎。
著者のように小泉に信用された官僚はそざかし仕事しやすかったのだろう。それが巨大なやっかみを生むことも理解できる。
ここまでなら星5つなのだが、やはり著者が東京地検特捜部に逮捕される容疑となった山田洋行と日本ミライズによる尋常でない接待について一言もないのはどうかと思う。自らは利権の罠にはまらなかったのか。本の記述全体が自分の行動や考え方の正しさを強調する筆致になっているのは、手記として仕方ないとしても。