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ゴリラの森、言葉の海 (新潮文庫) 文庫 – 2021/10/28
山極 寿一
(著)
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『ゴリラの森、言葉の海』
ゴリラを知ることは、ヒトが何者なのかを自らを知ること……人間存在の心の森に静かに分け入る小説家小川洋子さんは、アフリカで野生のゴリラと暮らした霊長類学者山極寿一さんから、世界を見る新鮮な眼を感じます。京都大学理学部の山極研究室で、野生のサルとシカが生息する屋久島の原生林の中で、4回にわたる対話は現代への深い示唆に満ちています。
文庫版では、コロナ禍において、新たに小川洋子さんと山極寿一さんの「往復書簡」が掲載されます。
本 書 の 目 次
はじめに―――――小 川 洋 子
I ゴリラとヒトが分かち合う物語
河合隼雄先生が導いた「偶然」
二十六年ぶりに蘇った記憶
ゴリラも孤独をかみしめる
ゴリラの共感能力
高い社会性を有するゴリラたち
人間のオスはなぜハゲる
ゴリラと人間の文化的相似性
人間の言語の起源を探る
言語によらない共感を描く
II ゴリラの背中で語り合う
家族愛に必要なもの
人間は本来多産な種
思春期から現れる男女の違い
なぜゴリラは子を殺すのか
人間の暴力性の根源
言語・死者・共感から戦争が生まれた
敗者として進化した人類
子育てからコミュニケーションへ
III ゴリラとヒトの間で遊ぶ
ゴリラの同性愛を発見
遊びと性衝動
信頼関係を作る方法
時間が作り出すもの
父親の役割
愛という不思議な心
殺しの闇とは何か
IV 屋久島の原生林へ
[一日目]
アコウの木
森に分け入る
ガジュマルの樹の下で
衣食住の「衣」を考える
森の中の道
私が小説を書くときは……
[二日目]
屋久島高地の森で
おわりに―――――山極寿一
文庫特別収録 小川洋子⇔山極寿一
往復書簡―――あとがきに代えて
ゴリラを知ることは、ヒトが何者なのかを自らを知ること……人間存在の心の森に静かに分け入る小説家小川洋子さんは、アフリカで野生のゴリラと暮らした霊長類学者山極寿一さんから、世界を見る新鮮な眼を感じます。京都大学理学部の山極研究室で、野生のサルとシカが生息する屋久島の原生林の中で、4回にわたる対話は現代への深い示唆に満ちています。
文庫版では、コロナ禍において、新たに小川洋子さんと山極寿一さんの「往復書簡」が掲載されます。
本 書 の 目 次
はじめに―――――小 川 洋 子
I ゴリラとヒトが分かち合う物語
河合隼雄先生が導いた「偶然」
二十六年ぶりに蘇った記憶
ゴリラも孤独をかみしめる
ゴリラの共感能力
高い社会性を有するゴリラたち
人間のオスはなぜハゲる
ゴリラと人間の文化的相似性
人間の言語の起源を探る
言語によらない共感を描く
II ゴリラの背中で語り合う
家族愛に必要なもの
人間は本来多産な種
思春期から現れる男女の違い
なぜゴリラは子を殺すのか
人間の暴力性の根源
言語・死者・共感から戦争が生まれた
敗者として進化した人類
子育てからコミュニケーションへ
III ゴリラとヒトの間で遊ぶ
ゴリラの同性愛を発見
遊びと性衝動
信頼関係を作る方法
時間が作り出すもの
父親の役割
愛という不思議な心
殺しの闇とは何か
IV 屋久島の原生林へ
[一日目]
アコウの木
森に分け入る
ガジュマルの樹の下で
衣食住の「衣」を考える
森の中の道
私が小説を書くときは……
[二日目]
屋久島高地の森で
おわりに―――――山極寿一
文庫特別収録 小川洋子⇔山極寿一
往復書簡―――あとがきに代えて
- 本の長さ304ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日2021/10/28
- 寸法10.6 x 1.2 x 15.1 cm
- ISBN-104101265925
- ISBN-13978-4101265926
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登録情報
- 出版社 : 新潮社; 文庫版 (2021/10/28)
- 発売日 : 2021/10/28
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 304ページ
- ISBN-10 : 4101265925
- ISBN-13 : 978-4101265926
- 寸法 : 10.6 x 1.2 x 15.1 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 147,101位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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上位レビュー、対象国: 日本
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2022年6月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
若いゴリラの群れの紅一点"パトリシア"が実は・・・
・・・・"パトリック"だったハナシは前に別の本で読んだナ。
同じ著者の方だったろうか?こんど探してみます。
・・・・"パトリック"だったハナシは前に別の本で読んだナ。
同じ著者の方だったろうか?こんど探してみます。
2019年7月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
一気に読んでしまいました。 人間の本質について勉強になりました。
2019年8月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ところどころ、話が飛躍しすぎる感はあったけれど、山際先生には「なるほどなぁ」と思わず唸ってしまう箇所も沢山ありました。また別の本も読んでみようと思います。
2021年12月13日に日本でレビュー済み
『ゴリラの森、言葉の海』(山際寿一・小川洋子著、新潮社)は、野生動物研究者・山際寿一と小説家・小川洋子の対談集です。
専門分野が異なる二人の対談は、想定外の方向へ話が進んでいくという楽しみがあります。
例えば、こんなふうです。
「●小川=家族を作り、地域を作り、社会を作っていくうちに、近親相姦で関係がぐちゃぐちゃにならないような仕組みを獲得して、人間は進化したのでしょうか。●山際=近親相姦の禁止というのは、生物学的にはなくても困らないけど、それがあることによってすべてが変わる制度です。こういうのを『ゼロタイプの制度』といいますが、例えば人前で裸にならないというのも同じですね。裸になっても生物学的には支障はまったくないけど、そうしてしまうと社会全体が変わってしまう。レヴィ=ストロースはこれを『自然から文化に移行する制度』と呼びました。インセスト・タブーだって、生物学的にははっきりした理由がない。お父さんと娘やお母さんと息子がセックスをして子どもが生まれたら、もちろん遺伝的に劣性の子どもができる危険性が高くなります。でも、いとことかきょうだい同士だったら危険性は低くなる。ましてや義理の親子同士なら、血縁関係がないから問題ないはずなんです。しかしそれは禁止されている。そこが重要で、してはいけないと決めることによって、性的ではない愛が芽生える。兄弟愛や親子愛ですね。・・・レヴィ=ストロースはインセスト・タブーを人間の互酬性の根本的な仕組みだと言いました。人間にとって互酬性というのは、それ抜きでは語れないくらい強いものです。そしてインセスト・タブーがあるからこそ、娘を他の家族に差し出すことができる。その交換が一般化することで人間性が保たれて、複数の家族が集まる地域共同体が成り立つようになるんです。●小川=本当にうまく理屈が合っていますね」。
「●小川=小説でも、自分の中から無理やり絞り出したもので書いていると、必ず行き詰ります。でも、例えば街を歩いていてぜんぜん知らない人の会話がパッと入ってきたり、見知らぬ光景が一瞬目に入ってきたときなど、外からの情報でひらめいたもののほうが、圧倒的に広がりを持ちます。●山際=この京都大学の近くには哲学の道というのがあって、西田幾多郎や田辺元が歩いたところなんだけど、歩くって考えを浮かべるのにすごくいいですよ。自転車や車に乗っているときは、走ることに神経を集中させなきゃいけないけど、歩くのはその必要がない。だから同時に思考ができる。しかも目や耳にいろんな刺激が入ってきて、その中で考えられる。部屋の中で考えてばかりだと、しかも何もない部屋なら、もう自滅しますね。●小川=ですから作家をホテルに缶詰にするのはよくない(笑)。ベートーベンも、ハイリゲンシュタットの森を一日中歩き回っていました。明治の小説を読んでいると、しょっちゅう散歩をしています。・・・現代のわれわれから見れば非効率的な時間の中に生きている。しかしそうした無駄が人間には必要だと感じます。現代社会はそういうものを切り捨てる方向に動いていますが。●山際=自分というものは自分の意思だけで作られているわけじゃなくて、いろんな環境から影響を受けていわば作らされている。受動的なんです。●小川=人は絶対的で永遠に孤独な存在にはなれないのだ、と山際さんもお書きになっていました。さまざまなものを外界から受け入れながら、更には、現在に至るまでの由来を背負っている以上、一人ぼっちではないんですね」。毎日10,000歩以上歩くことを目標としている私も、二人の散歩必要論に賛成です。思いがけない閃きが得られる経験を何度もしていますので。
専門分野が異なる二人の対談は、想定外の方向へ話が進んでいくという楽しみがあります。
例えば、こんなふうです。
「●小川=家族を作り、地域を作り、社会を作っていくうちに、近親相姦で関係がぐちゃぐちゃにならないような仕組みを獲得して、人間は進化したのでしょうか。●山際=近親相姦の禁止というのは、生物学的にはなくても困らないけど、それがあることによってすべてが変わる制度です。こういうのを『ゼロタイプの制度』といいますが、例えば人前で裸にならないというのも同じですね。裸になっても生物学的には支障はまったくないけど、そうしてしまうと社会全体が変わってしまう。レヴィ=ストロースはこれを『自然から文化に移行する制度』と呼びました。インセスト・タブーだって、生物学的にははっきりした理由がない。お父さんと娘やお母さんと息子がセックスをして子どもが生まれたら、もちろん遺伝的に劣性の子どもができる危険性が高くなります。でも、いとことかきょうだい同士だったら危険性は低くなる。ましてや義理の親子同士なら、血縁関係がないから問題ないはずなんです。しかしそれは禁止されている。そこが重要で、してはいけないと決めることによって、性的ではない愛が芽生える。兄弟愛や親子愛ですね。・・・レヴィ=ストロースはインセスト・タブーを人間の互酬性の根本的な仕組みだと言いました。人間にとって互酬性というのは、それ抜きでは語れないくらい強いものです。そしてインセスト・タブーがあるからこそ、娘を他の家族に差し出すことができる。その交換が一般化することで人間性が保たれて、複数の家族が集まる地域共同体が成り立つようになるんです。●小川=本当にうまく理屈が合っていますね」。
「●小川=小説でも、自分の中から無理やり絞り出したもので書いていると、必ず行き詰ります。でも、例えば街を歩いていてぜんぜん知らない人の会話がパッと入ってきたり、見知らぬ光景が一瞬目に入ってきたときなど、外からの情報でひらめいたもののほうが、圧倒的に広がりを持ちます。●山際=この京都大学の近くには哲学の道というのがあって、西田幾多郎や田辺元が歩いたところなんだけど、歩くって考えを浮かべるのにすごくいいですよ。自転車や車に乗っているときは、走ることに神経を集中させなきゃいけないけど、歩くのはその必要がない。だから同時に思考ができる。しかも目や耳にいろんな刺激が入ってきて、その中で考えられる。部屋の中で考えてばかりだと、しかも何もない部屋なら、もう自滅しますね。●小川=ですから作家をホテルに缶詰にするのはよくない(笑)。ベートーベンも、ハイリゲンシュタットの森を一日中歩き回っていました。明治の小説を読んでいると、しょっちゅう散歩をしています。・・・現代のわれわれから見れば非効率的な時間の中に生きている。しかしそうした無駄が人間には必要だと感じます。現代社会はそういうものを切り捨てる方向に動いていますが。●山際=自分というものは自分の意思だけで作られているわけじゃなくて、いろんな環境から影響を受けていわば作らされている。受動的なんです。●小川=人は絶対的で永遠に孤独な存在にはなれないのだ、と山際さんもお書きになっていました。さまざまなものを外界から受け入れながら、更には、現在に至るまでの由来を背負っている以上、一人ぼっちではないんですね」。毎日10,000歩以上歩くことを目標としている私も、二人の散歩必要論に賛成です。思いがけない閃きが得られる経験を何度もしていますので。

『ゴリラの森、言葉の海』(山際寿一・小川洋子著、新潮社)は、野生動物研究者・山際寿一と小説家・小川洋子の対談集です。
専門分野が異なる二人の対談は、想定外の方向へ話が進んでいくという楽しみがあります。
例えば、こんなふうです。
「●小川=家族を作り、地域を作り、社会を作っていくうちに、近親相姦で関係がぐちゃぐちゃにならないような仕組みを獲得して、人間は進化したのでしょうか。●山際=近親相姦の禁止というのは、生物学的にはなくても困らないけど、それがあることによってすべてが変わる制度です。こういうのを『ゼロタイプの制度』といいますが、例えば人前で裸にならないというのも同じですね。裸になっても生物学的には支障はまったくないけど、そうしてしまうと社会全体が変わってしまう。レヴィ=ストロースはこれを『自然から文化に移行する制度』と呼びました。インセスト・タブーだって、生物学的にははっきりした理由がない。お父さんと娘やお母さんと息子がセックスをして子どもが生まれたら、もちろん遺伝的に劣性の子どもができる危険性が高くなります。でも、いとことかきょうだい同士だったら危険性は低くなる。ましてや義理の親子同士なら、血縁関係がないから問題ないはずなんです。しかしそれは禁止されている。そこが重要で、してはいけないと決めることによって、性的ではない愛が芽生える。兄弟愛や親子愛ですね。・・・レヴィ=ストロースはインセスト・タブーを人間の互酬性の根本的な仕組みだと言いました。人間にとって互酬性というのは、それ抜きでは語れないくらい強いものです。そしてインセスト・タブーがあるからこそ、娘を他の家族に差し出すことができる。その交換が一般化することで人間性が保たれて、複数の家族が集まる地域共同体が成り立つようになるんです。●小川=本当にうまく理屈が合っていますね」。
「●小川=小説でも、自分の中から無理やり絞り出したもので書いていると、必ず行き詰ります。でも、例えば街を歩いていてぜんぜん知らない人の会話がパッと入ってきたり、見知らぬ光景が一瞬目に入ってきたときなど、外からの情報でひらめいたもののほうが、圧倒的に広がりを持ちます。●山際=この京都大学の近くには哲学の道というのがあって、西田幾多郎や田辺元が歩いたところなんだけど、歩くって考えを浮かべるのにすごくいいですよ。自転車や車に乗っているときは、走ることに神経を集中させなきゃいけないけど、歩くのはその必要がない。だから同時に思考ができる。しかも目や耳にいろんな刺激が入ってきて、その中で考えられる。部屋の中で考えてばかりだと、しかも何もない部屋なら、もう自滅しますね。●小川=ですから作家をホテルに缶詰にするのはよくない(笑)。ベートーベンも、ハイリゲンシュタットの森を一日中歩き回っていました。明治の小説を読んでいると、しょっちゅう散歩をしています。・・・現代のわれわれから見れば非効率的な時間の中に生きている。しかしそうした無駄が人間には必要だと感じます。現代社会はそういうものを切り捨てる方向に動いていますが。●山際=自分というものは自分の意思だけで作られているわけじゃなくて、いろんな環境から影響を受けていわば作らされている。受動的なんです。●小川=人は絶対的で永遠に孤独な存在にはなれないのだ、と山際さんもお書きになっていました。さまざまなものを外界から受け入れながら、更には、現在に至るまでの由来を背負っている以上、一人ぼっちではないんですね」。毎日10,000歩以上歩くことを目標としている私も、二人の散歩必要論に賛成です。思いがけない閃きが得られる経験を何度もしていますので。
専門分野が異なる二人の対談は、想定外の方向へ話が進んでいくという楽しみがあります。
例えば、こんなふうです。
「●小川=家族を作り、地域を作り、社会を作っていくうちに、近親相姦で関係がぐちゃぐちゃにならないような仕組みを獲得して、人間は進化したのでしょうか。●山際=近親相姦の禁止というのは、生物学的にはなくても困らないけど、それがあることによってすべてが変わる制度です。こういうのを『ゼロタイプの制度』といいますが、例えば人前で裸にならないというのも同じですね。裸になっても生物学的には支障はまったくないけど、そうしてしまうと社会全体が変わってしまう。レヴィ=ストロースはこれを『自然から文化に移行する制度』と呼びました。インセスト・タブーだって、生物学的にははっきりした理由がない。お父さんと娘やお母さんと息子がセックスをして子どもが生まれたら、もちろん遺伝的に劣性の子どもができる危険性が高くなります。でも、いとことかきょうだい同士だったら危険性は低くなる。ましてや義理の親子同士なら、血縁関係がないから問題ないはずなんです。しかしそれは禁止されている。そこが重要で、してはいけないと決めることによって、性的ではない愛が芽生える。兄弟愛や親子愛ですね。・・・レヴィ=ストロースはインセスト・タブーを人間の互酬性の根本的な仕組みだと言いました。人間にとって互酬性というのは、それ抜きでは語れないくらい強いものです。そしてインセスト・タブーがあるからこそ、娘を他の家族に差し出すことができる。その交換が一般化することで人間性が保たれて、複数の家族が集まる地域共同体が成り立つようになるんです。●小川=本当にうまく理屈が合っていますね」。
「●小川=小説でも、自分の中から無理やり絞り出したもので書いていると、必ず行き詰ります。でも、例えば街を歩いていてぜんぜん知らない人の会話がパッと入ってきたり、見知らぬ光景が一瞬目に入ってきたときなど、外からの情報でひらめいたもののほうが、圧倒的に広がりを持ちます。●山際=この京都大学の近くには哲学の道というのがあって、西田幾多郎や田辺元が歩いたところなんだけど、歩くって考えを浮かべるのにすごくいいですよ。自転車や車に乗っているときは、走ることに神経を集中させなきゃいけないけど、歩くのはその必要がない。だから同時に思考ができる。しかも目や耳にいろんな刺激が入ってきて、その中で考えられる。部屋の中で考えてばかりだと、しかも何もない部屋なら、もう自滅しますね。●小川=ですから作家をホテルに缶詰にするのはよくない(笑)。ベートーベンも、ハイリゲンシュタットの森を一日中歩き回っていました。明治の小説を読んでいると、しょっちゅう散歩をしています。・・・現代のわれわれから見れば非効率的な時間の中に生きている。しかしそうした無駄が人間には必要だと感じます。現代社会はそういうものを切り捨てる方向に動いていますが。●山際=自分というものは自分の意思だけで作られているわけじゃなくて、いろんな環境から影響を受けていわば作らされている。受動的なんです。●小川=人は絶対的で永遠に孤独な存在にはなれないのだ、と山際さんもお書きになっていました。さまざまなものを外界から受け入れながら、更には、現在に至るまでの由来を背負っている以上、一人ぼっちではないんですね」。毎日10,000歩以上歩くことを目標としている私も、二人の散歩必要論に賛成です。思いがけない閃きが得られる経験を何度もしていますので。
このレビューの画像

2022年6月12日に日本でレビュー済み
"言葉の森と自然の森は似ていることに気がついた。どちらも多様性に富み、それぞれの構成要素がいくらか見えているのに、そのつながりがわからない(中略)僕たちはストーリーを求めて彷徨っていることに変わりはないような気がしてきた"2019年発刊の本書は霊長類学者と小説家の示唆に富む対談集。
個人的には家族にすすめられて手にとってみました。
さて、そんな本書は河合隼雄財団主催の公開対談がきっかけとなり始まった、ゴリラ研究の第一人者で知られる山極寿一、そして『博士の愛した数式』等でも知られる人気作家の小川洋子との対談集として、ゴリラの世界を語りながら、鏡のように人間世界の言葉や死者、性や愛について。自由に語り合っているのですが。
やはり、実際にゴリラと共に過ごした体験があり『ゴリラ側から人間社会を眺めることが出来る』山極寿一が披露する同じヒト科のゴリラ、そしてオランウータンやチンパンジーに対する知見、そして、比較して浮かび上がってくる『人間の奇妙さ』は【知識や視点として刺激的で】面白かった。
また、やはり聞き手役となる小川洋子が言葉を生業とする『小説家』というわけで引き出されたのか。他のヒト科、ゴリラたちと違って、言葉を獲得したことで人類は世界を"効率的に自分の都合のいいように整理し直す"ことが出来る様になった一方で、論理が優先され"本来なら間違いでないものを間違っていたと定義づけられてしまう時がある"といった【言葉について】のやりとりは、私も日々ワイドショーで流れる【失言やそれに伴う炎上や謝罪】に思うところがあるので、非常に腑に落ちるところがありました。
ゴリラ他、ヒト科動物に興味がある方はもちろん、人間社会について『外側』から眺めてみたい方にもオススメ。
個人的には家族にすすめられて手にとってみました。
さて、そんな本書は河合隼雄財団主催の公開対談がきっかけとなり始まった、ゴリラ研究の第一人者で知られる山極寿一、そして『博士の愛した数式』等でも知られる人気作家の小川洋子との対談集として、ゴリラの世界を語りながら、鏡のように人間世界の言葉や死者、性や愛について。自由に語り合っているのですが。
やはり、実際にゴリラと共に過ごした体験があり『ゴリラ側から人間社会を眺めることが出来る』山極寿一が披露する同じヒト科のゴリラ、そしてオランウータンやチンパンジーに対する知見、そして、比較して浮かび上がってくる『人間の奇妙さ』は【知識や視点として刺激的で】面白かった。
また、やはり聞き手役となる小川洋子が言葉を生業とする『小説家』というわけで引き出されたのか。他のヒト科、ゴリラたちと違って、言葉を獲得したことで人類は世界を"効率的に自分の都合のいいように整理し直す"ことが出来る様になった一方で、論理が優先され"本来なら間違いでないものを間違っていたと定義づけられてしまう時がある"といった【言葉について】のやりとりは、私も日々ワイドショーで流れる【失言やそれに伴う炎上や謝罪】に思うところがあるので、非常に腑に落ちるところがありました。
ゴリラ他、ヒト科動物に興味がある方はもちろん、人間社会について『外側』から眺めてみたい方にもオススメ。
2019年6月9日に日本でレビュー済み
ゴリラは歌を歌うんですって。
ひとりぼっちで森を歩くときに。
そして、オスのゴリラは子どものゴリラととことん遊ぶ。
仲間のゴリラが喧嘩をしたら、無言で(当たり前だけど!)間に入って行って仲裁する。
おもしろいことをたくさん知りました。
でも、一番印象的だったのは、
山極さんの推理「人間が言葉をもつようになったキッカケは、子守唄だったのでは?」というところ。
人間の赤ん坊には握力がないから母親に自力でしがみついていられないし、母親がいつも抱いているには赤ん坊が重すぎる。それで、寝かせておく時間がふえた。そのために、子守唄が必要になった。子守唄が聞こえると、抱いてなくても赤ん坊は安心してスヤスヤ眠ったり、目をさましても寝ころんだままでいる。。。。
小川さんの話も面白かった。
屋久島の森を歩いた時の様子が特に面白かった。
そして、この「つぶやき」に感動した。山極さんの「作家を前にして申し訳ないけど、言葉ができてしまって、(感性ではなく)論理が優先し始めたと思うんです」という言葉に対する独り言。
・・・引用・・・
いえ、申し訳なく思っていただく必要はないです。言葉の獲得によって人間は、自らを滅ぼすかもしれない道を歩みはじめた。その危険の代償として、他の動物には享受できない、かけがえのない文学の喜びを得たのです。それだけの覚悟で小説は書かれなければなりません。
ひとりぼっちで森を歩くときに。
そして、オスのゴリラは子どものゴリラととことん遊ぶ。
仲間のゴリラが喧嘩をしたら、無言で(当たり前だけど!)間に入って行って仲裁する。
おもしろいことをたくさん知りました。
でも、一番印象的だったのは、
山極さんの推理「人間が言葉をもつようになったキッカケは、子守唄だったのでは?」というところ。
人間の赤ん坊には握力がないから母親に自力でしがみついていられないし、母親がいつも抱いているには赤ん坊が重すぎる。それで、寝かせておく時間がふえた。そのために、子守唄が必要になった。子守唄が聞こえると、抱いてなくても赤ん坊は安心してスヤスヤ眠ったり、目をさましても寝ころんだままでいる。。。。
小川さんの話も面白かった。
屋久島の森を歩いた時の様子が特に面白かった。
そして、この「つぶやき」に感動した。山極さんの「作家を前にして申し訳ないけど、言葉ができてしまって、(感性ではなく)論理が優先し始めたと思うんです」という言葉に対する独り言。
・・・引用・・・
いえ、申し訳なく思っていただく必要はないです。言葉の獲得によって人間は、自らを滅ぼすかもしれない道を歩みはじめた。その危険の代償として、他の動物には享受できない、かけがえのない文学の喜びを得たのです。それだけの覚悟で小説は書かれなければなりません。
2021年12月26日に日本でレビュー済み
山際寿一先生と小川洋子先生のジャンルを超えた対談です。山際先生がご自身でご指摘しているように、論理の飛躍のようなものはあったかもしれません。ですが、動物はわれわれを拒否していないのに、われわれは動物を拒否している・・・そのことは明らかです。あらためて「共存」という言葉の意味を問い直したい、そんな気持ちにさせられる一冊です。