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静かな木 (新潮文庫) 文庫 – 2000/8/30
藤沢 周平
(著)
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人生、なかなかこの木のようには……。
練達の筆がとらえた人の世の哀歓。著者最晩年の三篇。
藩の勘定方を退いてはや五年、孫左衛門もあと二年で還暦を迎える。城下の寺にたつ欅の大木に心ひかれた彼は、見あげるたびにわが身を重ね合せ、平穏であるべき老境の日々を想い描いていた。ところが……。
舞台は東北の小藩、著者が数々の物語を紡ぎだしてきた、かの海坂。澹々としたなかに気迫あり、滑稽味もある練達の筆がとらえた人の世の哀歓。藤沢周平最晩年の境地を伝える三篇。
目次
岡安家の犬
静かな木
偉丈夫
海坂藩の地図 立川談四楼
本書収録「静かな木」より
福泉寺の欅は、闇に沈みこもうとしている町の上にまだすっくと立っていた。落葉の季節は終りかけて、山でも野でも木木は残る葉を振り落とそうとしていた。福泉寺の欅も、この間吹いた強い西風であらかた葉を落としたとみえて、空にのび上がって見える幹も、こまかな枝もすがすがしい裸である。
その木に残る夕映えがさしかけていた。遠い西空からとどくかすかな赤味をとどめて、欅は静かに立っていた。
――あのような最期を迎えられればいい。
ふと、孫左衛門はそう思った。
藤沢周平(1927-1997)
山形県生れ。山形師範卒業後、結核を発病。上京して五年間の闘病生活をおくる。1971(昭和46)年、「溟い海」でオール讀物新人賞を、1973年、「暗殺の年輪」で直木賞を受賞。時代小説作家として、武家もの、市井ものから、歴史小説、伝記小説まで幅広く活躍。『用心棒日月抄』シリーズ、『密謀』、『白き瓶』(吉川英治賞)、『市塵』(芸術選奨文部大臣賞)など、作品多数。
練達の筆がとらえた人の世の哀歓。著者最晩年の三篇。
藩の勘定方を退いてはや五年、孫左衛門もあと二年で還暦を迎える。城下の寺にたつ欅の大木に心ひかれた彼は、見あげるたびにわが身を重ね合せ、平穏であるべき老境の日々を想い描いていた。ところが……。
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本書収録「静かな木」より
福泉寺の欅は、闇に沈みこもうとしている町の上にまだすっくと立っていた。落葉の季節は終りかけて、山でも野でも木木は残る葉を振り落とそうとしていた。福泉寺の欅も、この間吹いた強い西風であらかた葉を落としたとみえて、空にのび上がって見える幹も、こまかな枝もすがすがしい裸である。
その木に残る夕映えがさしかけていた。遠い西空からとどくかすかな赤味をとどめて、欅は静かに立っていた。
――あのような最期を迎えられればいい。
ふと、孫左衛門はそう思った。
藤沢周平(1927-1997)
山形県生れ。山形師範卒業後、結核を発病。上京して五年間の闘病生活をおくる。1971(昭和46)年、「溟い海」でオール讀物新人賞を、1973年、「暗殺の年輪」で直木賞を受賞。時代小説作家として、武家もの、市井ものから、歴史小説、伝記小説まで幅広く活躍。『用心棒日月抄』シリーズ、『密謀』、『白き瓶』(吉川英治賞)、『市塵』(芸術選奨文部大臣賞)など、作品多数。
- 本の長さ123ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日2000/8/30
- 寸法14.8 x 10.5 x 2 cm
- ISBN-104101247242
- ISBN-13978-4101247243
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登録情報
- 出版社 : 新潮社 (2000/8/30)
- 発売日 : 2000/8/30
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 123ページ
- ISBN-10 : 4101247242
- ISBN-13 : 978-4101247243
- 寸法 : 14.8 x 10.5 x 2 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 60,514位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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昭和2(1927)年、鶴岡市に生れる。山形師範学校卒業。48年「暗殺の年輪」で第六十九回直木賞を受賞。平成9(1997)年1月逝去(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『乳のごとき故郷 (ISBN-13: 978-4163726502 )』が刊行された当時に掲載されていたものです)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2024年4月23日に日本でレビュー済み
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朗読の勉強で藤沢周平の静かな木をとりあげました。風景の美しい描写が時を越えて心に響きます。近くの書店になかったので、注文しましたが、すぐに届けて頂き、ありがたかったです。又、利用したいです。
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「岡安家の犬」
家族に大切にされていたアカ犬を友人たちに鍋にされてしまった甚之丞
自分も自分の家の飼い犬とは知らず美味しく食していたのだが、真相を聞かされ激怒
首謀者である友人・金之助とは絶交、自分の妹との婚約破棄を宣言します
犬を食べるという食習慣には一歩引いてしまいますが、当時はごく普通のことだったようです
婚約破棄のダメージが大きい金之助は、とある計画を実行に移します
さて、彼の目論みは上手くいくのでしょうか
「静かな木」
隠居暮らしの孫佐衛門
ある日、釣りから帰ると留守中に他家に嫁した長女・久仁が来たと伝えられます
20年前に家禄を減らされた一件に始まる、闇に葬り去られた事件が再び甦るのでした
物語の冒頭で描かれた、寺の大欅を見上げる孫佐衛門の心情が、物語の終りでどのように変化していたのか
話の展開、人物の配置の上手さに頭が下がります
「偉丈夫」
本藩(海坂藩)と支藩(海上藩)の間の境界争いの掛け合い役に選ばれた権兵衛
身体は大きいものの、ノミの心臓の持ち主の権兵衛が守備良くお勤めを果たすことは出来るのでしょうか
藤沢周平さん最後の短編だそうです
これより後、新作の発表が無かったことは大変残念ですが、最後の短編がユーモアと優しさに溢れた作品であったことは嬉しいことです
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2023年3月6日に日本でレビュー済み
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購入すべきでなかった。 [新潮CD]山田洋次が選ぶ「藤沢周平傑作選」ではなく原作(本)を読むべきだった。全くの期待外れでした。声が合っていない、この声が宇野重吉なら私的には『OK』です。
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藤沢周平は、初めて読んだ。
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