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驟(はし)り雨 (新潮文庫) 文庫 – 1985/2/27
藤沢 周平
(著)
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亭主に逃げられた子持ちの三十女、夜鷹に身をやつした不器用者、
やくざ者の弟を持った気性まっすぐの給仕の娘……。
江戸下町の陽もささないような裏長屋、名も無き庶民の生活を切り取った短編集。
激しい雨の中、一人の盗っ人が八幡さまの軒下に潜んで、通り向いの問屋の様子を窺っていた。その眼の前へ、入れかわり立ちかわり雨やどりに来る人々。そして彼らが寸時、繰り広げる人間模様……。
表題作「驟り雨」をはじめ、「贈り物」「遅いしあわせ」など、全10編を収める。抗いきれない運命に翻弄されながらも江戸の町に懸命に生きる人々を、陰翳深く描く珠玉の作品集。
【目次】
贈り物
うしろ姿
ちきしょう!
驟り雨
人殺し
朝焼け
遅いしあわせ
運の尽き
捨てた女
泣かない女
解説:原田康子
本文より
その夜、おしゅんには一人も客がつかなかった。八郎兵衛屋敷にある妓楼の明かりが、道に落ちている。明かりは、道をへだてた石置場にもかすかな光を投げかけ、そこにゴザを抱えて立っているおしゅんの姿を、ぼんやり照らし出していた。ほかに夜鷹の姿は見えなかった。
家にもどろうか、それとももう少し待ってみようかと、おしゅんは迷っていた。もっともおしゅんは、日が暮れるのを待って、いまいる場所に来たときから迷っていたのである。……(「ちきしょう!」)
本書「解説」より
江戸時代は、士農工商の身分制度が人びとを律していた。女が、思うように生きがたい時代であった。貧しい生活の中にも幸福はあったろうが、それは家族の心が寄り添っていた場合である。女の幸不幸は、男によって左右されていたと言ってもよいであろう。頭がにぶいばかりに夫に去られる「捨てた女」のふき、足がわるいゆえに夫を失いかけた「泣かない女」のお才、男をおもいながらも、別れ話にさらりと応じた「朝焼け」のお品、いずれもあわれである。
「ちきしょう!」のおしゅんとなると、あわれを通り越して悲惨である。
――原田康子(作家)
藤沢周平(1927-1997)
山形県生れ。山形師範学校(現在の山形大学)卒。中学の教員、業界紙の記者を経て、1971年「溟い海」でオール讀物新人賞を受賞し作家デビュー。1973年「暗殺の年輪」で直木賞を、1986年『白き瓶』で吉川英治文学賞を、1989年、作家生活全体の功績に対して菊池寛賞を、1990年『市塵』で芸術選奨文部大臣賞を、1994年、朝日賞、東京都文化賞を受賞。1995年、紫綬褒章を受章。1997年、山形県県民栄誉賞を受賞、鶴岡市から「顕彰の記」が贈られた。2010年、「鶴岡市立藤沢周平記念館」が開館。
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解説:原田康子
本文より
その夜、おしゅんには一人も客がつかなかった。八郎兵衛屋敷にある妓楼の明かりが、道に落ちている。明かりは、道をへだてた石置場にもかすかな光を投げかけ、そこにゴザを抱えて立っているおしゅんの姿を、ぼんやり照らし出していた。ほかに夜鷹の姿は見えなかった。
家にもどろうか、それとももう少し待ってみようかと、おしゅんは迷っていた。もっともおしゅんは、日が暮れるのを待って、いまいる場所に来たときから迷っていたのである。……(「ちきしょう!」)
本書「解説」より
江戸時代は、士農工商の身分制度が人びとを律していた。女が、思うように生きがたい時代であった。貧しい生活の中にも幸福はあったろうが、それは家族の心が寄り添っていた場合である。女の幸不幸は、男によって左右されていたと言ってもよいであろう。頭がにぶいばかりに夫に去られる「捨てた女」のふき、足がわるいゆえに夫を失いかけた「泣かない女」のお才、男をおもいながらも、別れ話にさらりと応じた「朝焼け」のお品、いずれもあわれである。
「ちきしょう!」のおしゅんとなると、あわれを通り越して悲惨である。
――原田康子(作家)
藤沢周平(1927-1997)
山形県生れ。山形師範学校(現在の山形大学)卒。中学の教員、業界紙の記者を経て、1971年「溟い海」でオール讀物新人賞を受賞し作家デビュー。1973年「暗殺の年輪」で直木賞を、1986年『白き瓶』で吉川英治文学賞を、1989年、作家生活全体の功績に対して菊池寛賞を、1990年『市塵』で芸術選奨文部大臣賞を、1994年、朝日賞、東京都文化賞を受賞。1995年、紫綬褒章を受章。1997年、山形県県民栄誉賞を受賞、鶴岡市から「顕彰の記」が贈られた。2010年、「鶴岡市立藤沢周平記念館」が開館。
- 本の長さ353ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日1985/2/27
- 寸法14.8 x 10.5 x 2 cm
- ISBN-104101247110
- ISBN-13978-4101247113
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登録情報
- 出版社 : 新潮社; 改版 (1985/2/27)
- 発売日 : 1985/2/27
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 353ページ
- ISBN-10 : 4101247110
- ISBN-13 : 978-4101247113
- 寸法 : 14.8 x 10.5 x 2 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 135,746位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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昭和2(1927)年、鶴岡市に生れる。山形師範学校卒業。48年「暗殺の年輪」で第六十九回直木賞を受賞。平成9(1997)年1月逝去(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『乳のごとき故郷 (ISBN-13: 978-4163726502 )』が刊行された当時に掲載されていたものです)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2013年9月11日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
心にじわっとくる作品が多い藤沢周平作品の中ではちょっと暗い感じです。
というのは結末があまりハッピーでないものが多かったからです。日本人はハッピーエンドが好きですから。
でも藤沢周平大好きです。
というのは結末があまりハッピーでないものが多かったからです。日本人はハッピーエンドが好きですから。
でも藤沢周平大好きです。
2024年1月3日に日本でレビュー済み
レビューに自分の読解力の低さも感性と洞察力の無さも分からずに、滔々と己の浅はかさを披歴している馬鹿がいますが、「人殺し」にしろ「ちくしょう!」にしろ、昨今見られる言わば「鬱展開」の様なそんな底の浅いものではありません。何も見いだせないなら、繰り返しますがそれは自分の底の浅さです。
少し長いですが、引用します。「人情といっても、善人同士のエール交換みたいな、べたべたしたものを想像されるにはおよばない。人情紙のごとしと言われた不人情、人生の酷薄な一面も残らず内にたくしこんだ、普遍的な人間感情の在りようだといえば、人情というものが、今日状況の中にもちゃんと息づいていることに気づかれると思う。……
人間の内部、本音ということになると、むしろ何も変わっていないというのが真相だろう。どんな時代にも、親は子を気づわざるを得ないし、男女は相ひかれる。景気がいい隣人に対する嫉妬は昔もいまもあるし、無理解な上役に対する憎しみは、江戸城中でもあったことである。
小説を書くということはこういう人間の根底にあるものに問いかけ、人間はこういうものかと、仮に答えを出す作業であろう」
「人殺し」は、そんな藤沢周平が描いた人情物語最大の問題作であり極北だと自分は思います。
没後も更にファンを増やし読み継がれている藤沢周平作品ですが、度々雑誌で特集が組まれたり読本が出版され、多くの著名人が言及しているにも関わらず、世評の高い直木賞受賞作の短編集「暗殺の年輪」「蝉しぐれ」や「三屋清左衛門残日録」等に比べてこの「人殺し」には殆ど触れる人がいません。解説の原田康子もです。ネットの時代になり、一般の人々も気軽に感想を述べる事ができる様になっても同様です。
多くの読者が触れようとしないのはなぜか?通常全てのエンターテイメントは悲劇であれ笑いを誘うものであれ、全て観客としてつまりは傍観者として楽しむことが出来ますが、この「人殺し」のみは言わば紙面の中から糾弾されている様な、非常に落ち着かない気分にさせられます。 読者にその実存性を突きつけ傍観者である事を許さないからです。
小説において何人称で書くかという事はとても重要です。どの人称で書くかによって全く違う作品になってしまうからです。 「人殺し」について作者本人が言及した形跡を見つけられませんでしたが、藤沢周平は全作品中唯一一人称で「人殺し」を書いています。そこに留意する必要があります。この一人称で藤沢周平が描いたものは何だったのか。
詳細はぜひ一読いただきたいですが、江戸時代と違い高度に法整備されている現代でも法の網の目のが欠けられていない後述のいじめの様な事案はまだまだありますし、突然の遭難等法の及ばない状況に置かれる可能性もゼロではありません。伊太蔵はスターリンや金日成や習近平やプーチンといった独裁者であり、特急サンダーバード号事件の暴行魔であり、またつい最近世間を騒がせていたジャニー喜多川であり、ブラック企業であり、また未だ後を絶たず何度も自殺者を出してきたいじめ事件そのものでもあるでしょう。それに対して、とった行動の是非は別として繁太の様な人物が現れることは稀です。そして全ての事態を座視したまま過ごし、事が起きた後は口々に繁太を非難しておきながら心の中では胸をなで下ろしながら、何事もなく暮らしていくであろう長屋住人は我々大半の読者自身です。
最後あのように終わるのも、作者が投げた訳では無論ありません。刑法史上に照らせば、恐らく繁太は死罪にはならないでしょう。遠島もしくは重追放から江戸所払いの間の追放刑のどれかでしょう。恩赦・特赦で江戸にもどる時がくるかもしれません。そのとき帰った繁太を受け入れる人はいるのか。それはお澄なのか。大家の孫兵衛か他のだれかか。あるいは身を持ち崩して無宿渡世に身をやつすのか。もはや推測の域を出ませんが、自分は「あなたが長屋の住人だったら、源次だったら、六助だったら、大家の孫兵衛だったら、繁太だったらどうします?」という問い、答えられない、答えたくない問いを読者に問うた作者が、繁太の救いもまた読者に問うたのではないでしょうか。
繰り返しますが、「人殺し」は、時代小説・人情物語の名手と言われた藤沢周平が書いたた最大の問題作であり極北だと自分は思います。
少し長いですが、引用します。「人情といっても、善人同士のエール交換みたいな、べたべたしたものを想像されるにはおよばない。人情紙のごとしと言われた不人情、人生の酷薄な一面も残らず内にたくしこんだ、普遍的な人間感情の在りようだといえば、人情というものが、今日状況の中にもちゃんと息づいていることに気づかれると思う。……
人間の内部、本音ということになると、むしろ何も変わっていないというのが真相だろう。どんな時代にも、親は子を気づわざるを得ないし、男女は相ひかれる。景気がいい隣人に対する嫉妬は昔もいまもあるし、無理解な上役に対する憎しみは、江戸城中でもあったことである。
小説を書くということはこういう人間の根底にあるものに問いかけ、人間はこういうものかと、仮に答えを出す作業であろう」
「人殺し」は、そんな藤沢周平が描いた人情物語最大の問題作であり極北だと自分は思います。
没後も更にファンを増やし読み継がれている藤沢周平作品ですが、度々雑誌で特集が組まれたり読本が出版され、多くの著名人が言及しているにも関わらず、世評の高い直木賞受賞作の短編集「暗殺の年輪」「蝉しぐれ」や「三屋清左衛門残日録」等に比べてこの「人殺し」には殆ど触れる人がいません。解説の原田康子もです。ネットの時代になり、一般の人々も気軽に感想を述べる事ができる様になっても同様です。
多くの読者が触れようとしないのはなぜか?通常全てのエンターテイメントは悲劇であれ笑いを誘うものであれ、全て観客としてつまりは傍観者として楽しむことが出来ますが、この「人殺し」のみは言わば紙面の中から糾弾されている様な、非常に落ち着かない気分にさせられます。 読者にその実存性を突きつけ傍観者である事を許さないからです。
小説において何人称で書くかという事はとても重要です。どの人称で書くかによって全く違う作品になってしまうからです。 「人殺し」について作者本人が言及した形跡を見つけられませんでしたが、藤沢周平は全作品中唯一一人称で「人殺し」を書いています。そこに留意する必要があります。この一人称で藤沢周平が描いたものは何だったのか。
詳細はぜひ一読いただきたいですが、江戸時代と違い高度に法整備されている現代でも法の網の目のが欠けられていない後述のいじめの様な事案はまだまだありますし、突然の遭難等法の及ばない状況に置かれる可能性もゼロではありません。伊太蔵はスターリンや金日成や習近平やプーチンといった独裁者であり、特急サンダーバード号事件の暴行魔であり、またつい最近世間を騒がせていたジャニー喜多川であり、ブラック企業であり、また未だ後を絶たず何度も自殺者を出してきたいじめ事件そのものでもあるでしょう。それに対して、とった行動の是非は別として繁太の様な人物が現れることは稀です。そして全ての事態を座視したまま過ごし、事が起きた後は口々に繁太を非難しておきながら心の中では胸をなで下ろしながら、何事もなく暮らしていくであろう長屋住人は我々大半の読者自身です。
最後あのように終わるのも、作者が投げた訳では無論ありません。刑法史上に照らせば、恐らく繁太は死罪にはならないでしょう。遠島もしくは重追放から江戸所払いの間の追放刑のどれかでしょう。恩赦・特赦で江戸にもどる時がくるかもしれません。そのとき帰った繁太を受け入れる人はいるのか。それはお澄なのか。大家の孫兵衛か他のだれかか。あるいは身を持ち崩して無宿渡世に身をやつすのか。もはや推測の域を出ませんが、自分は「あなたが長屋の住人だったら、源次だったら、六助だったら、大家の孫兵衛だったら、繁太だったらどうします?」という問い、答えられない、答えたくない問いを読者に問うた作者が、繁太の救いもまた読者に問うたのではないでしょうか。
繰り返しますが、「人殺し」は、時代小説・人情物語の名手と言われた藤沢周平が書いたた最大の問題作であり極北だと自分は思います。
2018年5月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
高名な作者の作品。読んだことが無かったので購入したが、残念ながら私の今の心とは異なる世界であった。
2019年5月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
御客様に薦められて購入しました。短編なので時間がない中でも読める。内容もおもしろい。
2021年7月3日に日本でレビュー済み
え、もう終わり?みたいな、呆気なさで終わる短編集。
もう少し踏み込めばもっと広がりを見せそうな物語ばかりだ。
その中でも、私は「人殺し」が好きだ。
なんとも言えない、後味の悪さともやもやした物語。
長屋に棲み着いた悪党。傍若無人の振る舞いを見せる。そこに立ち上がる主人公。匕首片手に悪党を殺す。
まさに英雄の如くの活躍である、ところが、長屋に住み悪党に散々苦しめられてきた、仲間だと思っていた住人は、そんな彼に冷たい視線を浴びせる。
読み終えて複雑な気持ちになる、もやもやとなる。主人公はいいことをしたではないか、という思いで読んでいたのに、結末はまるで違うのだ。
そこで起こる、自分の中での葛藤。主人公を褒める自分と、いややはり殺しはまずいのではないのかという気持ちのぶつかり合い。
本音と世間体が自分の中で葛藤し合うのだ。
そう簡単に人を殺してはいけない、しかし殺されても当然だと思う人間もいる。
この折り合いをどうするのか投げかけて来る物語。読み終えたあとの葛藤ともやもやが、私にはむしろ心地よく、読後の余韻がいつまでも続いた。
もう少し踏み込めばもっと広がりを見せそうな物語ばかりだ。
その中でも、私は「人殺し」が好きだ。
なんとも言えない、後味の悪さともやもやした物語。
長屋に棲み着いた悪党。傍若無人の振る舞いを見せる。そこに立ち上がる主人公。匕首片手に悪党を殺す。
まさに英雄の如くの活躍である、ところが、長屋に住み悪党に散々苦しめられてきた、仲間だと思っていた住人は、そんな彼に冷たい視線を浴びせる。
読み終えて複雑な気持ちになる、もやもやとなる。主人公はいいことをしたではないか、という思いで読んでいたのに、結末はまるで違うのだ。
そこで起こる、自分の中での葛藤。主人公を褒める自分と、いややはり殺しはまずいのではないのかという気持ちのぶつかり合い。
本音と世間体が自分の中で葛藤し合うのだ。
そう簡単に人を殺してはいけない、しかし殺されても当然だと思う人間もいる。
この折り合いをどうするのか投げかけて来る物語。読み終えたあとの葛藤ともやもやが、私にはむしろ心地よく、読後の余韻がいつまでも続いた。
2005年9月3日に日本でレビュー済み
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泣ける本、心が温まる本というのはよく聞きますが、「驟り雨」は心が落ち着くような物語が集まった短編集です。仕事や生活に疲れた、心がちょっとすさんだかなと感じたとき、人生って案外いいよなって思わせます。初めて藤沢周平作品を読もうと思った人にもお勧めします。
2021年2月27日に日本でレビュー済み
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「凡作だから読まなくてもいい」、ではなくて「読まないほうがいい」ということ。
なぜなら気分悪くなるから。
ここのところ藤沢周平作品を続けて読んでいるが、もしこの作品集から入ったなら他の作品は読んでなかった可能性もある。
本作品集でよかったのは表題作の『驟り雨』。これは紛うことなき傑作。
あとはギリで『朝焼け』。ストーリーはさしておもしろくないが、賭場が徐々に熱くなって行く描写が見事なので。藤沢周平は賭場と博打に魅せられた人間を書かせるとうまい。
---p.191 「それではみなさんお揃いのようだから、盆を開けましょうか」
新吉は、はっとして顔をあげた。いつの間にか、賭場の中は暗くなり、灯が持ち出されている。
* * *
本題はこっからだね。
オレは『ちきしょう!』『人殺し』のような作品になんの意味も見出せないもの。
『ちきしょう!』は女がつらい思いをして酷い扱いを受けて、ムナクソ悪いまんま終わる。
『人殺し』も同様。気分悪い描写が続いて最後に救いもない。
解説子が語る「これも人生だ(だから人生みんな素晴らしい)」なんて読者に丸投げする作品は大嫌いだな。
あと、解説子は『運の尽き』に割と高評価しているが、これもどうだかねぇ。
オレは陳腐だな、と思った。
自分はこの後も本や音楽のレビューをしていくけど、「○○作品にハズレなし!」なんてことは絶対にないのだ。
そういうレビューをする人をオレは誰一人として信用しない。
なぜなら気分悪くなるから。
ここのところ藤沢周平作品を続けて読んでいるが、もしこの作品集から入ったなら他の作品は読んでなかった可能性もある。
本作品集でよかったのは表題作の『驟り雨』。これは紛うことなき傑作。
あとはギリで『朝焼け』。ストーリーはさしておもしろくないが、賭場が徐々に熱くなって行く描写が見事なので。藤沢周平は賭場と博打に魅せられた人間を書かせるとうまい。
---p.191 「それではみなさんお揃いのようだから、盆を開けましょうか」
新吉は、はっとして顔をあげた。いつの間にか、賭場の中は暗くなり、灯が持ち出されている。
* * *
本題はこっからだね。
オレは『ちきしょう!』『人殺し』のような作品になんの意味も見出せないもの。
『ちきしょう!』は女がつらい思いをして酷い扱いを受けて、ムナクソ悪いまんま終わる。
『人殺し』も同様。気分悪い描写が続いて最後に救いもない。
解説子が語る「これも人生だ(だから人生みんな素晴らしい)」なんて読者に丸投げする作品は大嫌いだな。
あと、解説子は『運の尽き』に割と高評価しているが、これもどうだかねぇ。
オレは陳腐だな、と思った。
自分はこの後も本や音楽のレビューをしていくけど、「○○作品にハズレなし!」なんてことは絶対にないのだ。
そういうレビューをする人をオレは誰一人として信用しない。