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水底の歌―柿本人麿論 (上) (新潮文庫) 文庫 – 1983/3/1

4.0 5つ星のうち4.0 41個の評価

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柿本人麿は流罪刑死した――。
千二百年の時空を飛翔して万葉集に迫り、
正史から抹殺された古代日本の真実をえぐる梅原日本学の大作。大佛次郎賞受賞!


天下第一の詩人、歌聖柿本人麿は、時の政権に地位を追われ、はるか石見国に流罪刑死!斎藤茂吉、さらには遡って賀茂真淵の解釈によって定説とされて来た従来の常識を徹底的に粉砕し、1200年の時空を超えて、日本古代史と万葉集の不可分の関係をえぐる。人麿の絶唱は何を意味するか。正史から抹殺され、闇の中に埋もれた巨大な真実を浮彫りにする雄渾無比の大作。


【目次】

第一部柿本人麿の死――斎藤茂吉説をめぐって――


歌聖・柿本人麿の秘密/終焉の地をめぐる謎/斎藤茂吉による鴨山・石川の推定/茂吉の詩的直観と沢瀉・土屋・武田三氏の反応/茂吉の鴨山発見――三つの前提条件/茂吉の推論――鴨山捜索の三つの鍵/カメはカモより転じ、貝は峡を表わす/浜原への道――人麿のルートの推定/砂鉄の地の伝染病――人麿の死因の推定/不都合な二首は万葉編者の失態である/茂吉による人麿像の学界および歌壇制覇/折口信夫の人麿・吟遊詩人集団説/折口・高崎・谷本説と茂吉の猛烈なる反撃/郷土史家への先制攻撃と石河邑の発見/亀村の津目山に推定するための茂吉の苦闘/代用証明を積み重ねる茂吉的執念「/鴨山考」の勝利と新しい鴨山の発見/あっけない変説と茂吉の鴨山歌

第二章鴨山考批判
鴨山五首は一組で人麿の最期を語っている/イハネシマケルの誤読に立つ鴨山イメージ/仙覚・契沖・真淵ら古注のとる第二首の解/カヒニマジリテの誤解による石川イメージ/大いなるものは悲嘆であって景色ではない/当代随一の詩人がなぜ辺境で淋しく死んだか/契沖の下級官吏説と真淵の朝集使説/下級役人赴任説のもつ数々の矛盾/石見出生説・遊芸集団説・流罪説/茂吉の浜原・人麿終焉地説と矢富氏の実証的反論/詩人の空想が生んだ浜原の砂鉄採掘事業/近代主義的万葉理解の限界――真淵の古今序改竄/人麿と平城天皇を結ぶ伝承――水・悲劇・猿の心象/正史に残る柿本佐留の痕跡と真淵の論断/仙覚と由阿の古注に見る人麿の死の解釈/伝承のつたえる人麿と子・躬都良の運命/正徹のつたえる高津在の人麿木像の怪異/忌日の伝承――核をなす流罪・水死・怨霊の心象/巻一・巻二は古代統一国家形成を歌う叙事詩である/運命の年・大宝元年と和銅元年――人麿と不比等

第三章 柿本人麿の死の真相
鴨山五首が語る悲劇の三つの局面/墓のある小島で詩人は自らの挽歌をうたう/人麿はいかに葬られたか――山峡説と火葬説/合理的解釈ゆえのさまざまな誤読――土葬説ほか/古注に見る浮舟の死のはるかなこだま/夫の水死体を探しあぐねた妻は悲嘆にくれる/名を秘めた友人の権力者に対する痛切な告発『/竹取物語』に忍びこませた不比等への諷刺/都の人々は人身御供の噂に恐れおののく/流罪の地としての鴨島と木梨軽太子の場合/出雲神話の伝える不幸な父子の処刑/春の海の無惨な水死刑――人麿の最期/万葉集編者はひそかに圧殺された真実を語る/流人の島・狭岑島の痛ましい遺跡群/凄惨きわまりない美――流人・人麿の絶唱

第二部 柿本人麿の生――賀茂真淵説をめぐって――

第一章 賀茂真淵の人麿考
人麿論の方法について/賀茂真淵の人麿解釈/柿本氏の消長と万葉集復権期の暗合/人麿時代考に重なる『古今集』仮名序解釈/俊成と定家の先説にたいする懐疑の表明/二条家における権威ある誤謬の形成/定家の仮名序否定と万葉集成立期の推論/契沖の家持私撰説と真淵の二段階編集説/真淵の人麿年齢考の二つの前提/八色の姓制定と柿本朝臣登場の意味/伝承の正三位と考証の下級地方官との間『/人丸秘密抄』の奇妙な記述と真淵の考証の圧勝『/古今集』仮名序を改竄する真淵の近代合理主義/原典を書きかえた文献学者・真淵の弁明/古今序の謎と近代考証学の限界/紀氏の屈折した主張と柿本猨の秘密

第二章 年齢考
はたして正史は人麿にふれていないか/八色の姓の政治効果/持統体制確立のための人材登用/名門・大伴氏の疎外と新興・柿本氏の登場/人麿と猨――ありうる三つの関係/人麿の死と佐留の死は重ねることができる/真淵の人麿=舎人説は十分な論証といえない/真淵の呪縛力と土屋文明の懐疑/草壁挽歌にこだまする天孫降臨神話


梅原猛(1925-2019)
宮城県生まれ、哲学者。国際日本文化研究センター顧問。京都大学文学部哲学科卒業。立命館大学教授、京都市立芸術大学学長、国際日本文化研究センター所長などを歴任。縄文時代から近代までを視野におさめ、文学・歴史・宗教等を包括して日本文化の深層を解明する幾多の論考は〈梅原日本学〉と呼ばれる。著書に『隠された十字架一法隆寺論』、『葬られた王朝一古代出雲の謎を解く』、『親鸞「四つの謎」を解く』(以上すべて新潮社)など多数。


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隠された十字架―法隆寺論― 水底の歌―柿本人麿論―〔上〕 水底の歌―柿本人麿論―〔下〕 天皇家の“ふるさと"日向をゆく 葬られた王朝―古代出雲の謎を解く― 親鸞「四つの謎」を解く
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【新潮文庫】梅原猛 作品 法隆寺は怨霊鎮魂の寺!大胆な仮説で学界の通説に挑戦し、法隆寺に秘められた謎を追い、古代国家の正史から隠された真実に迫る。 柿本人麿は流罪刑死した。千二百年の時空を飛翔して万葉集に迫り、正史から抹殺された古代日本の真実をえぐる梅原日本学の大作。〈大佛次郎賞受賞〉 天孫降臨は事実か?梅原猛が南九州の旅で記紀の神話を実地検証。戦後歴史学最大の”タブー”に挑む、カラー満載の大胆推理紀行! かつて、スサノオを開祖とする「出雲王朝」がこの国を支配していた。『隠された十字架』『水底の歌』に続く梅原古代学の衝撃的論考。 出家の謎、法然門下入門の理由、なぜ妻帯したか、罪悪感の自覚……聖人を理解する鍵は、「異端の書」の中の伝承に隠されていた!

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 新潮社; 改版 (1983/3/1)
  • 発売日 ‏ : ‎ 1983/3/1
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 文庫 ‏ : ‎ 432ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4101244022
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4101244020
  • 寸法 ‏ : ‎ 14.8 x 10.5 x 2 cm
  • カスタマーレビュー:
    4.0 5つ星のうち4.0 41個の評価

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梅原 猛
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上位レビュー、対象国: 日本

2023年9月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
松尾芭蕉とならぶ日本最大の詩人である柿本人麿は長らく、島根県益田市の高津川河口の鴨島で死んだとされてきた。だが、そんな辺鄙な島で国府の役人が死ぬわけがない、と、斎藤茂吉は、海辺ではなく江の川上流で、たたら製鉄の仕事の監督にきて、伝染病に罹患して死んだと主張する。
 学界と歌壇は、斎藤茂吉の人麿終焉地の説をほぼ信じた。
 梅原は茂吉の説にまず反旗を翻す。
 人麿が「自らの死を傷む歌」をつくったのは、自らの死が確実であることを意識し、その死がのぞましくないからだ。
 人麿は死後、「神」としてまつられた。神になる人は、藤原広嗣、菅原道真、平将門、崇徳上皇など、恨みをのんで死んでいった人間ばかりだ。
 人麻呂は、島にながされ、そこで水死という形で処刑されたとのだと筆者はいう。
 茂吉説へ反証するうちに、茂吉に影響をあたえた江戸時代の国学者・賀茂真淵らが最大の敵として浮かび上がる。
 賀茂真淵や契沖は、五位以上の貴族の死は「薨」「卒」と表記されるのに人麿は「死」と表記されていることや、五位以上なら正史にしるされるが、人麿は正史にでてこないことから、人麿は六位以下だったと判断する。石見の僻地につかわされた下級役人が、偶然の病で死んだ、という筋書きだ。
 だが、 紀貫之が編纂した「古今集」の真名序・仮名序には人麿は三位、すくなくとも五位以上であるとしるされている。真淵は「それは後世の人がまちがって書き加えた」と断じた。
 梅原は、真淵の判断に疑問を抱く。紀貫之が、人麿の運命や地位を誤記するわけがないからだ。
 実は、柿本人麿とほぼ同時期に、天武10年に従五位下に位置づけられている柿本猴(佐留=さる)が死んだ。
 猨は人麿の父、という説もあるが、2人は同一人物ではないか、と梅原は考え、人麿の生年が猨とほぼ同じである可能性があることを示していく。
 「猨(サル)」という名は蔑称である可能性が高い。時の権力者の不興を買って蔑称を押しつけられる例は少なくないからだ。
 人麿は、皇族の挽歌をいくつもつくってきたが、もっとも人麿を重用した持統天皇への挽歌はつくらなかった。それは「ヒトマロ」が「サル」と女帝に改名されて近江か四国の岑島に追放中だったからではないか。
 さらに「猿丸大夫」の伝説に梅原は目をむける。猿丸は「有名な歌人」とされながら、古今集にも万葉集にもその名がでてこない。実は「サルマル」は「ヒトマル」ではないか……。
 人麿=猨なら、身分上の説明はつく。罪人として流されていれば「死」と表記されるのもおかしくない。
 人麿の死んだ(和銅元年)わずか1カ月前、藤原不比等が権力の掌握をはたしている。
 藤原氏をトップとした律令制の秩序と、古くからの勢力とつながっていた詩人とは相容れなかった。当代一の詩人の死は「律令体制(藤原)に逆らうとこうなるぞ」という脅しとして機能したのではないか。
 地方へ赴任して伝染病で死んだかわいそうな下級官僚ではなく、中央の権力争いにやぶれ、世にも悲しげな辞世の歌を残して入水自殺した流刑の貴族だったのだ。
3人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2012年12月12日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
 人麻呂の生涯に興味があったが、その詳細な考察に著者の並々ならぬ情熱を感じた。
5人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2009年9月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
昔図書館で借りて読んだのを今度は購入して読み返しています。この本から万葉集を開き、また古今集を開き最近は古典文学者になったような気分です。
それにしても梅原先生の研究熱心さには恐れをなします。やはりあれくらい本を読みこなさなければ文章が生まれないのですね。「作家」という人々はみんなそうなのでしょう。今更ながら自分の勉強不足を見せ付けられています。
9人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2023年9月27日に日本でレビュー済み
柿本人麻呂(660-724)は、飛鳥時代の歌人。名は「人麿」とも表記される。後世、山部赤人と共に歌聖と呼ばれ、称えられている。
◯やっと上下を読み終わった。梅原猛氏の著書は、文献(漢文、古文)の引用が多く、それを追っていくだけで結構シンドイものがある。しかし、次々とその内容が的確にまとめられて進んで行く、この強靭な思考力には圧倒される。先日読んだ『聖徳太子』も、本書『水底の歌』も、僕に日本古代史の新たな世界を見せてくれた。もう40年も昔の著書なんだけれど、僕には新鮮だった。しかし未だ梅原氏の主張は公式には認められていないようだ。日本の歴史学者や国学者などは沈滞してしまって、精神の不毛の時代が続いているのだろう。そして、それは江戸時代、戦前・戦後、現在もそうだということだ。
◯本書の内容1
・本書は、万葉集の歌人として有名な「柿本人麻呂」について研究したものだ。江戸時代に、万葉集は賀茂真淵、古事記は本居宣長によって読めるようになったものだ。しかし、これら国学者は日本の古代を理想化し、古事記=「素朴で明るい神話」、万葉集=「健康でますらおぶりな歌集」という理解をし、その見方が明治から今日までの常識となってしまっていた。梅原猛氏は、こういった万葉集の権威、賀茂真淵、契沖、本居宣長や明治の斎藤茂吉などの見方を批判的に検討することによって、新しい「柿本人麻呂」像と「万葉集」の姿を示したのだと思う。
・さて「柿本人麻呂」とは何者か?日本の詩歌が1400年あるとして、その中で最も大きな画期が「柿本人麻呂」の登場だと言われる人物である。従来から、賀茂真淵などによって「柿本人麻呂」は身分の低い下級官僚の歌人として平凡な人生を送った、とされていた。しかし梅原猛氏によれば、「柿本人麻呂」は持統天皇(690-697)に寵愛され、宮廷歌人として高位に上りながら、皇位継承問題という血なまぐさい世界に巻き込まれ、藤原不比等という権力者の登場によって、流人として諸国を放浪し、最後に石見国(いわみのくに)で刑死(水死)したというのだ。
・それでは「万葉集」とは何だったのか?結論的に言えば、無実の罪によって死んでいった「柿本人麻呂」の怨霊の鎮魂として作られたものだ。当初、大伴家持(718-785)が私的な勅撰集として作ったもの(「原万葉集」)がベースとなって、平城天皇(806-809)の時に現在の「万葉集」が作られたというわけだ。
・「原万葉集」は、巻一、巻二から構成されている。概ね次のようなものだ。
1)巻一は、壮大な歴史的叙事詩となっていて、舒明帝から元明帝までの歴史ドラマが展開され、人間が公的に、パブリックに語られている。
2)巻二は、相聞と挽歌、愛と死がテーマとなっている。人間が私的に、プライベイトに語られている。
・このように、「歌集」というものを見る場合、個々の歌を鑑賞するだけでは不十分であり、その「歌集」全体を俯瞰することによって、真の姿が見えてくる。「原万葉集」も、ミクロからマクロの視点で眺める時、その姿が明らかになってゆくのだ。(小名木善行『百人一首』)
・その中心テーマは「柿本人麻呂」の死である。そして、この「歌集」をまとめた大伴家持は、律令体制を築いた藤原氏によって迫害を受けた人物であり、藤原氏の独裁体制に対する告発として、この「原万葉集」を作ったと考えられるのだ。
・そして、なぜこの時だったのか?それは、桓武天皇(781-806)が弟の早良親王(崇道天皇)を死に追いやったことで怨霊に苦しめられ、怨霊鎮魂をあれこれ行っても天変地異や近親者の死が止まらず、桓武天皇は死の間際に次の天皇である平城天皇(806-809)に託したものが、怨霊鎮魂としての「万葉集」作成だったというわけだ。
◯本書の内容2
・本書は、斎藤茂吉の『鴨山考』、すなわち「柿本人麻呂」が亡くなった場所の批判的検討から始まり、賀茂真淵の「柿本人麻呂論」について、詳細にわたって論破して行く。
1)柿本人麻呂の名が『日本書紀』などの正史にないのは何故か?
2)人麻呂の時代とは、どんな時代だったのか?
3)人麻呂は若くして死んだということだが、ほんとうか?
4)人麻呂の官位は低いと言われてきたが、ほんとうか?
5)『古今集』の紀貫之による序文は間違っている、という解釈により、賀茂真淵はその序文を削除してしまった。しかしそれは正しかったのか?
・これらの問題点を「これでもかこれでもか」と検討して行く、その情熱はすごいと思った。「お前の異常な仕事の原動力は何か?」と尋ねられた時、その時は答えなかったが、それは「絶望」なんだと、後に梅原猛氏はそう語っている。何か、ギリシャ神話のアポロン的世界の背後にディオニッソス的世界を見つけた「天才古典文献学者」(西尾幹二『ニーチェ』)を見る思いだ。
・人麻呂の名が正史に無いことについては、人麻呂ではないが「柿本臣猨(サル)」という名が『日本書紀』にあり、これが人麻呂ではないかと梅原猛氏は推定する。蛇足だが、この「人麻呂=猨=猿丸大夫」説を題材として、井沢元彦氏が『猿丸幻視考』という小説を書いている。
・人麻呂が生きた時代は(6世紀から7世紀)、大陸では隋が滅び唐が興り、朝鮮半島は新羅が勃興、唐と新羅の連合軍に敗れて(白村江の戦い 663)日本は百済を失う、といった脅威に日本は直面していた。国内では、豪族の蘇我氏の権力に対する反攻(大化改新 645)があり、秩序回復=律令体制の構築という動きが起こる。天智天皇から天武天皇、その皇后の持統天皇(690-697)に移るが、この持統天皇の時に柿本人麻呂は活躍したわけだ。この時、大陸では女帝の則天武后の時代となっており、持統天皇は影響を受けたようである。持統天皇は皇位継承に悩んだ形跡があり、それが『古事記』の「アマテラス神話」となり、「天皇」という称号も、この時期に権力者の中臣不比等(藤原不比等)が係わったのだと、梅原猛氏は仮説として語っている。しかしこの辺の話は別の著作に譲る必要があるのかもしれない。
◯梅原猛氏の弱点
・最近の僕が日本古代史に関心を持ったのは、長浜浩明『日本人のルーツの謎を解く』を読んでからだ。そこには、戦後GHQの行った「公職追放」や最近の「近隣諸国条項」によって、日本の歴史が歪められていることが語られていた。そういった観点から後年の梅原猛氏の言説を見る時、「原発反対」とか「憲法九条を守れ」とかいった「左翼リベラル的イデオロギー」に無批判な、梅原猛氏の一面を見てしまう。しかしそれにもかかわらず、梅原猛氏の日本古代史の著作、仏教思想史の著作は素晴らしい。但し、梅原猛氏の「縄文」や「アイヌ」についての見解については、再検討の必要性があるのだろう。
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2017年12月30日に日本でレビュー済み
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歌の聖とうたわれた柿本人麿は、契沖、真淵らの国学者によって、舎人あがりの下
級役人として石見の国鴨山で死んだとされてきた。人麿終焉の地鴨山の位置につい
ては、昭和の大歌人斎藤茂吉が大著『鴨山考』をあらわし、島根県湯抱の鴨山が人
麿終焉の地と認定した。この説は学界の称賛をあび、茂吉は歌人としてだけでなく
考証学者としても名声を博したのであった。

梅原猛は、古今にわたる人麿に関する論考、伝承を精査して茂吉の説を徹底的に批
判した。人麿終焉の場所だけでなく、人麿の身分、地位について新しい光を当てた。
そして人麿は真淵らの言うような下級役人ではなく、高位の顕官であったが、政争
に破れ流人として各地を転々としたあげく石見の国で水死刑に処せられたことを証
明した。梅原の説は、論理が極めて明快であり、納得性が極めて高い。

梅原の人麿水死刑説は、通説を疑い、新しい仮説をたて、多くの文献や事実検証に
よって仮説を証明した結果である。膨大な文献を精読した努力は敬服に値する。一
般読者からは高く評価されたが、国文学界、史学界からは無視された。刑死説を紹
介したのは、久松潜一、中西進などほんの一握りしかいない。梅原の人麿論は、人
麿が神として祀られた理由、失脚の政治的背景にまで踏み込んだ視野の広い労作で
あり、一読に値する。
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2010年9月7日に日本でレビュー済み
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本書の存在を知ったのは、随分前のことになります。
昭和55年(1980年)、その年の江戸川乱歩賞受賞作「猿丸幻視行」(
新装版 猿丸幻視行 (講談社文庫) )を購読したところ、その巻末の参考文献欄のトップに掲載されていたのが、本書でした。

最近になって、歴史関係書物の著作リストをネットで観ていたら、「そういえば、あの時の本ではないか」と本書が眼に止まり、読んでみることとした次第です。

その印象は、「猿丸幻視行」と同様、いやそれ以上に「歴史ミステリ」と呼べる作品なのではないかということです。
もちろん、本書が「学術論文」でありフィクションではないことは承知していますが、それでも「歴史ミステリ」と呼びたくなってしまいます。

本書の構成は、「第一部 柿本人麿の死」と「第二部 柿本人麿の生」から成ります。

第一部では、柿本人麿の終焉の地である「石見国の鴨山」を「島根県邑智村湯抱の鴨山」だとする「斎藤茂吉」の説を切り崩すことで、柿本人麿の悲劇的な最期の姿を浮き彫りにしていきます。

次の第二部では、定説となった人麿像を作り上げた、江戸時代の国学者、「賀茂真淵」への反論により、旧来になかった人麿像を推論していきます。

斎藤茂吉に対しては、「詩人の直観が導いた執念による説」、賀茂真淵については、「【古今集】の序文の一部を自分の説に沿わないからと改ざんする許せない行為を行った」と非常に手厳しいですが、「祟り神」をベースとした著者の人麿像に関する推論は、私には自然に受け止めることのできるものでした。

また、論の進め方も、一気呵成に突き進むのではなく、時々立ち止まって論点を整理したり、前に引用した古文書を再度引用するなど、「復習」をしながら論説していくスタイルで、こうした点が、普段古文に接していない一般の読者にも広く受け入れられる作品となっている要因ではないかと思います。
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