序盤のみ少々文体が硬く、複雑な比喩が続き読みにくさを感じました。
しかし物語が動き出すと非常に読みやすくなり、主人公のフクスケの心境と同じく何だかよくわからないままに
心をとらえる何かが存在し、アパッチ部落に惹きつけられ始めます。
男たちの皮膚から絶えず流れ落ちるすえた汗のにおいや、口に含んだホルモンのタイヤのような硬さ、
特性焼肉のタレのうま味、バケツのなかで血の泡ぶくを浮かべたドロドロの内臓、
闇に紛れてハンマーや鋸を持ち金属を殴る光景などが浮かんできて、
自分も彼らの仲間になったような気分に興奮してきます。
直接的な性描写などはありませんが、一本十円で買ったマッチを擦って暗がりで女の股を見ようとするシーンなどは
強烈な印象に残りました。野坂昭如のマッチ売りの少女でも同じような描写があります。
暴力や下品さが常に付きまとい、きれいなお話が読みたい人には向いていません。
ただ文学としての熱量に圧倒されることは間違いないです。
アパッチ族の説明がどうしても必要になるのでその部分は多少退屈に感じてしまうかもしれませんが
読んでみると知ることのなかった知識が得られて非常におもしろい小説でした。
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日本三文オペラ (新潮文庫) 文庫 – 1971/7/2
開高 健
(著)
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金はない。希望もない。秩序もない。
大阪を舞台に、猥雑と醜怪の極限を描く、人間の本質を抉り出す快作。 「裸の王様」で芥川賞を受賞した著者が、大阪のアウトロー集団に潜り込み、書き上げた。
大阪の旧陸軍工廠の広大な敷地にころがっている大砲、戦車、起重機、鉄骨などの残骸。この莫大な鉄材に目をつけた泥棒集団“アパッチ族"はさっそく緻密な作戦計画をたて、一糸乱れぬ組織力を動員、警察陣を尻目に、目ざす獲物に突進する。一見徒労なエネルギーの発散のなかに宿命的な人間存在の悲しい性を発見し、ギラギラと脂ぎった描写のなかに哀愁をただよわせた快作。
目次
第一章 アパッチ族
第二章 親分、先頭、ザコ、渡し、もぐり
第三章 ごった煮、または、だましだまされつ
第四章 てんでばらばら
第五章 銀が……
終章 どこへ?
解説 佐々木基一
本文より
新世界そのものは、美術館のある丘のしたにひろがった、むらむらとした湿疹部、または手のつけようもなくドタリとよこたわった胃袋とでもいえるようなところだから、ジャンジャン横丁はそれにつづく腸管みたいなものである。フクスケはその腸管のなかを流れる青い夕靄(ゆうもや)の川のなかにただよっていた。ここ二、三日、彼はなにも食っていなかった。彼のねぐらは胃袋の入口にあたるような、動物園の植込みのかげにあった。そんなところに寝起きしながら干されるというのはすこし妙な気がするが、事実であった。
(「第一章 アパッチ族」)
本書「解説」より
(開高健は)あたかも“すばらしいものは、醜悪な顔つきをしてしかこの世にあらわれない"ということを堅く信じて疑わないかのごとく、人間集団のエネルギーの厖大(ぼうだい)な浪費ともいうべき戦争や、あるいは死と破壊と無のためにのみ巨大なエネルギーを放出して自壊したファシズムの徒労のいとなみのなかに、宿命的な人間の悲しいさがを発見し、そこにひとつの「音楽」をききとることをやめないのである。
――佐々木基一(文芸評論家)
開高健(1930-1989)
大阪市生れ。大阪市立大卒。1958(昭和33)年、「裸の王様」で芥川賞を受賞して以来、「日本三文オペラ」「流亡記」など、次々に話題作を発表。1960年代になってからは、しばしばヴェトナムの戦場に赴く。その経験は「輝ける闇」「夏の闇」などに色濃く影を落としている。1978年、「玉、砕ける」で川端康成賞、1981年、一連のルポルタージュ文学により菊池寛賞、1986年、自伝的長編「耳の物語」で日本文学大賞を受けるなど、受賞多数。『開高健全集』全22巻(新潮社刊)。
大阪を舞台に、猥雑と醜怪の極限を描く、人間の本質を抉り出す快作。 「裸の王様」で芥川賞を受賞した著者が、大阪のアウトロー集団に潜り込み、書き上げた。
大阪の旧陸軍工廠の広大な敷地にころがっている大砲、戦車、起重機、鉄骨などの残骸。この莫大な鉄材に目をつけた泥棒集団“アパッチ族"はさっそく緻密な作戦計画をたて、一糸乱れぬ組織力を動員、警察陣を尻目に、目ざす獲物に突進する。一見徒労なエネルギーの発散のなかに宿命的な人間存在の悲しい性を発見し、ギラギラと脂ぎった描写のなかに哀愁をただよわせた快作。
目次
第一章 アパッチ族
第二章 親分、先頭、ザコ、渡し、もぐり
第三章 ごった煮、または、だましだまされつ
第四章 てんでばらばら
第五章 銀が……
終章 どこへ?
解説 佐々木基一
本文より
新世界そのものは、美術館のある丘のしたにひろがった、むらむらとした湿疹部、または手のつけようもなくドタリとよこたわった胃袋とでもいえるようなところだから、ジャンジャン横丁はそれにつづく腸管みたいなものである。フクスケはその腸管のなかを流れる青い夕靄(ゆうもや)の川のなかにただよっていた。ここ二、三日、彼はなにも食っていなかった。彼のねぐらは胃袋の入口にあたるような、動物園の植込みのかげにあった。そんなところに寝起きしながら干されるというのはすこし妙な気がするが、事実であった。
(「第一章 アパッチ族」)
本書「解説」より
(開高健は)あたかも“すばらしいものは、醜悪な顔つきをしてしかこの世にあらわれない"ということを堅く信じて疑わないかのごとく、人間集団のエネルギーの厖大(ぼうだい)な浪費ともいうべき戦争や、あるいは死と破壊と無のためにのみ巨大なエネルギーを放出して自壊したファシズムの徒労のいとなみのなかに、宿命的な人間の悲しいさがを発見し、そこにひとつの「音楽」をききとることをやめないのである。
――佐々木基一(文芸評論家)
開高健(1930-1989)
大阪市生れ。大阪市立大卒。1958(昭和33)年、「裸の王様」で芥川賞を受賞して以来、「日本三文オペラ」「流亡記」など、次々に話題作を発表。1960年代になってからは、しばしばヴェトナムの戦場に赴く。その経験は「輝ける闇」「夏の闇」などに色濃く影を落としている。1978年、「玉、砕ける」で川端康成賞、1981年、一連のルポルタージュ文学により菊池寛賞、1986年、自伝的長編「耳の物語」で日本文学大賞を受けるなど、受賞多数。『開高健全集』全22巻(新潮社刊)。
- 本の長さ352ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日1971/7/2
- 寸法14.8 x 10.5 x 2 cm
- ISBN-104101128022
- ISBN-13978-4101128023
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登録情報
- 出版社 : 新潮社; 改版 (1971/7/2)
- 発売日 : 1971/7/2
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 352ページ
- ISBN-10 : 4101128022
- ISBN-13 : 978-4101128023
- 寸法 : 14.8 x 10.5 x 2 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 90,225位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。
1930年大阪に生まれる。大阪市立大を卒業後、洋酒会社宣伝部で時代の動向を的確にとらえた数々のコピーをつくる。かたわら創作を始め、「パニック」で注目を浴び、「裸の王様」で芥川賞受賞。ベトナムの戦場や、中国、東欧を精力的にルポ、行動する作家として知られた。1989年逝去。(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 饒舌の思想 (ISBN-13: 978-4480426635 )』が刊行された当時に掲載されていたものです)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2019年5月21日に日本でレビュー済み
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2019年7月24日に日本でレビュー済み
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今の大阪城公園やOBPから想像できない世界が広がります。
この小説の前後に同じ場所を舞台にした小松左京の「日本アパッチ族」を
読めばもっと楽しめます。
現地に行くべし。
この小説の前後に同じ場所を舞台にした小松左京の「日本アパッチ族」を
読めばもっと楽しめます。
現地に行くべし。
2019年5月14日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
この小説は:フクスケの目で(ブツの掘り出し,仲間と運ぶ場面など)を描いていたりするかと思うと
作者の目で論理的に記述したりいる.映画で言えばカメラが何台もあってそれに応じてナレーションが随時変わるようなぐあいである.特に論理的な話筋のところは作者の取材にもとづいて説明していると思われる.重厚闊達なペンの運びでアパッチ部落の様相を東西南北に縦横無尽に描いている.開高健の昇竜時代の輝く作品である.
作者の目で論理的に記述したりいる.映画で言えばカメラが何台もあってそれに応じてナレーションが随時変わるようなぐあいである.特に論理的な話筋のところは作者の取材にもとづいて説明していると思われる.重厚闊達なペンの運びでアパッチ部落の様相を東西南北に縦横無尽に描いている.開高健の昇竜時代の輝く作品である.
2024年4月11日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
読みましたが暗い気持ちになりました。醜悪なものへの表現が執拗です。
2017年7月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
夜を賭けてと共に読みました。
アパッチ部落とその仕事に関してはこちらの方が詳しかった。
場所などに関する記載も詳しく、大阪を知っている人間であれば景色が想像できるほど。
ただし、登場人物の感情の動きがあまり描かれていないので、
その部分でこちらの方が淡白な読後感。
アパッチ部落とその仕事に関してはこちらの方が詳しかった。
場所などに関する記載も詳しく、大阪を知っている人間であれば景色が想像できるほど。
ただし、登場人物の感情の動きがあまり描かれていないので、
その部分でこちらの方が淡白な読後感。
2014年10月26日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「大きなエネルギーの放出」を描かせたら、右に出る者なし!の開高健。
この「日本三文オペラ」の威力も、やはりハンパなし。
この1冊の耽読で…。
肌がカッと熱を帯びはじめ、血管をざわめきながら血が走り、
鼻で群衆の臭い息を嗅ぎ、耳には猥談としのび笑い、
舌に得体の知れぬ酒の炸裂、心に爆発寸前の圧縮パワー…
などなどの快感と苦痛をまざまざと感じてしまう。
まさに脈を打つブンガク。
開高ワールドは「読む」というより、
自分の五感すべてで「体感する」ものなのだ。
この「日本三文オペラ」の威力も、やはりハンパなし。
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鼻で群衆の臭い息を嗅ぎ、耳には猥談としのび笑い、
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などなどの快感と苦痛をまざまざと感じてしまう。
まさに脈を打つブンガク。
開高ワールドは「読む」というより、
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2014年8月7日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
大学生の頃に初めて読んで以来、何度も読み返した愛読書です。
なんだろう?新興住宅の核家族、サラリーマンの家庭という、現代の平均的な暮らしをしてきた僕みたいな人はたくさんいて、みんな清潔でスマートな暮らしをしてるんだけど、だからこの本に引かれたんでしょうね。
男はこういうのに少しは憧れがあるもんです。海賊や荒くれ者が、肉を齧りながら酒盛りしたりするような。
働き、酒を飲み、眠る。住所不定の男たちの溜まり場。
ラスト近く、背広を着て電車に乗るサラリーマンたちと、消え行くアパッチ部落の対比は、間違いなく「寂しさ」を喚起します。
なんだろう?新興住宅の核家族、サラリーマンの家庭という、現代の平均的な暮らしをしてきた僕みたいな人はたくさんいて、みんな清潔でスマートな暮らしをしてるんだけど、だからこの本に引かれたんでしょうね。
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