著者は取材で東京オリンピックの会場だった代々木公園、駒沢公園、国立競技場を何度も歩いたという。どの会場から見上げても、青空が広がっていた。高層ビルが倒れかかってくるような圧迫感はない。
思えば、1964年、東京ではどこでも広い空が見えたはずだ。人々は広い空を見上げながら、ほがらかに働いていた。あの時代、何かが起こるのを待つのではなく、自ら変化を求め、がむしゃらに突き進んでいた。そんな時代の活力を描き、自ら変わることの大切さを訴えたくて著者は本書を書いたという。
本書の中心となるのは、ポスターをつくった亀倉雄策と記録映画の監督の市川崑。でも、著者はそれ以外の多くの人たちへの目配りも忘れない。競技の結果をリアルタイムで集計するしくみをつくった日本IBMの社員たち、美味しくてコストのかからない料理を提供するために半年前から食材を買い込んで冷凍貯蔵した選手村の料理長。冷凍食品を認めない上司を説得できたのは、料理長が戦後2年間シベリアに抑留された経験からきた解凍ノノウハウだった。オリンピック開催のわずか10日前に新幹線の営業開始にこぎつけた国鉄マンたちのがむしゃらな情熱。世界からのお客さんのためにピクトグラムを開発したデザイナーたち。
青空を見上げながら、がむしゃらな情熱で働いた人たちの思いに胸をうたれる。著者が取材を開始してから15年かけて完成した本だというが、確かに著者自身の思いもひしひしと伝わってくる。
コロナウィルスでオリンピックが延期となり、暗いニュースばかりのこの頃。家で本を片付けていたら出てきたので、読みだしたら、結局再読してしまった。青い空を見上げながら夢を追いかけていた人たちから元気をもらいました。

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TOKYOオリンピック物語 (小学館文庫 の 4-3) 文庫 – 2013/10/8
野地 秩嘉
(著)
2020年東京大会決定で、緊急発売!
2020年東京大会決定!日本に再び感動と熱きドラマがやってくる。敗戦国日本の復興を世界へと知らしめたのは前回、1964年の東京オリンピック。奇跡といわれた成功を陰で支えた人々のたゆまぬ努力を描いた傑作ノンフィクションがついに文庫化。
「東京」から「TOKYO」へと世界に日本の復興と実力を知らしめた大舞台。この成功により日本は世界の表舞台に躍り出た。この成功の裏で苦闘した仕掛け人たちのドラマを克明に描く。
予算的にも規模的にも空前絶後の大プロジェクトであった東京オリンピック。各分野から集められた建築家、技術者、カメラマン、デザイナー、シェフ、映画監督、作曲家たち。若く実力もある彼ら、しかし問題は誰ひとりとしてオリンピックを経験したことが無かったことだった……。彼等はいかにしてオリンピックを成功に導いたのか。著者が15年に渡り徹底取材した読み応えのある一冊。本書に登場する人々-市川崑、宮川一夫、黛敏郎、亀倉雄策、谷川俊太郎、高峰秀子、植木等、村上信夫、飯田亮(一部)。NHK、朝日新聞、日経新聞、週刊文春ほか各メディアで大絶賛された傑作ノンフィクション。
2020年東京大会決定!日本に再び感動と熱きドラマがやってくる。敗戦国日本の復興を世界へと知らしめたのは前回、1964年の東京オリンピック。奇跡といわれた成功を陰で支えた人々のたゆまぬ努力を描いた傑作ノンフィクションがついに文庫化。
「東京」から「TOKYO」へと世界に日本の復興と実力を知らしめた大舞台。この成功により日本は世界の表舞台に躍り出た。この成功の裏で苦闘した仕掛け人たちのドラマを克明に描く。
予算的にも規模的にも空前絶後の大プロジェクトであった東京オリンピック。各分野から集められた建築家、技術者、カメラマン、デザイナー、シェフ、映画監督、作曲家たち。若く実力もある彼ら、しかし問題は誰ひとりとしてオリンピックを経験したことが無かったことだった……。彼等はいかにしてオリンピックを成功に導いたのか。著者が15年に渡り徹底取材した読み応えのある一冊。本書に登場する人々-市川崑、宮川一夫、黛敏郎、亀倉雄策、谷川俊太郎、高峰秀子、植木等、村上信夫、飯田亮(一部)。NHK、朝日新聞、日経新聞、週刊文春ほか各メディアで大絶賛された傑作ノンフィクション。
- 本の長さ361ページ
- 言語日本語
- 出版社小学館
- 発売日2013/10/8
- 寸法10.5 x 1.4 x 15 cm
- ISBN-104094088768
- ISBN-13978-4094088762
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登録情報
- 出版社 : 小学館 (2013/10/8)
- 発売日 : 2013/10/8
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 361ページ
- ISBN-10 : 4094088768
- ISBN-13 : 978-4094088762
- 寸法 : 10.5 x 1.4 x 15 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 357,343位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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5 星
一年遅れの東京オリンピックイヤー
2020から2021に延期された東京オリンピック・パラリンピックにむけて改めてKindle版で購入した『TOKYOオリンピック物語』を読んでみる。亀倉雄策氏が手がけたポスターとスタートダッシュの写真は何度みてもカッコイイ!
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2020年7月6日に日本でレビュー済み
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2020年1月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
50年前のオリンピックが日本にとってどんなものだったのか、それはそれは大変なものでした。有名な亀倉勇作さんデザインの「日の丸と金色の1964・ポスター誕生の”現場”」を・味わってください。世界中から集まる選手たちの食べ物の総指揮をとった帝国ホテルの村上シェフ、さて何をしたのでしょうか?。現在の「日本」があるのはこのオリンピックがあったから、と言っても過言ではないでしょう。急成長した新生ニッポン!さて2020オリンピックはこれからの日本にどんな影響を与えるのでしょうか。
2021年4月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
明らかに練習の時に撮った鉄棒は残念。チャフラスカの平均台もやらせ。アップの映像はこの画角サイズだときついかと思った。
2021年8月12日に日本でレビュー済み
すごくよかった。この本はみんなに読んでもらいたい!
2020年の東京オリンピックにはいろいろ思うところがありました。それで、ふと1964年の東京オリンピックはどうだったんだろう?って気になって読みました。
日本は1945年に敗戦、1948年はオリンピックに招待されず、その16年後の1964年に東京オリンピックが開催されます。アジア初だったそうです。生まれてないからほとんど知らなかった。
本を開くと、最初の写真に心を奪われる。オリンピックのポスターだ。その他にも、当時の写真が並んでいて、時代を感じる。
この本はオリンピックの6つの舞台裏と、それを実行した人物にフォーカスしています。
1. グラフィックデザイン 亀倉雄策(デザイナー)
2. リアルタイムシステム 竹下亨(日本IBM)
3. 選手村の食事 村上信夫(帝国ホテルシェフ)
4. 警備 飯田亮(セコム創業者)
5. 記録映画 市川崑(映画督)
6. ピクトグラム 勝見勝(デザイナー)
詳しくは本を読んでもらいたいが、1964年の東京オリンピックでは、みんながほぼボランティアで、本気で頑張って、日本の力を世界に見せた。そして、その時に作ったインフラやノウハウをいかして、日本は高度成長をしたことがわかる。奪い合う利権もまだなかった時代。必死さが伝わってきました。
オリンピックで選手が1万人近くやってくる。宿泊して、安全に移動して、食事をする。それをしっかり管理することがいかに大変か、まったく考えたことなかった。スポーツ選手が1食に必要なカロリーは6000カロリーだそうだ。つまり2人分。だから、毎食2万人のバランスよい食事を提供しないといけない。
外国人もあまり来てない時代。言語の問題を解決するために、ピクトグラムを開発。見たこともないシャワーなどのアイコンを考えて。さらに、長期的な価値を考えて著作権を放棄。
それまでアナログで集計していた試合結果を、IBMがシステムを作って、リアルタイム速報を可能にしたり。
自衛隊だけでは警備が足りないから、民間警備会社も総動員。それがのちのセコムだったり。
グラフィックデザインや映画についてもかなり詳しく触れられている。みんなで協力して、グループで仕事をするキッカケになったのが興味深い。
だからこそ2020年のオリンピックは残念だ。幸い海外ではいい評価もされているみたいだし、選手村の選手も喜んでくれていたみたいだからよかったです。しかし、日本のメディアはネガティブな部分ばかり報道するし、実際残念な部分は多かった。利権の奪い合い。MIKIKOの開会式も着物も見たかったよ。
この本をオリンピック前に読んでいたら、ボランティアしてたかもしれない。この著者が2020年の東京オリンピックの本を最近出版したようなので買いました。届くのが楽しみです。
2020年の東京オリンピックにはいろいろ思うところがありました。それで、ふと1964年の東京オリンピックはどうだったんだろう?って気になって読みました。
日本は1945年に敗戦、1948年はオリンピックに招待されず、その16年後の1964年に東京オリンピックが開催されます。アジア初だったそうです。生まれてないからほとんど知らなかった。
本を開くと、最初の写真に心を奪われる。オリンピックのポスターだ。その他にも、当時の写真が並んでいて、時代を感じる。
この本はオリンピックの6つの舞台裏と、それを実行した人物にフォーカスしています。
1. グラフィックデザイン 亀倉雄策(デザイナー)
2. リアルタイムシステム 竹下亨(日本IBM)
3. 選手村の食事 村上信夫(帝国ホテルシェフ)
4. 警備 飯田亮(セコム創業者)
5. 記録映画 市川崑(映画督)
6. ピクトグラム 勝見勝(デザイナー)
詳しくは本を読んでもらいたいが、1964年の東京オリンピックでは、みんながほぼボランティアで、本気で頑張って、日本の力を世界に見せた。そして、その時に作ったインフラやノウハウをいかして、日本は高度成長をしたことがわかる。奪い合う利権もまだなかった時代。必死さが伝わってきました。
オリンピックで選手が1万人近くやってくる。宿泊して、安全に移動して、食事をする。それをしっかり管理することがいかに大変か、まったく考えたことなかった。スポーツ選手が1食に必要なカロリーは6000カロリーだそうだ。つまり2人分。だから、毎食2万人のバランスよい食事を提供しないといけない。
外国人もあまり来てない時代。言語の問題を解決するために、ピクトグラムを開発。見たこともないシャワーなどのアイコンを考えて。さらに、長期的な価値を考えて著作権を放棄。
それまでアナログで集計していた試合結果を、IBMがシステムを作って、リアルタイム速報を可能にしたり。
自衛隊だけでは警備が足りないから、民間警備会社も総動員。それがのちのセコムだったり。
グラフィックデザインや映画についてもかなり詳しく触れられている。みんなで協力して、グループで仕事をするキッカケになったのが興味深い。
だからこそ2020年のオリンピックは残念だ。幸い海外ではいい評価もされているみたいだし、選手村の選手も喜んでくれていたみたいだからよかったです。しかし、日本のメディアはネガティブな部分ばかり報道するし、実際残念な部分は多かった。利権の奪い合い。MIKIKOの開会式も着物も見たかったよ。
この本をオリンピック前に読んでいたら、ボランティアしてたかもしれない。この著者が2020年の東京オリンピックの本を最近出版したようなので買いました。届くのが楽しみです。
2014年11月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
すばらしい内容。筆者の根気強い取材が、このすばらしい本を生みました。
幼い頃テレビで見た東京オリンピック。このようなすばらしいエピソードがあったとは知りませんでした。
2020年の東京オリンピックも成功させ、東京だけでなく日本の復興につなげたい。さしあたっては人材はもちろん、地方の食材や建築材料を使ってほしいです。
幼い頃テレビで見た東京オリンピック。このようなすばらしいエピソードがあったとは知りませんでした。
2020年の東京オリンピックも成功させ、東京だけでなく日本の復興につなげたい。さしあたっては人材はもちろん、地方の食材や建築材料を使ってほしいです。
2011年3月11日に日本でレビュー済み
スポーツ選手ではなく、これまで取り上げられることのなかった、オリンピックを裏で支えた人たちの物語といううたい文句だけど、少しバランスが悪い。
6つの仕事が記載されているのだが、割かれたページ数は圧倒的に市川崑が撮った映画の話が多いのだ。映画は映画で重要だし、興味深い話ではあるが「裏で支えた」というイメージからは遠い。
また、「これまで取り上げられることのなかった」と言っているが、セコムの話は結構有名だ。
「勝者を速報せよ」「1万人の腹を満たせ」といった「裏で支えた」人たちの話は期待通りであり、とても面白いのだが、こうした人たちの話がバランスよく描かれていないので、期待とは裏腹に、全体として1つの物語が浮かび上がってこない。
6つの仕事が記載されているのだが、割かれたページ数は圧倒的に市川崑が撮った映画の話が多いのだ。映画は映画で重要だし、興味深い話ではあるが「裏で支えた」というイメージからは遠い。
また、「これまで取り上げられることのなかった」と言っているが、セコムの話は結構有名だ。
「勝者を速報せよ」「1万人の腹を満たせ」といった「裏で支えた」人たちの話は期待通りであり、とても面白いのだが、こうした人たちの話がバランスよく描かれていないので、期待とは裏腹に、全体として1つの物語が浮かび上がってこない。
2013年11月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
オリンピックに関わった数人の人物にスポットをあてて
その活躍を活写していた。
一丸となってオリンピックに参画した姿が目に浮かび
新しい国のステージが展開する節目になったことが
わかる一書であった。
その活躍を活写していた。
一丸となってオリンピックに参画した姿が目に浮かび
新しい国のステージが展開する節目になったことが
わかる一書であった。
2018年5月16日に日本でレビュー済み
2011年に出た単行本の文庫化。
1964年東京五輪について、裏方たちを中心に取材したもの。
ポスターのデザイナー、選手村食堂のシェフたち、記録映画を撮った監督、ピクトグラムの開発者、民間警備会社の創立者、速報システムの開発など。
綿密な取材とインタビューで構成されており、読みごたえのある一冊だ。
また、ここでつくりだされたシステムが、その後の日本の繁栄をつくりだしたとのスタンスから書かれており、ある種の読者には非常に受けるのではないか。
選手や試合についてはほぼ言及なし。
1964年東京五輪について、裏方たちを中心に取材したもの。
ポスターのデザイナー、選手村食堂のシェフたち、記録映画を撮った監督、ピクトグラムの開発者、民間警備会社の創立者、速報システムの開発など。
綿密な取材とインタビューで構成されており、読みごたえのある一冊だ。
また、ここでつくりだされたシステムが、その後の日本の繁栄をつくりだしたとのスタンスから書かれており、ある種の読者には非常に受けるのではないか。
選手や試合についてはほぼ言及なし。