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絞め殺しの樹 単行本 – 2021/12/1

4.1 5つ星のうち4.1 65個の評価

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あなたは、哀れでも可哀相でもないんですよ

北海道根室で生まれ、新潟で育ったミサエは、両親の顔を知らない。昭和十年、十歳で元屯田兵の吉岡家に引き取られる形で根室に舞い戻ったミサエは、ボロ雑巾のようにこき使われた。しかし、吉岡家出入りの薬売りに見込まれて、札幌の薬問屋で奉公することに。戦後、ミサエは保健婦となり、再び根室に暮らすようになる。幸せとは言えない結婚生活、そして長女の幼すぎる死。数々の苦難に遭いながら、ひっそりと生を全うしたミサエは幸せだったのか。養子に出された息子の雄介は、ミサエの人生の道のりを辿ろうとする。数々の文学賞に輝いた俊英が圧倒的筆力で贈る、北の女の一代記。

「なんで、死んだんですか。母は。癌とはこの間、聞きましたが、どこの癌だったんですか」
今まで疑問にも思わなかったことが、端的に口をついた。聞いてもどうしようもないことなのに、知りたいという欲が泡のように浮かんでしまった。
「乳癌だったの。発見が遅くて、切除しても間に合わなくてね。ミサエさん、ぎりぎりまで保健婦として仕事して、ぎりぎりまで、普段通りの生活を送りながらあれこれ片付けて、病院に入ってからはすぐ。あの人らしかった」(本文より)


【編集担当からのおすすめ情報】
絡み付いてね。栄養を奪いながら、芯にある木を締め付けていく。最後には締め付けて締め付けて、元の木を殺してしまう。その頃には、芯となる木がなくても蔓が自立するほどに太くなっているから、芯が枯れて朽ち果てて、中心に空洞ができるの。それが菩提樹。別名をシメゴロシノキ。

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登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 小学館 (2021/12/1)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2021/12/1
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 単行本 ‏ : ‎ 432ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4093866260
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4093866262
  • 寸法 ‏ : ‎ 13.4 x 3 x 19.4 cm
  • カスタマーレビュー:
    4.1 5つ星のうち4.1 65個の評価

著者について

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河崎秋子
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上位レビュー、対象国: 日本

2024年4月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
昭和、ここは風花舞う根室の地。
周囲から針のような悪意で虐げられて生きる女性。
過酷な環境と押し寄せる非情は凄まじい光景に。
心はひどく痛む。
”私、ちゃんと生きてきたのか”と問う。
多くの苦しみと光が波のように交互に押し寄せて。
立てる限りは立つと。
荒野に根を張る木のように。
2022年9月7日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
北海道文学だったので、つい読んでしまいました。文字の大きさも丁度良いので、一気に読んでしまいました。今回のようなタイトルは正直怖かったのですが、私は面白くて他の作品も読みたくなりました。
3人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2022年7月19日に日本でレビュー済み
ちょっとだけ寝る前に読んでみようと思ったら…、
主人公の身に次々と起こる不幸の連続に目が冴えてしまい…結局最後まで読んでしまった。

人の不幸はここまでアドレナリンを分泌させるのか、と考えさせられた。

昭和版、北海道根室版のおしん。

そしてその「不幸」は、特異なものではない。

農村で暮らす私にも心当たりのある「不幸」だ。

義母そして義母の母が語ってくれた(というか愚痴っていた)不幸がここにある。

農村にしつこく絡みつく「劣等感」や「妬み」。これが風評となって、主人公を絞め殺していく。
あああああーこれが嫌なんだ。

農家をやめるひとたちの多くは、農業が嫌なんじゃない。
この「絞め殺し」から逃げ出しているのだ。

まるで「ザ・ドキュメンタリー」のようにリアルな不幸を、
格調高くかつエンターテイメントなストーリーとして書いていることが評価されて直木賞候補にも。

自分の身に起きた「不幸」は、実は誰の身にも起きている。

「あなたは哀れでも可哀相でもない」といいきられる名言が、この作品を締めている。

どんな不幸な経験をしたとしても、あなたはあなた、自分は自分。
いま、ここにあるのだ。

河崎秋子さんは、前作の「土に贖う」も大地の匂いがする不幸を描いていた。
原田康子さんに始まり、桜木紫乃さん、昨年の直木賞受賞の西條奈加さん。
そしてこの河﨑秋子さんは、橋田壽賀子の再来ともいえるほどだ。
みな、道東出身だ。

北海道の道東には、言葉に紡ぎたくなるほどの女性の哀しみがあちこちに転がっている。
(というか、男性のしんどさや愚かさも一緒に。。。)

アドレナリンが出るほどの「不幸」に触れたい方は、ぜひ読んでほしい。
12人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2022年7月18日に日本でレビュー済み
ほぼ1日で430頁目までを読み終えて、二つの相反する想いが過った。

「凄まじい生き様だなあ」
「でもこの世に根を下ろした人間全てに通じる問題だよなあ」

確かに描かれる世界は強烈ではある。北海道の東端、根室を舞台に母子二代の人生が語られる訳なのだけども、凡そ二人に与えられるのは悪意と理不尽に満ちた世界には違いない。

昭和10年に生まれ故郷ではありながら何の思い入れも無い根室の屯田兵に出自を持つ農家・吉岡家に橋宮ミサエが端金で売り飛ばされる場面から物語が始まるのだけれども、ただでさえ過酷な道東でミサエを待ち受けるのは使用人としての虐められ通しの人生……

……と、書けばご期待通りなのかもしれないがこのミサエの人生案外と人に恵まれている。確かに吉岡家の面々は底意地が悪いし悪意と傲慢さの塊みたいな連中ではあるんだが、そうでない人たちも大勢いる。

屯田兵として入植した第一世代である大婆様は厳しいけど筋の通らん事からは守ってくれるし出入りの薬屋である小山田や菩提寺のご住職様の様に援助の手を差し伸べてくれる人もいる。何となれば全編を通して登場する白猫の一族も傍にいてくれる。全編虐められ通しの残虐いじめショーみたいな物語を期待するとちょっと肩透かしを食らうかもしれない。「悪い人もいるけど、そうでない人も結構いる」……これって割と普通の人生じゃないか?

女郎として売られそうになった危機を脱したらミサエの人生では最も幸福な札幌での生活へ。国民全体がえらい目にあった戦時中だってのにミサエ自身は吉岡家から解放されて人生の春を謳歌していたのが皮肉というか。

……ただ、黄門様じゃないけど人生楽ありゃ苦もあるさとばかりに恩ある小山田の頼みであり、大婆様への義理を忘れちゃならんと看護師から保健師へと転職して根室に舞い戻ってからがミサエの人生の本番。

保健師として自転車を漕いで地元農家の健康相談に乗る日々を送ったり、産婆さんが間に合わない難産の手伝いをしたと八面六臂の大活躍を見せ地元に恩返しをしたのは良いが、またもや吉岡家に強引に縁談を持ち込まれたのが運の尽き。感じの良い男性と思って結婚した相手はとんだモラハラ男。それでも耐え忍んで娘を育てるんだがこれが悲惨な形で短い人生を断ち切られちゃう有り様。

かくのごとく主人公であるミサエの人生は家父長主義も男尊女卑もバリバリな狭い世界で激しく浮き沈みを繰り返した挙句、ありとあらゆる物を奪い尽くされていく。タイトルの「絞め殺しの樹」が真っすぐ育った樹に絡みついて栄養を奪い取り最後は枯らしてしまう寄生植物の事である様に吉岡家に象徴される理不尽と悪意に食い尽くされる様な形で幕を閉じる。

ただ、だからといってミサエが単純に「可哀そう、可哀そう」と憐れまれるべき存在であるかといえば決してそうとは言えん訳で母親として娘が自死を選ぶまで向き合ってやれなかった至らなさは描かれるし、何より恩や義理に縛られて根室に舞い戻った時点でこの結末は彼女の選択の結果なのである。要するにミサエって聖人でもなんでもなく、どこにでもいる凡人なんじゃないのかと。

自分を不幸のどん底にいるかの様に捉えそうになったミサエに対し投げ掛けられた「あなた、自分で思っているほど、哀れでも可哀相でもないんですよ」という言葉の意味は押さえておきたい。「自分の哀しみに依存する様な生き方=自分が可哀相だと決めつけた在り様」というのは自分が何に支えられてきたか、自分が何を選んで来たかという部分から目を逸らしている様な気がするからだ。多寡はあれども誰にでも不幸は起こり得るし、だからといってその不幸でもって自分を悲劇の主人公の様に見立てると見落としてしまう部分もある。

何度も繰り返しになって申し訳ないが、散々虐め倒された根室に戻ったのはミサエ自身の決断であったし、そこには悪意よりも恩義が絡んでいた部分が大きい。まだまだ無力な少女であった頃に助力となってくれた大婆様や小山田、ご住職への恩を返す為にミサエ自身が選んだ道であったという点である事は無視してはならんかと。

自分が選んだ道を歩くだけの力が残されているのに、全ての責任を自分を食い物にしてきた悪意と理不尽に押し付けて歩みを止める事だけは許されない、それは自分が不幸に追いやった二人の子供を裏切るに等しいし、全ての選択の結果は受け容れた上で死ぬまで前に歩み続けねばならない……ミサエがぎりぎりの所で得た悟りはこんなものだったのではなかろうかと。

第二部で主人公はミサエがよりにもよって吉岡家に養子として差し出した雄介が高校・大学時代を過ごした80年代が描かれる訳なのだが、雄介の置かれた境遇は実の母であるミサエとそう変わらない。吉岡家の連中に小突き回され、労働という形で搾取され通しである……しかもそこに実の姉・道子を自死に追いやった小山田の跡継ぎまで絡んで来るから相変わらず面倒臭い。

北大農学部というエリートコースに乗ったのだから吉岡の家に戻る必要なんか無いじゃないか、そういう声が上がるのも分からんでもない。ただ、やっぱり人間はそう簡単にしがらみから解放される訳じゃ無い。育ての母であるハナを東京へ逃がそうとした事からも雄介自身が「逃げる」という選択肢を否定している訳では無い事は見て取れる。

その上で雄介は自分の前に伸びる牛飼いとしての道を、根室で生きていく事を自分自身の決断として、誰かに無理強いされて選んだものではないとして進もうとするのである。置かれた状況の酷さを呪い、我が身の不幸を嘆くだけなら吉岡家の面々と変わらないし独善性や他罰主義に走るなら小山田の同類に過ぎない。

そして雄介が幸も不幸もひっくるめて自分の選んだ道にあるものだと呑んだ上で、進める強さを持った青年に育った事がミサエの人生が空っぽでは無く実を結んだのだと、この時点で読者は気付かされる。高校時代の雄介が同級生から言われた「普通のことが普通にできて、普通に優しいって、なかなかないもんだよ」という何気ない一言が救いたり得るのである。

この物語は根室という狭い世界での出来事かもしれないが、どこに生まれようと人間はしがらみの中で生きていかなきゃならないのだと思えばこの母子の物語は実に普遍的であるのかもしれない。およそ今の日本など酷い有り様だし、そんな時代に生きる我が身の不幸を呪いたくのも分からんでも無いが、故国が酷いからといって他国に生きる事を選んでも幸福が約束されている訳じゃ無いのは外国人労働者たちの境遇を見れば嫌でも分かる。

生まれた土地に根を張って生きてもどこかに生きるべき土地を求めるのも結局は自分の選択の問題であり、その選択の結果を幸不幸を分け隔てずに最後まで受け容れ続ける事が「ちゃんと生きる事」なのかもしれない。悪意に絡まれ続けて最後に残るのが自分自身が枯れ果てた後に残る空洞だけであったとしても、その空洞こそが自分の生きた証になるのだとも言える。

煮え切らない言い方だと思われるかもしれないが、読者である自分自身が我が身の不幸を嘆いたり、世の中の理不尽を呪う事から逃げられない凡俗であるから仕方がない。そもそもこんな問題は一旦生まれてきた以上は死ぬまで向き合い続けなきゃならないのであって、ここで結論を出す必要も無い。

最後の最後まで生きてみせて「自分は自分の人生を自分の選択の結果として受け容れる事が出来るか?」「生まれ落ちた世界に根を下ろして生きるってどういう事なのか?」そんな問いを自分自身に投げ掛ける切っ掛けを得たというだけでもこの一冊を読んだ意味があったのかも知れない。
26人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2023年5月27日に日本でレビュー済み
時々美化されて微笑ましく描かれたりする貧しい家庭ですが、本作では貧しい家庭の中で
経済的に余裕が無いことから、どの様に人が残酷な振る舞いをしたり醜悪な行動をするのかが
いろいろと描かれています。
物語の舞台は戦前の北海道なので、貧しさというもののミクロな影響について、
小説の形で解りやすく描かれていました。
最近は日本も貧しくなってきたと言われていますが、あまり経済的に苦労したことのない層には
想像もつかない形で、色々な人が残酷な振る舞いや冷酷な行動に走り始めていそうです。
2人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2022年7月13日に日本でレビュー済み
昭和の時代に、こき使ってくる家に身売りされた不幸な少女の奮闘記。

これは完全に「おしん」のリプレイ。

苦痛が限界突破している環境で頑張ることを美とするかどうかが、この小説の評価の分かれ道。

僕には「別に逃げればいいじゃん」って思えてしまい、美とすることができませんでした。
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2022年7月27日に日本でレビュー済み
まるで「おしん」のような、が第一印象
ただ、物語の最後の最後に、逃げない主人公に明かりが見えたのは救いだったと思う。
逃げないでいても年月が解決していくのかな。
根室には観光でしか行ったことはないけど、淋しい町という印象がこの小説でますます強まってしまった。
根室に住んでいる人はこの小説をどう思っているのでしょうか。
3人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2022年8月28日に日本でレビュー済み
戦前から昭和の終わりくらいまでの北海道根室市を舞台にする大河ドラマと言っていいかもしれない。ミサエが吉岡の家に売られ、そこで受ける酷い仕打ちは今では考えられないものだ。第二部の雄介はミサエの子供の雄介が生まれを知らされないまま吉岡家の養子となる。雄介も吉岡家にいいように使われる。絞め殺しの樹とはインド菩提樹のこと。樹木に絡まり締め付けて枯らしてしまう植物だとのこと。雄介は菩提樹となり釈迦のように悟りを開こうとしている。前時代的な日本の悪い人間関係である。戦前のしがらみに昭和末期まで縛られるのは恐怖でしかない。田舎の方ではその悪いしがらみの呪縛はまだ続いているだろうと想像すると、背筋が凍ってくる。
10人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート