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9月9日9時9分 単行本 – 2021/3/12

3.3 5つ星のうち3.3 7個の評価

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購入オプションとあわせ買い

愛される快感と、「人」を想う難しさ――。

バンコクからの帰国子女である高校1年生の漣は、日本の生活に馴染むことができないでいた。そんななか、高校の渡り廊下で見つけた先輩に、漣の心は一瞬で囚われてしまう。漣は先輩と距離を縮めるが、あるとき、彼が好きになってはいけない人であることに気づく。それでも気持ちを抑えることができない漣は、大好きな家族に嘘をつくようになり……。忙しない日本でずっと見つけられずにいた、自分の居場所。それを守ることが、そんなにいけないことなのだろうか。過ぎ去ればもう二度と戻らない「初恋」と「青春」を捧げ、漣がたどり着いた決意とは。
三浦しをんさんも大絶賛!!気鋭の作家が挑む傑作長編、満を持して刊行!
バンコク在住の著者だからこそ描けた、国境を超えた名作!!

「影を帯びながらも、なんてまばゆい小説だろう。痛みを抱えて生きる私たちに寄り添って、「きっと大丈夫」とささやきかけてくれるようだ。」 ――三浦しをん


【編集担当からのおすすめ情報】
大人でもハッとさせられるシーンの連続に、ページをめくる手が止まらない。主人公の漣が感じている純粋な疑問や違和感に、気づけば一緒になって悩んでいる。読むたび自分が丸裸にさせられ、無垢な部分を呼び起こされ、読み終えたころにはたくさん成長した気がする。それも読むたび何度でも。こんな読書(ゲラ読み)経験は、これまでもなかなかありません!
忙しく過ごす大人のあなたに、絶対に読んでほしい一冊です!!
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登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 小学館 (2021/3/12)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2021/3/12
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 単行本 ‏ : ‎ 393ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4093866090
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4093866095
  • 寸法 ‏ : ‎ 13 x 2.3 x 18.8 cm
  • カスタマーレビュー:
    3.3 5つ星のうち3.3 7個の評価

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一木 けい
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上位レビュー、対象国: 日本

2021年4月22日に日本でレビュー済み
 高校1年生の漣(れん)はバンコクからの帰国子女だ。2016年の今、両親、そして離婚して実家に戻った姉と4人で暮らしている。同じ高校の先輩・朋温(ともはる)と恋に落ち、「こんな幸せのない世界を、彼のいない世界を、私はいままでどうやって生きてきたのだろう」(94頁)と思うほどの幸せをかみしめていた。しかし朋温には、漣の知らない事情があった……。
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 3年前の2018年に一木けい氏の『
1ミリの後悔もない、はずがない 』(新潮社)を読んで以来、このタイ在住の作家のことが気になっていました。先月(2021年3月)、この新作が出たと知り、早速手にしてみました。

 中盤までは、10代の瑞々しくてうぶな少女が恋に心ときめかせる姿が続き、40年ほど前に高校を卒業した読み手の私も気持ちが浮き立つ思いを味わいました。朋温とかわした会話を「ぜんぶわすれたくない。私がわすれたら、この世界から二人が交わした会話はどこにも残らない。流れていずれ消えてしまう」(84頁)とつぶやく漣の、なんてかわいらしいことでしょう。

 タイトルの「9月9日9時9分」はタイ語由来だとか。タイ語で「9」は「ガーオ」で、「進む」を意味する単語と同音だと漣が説明する場面があります。車のナンバープレートも9999が高額で売買されるのがタイの風習だというのですから興味深い話です。ほかにもヤードムやカノムチャンなどタイにまつわる物品がそこかしこに顔を出します。

 さて、胸躍る青春恋愛小説が延々と続くかと思って頁を繰っていると、物語は朋温の家族にまつわる事情が突如明らかになった中盤あたりから、人が抱える心の闇へと突き進んでいきます。ですから後半は息の詰まる思いを幾度となく味わい、読み進めるのが苦しくなります。さらにはその闇の原因を一人取材する終盤の漣の道行きは、あたかも社会派のノンフィクションかドキュメントノベルのような様相を呈していきます。 そうした過程を経て、漣の確かな成長が見えてくるのです
「知識を蓄えること。伝える力を磨いて、相手がどんなふうに世界を見ているか、ひたすら想像すること。その道のりは、なんて果てしないのだろう」(343頁)

 ひそかに私は、この物語が漣と朋温が時を経た後に相対するところで終わるのではないかと予想していました。しかし私の皮相な予測などはねのけるように、作者・一木けい氏はとても力強い漣の姿を見せて物語を閉じています。漣の行動は決して鮮やかとまではいわないけれど、新しい一歩を踏み出した跡がくっきりと見えます。
「やれるだけのことをやって、進んでいくしかないんだよ」(338頁)
 タイ語の「9(ガーオ=進む)」が指し示す意味を実践する漣の姿に、心が晴れる思いがします。ひとつの教養小説(Bildungsroman)を読んだ気がしました。

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 些末なことですがひとつ気になったのは、162頁に出てくる「和英辞典」のことです。そこには「affection」の意味が「温和で永続的な愛情」だと掲載されていると描写されていますが、それでは「英和辞典」ではないのでしょうか。

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4人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2021年5月24日に日本でレビュー済み
この年頃の少女らしく、自分の感情を上手くコントロール出来ず、取り巻く世界も小さなため、解決策を求めてもがく様子がよく描かれている。しかしながら、読後感は、大きな違和感を覚えるのみだった。
 最初にレンがアプローチした時は、にべもなく冷たく突き放されたのに、途中から急にトモハル君の方が積極的になった。その、豹変した理由は明らかにされずレンの自分勝手な都合で、振り回されるトモハル君が哀れに思えた。
 大体、高校生なのにバンコクまで追いかけて行くかな!?バンコクの人口は800万人超であるが、偶然に町で出会うって、有り得る!?
 姉も不可解な行動を繰り返すのだけど、両親が良い人ぶりを漫然と続けて、具体的な対処もせず、ただただ腫れ物に触るような態度を取り続けているのが良くないんじゃないのか。今、ヤングケアラーという現象が大きな社会問題となっているが、この情けない両親のおかげでレンは、自分の人生を生きることを断念することになる。後半、レンが色々と調べまわって、相談窓口に行くなどするが、そんなことは最初から両親がなすべきことではないのか。
 また、自己犠牲を強いられるレンも可哀想ではあるが、それに甘んじるのも、どうなのだろう?好きって言っても、その程度の覚悟しかなかったのか。その個人を蔑ろにする行為を美しいと考え、持て囃す日本のどうしようもない後進性にガックリくる。
 姉のことを大事に思うのと、姉の都合で自分の人生を犠牲にするのとは、全く違う。まず、自律性を何よりも大事にすることを教育された、欧米の子ども達が読むと多分理解不能な小説だろう。「表層的」な部分だけ見て、感動して涙を流すよりも、この小説の持つ危険性・後進性を見なければならない。
8人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート