ネジ曲がった恋愛感情に支配されつつも、どこか現実感がある主人公たちが、それぞれのハッピーエンドともバッドエンドとも取れる結末に向かっていくところに一気に引き込まれる。
読みやすい文体も合わせて読後感がとても良かった。
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愛じゃないならこれは何 単行本 – 2021/12/3
斜線堂 有紀
(著)
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斜線堂有紀のはじめての恋愛小説集。
『きみの長靴でいいです』
天才ファッションデザイナー・灰羽妃楽姫は、二八歳の誕生日プレゼントに、ガラスの靴を受け取った。
送り主は、十年来の妃楽姫のビジネスパートナー、そして妃楽姫がいつか結婚すると信じている男、妻川。
人生の頂点に到達しようとしている妃楽姫だったが、しかし次の瞬間彼女が聞いたのは、妃楽姫以外の女との、妻川の結婚報告だった。
『愛について語るときに我々の騙ること』
「俺さ、ずっと前から新太のことが好きだったんだ。だから、付き合ってくれない?」
そういう男――園生が告白しているのは、私――鹿衣鳴花に対してだった。私たちの関係は、どこに向かおうとしているのか。
男と男と女のあいだに、友情と恋愛以外の感情が芽生えることはあるのだろうか。
『健康で文化的な最低限度の恋愛』
美空木絆菜は死にかけていた。会社の新入社員、アクティブな好青年、津籠の気を引きたかった絆菜は、彼の趣味――映画にもサッカーにも、
生活を犠牲にして一生懸命頑張って話を合わせた。そして今、絆菜は孤独に山の中で死ぬかもしれない。どうしてこんなことに。
『ミニカーだって一生推してろ』
二十八歳の地下アイドル、赤羽瑠璃は、その日、男の部屋のベランダから飛び降りた。男といっても瑠璃と別に付き合っているわけではない、
瑠璃のファンの一人で、彼女が熱心にストーカーしているのだ。侵入した男の部屋からどうして瑠璃が飛び降りたのか、話は四年前にさかのぼる――。
『ささやかだけど、役に立つけど』
初めて高校の放送部の部室で鳴花と出会った時に、自分はいつか彼女と付き合うんじゃないかと、園生は思った。
しかしそれから十年経って、彼女と自分の関係に、新太が加わった。二人よりも三人のほうが、ずっと安定している。
自分たちは、このまま死ぬまで三人なのだろう――でも、それでいいのだろうか。
『きみの長靴でいいです』
天才ファッションデザイナー・灰羽妃楽姫は、二八歳の誕生日プレゼントに、ガラスの靴を受け取った。
送り主は、十年来の妃楽姫のビジネスパートナー、そして妃楽姫がいつか結婚すると信じている男、妻川。
人生の頂点に到達しようとしている妃楽姫だったが、しかし次の瞬間彼女が聞いたのは、妃楽姫以外の女との、妻川の結婚報告だった。
『愛について語るときに我々の騙ること』
「俺さ、ずっと前から新太のことが好きだったんだ。だから、付き合ってくれない?」
そういう男――園生が告白しているのは、私――鹿衣鳴花に対してだった。私たちの関係は、どこに向かおうとしているのか。
男と男と女のあいだに、友情と恋愛以外の感情が芽生えることはあるのだろうか。
『健康で文化的な最低限度の恋愛』
美空木絆菜は死にかけていた。会社の新入社員、アクティブな好青年、津籠の気を引きたかった絆菜は、彼の趣味――映画にもサッカーにも、
生活を犠牲にして一生懸命頑張って話を合わせた。そして今、絆菜は孤独に山の中で死ぬかもしれない。どうしてこんなことに。
『ミニカーだって一生推してろ』
二十八歳の地下アイドル、赤羽瑠璃は、その日、男の部屋のベランダから飛び降りた。男といっても瑠璃と別に付き合っているわけではない、
瑠璃のファンの一人で、彼女が熱心にストーカーしているのだ。侵入した男の部屋からどうして瑠璃が飛び降りたのか、話は四年前にさかのぼる――。
『ささやかだけど、役に立つけど』
初めて高校の放送部の部室で鳴花と出会った時に、自分はいつか彼女と付き合うんじゃないかと、園生は思った。
しかしそれから十年経って、彼女と自分の関係に、新太が加わった。二人よりも三人のほうが、ずっと安定している。
自分たちは、このまま死ぬまで三人なのだろう――でも、それでいいのだろうか。
- 本の長さ256ページ
- 言語日本語
- 出版社集英社
- 発売日2021/12/3
- 寸法13.4 x 2.2 x 19.4 cm
- ISBN-104087900681
- ISBN-13978-4087900682
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登録情報
- 出版社 : 集英社 (2021/12/3)
- 発売日 : 2021/12/3
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 256ページ
- ISBN-10 : 4087900681
- ISBN-13 : 978-4087900682
- 寸法 : 13.4 x 2.2 x 19.4 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 271,755位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 6,734位日本文学
- カスタマーレビュー:
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2021年12月16日に日本でレビュー済み
書店でサイン本を購入しました。不定期連載で出されていた恋愛短編小説がいつかまとめられて出版されないかなと思っていたので本当に嬉しかったです。表紙が好きなイラストレーターさんだったのもポイントが高くて棺桶に入れて欲しい一冊だと思っています。
肝心の中身についてですが、私はこの方が書かれる愛の形が大好きです。不純文学や別の作品でも多々見受けられるのですが一般的な愛という形に収まらないその自由さ、傲慢さ、愛とはそんなに美しいものではないと謳った話がとても好きです。
基本的に愛とは美しいものではなく、ファンがアイドルに向ける一方的な愛ですらエゴであり醜いものだととある詩人の方も仰られていたのですが、まさにその通りだと思います。自分がズタボロになって身を引き裂かれるような痛みを伴ってそれでも愛してしまう…そうして愛したとしても相手が自分に微笑みかけてくれることなど殆どない。まさに歪んだ呪いだと思います。
中身ですが、どの話も等身大の人間模様が描かれているので一般的にハッピーエンドと呼ばれる恋愛小説を求めている人にはミスマッチが起きやすいかもしれません。それでも登場人物が持ち合わせているものは紛れもない「愛」であり、人を愛していることに変わりはありません。各々の愛の表現に個性が現れていて人間の醜くも美しい感情を見ることが出来ると思います。
私は個人的に「健康で文化的な最低限度の恋愛」が好きです。というのも私自身が好きな人のために自分の全てを捨ててその人と話題を合わせたくて小手先の知識で盛り上がり運命を装うタイプの人間なのでかなり感情移入して読みました。初公開時からお気に入りの話だったのでこうして書籍として読むことが出来て嬉しかったです。きっと登山やサッカー観戦がいつか自分の好きな物の一部となって新しい自分に生まれ変わっていくのだと思います。
肝心の中身についてですが、私はこの方が書かれる愛の形が大好きです。不純文学や別の作品でも多々見受けられるのですが一般的な愛という形に収まらないその自由さ、傲慢さ、愛とはそんなに美しいものではないと謳った話がとても好きです。
基本的に愛とは美しいものではなく、ファンがアイドルに向ける一方的な愛ですらエゴであり醜いものだととある詩人の方も仰られていたのですが、まさにその通りだと思います。自分がズタボロになって身を引き裂かれるような痛みを伴ってそれでも愛してしまう…そうして愛したとしても相手が自分に微笑みかけてくれることなど殆どない。まさに歪んだ呪いだと思います。
中身ですが、どの話も等身大の人間模様が描かれているので一般的にハッピーエンドと呼ばれる恋愛小説を求めている人にはミスマッチが起きやすいかもしれません。それでも登場人物が持ち合わせているものは紛れもない「愛」であり、人を愛していることに変わりはありません。各々の愛の表現に個性が現れていて人間の醜くも美しい感情を見ることが出来ると思います。
私は個人的に「健康で文化的な最低限度の恋愛」が好きです。というのも私自身が好きな人のために自分の全てを捨ててその人と話題を合わせたくて小手先の知識で盛り上がり運命を装うタイプの人間なのでかなり感情移入して読みました。初公開時からお気に入りの話だったのでこうして書籍として読むことが出来て嬉しかったです。きっと登山やサッカー観戦がいつか自分の好きな物の一部となって新しい自分に生まれ変わっていくのだと思います。
2021年12月14日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
帯に「恋愛小説集」とあるが……これ、ある意味詐欺だよなあ。
この本のどこを探しても万人が声を揃えて「これは恋愛を描いた物語である」と認める様な一般的な意味でのラブストーリーは見付からん。そこだけは予め申し上げておく。
……で、今回ご紹介させて頂く斜線堂有紀の新作単行本、元はと言えば「JUMP j BOOKS」の公式noteで公開されていた短編作品群に書下ろし作品を加えた5編で単行本に仕立てたものらしい。
基本的には女性主人公が「愛」を求めて奇行に走ってしまう姿を描いた作品集……うーん、冒頭にも書いた様にこれ、恋愛小説というカテゴリーに入れるのは無理がある……どうカテゴライズしたものか?個人的には読んでいる間コメディを読む感覚でいたのだが。ラブコメディというのともちょっと違う気がする。「ラブ」が軸になってはいるんだが「恋愛」自体は成立しとらんし。
取り敢えず言える事だけを搔い摘んで申し上げればシチュとキャラだけは抜群に個性的。帯にある「ファンをストーカーする地下アイドル」「舞踏会中毒の女」「男に合わせて山で死にかける女」「男×男×女」という各短編の主役の設定だけでも「これは何か凄そうだ」と思わされるし、実際に作中で描かれる彼女たちのキャラクターは(主に奇行の部分において)類を見ない。
売れないアイドルである自分に関心を示したSNSのアカウントを執念深く追い回して自宅を突き止めるどころか忍び込んでしまったり、勤め先に転職してきた後輩社員にお近づきになろうとしてインドア系の筈が登山道具を揃えたりと常人には俄に理解しがたい方向へと突っ走っていく彼女たちはまさに奇行種。恋愛は人を狂わせると昔から言われては来たが、愛を求めると人はこうもトチ狂った行動へと突っ走ってしまうのかとゲタゲタ笑い転げながら読ませて頂いた次第。
そして哀しいかな、彼女たちがいくら狂気じみたエネルギーを発して足掻こうと「恋愛」には辿り着けない所が本作のミソ。何しろ彼女たちが想いを向ける相手は誰一人「恋愛感情」を向けてくれている訳では無いので最初から噛み合わず・すれ違ってしまう事が読者には途中で理解できてしまうのである。
なので途中から主人公の取る行動は「愛してよ、私を愛してよ」と叫びながら繰り広げる独り相撲として描かれる。勘違いさせる男どもが悪いと言われてしまえばその通りではあるのだが、売れない地下アイドルや駆け出しの服飾デザイナーといったパッとしない境遇から自分を引き上げてくれる、お姫様気分を味わせてくれる相手に入れあげて暴走していく女性の姿はあまりに強烈過ぎる。
上手いなあと思わされたのは彼女たちの狂気が加速するトリガーとして「女の影」が用いられる事か。SNSに彼女かも知れない女について触れた書き込みがあった、長年付き合ってきたのに「結婚するんだ」と言われた途端「誰よその馬の骨!」と恋愛関係も成立していないのに敵愾心を噴き上がらせる姿に唖然と……女性にとっての恋愛が「私だけ特別扱いして」というモノだとは理解していたつもりだが、いっこ間違えるとここまで暴走させてしまうのかと震え上がった次第。
これだけ尽くしたのだから「愛」という形で応じてよ、報いてよと言葉に頼らず想い人に訴えかけようとする滑稽さこそがこの短編集の本質なんじゃなかろうかと……
各話冒頭からヒロインの個性あふれるキャラクター性と序盤から中盤にかけて拗らせ方がひどくなっていく愛の独り相撲劇場に「これどこまで行っちゃうの?」と大いに唸らされるのだが……残念な事にどの話もオチが弱い。
噛み合わない想いを前に一人でドタバタ騒ぎを繰り広げ、目を覆わしめるほどの「見てらんない姿」を晒し続けてくれた彼女たちの物語を最後まで見届けねばと読者としてはオチに胸を膨らませるのだけど、どの話もオチらしいオチが無いのである。実るにしても破局するにしてもクライマックスの名に相応しい着地があって然るべきだと思うのだがなんかサラッと流して「おしまい」になっちゃうのである……これは何とも肩透かし感・不完全燃焼がキツい。
何度も繰り返してしまって申し訳ないが、キャラ立ても話が展開されるシチュエーションも素晴らしい。なんなら群を抜いていると評しても宜しい。なのにオチだけがサラッと流して終わりというのでは読者として胸の中で昂らせ、滾らせたものをどこへ片付けたら良いのだと不平のひとつも申し上げたくなる。ピタッとキマるオチが無しでは困るではないか。
人物造形、序盤で読者の目をガッと引き寄せる「つかみ」の強さ、暴走していく主人公の姿でページを捲る手を止めさせないストーリーの盛り上げ方……全部「これはすごいぞ」と踊りたくなるのにオチの弱さで「これは勿体ないぞ」と歯軋りしてしまう、そんな一冊。
2021年12月17日
一部修正
票が変な動きをしたのでアレコレ原因を探ったが……作者がイヤな顔をしたら票を入れる、という輩を喜ばせるのは趣味じゃない。
この本のどこを探しても万人が声を揃えて「これは恋愛を描いた物語である」と認める様な一般的な意味でのラブストーリーは見付からん。そこだけは予め申し上げておく。
……で、今回ご紹介させて頂く斜線堂有紀の新作単行本、元はと言えば「JUMP j BOOKS」の公式noteで公開されていた短編作品群に書下ろし作品を加えた5編で単行本に仕立てたものらしい。
基本的には女性主人公が「愛」を求めて奇行に走ってしまう姿を描いた作品集……うーん、冒頭にも書いた様にこれ、恋愛小説というカテゴリーに入れるのは無理がある……どうカテゴライズしたものか?個人的には読んでいる間コメディを読む感覚でいたのだが。ラブコメディというのともちょっと違う気がする。「ラブ」が軸になってはいるんだが「恋愛」自体は成立しとらんし。
取り敢えず言える事だけを搔い摘んで申し上げればシチュとキャラだけは抜群に個性的。帯にある「ファンをストーカーする地下アイドル」「舞踏会中毒の女」「男に合わせて山で死にかける女」「男×男×女」という各短編の主役の設定だけでも「これは何か凄そうだ」と思わされるし、実際に作中で描かれる彼女たちのキャラクターは(主に奇行の部分において)類を見ない。
売れないアイドルである自分に関心を示したSNSのアカウントを執念深く追い回して自宅を突き止めるどころか忍び込んでしまったり、勤め先に転職してきた後輩社員にお近づきになろうとしてインドア系の筈が登山道具を揃えたりと常人には俄に理解しがたい方向へと突っ走っていく彼女たちはまさに奇行種。恋愛は人を狂わせると昔から言われては来たが、愛を求めると人はこうもトチ狂った行動へと突っ走ってしまうのかとゲタゲタ笑い転げながら読ませて頂いた次第。
そして哀しいかな、彼女たちがいくら狂気じみたエネルギーを発して足掻こうと「恋愛」には辿り着けない所が本作のミソ。何しろ彼女たちが想いを向ける相手は誰一人「恋愛感情」を向けてくれている訳では無いので最初から噛み合わず・すれ違ってしまう事が読者には途中で理解できてしまうのである。
なので途中から主人公の取る行動は「愛してよ、私を愛してよ」と叫びながら繰り広げる独り相撲として描かれる。勘違いさせる男どもが悪いと言われてしまえばその通りではあるのだが、売れない地下アイドルや駆け出しの服飾デザイナーといったパッとしない境遇から自分を引き上げてくれる、お姫様気分を味わせてくれる相手に入れあげて暴走していく女性の姿はあまりに強烈過ぎる。
上手いなあと思わされたのは彼女たちの狂気が加速するトリガーとして「女の影」が用いられる事か。SNSに彼女かも知れない女について触れた書き込みがあった、長年付き合ってきたのに「結婚するんだ」と言われた途端「誰よその馬の骨!」と恋愛関係も成立していないのに敵愾心を噴き上がらせる姿に唖然と……女性にとっての恋愛が「私だけ特別扱いして」というモノだとは理解していたつもりだが、いっこ間違えるとここまで暴走させてしまうのかと震え上がった次第。
これだけ尽くしたのだから「愛」という形で応じてよ、報いてよと言葉に頼らず想い人に訴えかけようとする滑稽さこそがこの短編集の本質なんじゃなかろうかと……
各話冒頭からヒロインの個性あふれるキャラクター性と序盤から中盤にかけて拗らせ方がひどくなっていく愛の独り相撲劇場に「これどこまで行っちゃうの?」と大いに唸らされるのだが……残念な事にどの話もオチが弱い。
噛み合わない想いを前に一人でドタバタ騒ぎを繰り広げ、目を覆わしめるほどの「見てらんない姿」を晒し続けてくれた彼女たちの物語を最後まで見届けねばと読者としてはオチに胸を膨らませるのだけど、どの話もオチらしいオチが無いのである。実るにしても破局するにしてもクライマックスの名に相応しい着地があって然るべきだと思うのだがなんかサラッと流して「おしまい」になっちゃうのである……これは何とも肩透かし感・不完全燃焼がキツい。
何度も繰り返してしまって申し訳ないが、キャラ立ても話が展開されるシチュエーションも素晴らしい。なんなら群を抜いていると評しても宜しい。なのにオチだけがサラッと流して終わりというのでは読者として胸の中で昂らせ、滾らせたものをどこへ片付けたら良いのだと不平のひとつも申し上げたくなる。ピタッとキマるオチが無しでは困るではないか。
人物造形、序盤で読者の目をガッと引き寄せる「つかみ」の強さ、暴走していく主人公の姿でページを捲る手を止めさせないストーリーの盛り上げ方……全部「これはすごいぞ」と踊りたくなるのにオチの弱さで「これは勿体ないぞ」と歯軋りしてしまう、そんな一冊。
2021年12月17日
一部修正
票が変な動きをしたのでアレコレ原因を探ったが……作者がイヤな顔をしたら票を入れる、という輩を喜ばせるのは趣味じゃない。
2022年9月10日に日本でレビュー済み
あらゆる方向性のクソデカ感情のデパートみたいな短編集。クソデカ感情を味わいたくなったら絶対に読んでほしい。
2022年1月16日に日本でレビュー済み
「ミニカーだって一生推してろ」「きみの長靴でいいです」。神作です。リアリティーが有るとか無いとか、そんな下らないレベルを遥かに越えています。おそらくこれが現代日本人の真実であり、未来の姿です。お互いが、勘違いしながら、依存しながら、怯えながら、やがて破滅していく。その見本となる、美しい宝石のような2作品です。
斜線堂先生の作品はシンプルで読みやすい。ミステリさえも。面白いかどうかは別として。多少、濫作気味のような気もしますが、仕事はなるべく断らないほうが良いので、これがノーベル文学賞を狙うというのなら別ですが、そうでなければ、多作は決して悪いことではないと思います。それも才能の一つですから。
今は、出版社からの依頼によるのかもしれませんが、ジャンルを限定せずに書かれているようですが、非常に良いと思います。どの作品でも斜線堂先生の色が出ていますので。今後もこのスタイルで書き続けてほしいです。
斜線堂先生の作品はシンプルで読みやすい。ミステリさえも。面白いかどうかは別として。多少、濫作気味のような気もしますが、仕事はなるべく断らないほうが良いので、これがノーベル文学賞を狙うというのなら別ですが、そうでなければ、多作は決して悪いことではないと思います。それも才能の一つですから。
今は、出版社からの依頼によるのかもしれませんが、ジャンルを限定せずに書かれているようですが、非常に良いと思います。どの作品でも斜線堂先生の色が出ていますので。今後もこのスタイルで書き続けてほしいです。
2022年2月12日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
愛や恋の定義は、それを抱く当事者によるんだなというのが様々な配役とシチュエーションで描写されているなという印象だった。
報われることでしか終われないし救われない登場人物たちの自問自答がタイトルに集約されていると思う。
今回は女の子主体の話がほとんどだったので、年齢や性別など他のバリエーションのお話も読みたかったなと思うので星4にしました。
報われることでしか終われないし救われない登場人物たちの自問自答がタイトルに集約されていると思う。
今回は女の子主体の話がほとんどだったので、年齢や性別など他のバリエーションのお話も読みたかったなと思うので星4にしました。
2023年9月2日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
自分には合わなかった。
収録されているどの短編を読んでも、陳腐なストーリーを目新しさもない描写で書き、意外性のない結末を迎える。
著者の頭の中を精査せずだらだら書き連ねただけの散漫な文章をずっと読んでいると頭が痛くなってくる。実際読むのに頭を必要としないので、最後はほぼ読み飛ばした。
まるで漫画をそのまま小説にしたような印象を受ける。
同人誌ならこの程度の出来でもいいが、一般書籍の流通に乗せて1500円以上支払って読むものではない。ページ数こそ200以上あるが文字が大きすぎて価格ほどの価値はないと感じる。
以下、細かい苦手な部分
主役クラスは皆キラキラネーム。一般的に名で使うような姓をつけられている人物も一部いるため混乱する。
だが脇役は平々凡々な人物を名前から表現したいのか、ごくごく至って普通の姓名。松村良子、等。妻川の名が最後の方で明かされるのもこの効果を狙っているんだろうが…。こういった小手先の技術も漫画のよう。漫画は漫画であるからいいのであって小説でやらないでほしい。
細部に納得がいかない部分がある。
ファンの男の部屋に忍び込む描写等、そうはならんやろ、という展開が多い。ストーリーの都合で人物の行動を制限するような居心地の悪さを感じた。
女主人公が多いが、著者は女性に恨みでもあるのかと思うほど思考能力が欠如している。
著者も女性であるのになぜ…と思うが、人物の個性の範疇を逸脱するほどに頭が弱い。アイドル職を自身で選択、就いておきながら職に対する能動性が不足している。デザイナーの女も同じく。作中で書かれる二十代後半という年齢と行動、思考能力のレベルが一致しない。十代の女子ならまだわかるが…。
収録されているどの短編を読んでも、陳腐なストーリーを目新しさもない描写で書き、意外性のない結末を迎える。
著者の頭の中を精査せずだらだら書き連ねただけの散漫な文章をずっと読んでいると頭が痛くなってくる。実際読むのに頭を必要としないので、最後はほぼ読み飛ばした。
まるで漫画をそのまま小説にしたような印象を受ける。
同人誌ならこの程度の出来でもいいが、一般書籍の流通に乗せて1500円以上支払って読むものではない。ページ数こそ200以上あるが文字が大きすぎて価格ほどの価値はないと感じる。
以下、細かい苦手な部分
主役クラスは皆キラキラネーム。一般的に名で使うような姓をつけられている人物も一部いるため混乱する。
だが脇役は平々凡々な人物を名前から表現したいのか、ごくごく至って普通の姓名。松村良子、等。妻川の名が最後の方で明かされるのもこの効果を狙っているんだろうが…。こういった小手先の技術も漫画のよう。漫画は漫画であるからいいのであって小説でやらないでほしい。
細部に納得がいかない部分がある。
ファンの男の部屋に忍び込む描写等、そうはならんやろ、という展開が多い。ストーリーの都合で人物の行動を制限するような居心地の悪さを感じた。
女主人公が多いが、著者は女性に恨みでもあるのかと思うほど思考能力が欠如している。
著者も女性であるのになぜ…と思うが、人物の個性の範疇を逸脱するほどに頭が弱い。アイドル職を自身で選択、就いておきながら職に対する能動性が不足している。デザイナーの女も同じく。作中で書かれる二十代後半という年齢と行動、思考能力のレベルが一致しない。十代の女子ならまだわかるが…。
2022年3月16日に日本でレビュー済み
恋愛となると自分の世界に入ってしまう狂気感が痛ましいと同時にこういう愛の叙述が特徴。
単純な展開ではない一筋縄ではいかないのが愛であるが、そんなハッピーエンドとはいえない話で満たされる。
一般的なハッピーエンド的な恋愛小説を好む人には合わない。
作風が合えば面白いのかもしれないけど、リアリティは皆無でかといって共感を得るような展開ではないので、ストーリー的には合わないとあっさりと読み進めて終わる。
しんどい愛でも後悔はない愛の形。
単純な展開ではない一筋縄ではいかないのが愛であるが、そんなハッピーエンドとはいえない話で満たされる。
一般的なハッピーエンド的な恋愛小説を好む人には合わない。
作風が合えば面白いのかもしれないけど、リアリティは皆無でかといって共感を得るような展開ではないので、ストーリー的には合わないとあっさりと読み進めて終わる。
しんどい愛でも後悔はない愛の形。