「ブレイクニュース」(薬丸岳 集英社)を読み終えました。薬丸岳を読むのは、2013/6月に読んだ「友罪」以来になります。
ユーチューブに「野依美鈴のブレイクニュース」というチャンネルを立ち上げている女性ユーチューバー、野依美鈴を主人公にした連作短篇集。短篇、七篇が収録されています。
ひきこもり、冤罪、「パパ活」と呼ばれる援助交際、ヘイトスピーチ、ネット上での誹謗中傷による自殺、医療過誤と、この国のアクチュアルな問題をそれぞれ取り上げながら、東野圭吾の「新参者」スタイルの如く各短編に伏線を散りばめ、最終篇「ハッシュタグ」によって、「野依美鈴」の<何故>、「ブレイクニュース」という私的メディアを作り上げた彼女の動機が解明されて物語が終わりを迎えます。
現代に於けるSNSの持つパワーを伝えようとする試みと現実世界を伝えようとする作者の晴朗な姿勢を疑うことはありませんが、毎朝の「ワイドショー」でもテーマが取り上げられ、それらが深く追求されることなく新しい問題への目先が変わっていくように、一応の解決は見られるものの「現実」のトピックをただなぞったままの短編が、まるで金太郎飴のように続いていきます。読み心地のよい、通勤時にユーチューブの代わりに読書をするには最適なミステリなのかもしれませんが、よりブレイク・スルーするであろう物語を期待していた私には不満が残りました。彼女を追う大手雑誌記者・真柄の存在もまた、大手メディア対SNSニュースという対比のために置かれていたとしても、ただそれだけの存在だったように思えます。
「野依美鈴」というキャラクターもまた、他の数ある蠱惑に満ちた女性主人公たちの中では埋もれてしまうことでしょう。
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ブレイクニュース 単行本 – 2021/6/25
薬丸 岳
(著)
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購入オプションとあわせ買い
ある目的のため、女はひとり、立ち上がった。
ユーチューブで人気のチャンネル『野依美鈴のブレイクニュース』。児童虐待、8050問題、冤罪事件、パパ活の実情などを独自に取材し配信。マスコミの真似事と揶揄され、誹謗中傷も多く、中には訴えられてもおかしくない過激でリスキーな動画もある。それでも野依美鈴の魅力的な風貌なども相まって、番組は視聴回数が1千万回を超えることも少なくない。年齢、経歴も不詳で、自称ジャーナリストを名乗る彼女の正体を探るべく、週刊誌記者の真柄は情報を収集し始める。すると以外な過去が見えてきて……。
デジタル社会の現代へ警鐘を鳴らす、SNS時代の新な社会派小説。
【著者プロフィール】
薬丸岳(やくまる・がく)
1969年兵庫県生まれ。2005年に「天使のナイフ」で第51回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。2016年『Aではない君と』で第37回吉川英治文学新人賞、2017年に短編「黄昏」で第70回日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞。他の著書に「刑事・夏目信人」シリーズ、『悪党』『死命』『友罪』『神の子』『ガーディアン』『蒼色の大地』『告解』などがある。
ユーチューブで人気のチャンネル『野依美鈴のブレイクニュース』。児童虐待、8050問題、冤罪事件、パパ活の実情などを独自に取材し配信。マスコミの真似事と揶揄され、誹謗中傷も多く、中には訴えられてもおかしくない過激でリスキーな動画もある。それでも野依美鈴の魅力的な風貌なども相まって、番組は視聴回数が1千万回を超えることも少なくない。年齢、経歴も不詳で、自称ジャーナリストを名乗る彼女の正体を探るべく、週刊誌記者の真柄は情報を収集し始める。すると以外な過去が見えてきて……。
デジタル社会の現代へ警鐘を鳴らす、SNS時代の新な社会派小説。
【著者プロフィール】
薬丸岳(やくまる・がく)
1969年兵庫県生まれ。2005年に「天使のナイフ」で第51回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。2016年『Aではない君と』で第37回吉川英治文学新人賞、2017年に短編「黄昏」で第70回日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞。他の著書に「刑事・夏目信人」シリーズ、『悪党』『死命』『友罪』『神の子』『ガーディアン』『蒼色の大地』『告解』などがある。
- 本の長さ384ページ
- 言語日本語
- 出版社集英社
- 発売日2021/6/25
- 寸法13.4 x 2.8 x 19.4 cm
- ISBN-104087717526
- ISBN-13978-4087717525
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登録情報
- 出版社 : 集英社 (2021/6/25)
- 発売日 : 2021/6/25
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 384ページ
- ISBN-10 : 4087717526
- ISBN-13 : 978-4087717525
- 寸法 : 13.4 x 2.8 x 19.4 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 493,513位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 11,758位日本文学
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2021年10月4日に日本でレビュー済み
SNSやユーチューブを利用して、世間が関心を持つようなニュースとその実態を取材して配信するというのはいまどきの手法でよく考えられていた。
視聴回数が1千万回を超えて大金を稼ぐ野依美鈴の目的とは何なのか、また加害者、被害者の双方の立場からの報道という意味でも読み応えがあった。
また、ネットでの安易な誹謗中傷がどんな事態になるのか、自分自身が誹謗中傷をしなくてもシェアしたりスクリーンショットを転載しても、相手の社会的評価を下げることで名誉毀損罪や侮辱罪になるとともに、自分自身が被害者にもなり得ることがよく分かる内容になっていた。
誰もが他者を罰する、私刑に処していい権利などないという言葉は印象的だった。
ただ、最後の終わり方が中途半端だったのが残念。
せっかく週刊現実の記者も登場するのだから、もっと色んな人物や機関を巻き込んで、大きな岩を動かすためにもう一工夫ほしかった。
視聴回数が1千万回を超えて大金を稼ぐ野依美鈴の目的とは何なのか、また加害者、被害者の双方の立場からの報道という意味でも読み応えがあった。
また、ネットでの安易な誹謗中傷がどんな事態になるのか、自分自身が誹謗中傷をしなくてもシェアしたりスクリーンショットを転載しても、相手の社会的評価を下げることで名誉毀損罪や侮辱罪になるとともに、自分自身が被害者にもなり得ることがよく分かる内容になっていた。
誰もが他者を罰する、私刑に処していい権利などないという言葉は印象的だった。
ただ、最後の終わり方が中途半端だったのが残念。
せっかく週刊現実の記者も登場するのだから、もっと色んな人物や機関を巻き込んで、大きな岩を動かすためにもう一工夫ほしかった。
2021年8月8日に日本でレビュー済み
社会問題や事件を独自で調べ上げ、「ブレイクニュース」としてユーチューブで配信している野依美鈴を主人公にした連作短編集、全7話。
児童虐待や8050問題、ヘイトスピーチなどの社会問題が採り上げられ、関係者への取材等を通じ、隠された真実や心中などを明らかにしていくもの。
最終話に向け、主人公の野依美鈴の過去が判明していきますが、それまでの展開からすれば、ラストにはもうひと捻り欲しかったところです。
児童虐待や8050問題、ヘイトスピーチなどの社会問題が採り上げられ、関係者への取材等を通じ、隠された真実や心中などを明らかにしていくもの。
最終話に向け、主人公の野依美鈴の過去が判明していきますが、それまでの展開からすれば、ラストにはもうひと捻り欲しかったところです。
2021年7月18日に日本でレビュー済み
おもしろかった。
ただ長編にして、最近のマスゴミの醜さを描いて欲しかったのが本音。
後最近の刊行では、初期のような読者を試すかのようなストーリーが見られないのが残念。
天使のナイフ、闇の底、虚夢と3連敗した記憶が懐かしい。
ただ長編にして、最近のマスゴミの醜さを描いて欲しかったのが本音。
後最近の刊行では、初期のような読者を試すかのようなストーリーが見られないのが残念。
天使のナイフ、闇の底、虚夢と3連敗した記憶が懐かしい。
2021年7月6日に日本でレビュー済み
ユーチューブやヘイト、誹謗中傷、パパ活など、今風の題材やテーマが面白く、最後はどうなるのかと期待したが、あんがいあっさりだった。ここまで新しいテーマでひっぱたのだから、最後まで頑張って欲しかった。
2021年7月3日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
大好きな作家さんだけにちょっと残念。
記者の真柄が人気ユーチューバーの野依美鈴を調べるうちに・・・と帯に書かれてあるが正直ほとんど出てこない。ずっとYouTubeの内容でその問題点もニュースで誰もが目にするようなものばかり、野依美鈴が何でYouTuberとなったのか、何を目的にしているのか、これは真柄が別に突き止めているわけでもないし結末に一気に、急に詰め込んできた感じ。次の作品に期待します。
記者の真柄が人気ユーチューバーの野依美鈴を調べるうちに・・・と帯に書かれてあるが正直ほとんど出てこない。ずっとYouTubeの内容でその問題点もニュースで誰もが目にするようなものばかり、野依美鈴が何でYouTuberとなったのか、何を目的にしているのか、これは真柄が別に突き止めているわけでもないし結末に一気に、急に詰め込んできた感じ。次の作品に期待します。
2021年10月12日に日本でレビュー済み
読みやすいし、時流に乗ったテーマに挑もうという意欲は伝わる。
でも出てくる出てくる登場人物すべてがそんな対応するわけないよな…という設定でリアル感に乏しい。
主人公であるyoutuberも途中までは期待を持たせるが、結局真実に迫るという一番大事な場面で現実感がなく、それも短編をつないできた全体のストーリーをぼかしている。
伝えたいことが大ざっぱすぎて、結局どのストーリーも台本的になっていてスラスラ読める以外の感想が出てきにくい。
薬丸岳はもっとしっかりしたプロットで人間を描くイメージがあったけど、毛色が違う作品である。
でも出てくる出てくる登場人物すべてがそんな対応するわけないよな…という設定でリアル感に乏しい。
主人公であるyoutuberも途中までは期待を持たせるが、結局真実に迫るという一番大事な場面で現実感がなく、それも短編をつないできた全体のストーリーをぼかしている。
伝えたいことが大ざっぱすぎて、結局どのストーリーも台本的になっていてスラスラ読める以外の感想が出てきにくい。
薬丸岳はもっとしっかりしたプロットで人間を描くイメージがあったけど、毛色が違う作品である。
2021年9月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
現代の推理小説だと思いました。snsを利用する現代の在り方について、こんな方法もあるのかと思いながら読みました。SNS利用は毒にも薬にもなるのだと改めて認識しました。顔の見えないことは恐ろしいことですね。