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空への助走福蜂工業高校運動部単行本 – 2016/10/5

壁井ユカコ (著)

4.3 26個の評価

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福蜂工業高校バレー部のエースを狙う高杉と、尋慶女子高校テニス部エースで美人かつ勝気な赤緒。小柄で地味だが躍動感あるスポーツ写真を撮るはっち。中学時代から互いを認め合ってきた三人の友情と淡い恋を描く「強者の同盟」。
明日岡高校陸上部を引退したばかりの涼佳に、突然告白してきた頼りない後輩の柳町。東京の大学に通う元陸上部の先輩へ届かない恋心を抱いてきた涼佳だったが、走り高跳びに打ち込む柳町の成長を見つめるうちに少しずつ心が揺れ動いていく「空への助走」。
新人戦を控えたある日、顧問と衝突。生まれて初めて稽古をサボり海へ向かった福蜂工業高校柔道部主将の長谷はクラスメイトの平政と出会い、半ば強制的に釣り部へ入部させられる。長年続けてきた柔道への複雑な思いを胸に、海へ通う日々が始まる「途中下車の海」。
四月。高校生活最後の試合に向け、部活の垣根を越えてエールを送りあう福蜂工業高校の面々を描き出す単行本書き下ろし「桜のエール」。
バレー、テニス、陸上、柔道、釣り、写真、映画……それぞれの部活に懸ける姿がまぶしく愛おしい青春小説集。

【著者略歴】
壁井ユカコ(かべいゆかこ)
沖縄出身の父と北海道出身の母をもつ信州育ち、東京在住。学習院大学経済学部経営学科卒業。第9回電撃小説大賞〈大賞〉を受賞し、2003年『キーリ死者たちは荒野に眠る』でデビュー。
著書に、今作の兄弟編となる福井を舞台にした青春バレー小説『2.43 清陰高校男子バレー部』『2.43 清陰高校男子バレー部 second season』、『K -Lost Small World-』『サマーサイダー』『代々木Love&Hateパーク』「五龍世界」シリーズ、などがある。

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本の長さ

312ページ
言語

日本語
出版社

集英社
発売日

2016/10/5
寸法

13.3 x 1.9 x 18.8 cm
ISBN-10

4087710130
ISBN-13

978-4087710137
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登録情報

出版社 ‏ : ‎ 集英社 (2016/10/5)
発売日 ‏ : ‎ 2016/10/5
言語 ‏ : ‎ 日本語
単行本 ‏ : ‎ 312ページ
ISBN-10 ‏ : ‎ 4087710130
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4087710137
寸法 ‏ : ‎ 13.3 x 1.9 x 18.8 cm

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壁井ユカコ

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はまえみ

本編読んだ人も読んでない人も楽しめる青春小説

2021年9月19日に日本でレビュー済み

Amazonで購入

休日の夜、一気読み。
福工バレー部の話は、3分の1位。あとは、陸上部、柔道部など。
体育会部活の仲間と切磋琢磨する姿に、元気をもらいました！

-----------
2021.10.7追記
本編読む前でも、充分面白い部活小説。
本編の小説を読破したあとに読んだら、10倍面白かった。
箕宿高校や景星学園編も読みたいです！

役に立った

ヤボ夫

真剣に部活に打ち込み、真剣に恋をする季節…福井県の空の下で瑞々しく躍動する高校生たちの姿があまりにも眩し過ぎる…！！

2017年2月16日に日本でレビュー済み

「２．４３　清陰高校男子バレー部」でスポーツを題材にした小説に新風を吹き込んだ壁井ユカコ。
凄まじい熱量の込められた２ｎｄシーズンを読み終えてから「３ｒｄシーズンはまだなのか…」と首を長くしてたら
いつの間にか発売されていたのが２ｎｄシーズンで清陰高校と８０ページに渡る大激闘を演じた
福蜂工業高校の名を冠したこの一冊。

2015年から2016年にかけて「小説すばる」誌で発表された短編三本とちょっと長めの書き下ろしエピローグ一本で構成。

「強者の同盟」
主人公は福蜂工業高校のバレー部２年・高杉潤五。
１８８ｃｍと恵まれた体を持つ潤五だったが、ある日監督の畑から呼び出しを受け
センター（ミドルブロッカー）へのコンバートを打診される。
中学時代からエースポジションであるレフト（ウイングスパイカー）だった潤五だったが、
福蜂工業には中学時代一度も勝てなかったライバル校出身の絶対エース三森統がいた。

畑からは「センターはチームの壁やぞ」とその重要性を説かれるも、
心の揺れが収まらないまま部の面々と帰路に就いた潤五は
同じ中学出身で今では福井の女子テニスでは女王と呼ばれる赤緒梓と再会する。

暫く疎遠になっていた梓は三村を含むチームメイトの前では妙に馴れ馴れしく絡んできたが、
二人きりになった途端、今の潤五は牙を抜かれた様だと言い放ち
「梓の仲間は強い子ぉらだけで良い。負け組は梓には釣り合わん」と
潤五の心の揺れを見抜いたかのような厳しい言葉を言い放つが…

ラノベだとリア充＝冴えない主人公をバカにする教室の中心に居座る鼻持ちならない連中、
みたいな描き方になる事が多いが、その鼻持ちならない態度・自信に満ちた姿の裏に何があるか？
…といった部分が描かれる事は非常に少ない。

本作は中学までの絶対的なポジションを失いつつある潤五が再開した同級生・梓の鼻持ちならない言葉で
読者を「ガツン！」と殴りつける所から始まるのだけど、そこから語られる「強者たらんとする者」の
険し過ぎる道が「リア充」を僻みの目で見る人間の惨めさを嫌でも読者に突き付けてくる。

中学時代に潤五と梓の共通の知り合いだった小柄な女子生徒・はっちが「いい写真として」校内新聞に
貼り出した写真。中学テニスの強者である梓がまさかの一回戦負けを喫した後、
誰もいないコートで見せた「言い訳の出来ない負け」を突き付けられ全てを失った元・強者の姿。

物語は絶対に他人には見せるまいとしてきた泣き顔を晒し者にされたとはっちに絶縁を突き付けながら
高校進学後に中学時代に屈辱を味わされた相手に勝って泣く梓の姿をファインダーに収めた
はっちのもう一枚の写真を見せつけられた潤五が梓にあって自分に無かったモノを知る事に。

三村に絶対勝てないと腐りかけていた潤五が「強者の座」を取り戻そうとしていた梓の執念や
三村ですら春高バレーのセンターコートに辿り着くことを必死で目指している事を知って、
「中途半端な強者」ではなく「一番」を目指す道の険しさと自分の甘さを知った上で、
自分に与えられたポジションをポジティブに捉え直して再び前へと進み始めるまでを描いている。

「空への助走」
表題作…なんだけど、これが意外な事に主人公は福蜂工業の生徒じゃなかったりする。
しかもスポーツ小説なのに既に部活を引退して受験に専念する三年生の女子が主人公という変わり種。

主人公は明日岡高校の陸上部部長だった荒島涼佳。１６８ｃｍ７０ｋｇというむっちり体型で
「ブブ佳」というあだ名だった小学校時代に出会い、高校の陸上部で再会した同じ苗字の荒島先輩に憧れる女の子。
荒島先輩が進学した東京のＷ大を目指して図書室に籠る涼佳だったが、いつも部活中におちゃらけていた
ハイジャンプを専門とする後輩・柳町に告白めいた話を持ち掛けられる事に。

荒島先輩には自分と同級生の千鶴という彼女がいる事を知っている上に「ブブ佳なあたしなんて…」と
色恋沙汰からは一歩身を引いた態度を取っていた涼佳は戸惑い「先輩にちょっとでも近づく努力をしたこともないやろ」と
心にもない事を言ってしまうが、その言葉を真に受けた柳町は「近付いたらつきあってくれるんですか？」と
その日から人が変わったかのように荒島先輩が２年時に記録した１８５ｃｍを目指し始め…

くっはー、甘酸っぱい！「年下の彼」ものとか良すぎるだろ！
この短編集は全体的に恋が絡んでいる話が多いけど、これは素晴らし過ぎる。
むっちり体型（でも足はすんごく速い）にコンプレックスを抱き、先輩に憧れていながらも
自分の恋心から逃げた挙句、他のほっそりした女の子に先に告られてしまった女の子が
典型的な「女子から見た男子」であるおバカな下級生の男の子から
ある日唐突に想いを打ち明けられる…うん、良し、最高の展開だ。

最初は恋から逃げる消極性ゆえに「からかわれてるのかな？」と思い込もうとした涼佳だけど、
真剣過ぎる柳町の１８５㎝クリアを目指す日々のトレーニングに打ち込む姿を見せつけられた上に、
憧れの荒島先輩を持って行ってしまった千鶴の恋の顛末を見せつけられた事で
「自分と荒島先輩の中途半端な関係はなんだったのか」という心の揺れも良い。

そして競技大会の場面がまた面白すぎる。
ハイジャンプ特有のハッタリをかましあう、独特の駆け引きを利用しながらも勝ち残っていく柳町の
必死な姿は「おお、頑張れ」と読んでる方も引き込まれること必至。
普段から必死な人間よりもおちゃらけている人間の必死な姿の方が時に人の心を動かす力を持つ、
という見本の様な一作。

「途中下車の海」
なんと題材が柔道部…およそラノベ出身作家が「雑巾ダンス＠小林まこと」を扱うとは思わなかった！

主人公は福蜂工業高校柔道部のキャプテン・６０ｋｇ以下級の長谷。
才能はあるが、ちょっとした事情から県下一の柔道の名門校・鷺南学園に進むことなく、
鷺南に「てっぺん」を明け渡し続けている福蜂工業で柔道を続けていた長谷は
ある日、油断から部で唯一の女子である古賀に落とされるという無様な姿を晒す羽目に。

顧問から油断を責められた長谷は自分の一番のコンプレックスである父親との関係に
触れられてしまった事で顧問はおろか部員までも侮辱するような発言を返してしまう事に。
翌日の部活に顔を出す気になれなかった長谷は通学用の電車を乗り間違え、
海へと向かう車両に乗ってしまい、流れから三国の港の堤防へ向かう事に。

釣り人で賑わう堤防をほっつき歩いていた長谷は不注意から海に転落するが、
投げ込まれたクーラーボックスによって九死に一生を得ることに。
長谷を助けたのは福蜂工業の各運動部の有名人に言う事を聞かせているという評判の平政。
実は釣り部の部長だったという平政に「幽霊部員で良いから」と恩に着せる形で頼まれ、
釣り部の部員に名前を貸す事になった長谷だったが、海に向かう電車内で
平政が電車のアテンダントを務める女性に想いを寄せている事を知る事に…

……福蜂工業の運動部員にはアホしかおらんのかっ！！
いっやー、平政が運動部員に言う事を利かせるタネとなっていた人命救助録の
救助された運動部連中、その海への転落した人数・転落の理由に大笑い。
「２．４３」じゃシリアスキャラだった三村は「強者の同盟」でおちゃらけ者の顔を見せてくれたが
この話じゃ完全に「あほの子」扱い。

それはともかく、年上の女性に明らかな想いを寄せながらも口に出さずに堪える平政の
「耐える恋」の見事さと言ったら実にあっぱれ。
口に出して想いを告げてしまえば想いを寄せている相手を困らせるだけ、と
忍び、耐える恋の美しさが高校生の物とは思えない。

そんな平政と付き合っているうちに、県下一の名門に進めず、悶々とした状態で
柔道を続けていた長谷が心の中に溜めていたドロドロした物を少しずつ吐き出し、
そして平政を軸とした奇妙な縁もあって、ライバル鷺南のエースや部活仲間と
砂浜の上で再び柔道着をまとい心の向くまま再び柔らに打ち込むようになるまでの姿は
実に「雑巾ダンス」とは思えないほどに清々しい物があった。

壁井ユカコが旦那さんから教えて貰ったという福井弁で喋る登場人物の瑞々しさは
「２．４３」以上かもしれない。
どの話もスポーツに、恋に、そしてまだ未来への可能性をたっぷりと残した人生に向き合う
少年少女の「真剣さ」が生活の垢にまみれた中年読者の目には眩し過ぎて…
真剣にやってるから迷いもするし、時に逃げたくもなるし、壁にぶち当たって苦しむ羽目になる。
それでも決して道から降りようとせず、真正面から自分の全てをぶつけに行く
スポーツ少年たちの姿といったら何と気持ちの良い事か。

一度は止めかけた足を再び動かし始め前へと進み始めた彼らが、
暫くの時間をおいて桜の季節に一堂に会するエピローグの「未来へ進み続ける感じ」は
青春を描く筈のライトノベルすら遥かに凌駕していた。
何と贅沢なものを読ませてくれたのかと、そして読み終えるのが惜しいと心の底から思わされた。

若人たちの「真剣」に向き合う事で心を若返らせてくれる様な、本当に豊かな読書を味わせてくれた一冊。
「２．４３」の３ｒｄシーズンまでの「繋ぎ」と思って読み始めた作品だったが、
途方もない拾い物であった。やっぱり壁井ユカコは素晴らしい作家である。

10人のお客様がこれが役に立ったと考えています

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水無月生まれ

部活を頑張る高校生たちがまぶしい。こんな風に高校生活を過ごせたならよかったなあ。

2017年6月12日に日本でレビュー済み

部活を頑張る高校生たちがまぶしい。
こんな風に高校生活を過ごせたならよかったなあ。
素直で、一生懸命で、シャイで。
とにかく気持ちのいい小説で、読み終わった後がとてもさわやかな気分になった。

1人のお客様がこれが役に立ったと考えています

役に立った

Amazon カスタマー

福工に関する話じゃない

2021年5月8日に日本でレビュー済み

Amazonで購入

福峰工業の話だと思ったらそうではなかった。全く興味のないどうでもいい者についての話。読まない方がいいのかと

2017年2月3日に日本でレビュー済み

部活が生活の「主」たるもの、の世代で本気で打ち込む姿は、ただひたすらに爽やかだ。
「若いモンが若いモンらしいのは大変に微笑ましいな」って感じに好感で読みました

3人のお客様がこれが役に立ったと考えています

役に立った

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