"この神経節をエックス線によって三度焼けば、諸君は想像力の病を永遠に免れる。諸君は今や完全無欠であり、機械と同等の存在であり、こうして百パーセントの幸福への道は開かれた。"1927年発刊の本書は、ロシアで書かれたディストピア小説の先駆的名著として、シニカルな笑いと全体主義への警鐘を伝えてくれる。
個人的にはちょっとしたマイブーム的にディストピア小説にはまっている事もあり『すばらしい新世界』より数年前に発刊された本書も手にとらざるをえなかったのですが。『単一国』で暮らす"数学マニア"の数学者、D五〇三号(そう!各自の名前は最早必要とされておらず、ナンバー制なのです)の手記といった形をとっている本書は、軽薄で自分勝手な主人公にはあまり感情移入しかねるものの【昔話と片付けられない】ブラックなユーモアに満ちていて、なぜかヒヤリとさせてくれます。
また"『彼ら』とは何者のことだ。私自身は『彼ら』なのか『われら』なのか。それを私が知っているのだろうか"個性が全く奪われた結果、ときおり疑問を感じつつも『慈愛の人』(笑)が与えてくれる"サービス"そして【あらかじめわかった選挙結果】を心地よく受け入れている主人公の姿には、投票率が下がったままのどこかの国とも被ってみえて、乾いた笑いを運んできてくれました。
『1984』的なディストピア小説を探す誰かに。またロシアSFに興味がある誰かにオススメ。
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われら (集英社文庫) 文庫 – 2018/1/19
エヴゲーニイ・ザミャーチン
(著),
小笠原 豊樹
(翻訳)
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「単一国」に統治された世界では、人々は監視下に置かれながら疑問を持たなかった。
だが主人公はある女性と恋に落ち、世界の綻びに気づく。1920年代ロシアのディストピア小説の先駆的名作。(解説/中島京子)
だが主人公はある女性と恋に落ち、世界の綻びに気づく。1920年代ロシアのディストピア小説の先駆的名作。(解説/中島京子)
- 本の長さ328ページ
- 言語日本語
- 出版社集英社
- 発売日2018/1/19
- 寸法10.5 x 1.4 x 15.2 cm
- ISBN-104087607437
- ISBN-13978-4087607437
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登録情報
- 出版社 : 集英社 (2018/1/19)
- 発売日 : 2018/1/19
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 328ページ
- ISBN-10 : 4087607437
- ISBN-13 : 978-4087607437
- 寸法 : 10.5 x 1.4 x 15.2 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 260,540位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 222位ロシア・ソビエト文学 (本)
- - 2,149位集英社文庫
- カスタマーレビュー:
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2019年5月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2019年12月11日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
1922年でこんな恐るべきユートピア=ディストピアを想像できたことが驚きである。小笠原豊樹訳はとても読みやすく、岩波文庫訳よりはるかに分かりやすい。
2018年1月23日に日本でレビュー済み
機は熟した。鉄と磁石のように不可避的に、動かしがたい厳密な法則への甘い屈伏と
ともに、私は彼女の中へ流れこんだ。薔薇色のクーポン券はなく、計算もなく、「単一
国」もなく、私もなかった。ただ、やさしく鋭い喰いしばった歯があり、私にむかって
大きく見開かれた金色の目があり、その目を通って私は彼女の中へ、ますます深く入っ
て行った。そして静寂。部屋の片隅で、数千マイルの彼方で、洗面台に水滴がしたたり
落ち、私は全宇宙、したたりとしたたりの間は数世代、数世紀・・・・・
「こうなること、分かっていたわ・・・初めて逢ったときから・・・」と、Iは非常に
低い声で言った。
~p98
Iは何の前置きもなしに、いきなりすべてをぶちまけた。
「あさって積分号を乗っ取るわ」
私は飛び上がった。
「そんなことはとても考えられない!馬鹿げている!きみたちが計画しているのは革命
じゃないか」
「そうよ、革命よ!どうしてそれが馬鹿げているの」
「馬鹿げているとも。だって革命なんてありえないからね。なぜなら、われらの革命は
最後の革命だった。だから以後はどんな革命もありえない。こんなことはみんな常識で・・・」
「ねえ、あなたは数学者でしょう。最後の数を言ってみて」
~p225
「1984」のジョージオーウェルさんが この作品にふれたエッセイがあり、
そこで 上記・後者が引用されていて興味をもってから ずっと待っていた作品。
文学全集におさめられた細かい字のやつは持っていたが、それは読めず。
今回の文庫化は非常にありがたい。(「書物は不思議で、どうしようもないと思った作品
でも、段組みが変わるだけで傑作に思えることがある」by丸谷才一)
1920年作品の1977年日本語版。小笠原さんは優れた訳者でドストエフスキーの
初期作品(虐げられた か 死者 か両方)をやっていたはず。(最近は記憶がひどく
あいまいだし、正確さをもとめて情報を確認することもなくなった。。)
で、どこにでも書いてあるようなことしか言えないけど、「1984」「すばらしい新世界」
のプロトタイプ(粉本(ふんぽん)、パクリもと)になったディストピア小説で、ソビエト(なんか架空の
国みたいな響きだな)では発禁処分、弾圧されたらしい。
上記・前者のような濃厚で詩的な濡れ場があったりして、驚異的な、100年前の作品。
中島京子さんの解説がすばらしい。(理由:この作品がどのように予言的であるかが如実にわかる)
ともに、私は彼女の中へ流れこんだ。薔薇色のクーポン券はなく、計算もなく、「単一
国」もなく、私もなかった。ただ、やさしく鋭い喰いしばった歯があり、私にむかって
大きく見開かれた金色の目があり、その目を通って私は彼女の中へ、ますます深く入っ
て行った。そして静寂。部屋の片隅で、数千マイルの彼方で、洗面台に水滴がしたたり
落ち、私は全宇宙、したたりとしたたりの間は数世代、数世紀・・・・・
「こうなること、分かっていたわ・・・初めて逢ったときから・・・」と、Iは非常に
低い声で言った。
~p98
Iは何の前置きもなしに、いきなりすべてをぶちまけた。
「あさって積分号を乗っ取るわ」
私は飛び上がった。
「そんなことはとても考えられない!馬鹿げている!きみたちが計画しているのは革命
じゃないか」
「そうよ、革命よ!どうしてそれが馬鹿げているの」
「馬鹿げているとも。だって革命なんてありえないからね。なぜなら、われらの革命は
最後の革命だった。だから以後はどんな革命もありえない。こんなことはみんな常識で・・・」
「ねえ、あなたは数学者でしょう。最後の数を言ってみて」
~p225
「1984」のジョージオーウェルさんが この作品にふれたエッセイがあり、
そこで 上記・後者が引用されていて興味をもってから ずっと待っていた作品。
文学全集におさめられた細かい字のやつは持っていたが、それは読めず。
今回の文庫化は非常にありがたい。(「書物は不思議で、どうしようもないと思った作品
でも、段組みが変わるだけで傑作に思えることがある」by丸谷才一)
1920年作品の1977年日本語版。小笠原さんは優れた訳者でドストエフスキーの
初期作品(虐げられた か 死者 か両方)をやっていたはず。(最近は記憶がひどく
あいまいだし、正確さをもとめて情報を確認することもなくなった。。)
で、どこにでも書いてあるようなことしか言えないけど、「1984」「すばらしい新世界」
のプロトタイプ(粉本(ふんぽん)、パクリもと)になったディストピア小説で、ソビエト(なんか架空の
国みたいな響きだな)では発禁処分、弾圧されたらしい。
上記・前者のような濃厚で詩的な濡れ場があったりして、驚異的な、100年前の作品。
中島京子さんの解説がすばらしい。(理由:この作品がどのように予言的であるかが如実にわかる)
2019年3月22日に日本でレビュー済み
1921年ごろに完成したもの本国ロシアでは1988年にやっと出版されたという、ディストピア小説の名作。
最初から全体の6割ぐらいまでは、比喩表現は使われていますが体温をあまり感じさせない文体のためか読みにくいです。それはまるでソビエト連邦があった頃、深夜のAMラジオで流れた海外在住のスパイ向けの乱数放送を聞いているようです。
体制を信じ切った主人公が女性の影響を受けて変わっていくのは、華氏451度と共通しますが、こちらの方が女性の描かれ方の比重が大きくなっており、「マノンレスコー」や「カルメン」などのファムファタル文学的な面もあります。
「楽園の例の二人は選択を迫られた。自由なき幸福か、幸福なき自由か。第三の道は与えられずにね。馬鹿な二人は自由を選び、したがって当然のことながら、その後何世紀も束縛にあこがれた。」(P82)
「服従は美徳であり、倨傲(きょごう 傲慢)は悪徳であるということ。そしてまた《われら》は神に由来し、《私》は悪魔に由来するということ」(P167)
中国は管理・監視社会であることをあからさまに宣伝していますが、日本でも技術的には可能なのでしょう。その社会が望む究極の未来は、この「われら」で描かれている「単一国」と同じものではないでしょうか。
最初から全体の6割ぐらいまでは、比喩表現は使われていますが体温をあまり感じさせない文体のためか読みにくいです。それはまるでソビエト連邦があった頃、深夜のAMラジオで流れた海外在住のスパイ向けの乱数放送を聞いているようです。
体制を信じ切った主人公が女性の影響を受けて変わっていくのは、華氏451度と共通しますが、こちらの方が女性の描かれ方の比重が大きくなっており、「マノンレスコー」や「カルメン」などのファムファタル文学的な面もあります。
「楽園の例の二人は選択を迫られた。自由なき幸福か、幸福なき自由か。第三の道は与えられずにね。馬鹿な二人は自由を選び、したがって当然のことながら、その後何世紀も束縛にあこがれた。」(P82)
「服従は美徳であり、倨傲(きょごう 傲慢)は悪徳であるということ。そしてまた《われら》は神に由来し、《私》は悪魔に由来するということ」(P167)
中国は管理・監視社会であることをあからさまに宣伝していますが、日本でも技術的には可能なのでしょう。その社会が望む究極の未来は、この「われら」で描かれている「単一国」と同じものではないでしょうか。
2018年2月10日に日本でレビュー済み
本屋の文庫コーナーで見つけて即買いました。
岩波文庫で読んで以来です。(もう数十年前)
いわゆるディストピア小説のさきがけのような作品です。SFが嫌いな方でも読めると思います。
時は26世紀、あらゆるものの所有を禁止され、決めれたスケジュール通りに日常を過ごし、名前ではなく番号で呼ばれる世界が舞台です。(歯を磨く時間も決めれれているし、性行為の時間も決めれている。あとのストーリーは省きます。)
ザミャーチンの息もつかせぬ筆致と癖のある文体が、読者を物語に引き込みます。
社会主義体制の旧ソ連では、発禁処分を受けた本です。作者のザミャーチンはフランスに亡命しています。そのあたりの事情を加味して読むと、この作品の奥深さが分かると思います。
岩波文庫で読んで以来です。(もう数十年前)
いわゆるディストピア小説のさきがけのような作品です。SFが嫌いな方でも読めると思います。
時は26世紀、あらゆるものの所有を禁止され、決めれたスケジュール通りに日常を過ごし、名前ではなく番号で呼ばれる世界が舞台です。(歯を磨く時間も決めれれているし、性行為の時間も決めれている。あとのストーリーは省きます。)
ザミャーチンの息もつかせぬ筆致と癖のある文体が、読者を物語に引き込みます。
社会主義体制の旧ソ連では、発禁処分を受けた本です。作者のザミャーチンはフランスに亡命しています。そのあたりの事情を加味して読むと、この作品の奥深さが分かると思います。