タイトルの「逢坂の六人」は自分には分かりにくくてどうかと思いましたが、読んでいると日常生活から少し離れて平安の世界に浸ることができる、素晴らしい作品であった。
何と言っても始まりがいい。主人公は古今和歌集の撰者の紀貫之だが、他の撰者たちと古今和歌集とは何ぞやと語るところから始まる。恥ずかしながら、古今和歌集については学生時代に国語か日本史で名前を聞いたぐらいの記憶しかったが、紀貫之が古今和歌集の趣旨の趣旨について、それまでは漢詩が主流であったことに対し、「やまとの心には、やまとの歌」が一番いいのだと帝に述べ、我が国初の勅撰の和歌集を編むと高らかに宣言するのを聞いて、そんな位置づけにあったのかと素直に感動してしまった。
その後は、てっきり古今和歌集の編纂の物語になると思いきや、いきなり時代は紀貫之の幼年時代に遡って在原業平や小野小町などとの逢坂での交流が描かれることになるが、要所要所で挿入される和歌がまたよかった。意味がわかりにくい部分もあったが、こうして眺めると、日本人の心というものは、今も昔もそれほど変わらないのだと感じた。
本書を読み終わって、こうなったら古今和歌集を読むしかないと、勢いで岩波文庫を注文してしまいました。
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逢坂の六人 (集英社文庫) 文庫 – 2017/9/20
周防 柳
(著)
記念すべきやまと歌初の勅撰集、古今和歌集の選者に任命された紀貫之。歴史に残る歌集の成立を背景に、紀貫之と六歌仙たちとの関わりをドラマティックに描き出す長編時代小説。(解説/北上次郎)
- 本の長さ488ページ
- 言語日本語
- 出版社集英社
- 発売日2017/9/20
- 寸法10.6 x 2 x 15.2 cm
- ISBN-104087456358
- ISBN-13978-4087456356
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登録情報
- 出版社 : 集英社 (2017/9/20)
- 発売日 : 2017/9/20
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 488ページ
- ISBN-10 : 4087456358
- ISBN-13 : 978-4087456356
- 寸法 : 10.6 x 2 x 15.2 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 503,713位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 4,089位集英社文庫
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2014年11月24日に日本でレビュー済み
紀貫之の古今和歌集編纂にまつわる今昔。
つらゆき氏がなぜ六人の歌詠み(六歌仙)を挙げたのか?つらゆき氏の幼少時代の体験を軸に天武帝からの確執を絡めて語られる。晩年の在原業平、小野小町、文屋康秀ら豪華キャストが登場。
平安初期の人間関係が分からないと読みづらいかも知れない。
コミックだけど「うた恋。」(杉田圭)を先に読んでおくとちょっといいかも。
つらゆき氏がなぜ六人の歌詠み(六歌仙)を挙げたのか?つらゆき氏の幼少時代の体験を軸に天武帝からの確執を絡めて語られる。晩年の在原業平、小野小町、文屋康秀ら豪華キャストが登場。
平安初期の人間関係が分からないと読みづらいかも知れない。
コミックだけど「うた恋。」(杉田圭)を先に読んでおくとちょっといいかも。
2015年9月30日に日本でレビュー済み
私はそれほどまで読書好きでもないし、なにがどういいのかもよくわからない人です。読んだ本はすべていいと思うような者です。そしてこの本もとてもよかった。著者の創作であるが、興奮したし鳥肌がたちました。一度読んだら取り憑かれるように読んでました。
しかし、古典の知識がなければ理解できない部分があります。古典常識などをふまえた上で読むと、より楽しめると思います。
また、最後のページの貫之の言葉は、正岡子規の『歌よみに与ふる書』を知っていると、より感動します。
古典というものを、現代に小説というもので近づけてくれた著者は、本当に尊敬するし、素晴らしいです。
しかし、古典の知識がなければ理解できない部分があります。古典常識などをふまえた上で読むと、より楽しめると思います。
また、最後のページの貫之の言葉は、正岡子規の『歌よみに与ふる書』を知っていると、より感動します。
古典というものを、現代に小説というもので近づけてくれた著者は、本当に尊敬するし、素晴らしいです。