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蹴る群れ (集英社文庫) 文庫 – 2014/5/20
木村 元彦
(著)
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選手、指導者、サポーター。世界中でサッカーに携わる人々の生き方を綿密に取材した傑作ノンフィクション。文庫化にあたりボスニア・ヘルツェゴビナ代表選手・ジェコの章を追加。(解説/高野秀行)
- 本の長さ432ページ
- 言語日本語
- 出版社集英社
- 発売日2014/5/20
- ISBN-10408745195X
- ISBN-13978-4087451955
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登録情報
- 出版社 : 集英社 (2014/5/20)
- 発売日 : 2014/5/20
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 432ページ
- ISBN-10 : 408745195X
- ISBN-13 : 978-4087451955
- Amazon 売れ筋ランキング: - 851,108位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2014年7月19日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
W杯前に読んだので、特にGKの記事はよかったです。パレスチナ情勢で心を痛める折、木村さんの取材にこれからも期待しています。
2020年5月17日に日本でレビュー済み
本書は三つの章で計17話を載せている。第一章は歴史に翻弄されるサッカー選手達。第二章は日本サッカー稗史(”はいし”とは古代中国の正史に対する民間伝承の事とのこと。本作では表に出てこない日本サッカー史と言う内容を扱っている)。そして第三章は守護神を見ろとしてGKの物語。
サッカー雑誌を毎月購入している人には知っている人たちなのかも知れないが、トルコ代表イルハン以外は、全く聞いた事が無い人物ばかり。
ところが、これが非常に面白い。全てが面白いが、自分は特に日本サッカー稗史の章が抜群に面白かった。こんなにも熱い官僚がいたと言うのも面白いし、帝京対朝鮮高校の血で血を洗う抗争はサッカーとは関係の無い部分でも有名な話で、当時はその部分のみがクローズアップされていたが、本書では朝鮮高校の実力を認め、付近の強豪校が競って対戦試合を申し込んだなど、余り表に出てこない話が目白押し。
本書は、女子ゆえ、国籍ゆえ、人種ゆえ、国家分裂ゆえ、と言ったサッカーを続ける為に足かせとなった部分をクローズアップし、紹介しているので、出てくる人物がサッカー選手(一部サッカー関係者)と言うだけで、サッカーを全く知らない(または興味が無い)人が読んでも十分楽しめる内容となっている。
サッカー雑誌を毎月購入している人には知っている人たちなのかも知れないが、トルコ代表イルハン以外は、全く聞いた事が無い人物ばかり。
ところが、これが非常に面白い。全てが面白いが、自分は特に日本サッカー稗史の章が抜群に面白かった。こんなにも熱い官僚がいたと言うのも面白いし、帝京対朝鮮高校の血で血を洗う抗争はサッカーとは関係の無い部分でも有名な話で、当時はその部分のみがクローズアップされていたが、本書では朝鮮高校の実力を認め、付近の強豪校が競って対戦試合を申し込んだなど、余り表に出てこない話が目白押し。
本書は、女子ゆえ、国籍ゆえ、人種ゆえ、国家分裂ゆえ、と言ったサッカーを続ける為に足かせとなった部分をクローズアップし、紹介しているので、出てくる人物がサッカー選手(一部サッカー関係者)と言うだけで、サッカーを全く知らない(または興味が無い)人が読んでも十分楽しめる内容となっている。
2018年9月14日に日本でレビュー済み
木村元彦はんぱないって。。。
1986年のFIFA総会に女子W杯開催を提案しに行こうとしたノルウェーの代表が女性であることを理由に通訳と間違えられて危うく総会に参加できなくなるところだった。とか、
朝鮮学校と交流があったことを契機に、習志野高校サッカー部が当時国交も無かった北朝鮮に乗り込もうとし、北朝鮮系のスクープを獲りたかった読売グループの人間が政府の人間をも動かした。とか、
戦後初の日本代表GKが、後に相撲の八百長問題やCIAから学生運動関係者への資金供与をすっぱ抜く敏腕記者になり、メキシコW杯3位決定戦の際は既にいち記者となっていたのにこっそり日本ベンチに座らせてもらっていた。とか、
この骨太ルポ読まんと知れんやん。。。
サッカーを通じて時空を超えた旅に出た気分になる一冊。
社会主義国、独裁国家の温度感が伝わって来るような筆致。最高におススメです。
1986年のFIFA総会に女子W杯開催を提案しに行こうとしたノルウェーの代表が女性であることを理由に通訳と間違えられて危うく総会に参加できなくなるところだった。とか、
朝鮮学校と交流があったことを契機に、習志野高校サッカー部が当時国交も無かった北朝鮮に乗り込もうとし、北朝鮮系のスクープを獲りたかった読売グループの人間が政府の人間をも動かした。とか、
戦後初の日本代表GKが、後に相撲の八百長問題やCIAから学生運動関係者への資金供与をすっぱ抜く敏腕記者になり、メキシコW杯3位決定戦の際は既にいち記者となっていたのにこっそり日本ベンチに座らせてもらっていた。とか、
この骨太ルポ読まんと知れんやん。。。
サッカーを通じて時空を超えた旅に出た気分になる一冊。
社会主義国、独裁国家の温度感が伝わって来るような筆致。最高におススメです。
2007年2月26日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
世間的にはオシム本で有名になった著者ですが、この本を読んでフットボールに対する愛情を十二分に感じました。取り上げている人物は、日本代表やクラブチームだけを追いかけている人々には馴染みがないかもしれません。しかし、面々と続いているフットボールというゲームを愛し続けている人達にとっては、心の琴線に触れるものが必ずあります。
Jリーグが始まる前に是非どうぞ!
Jリーグが始まる前に是非どうぞ!
2008年6月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
マニアックだなあ、木村元彦って。17章で15人と2組の人物を取り上げてあるのだが、私の知っている選手は一人もいなかった。もちろん、その筋では有名な人ばかりなのでしょう。つまり、知る人ぞ知る(=ほとんどの人は知らない)対象ばかり。それでも、少しでもサッカーに興味があれば、おもしろく読める。これは、著者の誠実な取材と筆力のなせる技だ。
政治や社会情勢に翻弄され思うようにいかなかった人物ばかりなのも、いかにも木村元彦。どの章も、人生のほろ苦さを余韻として残している。それでも、オムニバスなので、彼の作品の中では軽い読後感で、明るく楽に読み終われる。木村元彦の入門としては一番良い本かも知れない。本書をきっかけに『悪者見参』などのユーゴ問題を扱った本に進む人が出てくればいいと思う。
政治や社会情勢に翻弄され思うようにいかなかった人物ばかりなのも、いかにも木村元彦。どの章も、人生のほろ苦さを余韻として残している。それでも、オムニバスなので、彼の作品の中では軽い読後感で、明るく楽に読み終われる。木村元彦の入門としては一番良い本かも知れない。本書をきっかけに『悪者見参』などのユーゴ問題を扱った本に進む人が出てくればいいと思う。
2009年10月21日に日本でレビュー済み
基本的には木村元彦がライフワークとする「政治に翻弄されるフットボーラー」の話が中心。それがイラクの
代表選手であったり、イルハン王子であったり、サビチェビッチであったりするのだが…。そこには著者の一貫
して主張する「フットボールは断じて政治の道具では無い」と言う主張が見え隠れする。しかしながらサッカー
ほど政治に翻弄されるスポーツも無いのだが…。
本書を読んで再発見したのは、純粋なスポーツジャーナリストとしての著者の力量。浦和レッズの土田と田北の
物語なんかは、抜群に面白かった。変に拘らずに幅広くスポーツを取り扱ったらかなり世間の評価も高まるので
は?と思ったが、それをしたら木村元彦が木村元彦でなくなってしまうのだな、と感じた。
その独特の取材スタンスを失ってほしくない。希有な人材だと思います。
代表選手であったり、イルハン王子であったり、サビチェビッチであったりするのだが…。そこには著者の一貫
して主張する「フットボールは断じて政治の道具では無い」と言う主張が見え隠れする。しかしながらサッカー
ほど政治に翻弄されるスポーツも無いのだが…。
本書を読んで再発見したのは、純粋なスポーツジャーナリストとしての著者の力量。浦和レッズの土田と田北の
物語なんかは、抜群に面白かった。変に拘らずに幅広くスポーツを取り扱ったらかなり世間の評価も高まるので
は?と思ったが、それをしたら木村元彦が木村元彦でなくなってしまうのだな、と感じた。
その独特の取材スタンスを失ってほしくない。希有な人材だと思います。
2007年8月8日に日本でレビュー済み
木村さんを有名にした『オシムの言葉』では、イビチャ・オシムというフットボーラーの半生から、ユーゴスラビアの抱えていた問題やサッカー観の歴史が映し出されたように、この『蹴る群れ』では特定のフットボーラー(あるいはチーム)のそれまでの苦闘から、その国や民族、地域の歴史が映し出されている。
そして、取材対象がジダンやロナウジーニョなどのような、他のジャーナリストも取材するような“ありきたり”な人物ではない。
例えば、イルハン・マンスズの半生は、ドイツ在住トルコ移民の苦悩そのものだと感じたし、デヤン・サビチェビッチは、セルビアからの独立か否かに揺れるモンテネグロの歴史そのものだ。
また、ハンス・フォルクは、南アフリカで生まれ、オランダで育ち、プロになり、再度南アフリカ代表としてフランスW杯に出場したGKである。このときの監督はフィリップ・トルシエで、白人はこのふたりだけ。 サッカーを通じて、黒人のフィールドプレーヤーと戦う集団を作っていく様は、人種差別の解けた南アフリカの縮図のように思える。
世界だけでなく、日本でもアプローチは一緒だ。
Jリーグでも監督となったハシェックやアルディレスも重き運命を背負っていた。
サッカーをやったことが無いのに、宮城県塩釜市にサッカー少年団を立ち上げ、元日本代表の加藤久さんを育てた小幡忠義さんは、塩釜のサッカー史そのものだ。 在日朝鮮人の金さんから在日朝鮮人の不遇の歴史や、'70年代から'80年代の高校サッカーの「裏の歴史」を読み解ける。
旧ユーゴを長年に渡り取材したり、戦渦の中でイラク代表に同行取材したりする日本人は、木村さんぐらいだろう。 コラムニストのえのきどいちろうさんが「現場の踏み方が違う」と評していたが、この本を読むと実感できると思う。
時代に抗って生きてきた「フットボーラーの半生」と読むこともできるだろうし、その背後にある「国の現代史」を描いたノンフィクションとも読むことができるだろう。いずれにしても、これだけはっきりと現代史を感じ取れるサッカー・ノンフィクションは、なかなかない。
そして、取材対象がジダンやロナウジーニョなどのような、他のジャーナリストも取材するような“ありきたり”な人物ではない。
例えば、イルハン・マンスズの半生は、ドイツ在住トルコ移民の苦悩そのものだと感じたし、デヤン・サビチェビッチは、セルビアからの独立か否かに揺れるモンテネグロの歴史そのものだ。
また、ハンス・フォルクは、南アフリカで生まれ、オランダで育ち、プロになり、再度南アフリカ代表としてフランスW杯に出場したGKである。このときの監督はフィリップ・トルシエで、白人はこのふたりだけ。 サッカーを通じて、黒人のフィールドプレーヤーと戦う集団を作っていく様は、人種差別の解けた南アフリカの縮図のように思える。
世界だけでなく、日本でもアプローチは一緒だ。
Jリーグでも監督となったハシェックやアルディレスも重き運命を背負っていた。
サッカーをやったことが無いのに、宮城県塩釜市にサッカー少年団を立ち上げ、元日本代表の加藤久さんを育てた小幡忠義さんは、塩釜のサッカー史そのものだ。 在日朝鮮人の金さんから在日朝鮮人の不遇の歴史や、'70年代から'80年代の高校サッカーの「裏の歴史」を読み解ける。
旧ユーゴを長年に渡り取材したり、戦渦の中でイラク代表に同行取材したりする日本人は、木村さんぐらいだろう。 コラムニストのえのきどいちろうさんが「現場の踏み方が違う」と評していたが、この本を読むと実感できると思う。
時代に抗って生きてきた「フットボーラーの半生」と読むこともできるだろうし、その背後にある「国の現代史」を描いたノンフィクションとも読むことができるだろう。いずれにしても、これだけはっきりと現代史を感じ取れるサッカー・ノンフィクションは、なかなかない。
2007年3月7日に日本でレビュー済み
ベストセラーとなった「オシムの言葉」よりも早くから7年を費やし取材されたこの書には、耐え難い程の苦境や波瀾を幾度も乗り越えサッカーに尽きることのない情熱を捧げてきた人々の17篇のエピソードが収められている。その17篇はどれもが1冊の密度を湛え頁をめくるたびに多様な発見をもたらし、読後に忘れ難い余韻を残す。
例えば第1話では、日本代表をドーハで失意のどん底に陥れたイラク代表の'04〜'06年までが描かれている。「日本に負ければ鞭打ちが待っていた」「日常的にフセインの弟ウダイによる拷問が行われていた」という風説がまことしやかに流れ、ともすれば我々は検証することも無くそれを事実として受け入れてしまいがちだ。しかし巷を跋扈するこの種の噂と裏腹に、絶望的な状況と闘いながらも希望に溢れアテネの夢へ疾走してゆくイラクサッカーの姿が鮮やかに描きだされている。
例えば第5話では、元ヴィッセル神戸監督イワン・ハシェックが登場する。幼い頃、ソ連のチェコスロバキア軍事侵攻(プラハの春)による粛清のなかを生き抜き、サッカーボール14個という契約金でスパルタプラハと契約(当時15才)した彼は、やがてチェコ代表に登りつめ国民的英雄となる。そして'89年に起きた民主化運動"ビロード革命"の真只中、75万人の民衆の前に立ったハシェックは・・・
驚きを禁じ得ないドラマが次から次へと続いてゆき、戦争、差別、貧困、商業主義、サッカーを切り刻もうとするあらゆる困難に打ち克ってゆく人々の逸話に時間を忘れて読み耽ってしまう。
この書はそれだけではなく、テーマを重層的に織り込んでいるようにも思える。
日本代表にドーハの悲劇をもたらしたイラク代表から始まり、ライバルとして共に凌ぎを削ってきた在日朝鮮サッカーを経て、南アフリカ代表GKハンス・フォンクとの対話の中で語られるトルシエへと連なる構成は、また異端者の物語とも言える。異郷に於いて異端と呼ばれながら生き抜く者は、同時に呼ぶ者たちのアイデンティティーを揺さぶり、対峙する他者がいてこそ自らも存在し得るということを気付かせてくれる。だが、トルシエを忘れジーコをも忘れようとしているかに見える日本サッカーは、日本人或いは日本サッカーの脆さを痛烈に指摘したトルシエの記憶が残る地である南アフリカをいま目指している。思えば日本人は様々なことを忘れ去りながら生きて来たのかもしれない。忘却と不寛容はよく似ている。「蹴る群れ」は、目を覚ませと囁くかのようにその現実へと誘う。困難に向き合う限りそこに停滞は無い、そこにしか未来はない、という確信と共に。
例えば第1話では、日本代表をドーハで失意のどん底に陥れたイラク代表の'04〜'06年までが描かれている。「日本に負ければ鞭打ちが待っていた」「日常的にフセインの弟ウダイによる拷問が行われていた」という風説がまことしやかに流れ、ともすれば我々は検証することも無くそれを事実として受け入れてしまいがちだ。しかし巷を跋扈するこの種の噂と裏腹に、絶望的な状況と闘いながらも希望に溢れアテネの夢へ疾走してゆくイラクサッカーの姿が鮮やかに描きだされている。
例えば第5話では、元ヴィッセル神戸監督イワン・ハシェックが登場する。幼い頃、ソ連のチェコスロバキア軍事侵攻(プラハの春)による粛清のなかを生き抜き、サッカーボール14個という契約金でスパルタプラハと契約(当時15才)した彼は、やがてチェコ代表に登りつめ国民的英雄となる。そして'89年に起きた民主化運動"ビロード革命"の真只中、75万人の民衆の前に立ったハシェックは・・・
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