得難い読書体験となった点で、読んでよかった一冊。ただし、内容、書き振りに全面肯定かというとそうではないという一冊。
内容は動物性愛者(ズーフィリア)へのインタビューをまとめたもの。
普段、なるべくは多様性はあった方が良いと思っていました。が、ズーフィリアは違う、と直感的に思ってしまう自分の匙加減の基準はなんなのだろうと考え込んでしまいました。
それは、端的には性的嗜好において人と動物の一線を超えてはならんだろ、という思いなのですが、後の世でズーフィリアが多様性の一部として認められるようになれば、ヒューマニズムのパラダイムに囚われた老害と言われるようになるのかもしれません。
本書を通して、ある価値観を受け入れられない人の気持ちが痛いほどわかるようになったというのが、個人的な学びです。自身の許容範囲の境界線を感じました。
一方、作者の方自身が性被害のサバイバーで、その経験が調査対象の選定、執筆の強い動機になっている、という背景にも考え込んでしまいます。
当然、インタビューを受けている方々は、同意があって本書に記述されているのですが、作者のリハビリのために他者を晒しているように私自身は感じてしまい、他人を手段として使うことなかれというカントの言葉が頭をよぎりました。
ただし、こんな風に思われるであろうことは容易に想像がついたにもかかわらず、自己開示を本書内でしたのは作者の誠意なのだとも感じており、これまた自分の中の倫理観の境界線に触れた点です。
長々と書きましたが、読んで良かった一冊です。
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聖なるズー (集英社文庫) 文庫 – 2021/11/19
濱野 ちひろ
(著)
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開高賞史上最大の問題作!
動物との性愛。性にタブーはあるのか。
第17回開高健ノンフィクション賞受賞作
犬や馬をパートナーとする動物性愛者「ズー」。大型犬を「僕の妻だよ」と紹介する男性。七匹のねずみと「群れ」となって生活する男性。馬に恋する男性。彼らはときに動物とセックスし、深い愛情を持って生活する。そんなズーたちと寝食をともにしながら、自身の性暴力体験を背景に、人間にとって愛とは何か、暴力とは何か考察を重ねる。人間の深淵に迫る、第17回開高健ノンフィクション賞受賞作。
動物との性愛。性にタブーはあるのか。
第17回開高健ノンフィクション賞受賞作
犬や馬をパートナーとする動物性愛者「ズー」。大型犬を「僕の妻だよ」と紹介する男性。七匹のねずみと「群れ」となって生活する男性。馬に恋する男性。彼らはときに動物とセックスし、深い愛情を持って生活する。そんなズーたちと寝食をともにしながら、自身の性暴力体験を背景に、人間にとって愛とは何か、暴力とは何か考察を重ねる。人間の深淵に迫る、第17回開高健ノンフィクション賞受賞作。
- 本の長さ304ページ
- 言語日本語
- 出版社集英社
- 発売日2021/11/19
- 寸法10.5 x 1.3 x 15.2 cm
- ISBN-104087443213
- ISBN-13978-4087443219
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登録情報
- 出版社 : 集英社 (2021/11/19)
- 発売日 : 2021/11/19
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 304ページ
- ISBN-10 : 4087443213
- ISBN-13 : 978-4087443219
- 寸法 : 10.5 x 1.3 x 15.2 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 36,784位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 211位集英社文庫
- - 842位その他の思想・社会の本
- カスタマーレビュー:
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2022年8月5日に日本でレビュー済み
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2022年4月12日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
過去に凄まじい性暴力を10年にわたって受け続けた経験がある著者が改めて性というものに向き合おうとしたときに選んだテーマが動物性愛というものである。一方的な性欲のはけ口としてのいわゆる獣姦などとは全く別であり動物を対等なパートナーとして位置付け相手が求めてきたとき(!)にのみセックスをするとういうにわかには信じがたい人々のレポートが綴られている。とにかく驚愕の内容である。
2023年7月2日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
研究論文を下敷きにしており、人類愛を踏み外して生命愛を獲得するに至ってしまった、哀しい人々の記録です。
ポルノ的な内容を期待するのは無意味。
ポルノ的な内容を期待するのは無意味。
2021年8月9日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
動物性愛者の話である。場所はドイツ。著者の博士論文らしい。
著者は10年ほど交際相手に支配されていた経験を持ち、そういう意味で性愛に対してワダカマリを抱きながらのレポートとなる。さて、内容に関しては、読む前はてっきりいわゆる獣姦、つまりロバだとかヤギに近づいて動物虐待的な感じでヤる人たちの取材と思い込んでいたら全然違いました。むしろ動物への純愛というか、セックスは確かに含まれるのだが、動物、特に犬と本気で愛し合う男女の話だった。読まないと、そんなアホなと思えるのだが、著者とともに本気で犬と愛し合う(それはセックスが主では全然なく)人たちの話を読んでいると、確かにアリかなと思えるようになる。むしろ、彼らが言う通り、動物が持っている性欲を含めた性愛を飼い主である人間が無視しすぎているのは確かかも?と思えてくる。
日本でも著者は取材使用するが、基本的にはそういう人を探そうとすると下ネタで近づいてくる馬鹿な男ばかりなのだが、1人高校生の頃にそういった真面目な動物性愛に気づいた若者がでてきており、彼の今後の人生の困難さを思うと心配にはなる。
いずれにしても、LGBTでマイノリティの性に自分は寛容だななんて思っていると衝撃的な内容だし、読後は少なくても本気の気持ちで動物と向き合い、強制などなく愛し合う人たちを馬鹿になどできなくなるのも確かである。
著者は10年ほど交際相手に支配されていた経験を持ち、そういう意味で性愛に対してワダカマリを抱きながらのレポートとなる。さて、内容に関しては、読む前はてっきりいわゆる獣姦、つまりロバだとかヤギに近づいて動物虐待的な感じでヤる人たちの取材と思い込んでいたら全然違いました。むしろ動物への純愛というか、セックスは確かに含まれるのだが、動物、特に犬と本気で愛し合う男女の話だった。読まないと、そんなアホなと思えるのだが、著者とともに本気で犬と愛し合う(それはセックスが主では全然なく)人たちの話を読んでいると、確かにアリかなと思えるようになる。むしろ、彼らが言う通り、動物が持っている性欲を含めた性愛を飼い主である人間が無視しすぎているのは確かかも?と思えてくる。
日本でも著者は取材使用するが、基本的にはそういう人を探そうとすると下ネタで近づいてくる馬鹿な男ばかりなのだが、1人高校生の頃にそういった真面目な動物性愛に気づいた若者がでてきており、彼の今後の人生の困難さを思うと心配にはなる。
いずれにしても、LGBTでマイノリティの性に自分は寛容だななんて思っていると衝撃的な内容だし、読後は少なくても本気の気持ちで動物と向き合い、強制などなく愛し合う人たちを馬鹿になどできなくなるのも確かである。
2019年11月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
一気に読了した。
もし優れた本が読む前と読んだ後に見ている風景が変わってしまうものなら、わたしには本書はその一冊だった。
著者が受けたDV、動物性愛と言った目立つトピックに目が行きがちだし、タブーとされている物がこの本だけで分かると考えるなら本書は全くそう言う内容ではない。
人間が人間同士で言葉や身振り手振りでコミュニケーションを充分に取れていて、それ故に性愛が対等なり了解可能なものだと思ったら全くそんなことはない。
本書に取り上げられるのは動物に十分配慮したズーフィリア(動物性愛者)たちである。
筆者が取材したドイツの彼ら彼女らが正しいとか正しくないとか断ずることは筆者と同じく出来ない。
ただ本書を通じて分かるのはある意味「本能の壊れた」人間の性愛が如何に奇妙なもので理解が可能なのかどうかをズーフィリアを通じて、反対に問い返されることだ。
何よりも愛と性と身体の行為は一致しているのかどうか、という果てのない問いである。
確かに動物性愛を公言する世界的にもマレな人々を取材しているが、本書は決してタブーや性への興味本位で読まれるべきものではない。
本書には正解も結論も明示されていない。ただ可能性だけが示されて終わる。
濱野さんへ
労作お疲れさまでした。
調査、しかも自身に返ってくるものはご負担の大きいものだと思います。
聖ではないもの、俗なるものも文字通り身を張って調査されたなかでの必然は文化人類学としてもご本人としても必ずあったでしょう。
おそらくヒステリックな反応も生み出しかねない一冊では有りますがわたしは身体、自身の性丸ごと問い返すインパクトを受けました。
ご無理のない範囲で、続章をお待ちしています。
もし優れた本が読む前と読んだ後に見ている風景が変わってしまうものなら、わたしには本書はその一冊だった。
著者が受けたDV、動物性愛と言った目立つトピックに目が行きがちだし、タブーとされている物がこの本だけで分かると考えるなら本書は全くそう言う内容ではない。
人間が人間同士で言葉や身振り手振りでコミュニケーションを充分に取れていて、それ故に性愛が対等なり了解可能なものだと思ったら全くそんなことはない。
本書に取り上げられるのは動物に十分配慮したズーフィリア(動物性愛者)たちである。
筆者が取材したドイツの彼ら彼女らが正しいとか正しくないとか断ずることは筆者と同じく出来ない。
ただ本書を通じて分かるのはある意味「本能の壊れた」人間の性愛が如何に奇妙なもので理解が可能なのかどうかをズーフィリアを通じて、反対に問い返されることだ。
何よりも愛と性と身体の行為は一致しているのかどうか、という果てのない問いである。
確かに動物性愛を公言する世界的にもマレな人々を取材しているが、本書は決してタブーや性への興味本位で読まれるべきものではない。
本書には正解も結論も明示されていない。ただ可能性だけが示されて終わる。
濱野さんへ
労作お疲れさまでした。
調査、しかも自身に返ってくるものはご負担の大きいものだと思います。
聖ではないもの、俗なるものも文字通り身を張って調査されたなかでの必然は文化人類学としてもご本人としても必ずあったでしょう。
おそらくヒステリックな反応も生み出しかねない一冊では有りますがわたしは身体、自身の性丸ごと問い返すインパクトを受けました。
ご無理のない範囲で、続章をお待ちしています。
2019年12月1日に日本でレビュー済み
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大変興味深く、様々な感情を想起させる本だった。
アブノーマルだと決めつけ忌避することや、精神疾患のカテゴリで語るのは簡単だ。しかし、人間の最も柔らかく大切にすべきセクシャリティの部分を、社会的に定められた常識に当てはめることの残酷さ。それを私たちは理解しつつあるのではなかったか。現代社会における寛容と不寛容の構造を、改めて突きつけられた思いだった。
多様性と一言で括る乱暴さは百も承知だ。だが、犬を性的対象として見るあなたはおかしい、と断ずることが、現に「そうある」人たちにとって一体何の意味があるのか。
LGBTを例に取らずとも、細かく言えば誰しも何かの性的嗜好や傾向を持っている。
セクシャリティとは本来、縦にスパスパと切って取れるように区分けされるものではなく、もっとグラデーションの様に徐々に変化していくものだと感じさせられた。
最も、こう言えるのは小児性愛などとは異なり、最終的には相互の愛が揺るぎなく存在する前提があってのことだ。しかし、その愛を証明する手段は無いに等しい。そこが議論を呼ぶ一因であることは間違いないだろう。
著者にとって、この本を書くこと自体が癒しの旅路であれば良いと思うとともに、動物を愛し家族として共に過ごす一人として、愛の形そのものを考えてみたいと思う一冊だった。
アブノーマルだと決めつけ忌避することや、精神疾患のカテゴリで語るのは簡単だ。しかし、人間の最も柔らかく大切にすべきセクシャリティの部分を、社会的に定められた常識に当てはめることの残酷さ。それを私たちは理解しつつあるのではなかったか。現代社会における寛容と不寛容の構造を、改めて突きつけられた思いだった。
多様性と一言で括る乱暴さは百も承知だ。だが、犬を性的対象として見るあなたはおかしい、と断ずることが、現に「そうある」人たちにとって一体何の意味があるのか。
LGBTを例に取らずとも、細かく言えば誰しも何かの性的嗜好や傾向を持っている。
セクシャリティとは本来、縦にスパスパと切って取れるように区分けされるものではなく、もっとグラデーションの様に徐々に変化していくものだと感じさせられた。
最も、こう言えるのは小児性愛などとは異なり、最終的には相互の愛が揺るぎなく存在する前提があってのことだ。しかし、その愛を証明する手段は無いに等しい。そこが議論を呼ぶ一因であることは間違いないだろう。
著者にとって、この本を書くこと自体が癒しの旅路であれば良いと思うとともに、動物を愛し家族として共に過ごす一人として、愛の形そのものを考えてみたいと思う一冊だった。
2022年9月5日に日本でレビュー済み
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そういう世界があり、その世界に浸る人間はいるのだということは理解した。ただ著者のインタビューや挿話で、達也という少年が雄犬に挿入される話は脚色を感じます。何度も求められて自然とそうなったらしいですが、果たして少年の肛門に大型犬のペニスが都合よく挿入できるのか。また「おおロミオ、どうしてあなたはロミオなの。あの言葉がよくわかります。どうして、ラッキーは犬なんだろう」と少年が言いますが、現実にこんな台詞を言うものでしょうか?著者がドイツへ渡りドキドキしながらの初インタビューから、動物性愛者の家に泊まり、徐々に仲間と交流を深めていく流れは、欧米人作家の分厚い本でよく見るようなチョイと都合の良いストーリーな気がして個人的には「迫真のルポ」とまで感じることはありませんでした。
2020年5月10日に日本でレビュー済み
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批判している方の言い分もわからないでもないが、読んでから批判してるのか疑問。
もし闇雲に動物がかわいそうだと叫ぶのなら、例えば犬に服を着せること、簡単に虚勢することはどうなのだろうか、意図的に小型化させたミックス犬は?
読んでいてズーのパートナー達である犬や馬はかわいそうだとは思わなかった、
疑問に思うことも何点かあったが、アブノーマルの一つに数えるのではなく、いつか愛の形の一つとして許されるようになってほしいと思う。
一つ欠点があるとしたら包装をあけたら帯が破れていたので少し残念に感じました。
もし闇雲に動物がかわいそうだと叫ぶのなら、例えば犬に服を着せること、簡単に虚勢することはどうなのだろうか、意図的に小型化させたミックス犬は?
読んでいてズーのパートナー達である犬や馬はかわいそうだとは思わなかった、
疑問に思うことも何点かあったが、アブノーマルの一つに数えるのではなく、いつか愛の形の一つとして許されるようになってほしいと思う。
一つ欠点があるとしたら包装をあけたら帯が破れていたので少し残念に感じました。