タイトルから、はじめはあくまでも手塚治虫から見たトキワ荘時代とその周辺の漫画家を扱っているのだろうかと思っていたのだが、そうではなかった。
この本は、戦後マンガ史の総決算と言える本だった。
戦前の出版業界や編集者の歴史から始まって、手塚家のあらまし、手塚治虫の生い立ちと戦前・戦中・戦後の様子、デビューからトキワ壮まで、ここからやっとトキワ壮の話になるのだが、出版社や雑誌、編集者と漫画家を含めた総合的な歴史を知ることができる。
更に、手塚治虫が出って言ってから始まるトキワの初期メンバー、その中期・後期も含めてのあらましや事件の記録、最後にはトキワ壮以外のグループの存在や当時の漫画界の様子などを知ることができる。
正直、トキワ壮関連の個別のエッセイや歴史を語る本は数あれど、ここまで包括して語られている本を見たことはない。
トキワ壮関連に興味ある人、戦後漫画史を知りたい人にはたまらない本だったと思う。
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手塚治虫とトキワ荘 (集英社文庫) 文庫 – 2021/5/20
中川 右介
(著)
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日本のマンガは、このアパートから生まれた。
手塚治虫、藤子・F・不二雄、藤子不二雄A、石ノ森章太郎、赤塚不二夫
……若き日の巨匠たちが集った聖地・トキワ荘。
日本のマンガ出版史を描き切る決定版評伝。
東京都豊島区椎名町にあった木造二階建てのアパート、トキワ荘。
1950年代、ここに住んだ手塚治虫の後を追うように、
藤子不二雄A、藤子・F・不二雄、石ノ森章太郎、赤塚不二夫らが居住したことで、
このアパートはマンガ史に残る「聖地」となった。
戦後、日本のマンガ雑誌が、月刊誌から週刊誌へと変貌していく過程で、
トキワ荘に集ったマンガ家たちがたどった運命、
そして、今もトキワ荘が伝説となって語り継がれるのはなぜか。
膨大な資料をもとに、手塚治虫とトキワ荘グループの業績を再構築し、
日本マンガ史を解読する「群像評伝」!
彼らはみな東京以外で生まれ育った。
マンガ家になろうと東京に出てきたとき、どうして同じアパートに住んだのか。
まるで神の見えない手に導かれたかのようだ。
しかし、広い東京で偶然ということはありえない。誰かが、彼らを一箇所に集めたのである。
「マンガの神様」と称された手塚治虫なのか。どこかの雑誌の編集部なのか。
『手塚治虫とトキワ荘』は、この「誰か」を突き止めようということから出発した。
〈「青春と読書」2019年6月号より抜粋〉
●著者プロフィール
中川右介(なかがわ ゆうすけ)
作家、編集者。1960年東京都生まれ。
早稲田大学第二文学部卒業。出版社勤務の後、アルファベータを設立し、2014年まで代表取締役編集長として雑誌「クラシックジャーナル」ほか、音楽家や文学者の評伝や写真集の編集・出版を手掛ける。一方で作家としても活躍。クラシック音楽はもとより、歌舞伎、映画、歌謡曲、マンガなどにも精通。膨大な資料から埋もれていた史実を掘り起こし、歴史に新しい光を当てる執筆スタイルで人気を博している。
主な著書に『江戸川乱歩と横溝正史』『阿久悠と松本隆』『1968年』『サブカル勃興史』など。
手塚治虫、藤子・F・不二雄、藤子不二雄A、石ノ森章太郎、赤塚不二夫
……若き日の巨匠たちが集った聖地・トキワ荘。
日本のマンガ出版史を描き切る決定版評伝。
東京都豊島区椎名町にあった木造二階建てのアパート、トキワ荘。
1950年代、ここに住んだ手塚治虫の後を追うように、
藤子不二雄A、藤子・F・不二雄、石ノ森章太郎、赤塚不二夫らが居住したことで、
このアパートはマンガ史に残る「聖地」となった。
戦後、日本のマンガ雑誌が、月刊誌から週刊誌へと変貌していく過程で、
トキワ荘に集ったマンガ家たちがたどった運命、
そして、今もトキワ荘が伝説となって語り継がれるのはなぜか。
膨大な資料をもとに、手塚治虫とトキワ荘グループの業績を再構築し、
日本マンガ史を解読する「群像評伝」!
彼らはみな東京以外で生まれ育った。
マンガ家になろうと東京に出てきたとき、どうして同じアパートに住んだのか。
まるで神の見えない手に導かれたかのようだ。
しかし、広い東京で偶然ということはありえない。誰かが、彼らを一箇所に集めたのである。
「マンガの神様」と称された手塚治虫なのか。どこかの雑誌の編集部なのか。
『手塚治虫とトキワ荘』は、この「誰か」を突き止めようということから出発した。
〈「青春と読書」2019年6月号より抜粋〉
●著者プロフィール
中川右介(なかがわ ゆうすけ)
作家、編集者。1960年東京都生まれ。
早稲田大学第二文学部卒業。出版社勤務の後、アルファベータを設立し、2014年まで代表取締役編集長として雑誌「クラシックジャーナル」ほか、音楽家や文学者の評伝や写真集の編集・出版を手掛ける。一方で作家としても活躍。クラシック音楽はもとより、歌舞伎、映画、歌謡曲、マンガなどにも精通。膨大な資料から埋もれていた史実を掘り起こし、歴史に新しい光を当てる執筆スタイルで人気を博している。
主な著書に『江戸川乱歩と横溝正史』『阿久悠と松本隆』『1968年』『サブカル勃興史』など。
- 本の長さ536ページ
- 言語日本語
- 出版社集英社
- 発売日2021/5/20
- 寸法10.5 x 2.1 x 15.2 cm
- ISBN-104087442497
- ISBN-13978-4087442496
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登録情報
- 出版社 : 集英社 (2021/5/20)
- 発売日 : 2021/5/20
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 536ページ
- ISBN-10 : 4087442497
- ISBN-13 : 978-4087442496
- 寸法 : 10.5 x 2.1 x 15.2 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 514,442位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 826位集英社文庫コミック版
- - 4,344位集英社文庫
- - 12,229位日本文学
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2019年8月8日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
まんが道と藤子不二雄の自伝と、
映画「トキワ荘の青春」で、基本的な知識は知っていたつもりだったけど、
知らないこともいっぱいあったんだな。驚いたのが、
まんが道にも出てくる学童社のイケメン若社長「加藤宏泰」と、
講談社の編集者である奥さんの話。
このおしゃれな新婚夫婦も、トキワ荘に住んでいたらしい。
いちばん最初にこの夫婦が住んでて、
まずは手塚治虫を呼び寄せたことからトキワ荘の伝説が始まった。
トキワ荘がボロアパートではなかったことと
学童社が大変な状況だったことは有名だけど、社長夫婦が四畳半生活!?
そして藤子Aは姉と母を呼び寄せて3人暮らしだったのか。
藤子Fも母と。赤塚も母と。石森は姉と、鈴木は森安と。
みんな四畳半に複数人で暮らして仕事してたのか。すごい話だ。
2メートル後ろに常に同居人がいる状態で1日中漫画を描く生活。
同居人の姿はまんが道ではなぜか描かれてなかった。
まだ半分しか読んでないのだが、すごく面白い。後半も楽しみだ。
映画「トキワ荘の青春」で、基本的な知識は知っていたつもりだったけど、
知らないこともいっぱいあったんだな。驚いたのが、
まんが道にも出てくる学童社のイケメン若社長「加藤宏泰」と、
講談社の編集者である奥さんの話。
このおしゃれな新婚夫婦も、トキワ荘に住んでいたらしい。
いちばん最初にこの夫婦が住んでて、
まずは手塚治虫を呼び寄せたことからトキワ荘の伝説が始まった。
トキワ荘がボロアパートではなかったことと
学童社が大変な状況だったことは有名だけど、社長夫婦が四畳半生活!?
そして藤子Aは姉と母を呼び寄せて3人暮らしだったのか。
藤子Fも母と。赤塚も母と。石森は姉と、鈴木は森安と。
みんな四畳半に複数人で暮らして仕事してたのか。すごい話だ。
2メートル後ろに常に同居人がいる状態で1日中漫画を描く生活。
同居人の姿はまんが道ではなぜか描かれてなかった。
まだ半分しか読んでないのだが、すごく面白い。後半も楽しみだ。
2021年8月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「はじめに」で本書は、ストーリーマンガというジャンルを生み出した、
マンガの神様、手塚治虫とその信徒たちの物語とあります。
確かに手塚治虫は、マンガという表現の手段を高め、社会に定着させ、
異論はあると思いますが、アニメの発展の礎を作った本当に巨人、神様といえる存在です。
劇画もある意味アンチ手塚がもとになり、現在の隆盛を作ったといえなくもないと思います。
書いてある内容はマニアにとって多くのことは既知の事柄だと思いますが、
それがクロノロジカルに丁寧に記述されています。
漫画少年、トキワ荘、月刊誌から週刊誌へ、さらにTVアニメ・・・。
故人になられた方もいますが、代表的なマンガ家は、ほぼ網羅されています。
私個人としては、マンガの隆盛とともに筆を折った寺田ヒロオの存在が強く印象に残ります。
マンガの神様、手塚治虫とその信徒たちの物語とあります。
確かに手塚治虫は、マンガという表現の手段を高め、社会に定着させ、
異論はあると思いますが、アニメの発展の礎を作った本当に巨人、神様といえる存在です。
劇画もある意味アンチ手塚がもとになり、現在の隆盛を作ったといえなくもないと思います。
書いてある内容はマニアにとって多くのことは既知の事柄だと思いますが、
それがクロノロジカルに丁寧に記述されています。
漫画少年、トキワ荘、月刊誌から週刊誌へ、さらにTVアニメ・・・。
故人になられた方もいますが、代表的なマンガ家は、ほぼ網羅されています。
私個人としては、マンガの隆盛とともに筆を折った寺田ヒロオの存在が強く印象に残ります。
2021年3月3日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
気に入ったこととしては、詳細な資料がきちんとしていること。
残念なこととしては、「・・・神とその信徒たちの物語・・」という腰巻の言葉。
残念だけど、これは素人臭い。というか、宗教的な信者と神の関係は一行の説明も見当たらなかった。しかし、最初に述べたように、資料の威力はすごいと思うし、もう少し考えて誠実なタイトルをつけるべきだったと思う。
申し訳ないが300頁あたりで読みたくなくなった。
それから慌てて梶井純さんの『トキワ壮の時代』を注文して160頁まで読んだ。精神や宗教については、こちらがしっかり受け持っていたので安心した。梶井さんは丁寧で、この人は手塚治虫の姿もきちんと浮かび上がらせてくれて、とても優れていると思った。
私は、1948年生まれです。私は手塚先生から、「悲劇の感覚」を教わったと思っています。
以上。
福山隆夫 73歳
残念なこととしては、「・・・神とその信徒たちの物語・・」という腰巻の言葉。
残念だけど、これは素人臭い。というか、宗教的な信者と神の関係は一行の説明も見当たらなかった。しかし、最初に述べたように、資料の威力はすごいと思うし、もう少し考えて誠実なタイトルをつけるべきだったと思う。
申し訳ないが300頁あたりで読みたくなくなった。
それから慌てて梶井純さんの『トキワ壮の時代』を注文して160頁まで読んだ。精神や宗教については、こちらがしっかり受け持っていたので安心した。梶井さんは丁寧で、この人は手塚治虫の姿もきちんと浮かび上がらせてくれて、とても優れていると思った。
私は、1948年生まれです。私は手塚先生から、「悲劇の感覚」を教わったと思っています。
以上。
福山隆夫 73歳
2019年12月26日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
中川先生の著書は
読みやすいです。
いつも史実の詳細まで
徹底してる印象で
この作品も読み応えあり
ました。
読みやすいです。
いつも史実の詳細まで
徹底してる印象で
この作品も読み応えあり
ました。
2019年7月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
トキワ荘で活動した漫画家(手塚治虫、藤子不二雄、石ノ森章太郎、赤塚不二夫、寺田イサオ)たちの活動と出版業界の変化を軸に膨大な資料調査、比較検証により1冊にまとめられた、これを読めばトキワ荘周辺の作家の活動が把握できる内容でお薦めです。
2019年8月12日に日本でレビュー済み
巻末文献の数を見ればこれから先はこれ以上のトキワ荘関連本が出る事はないでしょう。すでにトキワ荘は歴史になり関わった人も大部分が鬼籍に入った事を考えればなお更です。
今まで出たトキワ荘関連の本の弱点としては当事者の書いている、もしくは当事者に取材したインタビューを元にしているものだった為に多分に大袈裟な演出が入っていたりしてドラマティックではあるが事実と異なる部分が散見された物が多かったのをこの著者は当事者でないという強みを発揮してそういう点をしっかりと指摘しています。また、漫画の世界には大勢の人間がいるわけだからその中での軋轢などがあっても当事者ではなかなか表に出せないでしょうがこの著者はそういう部分でも当事者ではない強みを発揮して、そういった事もあえて書いています。
今まで出たトキワ荘関連書籍は大抵において若い漫画家志望者が徐々に集まってきて一つの時代を築いた、までの部分はしっかり書くもののその集まってきた若者達がまた別れて行く過程が書かれて居ないのですがこの本ではそこの部分もしっかり書いています。「まんが道」などを読んでいると石ノ森章太郎が世界一周から帰って来た時にはまだみんなトキワ荘に居たように書いていますけど実際にはその時にはすでにトキワ荘の時代は終わっている事などがキッチリと書かれていますから。
著者が事実を残そうという意識が強いためか当時の時代背景にも触れる部分が多く特に冒頭部分は漫画の時代が始まる前の出版事情や手塚治虫以前の漫画家の実情なども書かれていて手塚治虫がいかに漫画の世界に大きな変化をもたらしたかがわかるようになっています。手塚治虫と酒井七馬の軋轢なども書いている部分があるのですが、それを読むと手塚治虫のその後の漫画家志望者や後輩への接し方から手塚治虫以前の古い漫画家の師弟制度などを払拭していったのもわかります。
時代背景などに関してもいわゆる別冊競争といわれ、当時の漫画誌にやたらめったら別冊と言う名の小冊子が大量に付録でついて新人漫画家にとってはそれがデビューの場になるという事があったのですが、それが郵便事情による物である事が書いてあったり、月刊誌では別冊をつける事ができたが週刊誌ではそれができず別冊の時代が終わった事情なども書いてあります。
本書の性格からしていつ頃に誰が何を描いていたかみたいな情報が多すぎるきらいもあるのですが、その情報があるからこそ一般的にはギャグ漫画でブレイクする前の赤塚不二雄がほとんど仕事がなかったみたいな話も実はそれ以前に少女マンガではそこそこ仕事がありそれなりに生活できてたみたいな事もわかりますし、有名な藤子不二雄が干されていたという話も全部の出版社の仕事がなくなったわけではなかったなどもわかります。
そして、なによりこの本が良いのは筆者が事実のみを追求しようとし抑えた書き方に徹しているため淡々した文章になっており、それ故にトキワ荘に人が集まり居なくなって行く過程の寂寥感が増していることです。演出的手法を一切排除しているが故の演出的成功とでも言うんですかね。
もはや伝説であり歴史となったトキワ荘の時代を、歴史であるからこそ当時の情報を整理してしっかりとした事実を残そうとしたであろう本書を読まずに日本のマンガは語れないとまで言える傑作に仕上がっています。
最後に。ちょっと古い本ですが最相葉月の著作「星新一 一〇〇一話をつくった人」も同じ時代を書くという部分で共通してる部分が数多ありますのでこの本を読んだ方にお勧めです。
今まで出たトキワ荘関連の本の弱点としては当事者の書いている、もしくは当事者に取材したインタビューを元にしているものだった為に多分に大袈裟な演出が入っていたりしてドラマティックではあるが事実と異なる部分が散見された物が多かったのをこの著者は当事者でないという強みを発揮してそういう点をしっかりと指摘しています。また、漫画の世界には大勢の人間がいるわけだからその中での軋轢などがあっても当事者ではなかなか表に出せないでしょうがこの著者はそういう部分でも当事者ではない強みを発揮して、そういった事もあえて書いています。
今まで出たトキワ荘関連書籍は大抵において若い漫画家志望者が徐々に集まってきて一つの時代を築いた、までの部分はしっかり書くもののその集まってきた若者達がまた別れて行く過程が書かれて居ないのですがこの本ではそこの部分もしっかり書いています。「まんが道」などを読んでいると石ノ森章太郎が世界一周から帰って来た時にはまだみんなトキワ荘に居たように書いていますけど実際にはその時にはすでにトキワ荘の時代は終わっている事などがキッチリと書かれていますから。
著者が事実を残そうという意識が強いためか当時の時代背景にも触れる部分が多く特に冒頭部分は漫画の時代が始まる前の出版事情や手塚治虫以前の漫画家の実情なども書かれていて手塚治虫がいかに漫画の世界に大きな変化をもたらしたかがわかるようになっています。手塚治虫と酒井七馬の軋轢なども書いている部分があるのですが、それを読むと手塚治虫のその後の漫画家志望者や後輩への接し方から手塚治虫以前の古い漫画家の師弟制度などを払拭していったのもわかります。
時代背景などに関してもいわゆる別冊競争といわれ、当時の漫画誌にやたらめったら別冊と言う名の小冊子が大量に付録でついて新人漫画家にとってはそれがデビューの場になるという事があったのですが、それが郵便事情による物である事が書いてあったり、月刊誌では別冊をつける事ができたが週刊誌ではそれができず別冊の時代が終わった事情なども書いてあります。
本書の性格からしていつ頃に誰が何を描いていたかみたいな情報が多すぎるきらいもあるのですが、その情報があるからこそ一般的にはギャグ漫画でブレイクする前の赤塚不二雄がほとんど仕事がなかったみたいな話も実はそれ以前に少女マンガではそこそこ仕事がありそれなりに生活できてたみたいな事もわかりますし、有名な藤子不二雄が干されていたという話も全部の出版社の仕事がなくなったわけではなかったなどもわかります。
そして、なによりこの本が良いのは筆者が事実のみを追求しようとし抑えた書き方に徹しているため淡々した文章になっており、それ故にトキワ荘に人が集まり居なくなって行く過程の寂寥感が増していることです。演出的手法を一切排除しているが故の演出的成功とでも言うんですかね。
もはや伝説であり歴史となったトキワ荘の時代を、歴史であるからこそ当時の情報を整理してしっかりとした事実を残そうとしたであろう本書を読まずに日本のマンガは語れないとまで言える傑作に仕上がっています。
最後に。ちょっと古い本ですが最相葉月の著作「星新一 一〇〇一話をつくった人」も同じ時代を書くという部分で共通してる部分が数多ありますのでこの本を読んだ方にお勧めです。
2019年10月6日に日本でレビュー済み
手塚治虫を中心に、トキワ荘メンバーの半生を描いた労作。まんが史としても読める。
情報量も多く、二段組みでボリュームもある。
トキワ荘伝説に興味のある漫画ファンにお薦めです。
トキワ荘リーダーの寺田の死をもって幕を閉じるのが印象的である。
脱字
P336下段 石森に任せたの同じ経緯だ。→石森に任せたのと同じ経緯だ。
情報量も多く、二段組みでボリュームもある。
トキワ荘伝説に興味のある漫画ファンにお薦めです。
トキワ荘リーダーの寺田の死をもって幕を閉じるのが印象的である。
脱字
P336下段 石森に任せたの同じ経緯だ。→石森に任せたのと同じ経緯だ。