性差別問題に関し意識の高いお説教をしているリベラルな一見物分かりのいい「マジョリティ男性の加害性や差別性をひたすら反省し続ける」「正しい男たち」みたいなのは、それをちゃんと内面化しないまま「フェミニズムに憑依」して「偉大なる父を目指すオリンピック」の得点競争を繰り広げているに過ぎないと指摘されている。
逆に「男もつらいんだ」的な男性の被害者性に逃げ込むこともできない。「被害者意識に呪われる」ことで個々人のもつ固有の傷の痛みを見えなくしてしまう(傷つきには共感可能な部分と共感不能な部分があるはずというこの指摘はMeTooに対してもなされている)。そうしてケアを難しくしていく。被害者意識はまた、社会構造の問題であるはずのものまで女性への憎しみに転化してしまう。
その被害者意識に呪われないためにも、そして民主主義には「敵対性の政治」が必要であるため、原点に立ちかえり、男・女(その二元論は社会的構築物であるといったことは忘れず)の対立構造へ着目すべきという。どちらも傷つき、傷つけているが、個々人の問題ではなく社会の構造的問題として非対称的に女性への差別がある。差別されていない男性もその社会から被害を受けている。男性の苦しみを訴えるのに女性差別を否認する必要はない。男性は、女性がマイノリティであると意識することで被害者意識と加害者意識をバランスすることができるということか。
被害者意識に囚われてはいけないが、しかし苦しみは変革の必要性を我々に思い出させる。男性として生きることの痛みと向き合い(それには弱さ、傷つきやすさを認め、ケアや依存を受け入れることが必要)、現在のシステムの中で生きることによって与えてしまう痛みも自覚しつつ、フェミニズムを貼り付けて「正しい男たち」になるのではなく、それを受け止めきれず混乱しながらの「失語」「言い淀み」の中で、自分の痛みを糧に自己と社会を変革しようとしていくことが「まっとう」であるようだ。
そのような「まっとう」さをもって生きることは非常に、非常に難しそうだが、とりあえず「正しさ」(それと「別の正しさ」とか)から離れてみるところからだろうか。
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マジョリティ男性にとってまっとうさとは何か #MeTooに加われない男たち (集英社新書) 新書 – 2021/9/17
杉田 俊介
(著)
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世界的な潮流となった#MeToo運動や男性社会への疑義など、性別に伴う差別や不平等への意識が今日、かつて無いほどに高まっている。
他方、「男性特権」への開き直りは論外として、多くの男性は、時には剥き出しの敵意にも直面しながら、己の立ち位置や与し方に戸惑っているのではないか。
自らの男性性や既得権、そして異性との向き合い方に戸惑い、慄くすべての男性に応えつつ、女性や性的マイノリティへ向けても性差を越えた運動の可能性を提示する一冊。
◆目次◆
まえがき
第一章 多数派の男たちは何をどうすればいいのか
第二章 ヘテロ男性とは誰のことか
第三章 『マッドマックス怒りのデス・ロード』を読み解く
第四章 ヘテロ男性は変わりうるか─複合差別時代の男性学
第五章 『ズートピア』を読み解く
第六章 多数派の男たちにとってまっとうさとは何か
第七章 男たちはフェミニズムから何を学ぶのか
第八章 ポストフェミニズムとは何か
第九章 剥奪感と階級─『ジョーカー』を読み解く
第一〇章 複合階級論に向けて─ラディカル・メンズリブのために
あとがき
註
◆著者略歴◆
杉田俊介(すぎた しゅんすけ)
1975年生まれ。批評家。
自らのフリーター経験をもとに『フリーターにとって「自由」とは何か』(人文書院)を刊行するなど、ロスジェネ論壇に関わった。また20代後半より障害者ヘルパーに従事。
著書に『非モテの品格 男にとって「弱さ」とは何か』(集英社新書)、『ジャパニメーションの成熟と喪失』(大月書店)、『長渕剛論――歌え、歌い殺される明日まで』(毎日新聞出版)など。
差別問題を考える雑誌『対抗言論』では編集委員を務める。
他方、「男性特権」への開き直りは論外として、多くの男性は、時には剥き出しの敵意にも直面しながら、己の立ち位置や与し方に戸惑っているのではないか。
自らの男性性や既得権、そして異性との向き合い方に戸惑い、慄くすべての男性に応えつつ、女性や性的マイノリティへ向けても性差を越えた運動の可能性を提示する一冊。
◆目次◆
まえがき
第一章 多数派の男たちは何をどうすればいいのか
第二章 ヘテロ男性とは誰のことか
第三章 『マッドマックス怒りのデス・ロード』を読み解く
第四章 ヘテロ男性は変わりうるか─複合差別時代の男性学
第五章 『ズートピア』を読み解く
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第八章 ポストフェミニズムとは何か
第九章 剥奪感と階級─『ジョーカー』を読み解く
第一〇章 複合階級論に向けて─ラディカル・メンズリブのために
あとがき
註
◆著者略歴◆
杉田俊介(すぎた しゅんすけ)
1975年生まれ。批評家。
自らのフリーター経験をもとに『フリーターにとって「自由」とは何か』(人文書院)を刊行するなど、ロスジェネ論壇に関わった。また20代後半より障害者ヘルパーに従事。
著書に『非モテの品格 男にとって「弱さ」とは何か』(集英社新書)、『ジャパニメーションの成熟と喪失』(大月書店)、『長渕剛論――歌え、歌い殺される明日まで』(毎日新聞出版)など。
差別問題を考える雑誌『対抗言論』では編集委員を務める。
- 本の長さ296ページ
- 言語日本語
- 出版社集英社
- 発売日2021/9/17
- 寸法10.6 x 1.3 x 17.3 cm
- ISBN-104087211827
- ISBN-13978-4087211825
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登録情報
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- 言語 : 日本語
- 新書 : 296ページ
- ISBN-10 : 4087211827
- ISBN-13 : 978-4087211825
- 寸法 : 10.6 x 1.3 x 17.3 cm
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2021年11月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2023年8月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
改めて問題を深く理解できていないと批判は難しいなと感じました。
2021年9月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
最新のフェミニズム本の紹介・引用やエンタメコンテンツの分析と多岐に渡る嬉しい本。可視化され
頭の中のわだかまりや疑問が解消されてスッキリすることが出来る俯瞰的で整理がなされた良書です。
勝者男性(高学歴/正規職/高コミュ/モテ…)のリベラルなフェミニストなポーズを取る者と
弱者男性(非高学歴/非正規/コミュ障/非モテ…)のインセル的なミソジニー的な者の
分断がグラデーション的に分布していますが、目下進行中であることを強く実感した次第であります。
更に最悪の場合は勝者男性に女性が加担・結託することにより疎外され駆逐され弱者男性の生き難さに
拍車がかかるものと思われます。小生のステレオタイプな誤読ですが…。
周辺的で辺境的な立ち位置に属するマイノリティーに対するマジョリティー側に属すると思われる一般男性のまなざしが重要になってくる訳で常に自問自答して立ち止り慎重になることが重要になってきます。
また続編も楽しみであります。
頭の中のわだかまりや疑問が解消されてスッキリすることが出来る俯瞰的で整理がなされた良書です。
勝者男性(高学歴/正規職/高コミュ/モテ…)のリベラルなフェミニストなポーズを取る者と
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分断がグラデーション的に分布していますが、目下進行中であることを強く実感した次第であります。
更に最悪の場合は勝者男性に女性が加担・結託することにより疎外され駆逐され弱者男性の生き難さに
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また続編も楽しみであります。
2022年1月5日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
横文字が多いのにも閉口するし、観念的で具体性が乏しいのにも閉口した。「脱・男性特権」のの手引書には厳しい感じです。
2022年2月6日に日本でレビュー済み
わかりやすい答えが用意されているわけではない。
キモチよくならないし、「居心地の悪さ」を感じることもあるが、
「闇落ち」予防に一定の効果あり。
キモチよくならないし、「居心地の悪さ」を感じることもあるが、
「闇落ち」予防に一定の効果あり。
2021年9月25日に日本でレビュー済み
筆者の『非モテの品格』に続く男性論。前著より理論的な本で、フェミニズム、ジェンダー、クィア、さらにはメンズリブの理論・研究書を参照していて、21世紀の男性学を学ぶための入り口に最適(という意味では、参考文献一覧は巻末に欲しかったかもしれない)。『マッドマックス 怒りのデスロード』や『トイストーリー4』などの映画作品も論じていて、理論&評論のバランスも良い。複雑で多層化した問題を語るには根気強さがいるのだが、筆者の筆致からはそれが伝わってくる。
2021年11月1日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
読み終わるまで勘違いしていたのですが、副題の「#Metooに加われない男たち」というのは、MeTooに一定の意義、正しさを認めつつも全面的にはコミットできない男性がどう変わっていくかという話ではなく、特権と加害性を抱え込んだ男の身でMeTooを始めとしたフェミニズム運動にコミットさせていただくにはどうしたら良いか考えるということのようです。要するに、フェミニズムへちょっと疑問を感じているがそんな自分が正しいとは思えないとか、そういう人向けの本ではないです。フェミニズムが嫌いなのにこの本を手に取る人もそういないとは思いますが、一応。
個人的に気になったのは、「痛みを感じて」や「身を切るような」といった表現が繰り返され、自分に鞭打つことの重要性をしきりに強調する姿勢です。勿論、真摯に自分を省みるときそこに痛みがあるのは自然な事だとは思いますが、どうも行き過ぎているというか、自己目的化している印象を受けました。性別、民族、性的指向、経済環境とこの世の中に「反省」する材料はいくらでもありますが、そのたびに自分をしばき回すのが「まっとう」なのかは大いに疑問です。映画評論等もいくつか織り交ぜてはいるものの、結局あまり前向きなロールモデルを示せている訳ではなく、反省してセルフケアという男性学にありがちな結論に落ち着いてしまった感が否めません。男は罪深い、原罪を背負った存在なのだから反省あるのみ、というのは社会を豊かにする発想ではないと私は思っています。まあ、反省を続けるうちにいつかフェミニストの皆様から「もういいよ」と言ってもらえる日が来て、みんなで幸せになれれば万々歳ですが、なかなかそうはならないのでは。
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