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山崎雅弘

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歴史戦と思想戦 ――歴史問題の読み解き方 (集英社新書) 新書 – 2019/5/17

山崎雅弘 (著)

252

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内田樹氏、津田大介氏推薦!

「『歴史戦』と称する企てがいかに日本人の知的・倫理的威信を損ない、国益に反するものであるかを実証的に論じています。
山崎さん、ほんとはものすごく怒っているのだけれど、冷静さを保っているのが偉いです。僕にはとても真似できない」――内田樹

今、出版界と言論界で一つの「戦い」が繰り広げられています。

南京虐殺や慰安婦問題など、歴史問題に起因する中国や韓国からの批判を「不当な日本攻撃」と解釈し、
日本人は積極的にそうした「侵略」に反撃すべきだという歴史問題を戦場とする戦い、すなわち「歴史戦」です。
近年、そうしたスタンスの書籍が次々と刊行され、中にはベストセラーとなる本も出ています。

実は戦中にも、それと酷似するプロパガンダ政策が存在しました。
しかし、政府主導の「思想戦」は、国民の現実認識を歪ませ、日本を破滅的な敗戦へと導く一翼を担いました。
同じ轍を踏まないために、歴史問題にまつわる欺瞞とトリックをどう見抜くか。豊富な具体例を挙げて読み解きます。

【主な内容】
◆産経新聞が2014年から本格的に開始した「歴史戦」
◆「歴史戦」のひとつ目の主戦場:戦時中の慰安婦問題
◆「歴史戦」ふたつ目の主戦場:日本軍による南京での虐殺
◆なぜ大日本帝国の否定的側面を批判する行為を「自虐」と呼ぶのか
◆第一次世界大戦後の日本軍人が着目した「総力戦」と「思想戦」
◆思想戦の武器は「紙の弾丸、声の弾丸、光の弾丸」
◆「歴史戦」の論客の頭の中では今も生き続ける「コミンテルン」
◆「戦後の日本人はGHQのWGIPに洗脳された」という「ストーリー」
◆児玉誉志夫は「思想戦」の独善的側面に警鐘を鳴らしていた

【目次】
第一章「歴史戦」とは何か
第二章「自虐史観」の「自」とは何か
第三章太平洋戦争期に日本政府が内外で展開した「思想戦」
第四章「思想戦」から「歴史戦」へとつながる一本の道
第五章時代遅れの武器で戦う「歴史戦」の戦士たち

【著者略歴】
山崎雅弘(やまざきまさひろ)
1967年大阪府生まれ。戦史・紛争史研究家。
『日本会議戦前回帰への情念』(集英社新書)で、日本会議の実態を明らかにし、注目を浴びる。
主な著書に、『「天皇機関説」事件』(集英社新書)『1937年の日本人』(朝日新聞出版)『[増補版]戦前回帰』(朝日文庫)ほか多数。
ツイッターアカウントは、@mas__yamazaki

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本の長さ

304ページ
言語

日本語
出版社

集英社
発売日

2019/5/17
寸法

10.6 x 1.4 x 17.3 cm
ISBN-10

4087210782
ISBN-13

978-4087210781
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発売日 ‏ : ‎ 2019/5/17
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新書 ‏ : ‎ 304ページ
ISBN-10 ‏ : ‎ 4087210782
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4087210781
寸法 ‏ : ‎ 10.6 x 1.4 x 17.3 cm

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山崎雅弘

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amenhotep

「歴史戦」を批判的に概観する

2022年10月12日に日本でレビュー済み

Amazonで購入

標題の目的のためには最適な書。一読すれば「歴史戦」をおこなっている側の中身や手法がよくわかります。

4人のお客様がこれが役に立ったと考えています

役に立った

カリクレス

許そう、しかし忘れまい

2024年1月20日に日本でレビュー済み

Amazonで購入

例えば井上和彦さん。彼はシンガポールの中学生教科書の一部を次のように紹介する。《オーストラリア兵達の勇気は、日本兵、特に彼らの指導者によって称賛された。敬意の証として彼らはジェマールアンのはずれの丘の斜面の、オーストラリア兵二百人の大規模な墓の上に、一本の巨大な十字架を建てることを命じた。十字架には「私たちの勇敢な敵、オーストラリア兵士のために」という言葉が書かれていた》と。
そして改行し、次のように続ける。「まさしく武士道精神である。戦場における日本軍人の振る舞いは、現地シンガポール人の心を打ったのだ」と。（『本当は戦争で感謝された日本』39~40頁)。
話のすり替えは、彼の得意技である。
教科書の趣旨は、敵の日本軍でさえ慰霊碑を建てたくなるほどにオーストラリア兵の勇敢さを讃えることにある（62頁）。ところが彼はこれを、敵兵のため慰霊碑を建てる日本軍の振る舞いが現地人の心を打った、という話にすり替えているのだ。
万一この詐欺的レトリックを信じ、現地の人の心を打ったその日本人の子孫です、なんて振る舞ったらどうなるだろう？　「許そう、しかし忘れまい」と寛容に接してくれる現地の人たちの心を踏み躙ることになりかねない、のではないか？　敵を知り己を知れば百戦危うからず、相互理解を正しく深めることが大切。この点、彼らの弄んでいる「歴史戦」は有害無益だ、と本書が指摘する。

役に立った

SARAH

「正統派歴史観」の策謀から脱却し、歴史の真相を真摯に受け止めよう！！

2019年5月19日に日本でレビュー済み

Amazonで購入

1）現状では、歴史学者と歴史戦の論客とでは、話が嚙みあうことはほとんどない。根本
的な姿勢の違いが認識されることが少ないので、歴史戦の論客から一方的に仕掛ける「勝
敗を決する論争ゲーム」に陥りがちである。
そもそも、「歴史研究」とは、個々の事実を集積される過程が尊重され、結論自体ではな
い。一つの真実の発見により仮説が崩れることも多々ある。
これに対し、「歴史戦」とは、「『日本』は悪くない」という結論から出発し、得てして、
これに適合するように事実を歪曲する手法をとる。ここで、展開される「日本」は、「日
本」＝「大日本国帝国」であって「戦後の日本」ではない（70頁以下）。

2）たしかに、政府と国民の思考を大きく狂わせて破滅させた「麻薬」のような歴史認識
を、戦後の日本人が「あんなことは二度とご免だ」という反省とともに拒絶するのはごく
自然のことで、それは「日本」という国を愛するがゆえの感情と行動と言える。
しかし、戦後もなお「大日本国帝国」の価値観や思想体系を継承する人間からすれば、こ
うした感情をもち行動する戦後の日本人は「大日本国帝国」に対する裏切り者という意味
で「反日日本人」ということになる。
殊に、奇妙なことであるが、「大日本国帝国」の名誉を守ることに固執する歴史戦の論客
は、敗戦時の主権喪失や独立国としての地位喪失を「絶対的にあってはならない出来事」
として反省し、その原因を究明する態度を示さない（95頁）。
そればかりか、憶測に憶測を重ねるような話を展開し、受け手の思考を誘導するトリック
を駆使する（209頁）。

3）具体的には、親孝行や兄弟愛、夫婦愛、博愛などは、教育勅語が作成された「大日本
国帝国」時代よりも前の日本でも存在していたのに、その一点を切り出して過度に主張し
「教育勅語」の復権に誘導する（134頁）。あるいは、「大日本国帝国」時代の国家神道
や国体思想を否定されると、自国の「過去をすべて否定された」自虐意識の錯覚に感化さ
れて「ゆとり教育」もコミンテルンが考え出した「日本人弱体化」計画と信じ込むなど（
209頁）、とかく多くのことが指摘されます。
そもそも、「自虐史観」とは、第三者的に見れば「大日本国帝国を批判的に捉える歴史認
識」のことで「大日本国帝国」時代の価値観や思想体系とは違う視点で、自国の歴史を振
り返り、反省する態度を指すことなのです（86頁）。
自分のアイデンティティーを「大日本国帝国」を結びつけている人にとっては、自尊心や
名誉、存在価値を傷つけられたとして被害意識を持ち感情的に反発の態度をとりがちであ
る（87頁）。

4）しかし、こうした態度は世界的にみても後進的といえる。
ある戦争や紛争が終結した直後であれば、その戦争や紛争に勝利した側の「宣伝」が国際
社会で信じられる場合もあるが、しばらくすれば「戦勝国」側の非人道的行為を示す事実
がジャーナリストによって暴かれます。さらに、数年もすれば、各国の現代史家が関係各
国の公文書や当事者への聞き取り調査などで事実関係をより高い精度で確認し、全体像を
浮かび上がらせる作業を開始します。
‘91年の「湾岸戦争」でアメリカは戦勝国の指導的立場にありましたが、国際社会を味方に
つけるためクウェート政府やアメリカ政府が行ったいくつかのプロパガンダは、数年のう
ちに暴露しています。
このように、早々に汚点は汚点として、歴史家が事実に基づき批判の対象としてきちんと
受け止め、さらけ出すことに躊躇してはなりません（99頁）。

5）日本においても、先の戦争中に「大日本国帝国」が行った数々の非人道的行為につい
て、他国に言われる前に主体的に事実関係を解明し、あるいは、その努力を行い、将来に
おいて二度と繰り返してはならない反省と覚悟を国際社会に向けて発信するなら「日本国
」の名誉は今以上に高まり、国際社会での「思想宣伝戦」は成功するでしょう。
その戦いには、「敵国」はなく、完全に日本国内で完結する戦いである。それは、過去の
短い時期において「政府が誤った」ことを否認せずに認め、反省と再発防止の研究を自発
的に行うことで、対外的な「宣伝戦」の効果を得ようとするものだからである（284頁）。
歴史学者と同様に、歴史戦の論客は、「大日本国帝国」とは切り離した上で、戦後の「日
本国」の名誉を高めるために、このような「思想宣伝戦」を繰り広げよう、これが本著作
者の最も言いたいことである。

6）本著作者の主張に賛同するかはともかく、歴史戦には多くのトリックや誘導が含まれま
すので、それを見抜く力はこの著作にふんだんに多く含まれていますので、歴史戦著作を
読む際には役立ちます。

259人のお客様がこれが役に立ったと考えています

役に立った

まきまい

著者の怒りが滲み出ています　怒ってOK

2021年6月1日に日本でレビュー済み

Amazonで購入

ここ数年、とくに安倍という特殊な人が政権とってから出版界や新聞社に夜郎自大の右翼だか保守だかどう表現してよいかわかりませんが、妙な価値観を演出して、それを商売にしようとする輩が出てきました。そしてその動きが、どうも斜陽の日本国と日本人に共鳴してしまい、無視出来ない状況が出現してきました。そうした動きには、トンデモない嘘や詭弁がまかり通っている、それを明快な論理と証拠によって告発し、バッサリ切り捨てたという胸のすく本です。読むとすっきりしますよ。

14人のお客様がこれが役に立ったと考えています

役に立った

谷内純一

配達が当初予定より三日遅れて迷惑しました。

2022年12月13日に日本でレビュー済み

Amazonで購入

配達が当初予定より三日遅れて大変迷惑しました。読書会用でしたから。本の状態は大変良いです。星5
です。

1人のお客様がこれが役に立ったと考えています

役に立った

pangnya

愛国者を気取る自称愛国者たちへ

2019年12月2日に日本でレビュー済み

Amazonで購入

昔（と言っても2015年の話だが）、参議院議員の猪口邦子氏が当人なりの憂国心に基づいて海外のジャーナリストや歴史学者に向けて産経新聞社の『歴史戦』という本を一方的に送りつけた。常識的に考えて、主張や立場の是非に関わらず一方的に送付するという行為自体の節操の無さにより送付された側から顰蹙を買い、文字通り恥を世界に晒したことがある。

この話は本書の第5章でも触れられているが、このように憂国心を発揮して愛国者を自認する方々は、むしろ彼ら自身の存在が日本の健全さを語る上で日本の足かせになっていることをどう考えているのだろうか。
自称愛国者は彼らの「敵」を攻撃する際に、反日左翼や売国奴という言葉を使いたがるが、それでは日本の恥を世界に晒した自称愛国者たちの行為は売国奴以外の何なのだろうか。

以下本書抜粋。

pp.103-104
「もし、戦後の国際社会で広く事実と見なされている歴史認識と、GHQや中国、韓国、左翼メディアなどが行ったという「洗脳」の内容が同じなら、それは「洗脳」ではなく、ただ単に、事実を事実として理解しているだけだということになるからです。
　戦後の日本人は、情報鎖国の環境で暮らしてきたわけではありません。外国からの情報が幅広い分野で日本へと流れ込み、外国人との交流も盛んで、中には外国に留学したり、外国人と結婚したり、仕事で外国暮らしを経験した日本人もたくさんいます。
　もし、戦後の日本人が、日本国内でしか通用しないような歪んだ思考や歴史認識で「洗脳」されたという「ストーリー」が本当なら、諸外国から流れ込む「別の歴史認識」との齟齬や矛盾に直面するはずです。（略）
　むしろ、日本国内の一部でしか通用しない歴史認識を「事実」だと思い込んでいる人の方が、何らかの「洗脳」に思考を支配されている可能性が高いと言えます」

pp.223-224
「もし日本の学校教育で戦後70年以上も教えられてきた歴史の内容が、本当に「GHQの洗脳工作であるWGIPで植え付けられた自虐的な反日プロパガンダ」、つまり虚偽であるなら、その内容は諸外国における近現代の歴史とはかけ離れた、まったく異なるものになっているはずです。
　しかし実際には、戦後の日本で教えられた第二次世界大戦に関する教育内容と、諸外国における第二次世界大戦の教育内容は、大体において一致しています。
　GHQは日本だけでなく、諸外国の国民や教育機関をも「洗脳」することに成功したのでしょうか。それとも、そこで述べられている内容が「事実」だから、日本でも諸外国でも同じように学校で教えられているのでしょうか。」

この文を読んで健全な主張だと感じられた方は、これ以外の全てのページからも学ぶところが大であるだろう。

22人のお客様がこれが役に立ったと考えています

役に立った

佐原　恒

これは面白い！

2020年6月6日に日本でレビュー済み

Amazonで購入

産経新聞がやっている歴史戦がいかに独りよがりで史実を捻じ曲げた主張であるか、完璧に証明している。これからの日本の進路を考える上で必読の書と言えます。

10人のお客様がこれが役に立ったと考えています

役に立った

Amazonのお客様

社会の健全さを保つために

2020年6月14日に日本でレビュー済み

Amazonで購入

家の前のゴミを片付け草をむしるように……

という著者のコトバが身に沁みました。
歴史修正主義者に騙されないために、現代の市民は必読です。

5人のお客様がこれが役に立ったと考えています

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