私は、笑いがいじめになる、人を殺すことになるという意見に同意です。
ただ、今までこれを面と向かって言う人はいなかった。
いじめられた側からすれば、おもちゃにされたも同然の理由だし、
いじめた側からすれば、面白いことを面白いと言って、共に共有しようとしただけである。
(いじめられたと思っている相手も、面白さに乗ってくれるという幻想的な信頼があったのだろう)
だから言いにくい。
私は、今の時代なら、義務教育のどこかで、これについて話してもいいと思う。
それは大変シビアであり、被害にあった子供が深い傷を負ったり、
自分の普段の行いを監視してしまい、却って何も出来なくなる恐れがある。
しかし、面白さで抑圧され被害者となり、自分の行いに無自覚のまま加害者となる事実は、
この本が上梓される以前から当たり前にあったはずである。
メディアの影響力や、家庭・地域の力の低下だけでなく、
どこかで普遍性をもっているものを、例えば「いじめ撲滅」というように、誰に言ってるのかわからないスローガンで曖昧にするような、
いじめと向き合わない姿勢を貫いた結果が、これではないのか。
いじめといじりの境界なんて実はない故に、
自分のこれまでの行いを嫌でも見つめ、自分が生きている理由を支える道徳や倫理を崩しかねない要素をふんだんに含む「いじめ」を解剖するしんどさや、
相手がその表面化に耐えられる信頼を育む難しさに、
大人が向き合わなければならないのではないか。
大人になった今だから言うけれど、
別に、この世に暴力に近いいじりをやりあう関係のほうが好きだという人がいたっていい。
トラウマになるくらいのことを言い、下手したら人格を咎めることも平気で言うが、そのほうが自分でいられるし、やめません、という人がいたっていい。
そういう人が、それを誰にするのかとか、どの場所でするのかとか、ほかではしないのかとか、平等に誰もだってもそういう態度を取るとか、
自分のすることにちょっとばかりの客観性を持っていたら、
そんな人とも私は付き合えるかもしれないし、無理なら距離を置いてそれ以上そのことを考えなくていられる。

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爆笑問題と考える いじめという怪物 (集英社新書) 新書 – 2013/5/17
太田 光
(著),
NHK「探検バクモン」取材班
(著)
学校に潜む「何か」を太田光が探る
尾木ママたち多才なゲストと徹底討論!
子どもの自殺をきっかけに、過去に幾度となく、いじめは社会問題となっている。どうして悲劇は繰り返されてしまうのか。そもそも、なぜいじめは起きてしまうのだろう?
いじめられたことのある子どもたちや、いじめを起こさない学校を、爆笑問題がNHK「探検バクモン」スタッフとともに現場取材、その深層を探っていく。さらに、尾木直樹氏らの専門家、いじめを乗り越えたゲストたちと徹底討論。いじめに対処する方法について真剣に議論する。
さまざまな視点から多角的に考察する、いじめ問題を読み解く決定版。
[著者情報]
太田 光(おおた ひかり)
1965年埼玉県生まれ。日本大学芸術学部中退。1988年、田中裕二とお笑いコンビ「爆笑問題」結成。2006年、芸術選奨文部科学大臣賞受賞。著書に『マボロシの鳥』 他。
NHK「探検バクモン」取材班
世界のなぜ?を笑いのうちに解き明かす、爆笑問題の教養エンターテイメント番組「探検バクモン」。その「知の大活劇」を支える取材班は、日夜様々な場所へとディープに潜入、番組制作という過酷なミッションにあたっている。
尾木ママたち多才なゲストと徹底討論!
子どもの自殺をきっかけに、過去に幾度となく、いじめは社会問題となっている。どうして悲劇は繰り返されてしまうのか。そもそも、なぜいじめは起きてしまうのだろう?
いじめられたことのある子どもたちや、いじめを起こさない学校を、爆笑問題がNHK「探検バクモン」スタッフとともに現場取材、その深層を探っていく。さらに、尾木直樹氏らの専門家、いじめを乗り越えたゲストたちと徹底討論。いじめに対処する方法について真剣に議論する。
さまざまな視点から多角的に考察する、いじめ問題を読み解く決定版。
[著者情報]
太田 光(おおた ひかり)
1965年埼玉県生まれ。日本大学芸術学部中退。1988年、田中裕二とお笑いコンビ「爆笑問題」結成。2006年、芸術選奨文部科学大臣賞受賞。著書に『マボロシの鳥』 他。
NHK「探検バクモン」取材班
世界のなぜ?を笑いのうちに解き明かす、爆笑問題の教養エンターテイメント番組「探検バクモン」。その「知の大活劇」を支える取材班は、日夜様々な場所へとディープに潜入、番組制作という過酷なミッションにあたっている。
- 本の長さ216ページ
- 言語日本語
- 出版社集英社
- 発売日2013/5/17
- ISBN-104087206912
- ISBN-13978-4087206913
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登録情報
- 出版社 : 集英社 (2013/5/17)
- 発売日 : 2013/5/17
- 言語 : 日本語
- 新書 : 216ページ
- ISBN-10 : 4087206912
- ISBN-13 : 978-4087206913
- Amazon 売れ筋ランキング: - 708,013位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2015年4月7日に日本でレビュー済み
2013年8月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
いじめられている人が傷ついたらそれはいじめになる。
なにしろ現代のわたしたちはちょっとしたことで傷つきやすい。
だからいじめられていた子達の言葉には、「え、そんなことで?」と言いたくなるものもある。
信頼関係がなければ、容易にいじめは成立する。
いじめ、体罰、セクハラ、ストーカー、DV・・
メディアを通じていろんな言葉がメジャーになっていく。市民権を得ていく。
この世界は「被害者」と「加害者」しかいないのか?
なんてさみしいんだろう。
違う。
小説や映画には、そのどちらでもない、人間の心の機微がたくさんたくさん描かれている。
それを作り出すのも人間だ。
苦しんでいる子どもたちにそういう世界を知ってもらいたい。
学校の授業で世界を知ることができるという太田氏の見解に納得しました。
そして人を救える授業ができるすばらしい先生が今どれだけいるのか気になります。
なにしろ現代のわたしたちはちょっとしたことで傷つきやすい。
だからいじめられていた子達の言葉には、「え、そんなことで?」と言いたくなるものもある。
信頼関係がなければ、容易にいじめは成立する。
いじめ、体罰、セクハラ、ストーカー、DV・・
メディアを通じていろんな言葉がメジャーになっていく。市民権を得ていく。
この世界は「被害者」と「加害者」しかいないのか?
なんてさみしいんだろう。
違う。
小説や映画には、そのどちらでもない、人間の心の機微がたくさんたくさん描かれている。
それを作り出すのも人間だ。
苦しんでいる子どもたちにそういう世界を知ってもらいたい。
学校の授業で世界を知ることができるという太田氏の見解に納得しました。
そして人を救える授業ができるすばらしい先生が今どれだけいるのか気になります。
2021年1月15日に日本でレビュー済み
子供の頃いじめられてきた者としては筆者の「いじめは楽しい」と言い切ってしまうことに非常に違和感を感じる。少しでもいじめられたことがあればこういう発想は絶対にしない。いじめる側の分析という視点が珍しいだけがウリの筆者らしい一冊。そもそも筆者はいじめを無くそう/減らそうとは思っていないフシがある。なにせ「いじめがなくなるとオレたち芸人の仕事がなくなる」と公言して憚らない方だから。
2013年7月16日に日本でレビュー済み
いじめたい心といじめられて痛む心,その強さの絶対値は大きく違う。
いじめたい心が1とすると,痛みは100にも1000にもなる。
それだけの残酷さがあると知っていても,いじめたくなってしまう人はいじめる。
自分には人をいじめていいと何かから認証されていると感じながら。
この本の面白いところは,
自分をいじめっこだもんと言える太田光が真剣にいじめの構造を探っていくところだ。
いじめに関する意見はいじめられた側からは多くみられても,教室内で同級生を「いじった」側からはあまりあがらない。
自分の中で語るほどの強度を持たない体験だからだ。
太田光はそれを独自の方法で解釈しようとする。
反省に落とし込むのではなく,とにかく考えることを執拗に続ける。
そしてテレビでの芸との関連にも触れる。
とても勇気のある本だと思った。
生半可な覚悟ではいじめは語れない。その覚悟を買いたい。
いじめたい心が1とすると,痛みは100にも1000にもなる。
それだけの残酷さがあると知っていても,いじめたくなってしまう人はいじめる。
自分には人をいじめていいと何かから認証されていると感じながら。
この本の面白いところは,
自分をいじめっこだもんと言える太田光が真剣にいじめの構造を探っていくところだ。
いじめに関する意見はいじめられた側からは多くみられても,教室内で同級生を「いじった」側からはあまりあがらない。
自分の中で語るほどの強度を持たない体験だからだ。
太田光はそれを独自の方法で解釈しようとする。
反省に落とし込むのではなく,とにかく考えることを執拗に続ける。
そしてテレビでの芸との関連にも触れる。
とても勇気のある本だと思った。
生半可な覚悟ではいじめは語れない。その覚悟を買いたい。
2013年11月26日に日本でレビュー済み
「お笑いは、いじめである。自分がやってることは人を殺しかねない」という太田さんの発言は考えさせられた。
同時にそこには"わかるそれ"という共感がある。「人が死ぬ原因になるものと人が生きる糧になるものは本当に同じ場所にある」という発言も考えさせらる。
チャップリンがなぜ笑えるのか??太宰の文学を読み、生きようと思った自身の経験を踏まえて語っている。
笑いというものは危険なものであると同時にすばらしいもの。だからこそその扱いに注意しなくてはいけない。深くうなずく。
人生は理不尽なものだ。いじめが少ない社会的仕組みを作っていくことはもちろん大切だが、今どうしたらいいかという問題は抜けきらない。
誰も助けてくれない。そういう状況は悲しいが存在する。
そこで大事なのが想像力ということ。
辛い自分を俯瞰して未来を見つめる想像力。
それを自分自身でそれを発見しなくてはいけないが、何らかの支えは必要ではある。
それが人であるかもしれないし、音楽や文学であるのかもしれない。
それらがない子どもたちは逃げてほしい。そして己の想像力と未来への希望を磨いていってほしいと思う。
「人を馬鹿にして笑ったことがない人がいますか?」この問いが物事の深さを語りかけていると思う。
いじめとは何か、笑いとは何か、人間が成長するとはどういうことかってことを考えさせられました。
同時にそこには"わかるそれ"という共感がある。「人が死ぬ原因になるものと人が生きる糧になるものは本当に同じ場所にある」という発言も考えさせらる。
チャップリンがなぜ笑えるのか??太宰の文学を読み、生きようと思った自身の経験を踏まえて語っている。
笑いというものは危険なものであると同時にすばらしいもの。だからこそその扱いに注意しなくてはいけない。深くうなずく。
人生は理不尽なものだ。いじめが少ない社会的仕組みを作っていくことはもちろん大切だが、今どうしたらいいかという問題は抜けきらない。
誰も助けてくれない。そういう状況は悲しいが存在する。
そこで大事なのが想像力ということ。
辛い自分を俯瞰して未来を見つめる想像力。
それを自分自身でそれを発見しなくてはいけないが、何らかの支えは必要ではある。
それが人であるかもしれないし、音楽や文学であるのかもしれない。
それらがない子どもたちは逃げてほしい。そして己の想像力と未来への希望を磨いていってほしいと思う。
「人を馬鹿にして笑ったことがない人がいますか?」この問いが物事の深さを語りかけていると思う。
いじめとは何か、笑いとは何か、人間が成長するとはどういうことかってことを考えさせられました。
2013年9月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
テレビで見ている番組なので,買いました.本音に近いところまで突っ込んでいるところもあって,この問題を考えるきっかけにはなりそうです.太田さんの持論は,好き嫌いはあると思います.自分は結構好きなので,楽しく読めました.