なかなかそうそうハナさんの様な方は
いないにしろ、ふと我が老親の事を
思い出した。同じくらいの世代で、
父は傘寿を迎え、そろそろかなと
言うお年頃。
母は父とは歳は離れておりまだ若い
のだが、しかし確実に老いている、
と、苺と同世代の娘の私は感じている。
地方住みのわたしは、
ハナさんのいでたちを想像した時、
ふと東京の地下鉄で見かけた老婦人を
思い出す。
黄色いセーターに白いパンツ、
チャコールグレーのカチッとした
バッグを持ち、高くはないがヒール
を履いて颯爽と歩いていた。
髪は真っ白だがきゅっとお団子にして、
赤いイヤリングを着けていた。
ぱっと見80歳は超えてそうだった。
でも背筋はしゃんとして、美しい。
東京の人は基本は電車移動で常に
人目があるし、おしゃれな上に
よく歩くからいつまで経っても
歩幅が広いのかな、かっこいいな、
ああなりたいな、と思った事がある。
一方、昔はおしゃれが大好きだった母。
身なりを気にしなくなった。
全身グレーに、くたびれたショルダー
バッグ。楽が1番。
周りがどんどん死んでいく。
どうせもうすぐ死ぬんだから。
などとボヤきながら、一方では、
どこどこの△子さん、3年前にご主人が
亡くなってしょんぼりしてたけど、
息子さんがとてもできた息子さんで、
◯◯市で買ったマンションにもう一つ
部屋を買い、お母さんもおいでよって。
良いわよねー。とのたまう。
私は苺と同世代だが、高齢出産の為
子供がまだ思春期で、しかもちょっと
色々ある子で子育てが大変だ。
そんな娘に「他の人の子供のデキが
良くて羨ましい」と延々と同じ事を
繰り返す。
私は自分の子供に、そんな期待は
しないけどな、と心の中で呟く。
だが、分からない。
私だって、母と同世代になれば、
老いた自分の身を憂い、周りが羨ましく
なって、自分に良い思いをさせてくれ
ない子供に愚痴るのだろうか。
もう死ぬんだから、と言っておきながら、
私だって良い思いしたいのよ、と
ゆらゆらと揺れ動く母の心情が、
ハナさんとその周りで起こる出来事、
家族の関係、老体に鞭打つ様な
意外な展開と、読んでいて
「まさか行く道ではないだろうか?」
と、思わせてくれる。
自分と、親と、周りの家族と。
どこか重ねて読める、読みやすいが
味わい深い小説だった。
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すぐ死ぬんだから (講談社文庫) 文庫 – 2021/8/12
内館 牧子
(著)
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購入オプションとあわせ買い
終活なんて一切しない。それより今を楽しまなきゃ。
78歳の忍ハナは、60代まではまったく身の回りをかまわなかった。だがある日、実年齢より上に見られて目が覚める。「人は中身よりまず外見を磨かねば」と。仲のいい夫と経営してきた酒屋は息子夫婦に譲っているが、問題は息子の嫁である。自分に手をかけず、貧乏くさくて人前に出せたものではない。それだけが不満の幸せな老後だ。ところが夫が倒れたことから、思いがけない裏を知ることになる――。
「定年」小説『終わった人』に続いて30万部超の大ベストセラーとなった人生100年時代の痛快「終活」小説!
<読者からの声>
2年前に手術を受け、以後は家の中での生活です。何事にも意欲が失せ『すぐ死ぬんだから』状態でしたが、この本に出会って100歳までの人生を考えています。(70代・男性)
『終わった人』も面白かったですが、こちらも一気に読んでしまいました。毒舌が心地よかったです。(50代・女性)
1ページ目から痛快で息も継げませんでした。(70代・女性)
もうすぐ定年ですが、新しい人生への希望と勇気をいただきました。(60代・男性)
つい最近80代になりもう物欲はなしにしようと思っていましたが、本書でますます元気になり明日もショッピングに行こうと考えています。(80代・女性)
ものの見方に光がさしたように感じます。くすんでいる私のはげみになりました。(50代・女性)
重ねた歳は戻せない。でも見た目は変えられる。今日から自分磨きをしよう。(60代・女性)
こんなに楽しい本は久し振りです。(70代・女性)
身につまされるが文句なく面白い!(70代・男性)
78歳の忍ハナは、60代まではまったく身の回りをかまわなかった。だがある日、実年齢より上に見られて目が覚める。「人は中身よりまず外見を磨かねば」と。仲のいい夫と経営してきた酒屋は息子夫婦に譲っているが、問題は息子の嫁である。自分に手をかけず、貧乏くさくて人前に出せたものではない。それだけが不満の幸せな老後だ。ところが夫が倒れたことから、思いがけない裏を知ることになる――。
「定年」小説『終わった人』に続いて30万部超の大ベストセラーとなった人生100年時代の痛快「終活」小説!
<読者からの声>
2年前に手術を受け、以後は家の中での生活です。何事にも意欲が失せ『すぐ死ぬんだから』状態でしたが、この本に出会って100歳までの人生を考えています。(70代・男性)
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もうすぐ定年ですが、新しい人生への希望と勇気をいただきました。(60代・男性)
つい最近80代になりもう物欲はなしにしようと思っていましたが、本書でますます元気になり明日もショッピングに行こうと考えています。(80代・女性)
ものの見方に光がさしたように感じます。くすんでいる私のはげみになりました。(50代・女性)
重ねた歳は戻せない。でも見た目は変えられる。今日から自分磨きをしよう。(60代・女性)
こんなに楽しい本は久し振りです。(70代・女性)
身につまされるが文句なく面白い!(70代・男性)
- 本の長さ464ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2021/8/12
- 寸法10.8 x 1.8 x 14.8 cm
- ISBN-104065245850
- ISBN-13978-4065245859
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商品の説明
著者について
内館 牧子
1948年秋田市生まれの東京育ち。武蔵野美術大学卒業。1988年脚本家としてデビュー。テレビドラマの脚本に「ひらり」(1993年第1回橋田壽賀子賞)、「毛利元就」(1997年NHK大河ドラマ)、「塀の中の中学校」(2011年第51回モンテカルロテレビ祭テレビフィルム部門最優秀作品賞およびモナコ赤十字賞)、「小さな神たちの祭り」(2021年アジアテレビジョンアワード最優秀作品賞)など多数。1995年には日本作詩大賞(唄:小林旭/腕に虹だけ)に入賞するなど幅広く活躍し、著書に映画化された小説『終わった人』や『今度生まれたら』、エッセイ『別れてよかった』など多数がある。元横綱審議委員で、2003年に大相撲研究のため東北大学大学院入学、2006年修了。その後も研究を続けている。
1948年秋田市生まれの東京育ち。武蔵野美術大学卒業。1988年脚本家としてデビュー。テレビドラマの脚本に「ひらり」(1993年第1回橋田壽賀子賞)、「毛利元就」(1997年NHK大河ドラマ)、「塀の中の中学校」(2011年第51回モンテカルロテレビ祭テレビフィルム部門最優秀作品賞およびモナコ赤十字賞)、「小さな神たちの祭り」(2021年アジアテレビジョンアワード最優秀作品賞)など多数。1995年には日本作詩大賞(唄:小林旭/腕に虹だけ)に入賞するなど幅広く活躍し、著書に映画化された小説『終わった人』や『今度生まれたら』、エッセイ『別れてよかった』など多数がある。元横綱審議委員で、2003年に大相撲研究のため東北大学大学院入学、2006年修了。その後も研究を続けている。
登録情報
- 出版社 : 講談社 (2021/8/12)
- 発売日 : 2021/8/12
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 464ページ
- ISBN-10 : 4065245850
- ISBN-13 : 978-4065245859
- 寸法 : 10.8 x 1.8 x 14.8 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 16,650位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。
脚本家。1948年、秋田市生まれ。武蔵野美術大学卒業後、三菱重工業に入社。13年半のOL生活を経て、1988年に脚本家デビュー。2000年9月か ら(財)日本相撲協会横綱審議委員会審議委員をつとめ、2010年1月に退任。2006年には、東北大学大学院文学研究科で、論文「大相撲の宗教学的考察 ―土俵という聖域」で修士号を取得。2006年より、秋田経済法科大学(現・ノースアジア大学)客員教授。2008年より、武蔵野美術大学客員教授(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 「横審の魔女」と呼ばれて (ISBN-13: 978-4022507273 )』が刊行された当時に掲載されていたものです)
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2023年6月26日に日本でレビュー済み
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2024年4月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
本の内容は、まだ読み終えていませんが、面白いと思いますが、注文してからの商品の入荷が遅すぎます!
2023年11月3日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
主人公がなんだかんだで元気で、毒舌なところもリアル。そのいい人ぶってないセリフ、実は器が大きいところ、そして見た目は常に気合いが入っている、こんな78歳が現実にいたら、ファンになりそう。読みやすくて一気読みした。
2024年3月10日に日本でレビュー済み
★3.3/累計2077冊目/2024年32冊目/3月1冊目/『すぐ死ぬんだから』(講談社文庫/講談社)/内館 牧子/P.464/2021年/860円+税 #読書 #読書2024 #読了 #読了2024
「老人あるある」が多く描かれており、何度もクスッと笑えることに加え、年の重ね方を考えさせられる。ハナの夫・岩造は約40年間、別の妻と子供を隠していた。それは良くないと思うが、死人に鞭打つ描写が多いため、うんざりする。何らかの事情があり、岩造の遺品を処分したことをハナが後悔する話だと嬉しかった。内館牧子の作品は、女同士の嫌味の言い合いが多くイヤになる。週刊誌が好きな人は、このような描写を喜ぶと思うが、私は好きになれない。私の知らない所で、こんなに程度が低い人間がたくさんいるのだろうか?
「老人あるある」が多く描かれており、何度もクスッと笑えることに加え、年の重ね方を考えさせられる。ハナの夫・岩造は約40年間、別の妻と子供を隠していた。それは良くないと思うが、死人に鞭打つ描写が多いため、うんざりする。何らかの事情があり、岩造の遺品を処分したことをハナが後悔する話だと嬉しかった。内館牧子の作品は、女同士の嫌味の言い合いが多くイヤになる。週刊誌が好きな人は、このような描写を喜ぶと思うが、私は好きになれない。私の知らない所で、こんなに程度が低い人間がたくさんいるのだろうか?
2023年11月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
私は、内館牧子さんの小説を初めて読みました。なんとなく「読まず嫌い」だったのです。
でも、これ「とても楽しめました」。
でも、これ「とても楽しめました」。
2023年9月5日に日本でレビュー済み
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タイトルは強烈ですが、楽しく笑いながら読めて、参考になる事山積みでした。
80過ぎた自分にはお役立ち情報満載でした。
80過ぎた自分にはお役立ち情報満載でした。
2023年7月28日に日本でレビュー済み
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読んだ感想としては面白かった。高齢者は楽しめると思う。主人公の認知の歪みというか物の見方、受け止め方は面白いものもあるが、生き辛いだろうなとも思った。自分も年取るとそうなるのかなと暗い気持ちになる。
良かったセリフは「外側を変えると中身も変わってくる」というもの。これは確かにそうだと思う。人間は中身だというやつはたいてい中身がない。笑
良かったセリフは「外側を変えると中身も変わってくる」というもの。これは確かにそうだと思う。人間は中身だというやつはたいてい中身がない。笑