唐の太宗・李世民とその臣下たちとの問答形式として、政治の在り方が述べられています。
やはり本文を理解する上で、どうしても李世民が唐王朝の第二代皇帝に即位した背景は前提として知っておく必要があるでしょう。
本書の「はじめに――歴史の中の『貞観政要』」に詳しく記されています。
「隋滅亡」という目の当たりにした暴政の末路、「玄武門の変」における兄弟殺しの負い目が、即位当初における李世民を戒めたようです。
本文で印象に残ったのは、巻九・征伐第35第13章です。
充容徐氏(姓名は徐恵)という女官による上奏として記されています。
(『貞観政要』Kindle版P.654~P.658)
民を疲弊させる侵略戦争や宮殿造営を諫めた内容です。
「昔、秦の始皇帝は戦国の六国を併合しましたが、それがかえって国を滅ぼす原因となりました。また西晋の武帝[司馬炎]は、[魏・蜀・呉の]三国時代を統一しましたが、それがかえって国を傾けることになりました。」
(『貞観政要』Kindle版P.655)
「いくら領域が広くても、それは国が安泰である保証にはならず、人民が疲弊していれば、それは国が乱れる根源となることがわかります。」
(同P.656)
また、統治者の贅沢がもたらす害悪について。
「想起されるのは、漆器そのものは何も反感を買うものではないのに、夏の桀王が贅沢のために作らせると人々が離反し、玉杯そのものは何も滅びる元ではないのに、殷の紂王が贅沢をして用いると国が滅んだことです。」
(同P.657)
このような珠玉の名文が『貞観政要』には散りばめられています。
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貞観政要 全訳注 (講談社学術文庫) 文庫 – 2021/1/12
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1300年以上読まれた「統治の教科書」不朽の古典、全文完全新訳。
とても読みやすい平明な訳文と、背景となる歴史がよくわかる解説でおくる、決定版!
□よき君主は諫言に傾聴する□
唐王朝(618-907年)の第二代皇帝にして、王朝の最盛と謳われる七世紀「貞観の治」をなした皇帝・太宗が、広大な版図を治め、王朝を栄えさせるために、臣下と議論を交わし、ときには痛烈な諫言を受け入れた様を描いたのが、この『貞観政要』全十巻四十篇です。
「私の非が明らかにならない理由は、官僚たちが従順で、皇帝の機嫌を損うのを憚かっているためだろうか。そうならないように、私は虚心に外からの忠告を求め、迷いを払いのけて反省しているのである。言われてそれを用いないのであれば、その責任を私は甘んじて受け入れよう。しかし、用いようとしているのにそれを言わないのは、いったい誰の責任であるか。今後は、各自が誠意を尽くせ。もし私に非があれば、直言して決して隠さないように」(本書 巻二「任賢」より)
□「人の上に立つ者」のために書かれた□
太宗が死して60年余が過ぎ、国史編纂に携わる歴史家の呉兢によって編纂されたこの書物は、唐王朝が変革のときを迎えようとする時代にあって、貞観の治世を手本とするよう、当時の皇帝に上進されたものでした。
□日本人も古代から読み継いだ□
平安時代の日本にも伝わると、以来江戸時代を経て現代に至るまで、統治者の心構えを説く必読書として読まれ続けてきました。
徳川家康も明治天皇も読んだと言われる、「主君のための教科書」です。
□ビジネスの智恵として□
現代にも通じる、人材育成、組織統治、コミュニケーション術の要諦を説く一冊として注目されています。
□歴史学の眼で「全文」を読み解く□
『貞観政要』が描くのは「理想の君主」像だけではありません。
長く皇帝の座にあった太宗は、やがて怒りやすくなり、傲慢で贅沢になり、直言を嫌がるようにもなっていきます。
・なぜ編者・呉兢は、そのようなことまで記したのか
・唐王朝はいかなる歴史の中で築かれたか
・実像の皇帝・太宗はどのような人物であったか
歴史学者ならではの鋭い分析とわかりやすい解説で、本書の「本当の意義」を読み取ることができます。
【本書は訳し下ろしです】
とても読みやすい平明な訳文と、背景となる歴史がよくわかる解説でおくる、決定版!
□よき君主は諫言に傾聴する□
唐王朝(618-907年)の第二代皇帝にして、王朝の最盛と謳われる七世紀「貞観の治」をなした皇帝・太宗が、広大な版図を治め、王朝を栄えさせるために、臣下と議論を交わし、ときには痛烈な諫言を受け入れた様を描いたのが、この『貞観政要』全十巻四十篇です。
「私の非が明らかにならない理由は、官僚たちが従順で、皇帝の機嫌を損うのを憚かっているためだろうか。そうならないように、私は虚心に外からの忠告を求め、迷いを払いのけて反省しているのである。言われてそれを用いないのであれば、その責任を私は甘んじて受け入れよう。しかし、用いようとしているのにそれを言わないのは、いったい誰の責任であるか。今後は、各自が誠意を尽くせ。もし私に非があれば、直言して決して隠さないように」(本書 巻二「任賢」より)
□「人の上に立つ者」のために書かれた□
太宗が死して60年余が過ぎ、国史編纂に携わる歴史家の呉兢によって編纂されたこの書物は、唐王朝が変革のときを迎えようとする時代にあって、貞観の治世を手本とするよう、当時の皇帝に上進されたものでした。
□日本人も古代から読み継いだ□
平安時代の日本にも伝わると、以来江戸時代を経て現代に至るまで、統治者の心構えを説く必読書として読まれ続けてきました。
徳川家康も明治天皇も読んだと言われる、「主君のための教科書」です。
□ビジネスの智恵として□
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『貞観政要』が描くのは「理想の君主」像だけではありません。
長く皇帝の座にあった太宗は、やがて怒りやすくなり、傲慢で贅沢になり、直言を嫌がるようにもなっていきます。
・なぜ編者・呉兢は、そのようなことまで記したのか
・唐王朝はいかなる歴史の中で築かれたか
・実像の皇帝・太宗はどのような人物であったか
歴史学者ならではの鋭い分析とわかりやすい解説で、本書の「本当の意義」を読み取ることができます。
【本書は訳し下ろしです】
- 本の長さ776ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2021/1/12
- 寸法10.6 x 3.1 x 14.8 cm
- ISBN-104065219124
- ISBN-13978-4065219126
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商品の説明
著者について
石見 清裕
1951年,東京生まれ。早稲田大学卒業。同大学大学院修士課程・博士課程単位取得退学。文学博士。早稲田大学教育・総合科学学術院教授。専門は唐代政治史・国際関係史。編著書に『唐の北方問題と国際秩序』『ソグド人墓誌研究』『唐代の国際関係』『訳註日本古代の外交文書』『唐代的民族,外交与墓志』がある。
1951年,東京生まれ。早稲田大学卒業。同大学大学院修士課程・博士課程単位取得退学。文学博士。早稲田大学教育・総合科学学術院教授。専門は唐代政治史・国際関係史。編著書に『唐の北方問題と国際秩序』『ソグド人墓誌研究』『唐代の国際関係』『訳註日本古代の外交文書』『唐代的民族,外交与墓志』がある。
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5 星
ありそうでなかった
貞観政要を探すと、私の知る限りでは解説者によってピックアップされた部分的な訳ばかりで、これまで全訳のようなものがなかった。こちらは、政要を全網羅し、解説、訳、原文を掲載されたもの。古典はなるべく訳者の新解釈などなく、直接著者と対話したいものであるが、その意図を汲み取ってか、ようやくの待望の一冊ではないかと思う。これは、歴史的快挙であろう。さて、本書とは全く関係がないので、評価にはあえて反映していないが、出荷前、破損品として横に避けられたであろうダメージ品が、見事、検品の際に貼った付箋と一緒に送られてきたよ。歴史的快挙の一冊だ。せめて無傷の新品を使わせてくれ。さすがに返品扱いだ。Amazon配送、頼む。
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2024年3月9日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2022年11月21日に日本でレビュー済み
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読み応えのある大作。
解説も素晴らしい
解説も素晴らしい
2024年2月2日に日本でレビュー済み
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『貞観政要』の初の完訳で解説も充実してる。歴史的背景を踏まえて各エピソードが理解できる。白文のみなのが難点か。
2022年11月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
たまたま、流し聞きしていたオリラジの中田さんのユーチューブ大学で紹介していた「貞観政要」めちゃくちゃ面白いそうだったので、購入!!色々自分の考察が深まっていくので、都合のいいように書いてある部分の解説を含めて、自分の生き方とその結果と照らし合わせて読めるので、自分の人生の質を高めていく勉強になっている印象です。
2022年9月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
会社である程度上の立場になる人は一読された方がいいです。
偉くなると人の話を聞かなくなるので良くないよねって事をたしなめてくれます。
本書を手にする時点で仕事に対して改善したい意思があるので、あとはその気持ちに間違いがないと本書で証明してくれるので、自信がつきますって感じの本ですかね。
少々値段が高い気もしないでもないですが、筆者の聞いてもない解説や余計な解釈が入っていないから、割と素直に読めるので、興味のある方は買って損はしないと思います。
偉くなると人の話を聞かなくなるので良くないよねって事をたしなめてくれます。
本書を手にする時点で仕事に対して改善したい意思があるので、あとはその気持ちに間違いがないと本書で証明してくれるので、自信がつきますって感じの本ですかね。
少々値段が高い気もしないでもないですが、筆者の聞いてもない解説や余計な解釈が入っていないから、割と素直に読めるので、興味のある方は買って損はしないと思います。
2022年10月6日に日本でレビュー済み
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日本の政治はほぼ絶望的であるが、翻訳書によって、二代目三代目が政治を知らなすぎると指摘され、読み続けた。長期政権だから、国葬だというのは、唐の時代に太宗が反省しているように、10年続いた政権は堕落する。太宗は自分の政権が十年目に堕落したことを反省している。聞く耳があっても実行しなければ、意味がない。諫言をよう聞いた太宗についての話が連綿と続くが、信長幼少の頃に妙心寺で修行し僧を父信秀が相談役にしていた。乱暴な信長に才能を見出したのはこの僧で「貞観政要」を彼は読んでいた。子守役の平手が切腹したのもこの本を参照してのことであろう。日本の政治はこの本で活路を見出せるかもしれない。
2021年3月1日に日本でレビュー済み
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中国の歴史と登場人物名が難しくなかなか読み進められません。
ただ、ワンマン経営者の方は必見だと思います。
また、今の政治家さんも読むべきです。
と言う様な本です。
ただ、ワンマン経営者の方は必見だと思います。
また、今の政治家さんも読むべきです。
と言う様な本です。
2021年11月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
抄訳での紹介が多い『貞観政要』だが、その全訳版文庫本が今年出版された事実を、私は少しも知らずにいた。「壮にして学べば、老いて衰えず。」 この佐藤一斎の三学の教えを座右に仰ぐ癖に、余りに迂闊。Amazonで急ぎ取り寄せて、読んでみた。
「はじめに」が、読者に基礎知識(『貞観政要』編纂の経緯、歴史背景、唐の官制など)を判り易く教えてくれる。奥付を見ると、訳注者は唐代政治史や国際関係史の専門家(大学院教授)とあり、簡潔で要を得た解説ぶりに納得した。
刊行半年で第6刷と版を重ねていて、『貞観政要』全文訳を望んだ一般読者(私もその一人)の期待値が看て取れた。あとは中味だが、実に素晴らしい。
広く普及したテキスト本の構成に倣い、巻頭に「解説」を置き、本編引用句の出典を明示し、語句の説明をまとめて注記する。本編各章毎に訳注者による現代語訳を載せ、「学術」文庫らしく原文は白文のまま(訓読文なしで)章末に置かれる。
だから、一般読者には極めてすっきりした仕上りだ。余力がある人はいつでも原文に挑戦して漢文読解力の実力が試せる。難語には振り仮名が振られ、登場人物の官職名が括弧書きで示されるので、理解し易い。一々頁を繰って注記にあたる面倒がなく、有難い。そして何より、読み物として抜群に面白い。
『貞観政要』で感心するのは、太宗李世民が「諌言」を臣下に奨励して止まぬ姿勢だ。心地よく響く「甘言」ならいざ知らず、耳の痛い内容(己の欠点、判断の誤り、無理解)を指摘する「諌言」を悦び、歓迎する君主は世に稀だろう。
隋の悪政を反面教師に、帝位奪取での骨肉の争い(玄武門の変)をトラウマとして、臣下の「諌言」を自省の「鑑」(鏡)と捉えた太宗は、大層人格が練られた寛仁大度と、自己の至らなさと悪評を危惧し慎重かつ賢明に対処法を探求する小心さとが、一身に同居する人物だったと私には思われる。
太宗が喜怒哀楽を顕わにする君臣問答(巻二納諌篇、直諌附篇)が特に面白い。
抵抗し粘るも最後は降参し諌言を容れて己の非を反省し、諫めた臣下の真価(忠義)を褒め称える若き為政者の度量の巨さ(懐の深さ)、故事や逸話で君主を正道に導く魏徴ら良臣のたゆまぬ奮迅努力に感激した。
「はじめに」が、読者に基礎知識(『貞観政要』編纂の経緯、歴史背景、唐の官制など)を判り易く教えてくれる。奥付を見ると、訳注者は唐代政治史や国際関係史の専門家(大学院教授)とあり、簡潔で要を得た解説ぶりに納得した。
刊行半年で第6刷と版を重ねていて、『貞観政要』全文訳を望んだ一般読者(私もその一人)の期待値が看て取れた。あとは中味だが、実に素晴らしい。
広く普及したテキスト本の構成に倣い、巻頭に「解説」を置き、本編引用句の出典を明示し、語句の説明をまとめて注記する。本編各章毎に訳注者による現代語訳を載せ、「学術」文庫らしく原文は白文のまま(訓読文なしで)章末に置かれる。
だから、一般読者には極めてすっきりした仕上りだ。余力がある人はいつでも原文に挑戦して漢文読解力の実力が試せる。難語には振り仮名が振られ、登場人物の官職名が括弧書きで示されるので、理解し易い。一々頁を繰って注記にあたる面倒がなく、有難い。そして何より、読み物として抜群に面白い。
『貞観政要』で感心するのは、太宗李世民が「諌言」を臣下に奨励して止まぬ姿勢だ。心地よく響く「甘言」ならいざ知らず、耳の痛い内容(己の欠点、判断の誤り、無理解)を指摘する「諌言」を悦び、歓迎する君主は世に稀だろう。
隋の悪政を反面教師に、帝位奪取での骨肉の争い(玄武門の変)をトラウマとして、臣下の「諌言」を自省の「鑑」(鏡)と捉えた太宗は、大層人格が練られた寛仁大度と、自己の至らなさと悪評を危惧し慎重かつ賢明に対処法を探求する小心さとが、一身に同居する人物だったと私には思われる。
太宗が喜怒哀楽を顕わにする君臣問答(巻二納諌篇、直諌附篇)が特に面白い。
抵抗し粘るも最後は降参し諌言を容れて己の非を反省し、諫めた臣下の真価(忠義)を褒め称える若き為政者の度量の巨さ(懐の深さ)、故事や逸話で君主を正道に導く魏徴ら良臣のたゆまぬ奮迅努力に感激した。