『しんがり』という作品を読んで感銘を受けてから、
清武英利氏の作品はほとんど読んでいる。
この著者の作品にどれもハズレはないが、
この作品は『しんがり』以降、最高の到達点ではないかと思う。
書名からではわかりにくいが、この作品は、
2000年代初頭に起きた、外務省のノンキャリア官僚による
横領事件を扱っている。
主役は複数の警察官、警視庁捜査二課の刑事たちだ。
警視庁の組織、組織内の争い、
キャリアとノンキャリアの立場の違いなどは
非常に詳しく描かれている。
登場人物だけではなく、どういうことが発端で
事件が発覚したのか、
事件が立件されなくなりそうになる経緯など、
物語の展開に関しても、周到すぎる取材が行われている。
この事件自体は、私も記憶していた。
当該のノンキャリア官僚は横領した金を使い、
女性を囲い、競走馬のオーナーになるなどしていた。
どこにも同情の余地などない男だと思っていたが、
著者の筆力により、いつのまにか、
この官僚のことを、理解できるなと思えるようになっていた。
警察組織、警察と中央官庁の関係、
警察官の人生など、初めて知ることが多かった。
これでもかというほどの取材をしたに違いない。
今年有数の傑作だと思うし、
大宅壮一ノンフィクション賞を獲ってもおかしくない作品だと思う。
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石つぶて 警視庁 二課刑事の残したもの (講談社文庫) 単行本(ソフトカバー) – 2019/6/13
清武 英利
(著)
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購入オプションとあわせ買い
2001年に発覚した外務省機密費流用事件、官邸・外務省を揺るがせたこの事件を掘り起こしたのは名もなき刑事だった。
容疑者は、着服したカネで次々と愛人を作り、競走馬を何頭も所有する外務省の「ノンキャリの星」。地道な裏付け捜査と職人技を駆使した取り調べ、そして容疑者と刑事の間に生まれる不思議な人間関係。
機密費という「国家のタブー」に触れてしまった二課刑事(ニカデカ)たちを待っていたのは――。
人間の息遣いが聞こえるヒューマン・ノンフィクション。
容疑者は、着服したカネで次々と愛人を作り、競走馬を何頭も所有する外務省の「ノンキャリの星」。地道な裏付け捜査と職人技を駆使した取り調べ、そして容疑者と刑事の間に生まれる不思議な人間関係。
機密費という「国家のタブー」に触れてしまった二課刑事(ニカデカ)たちを待っていたのは――。
人間の息遣いが聞こえるヒューマン・ノンフィクション。
- 本の長さ416ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2019/6/13
- 寸法10.7 x 1.7 x 14.9 cm
- ISBN-104065163765
- ISBN-13978-4065163764
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商品の説明
著者について
清武 英利
清武英利(きよたけ・ひでとし)
1950年宮崎県生まれ。立命館大学経済学部卒業後、75年に読売新聞社入社。青森支局を振り出しに、社会部記者として、警視庁、国税庁などを担当。中部本社(現中部支社)社会部長、東京本社編集委員、運動部長を経て、2004年8月より読売巨人軍球団代表兼編成本部長。11年11月、専務取締役球団代表兼GM・編成本部長・オーナー代行を解任され、係争に。現在はノンフィクション作家として活動。著書『しんがり 山一證券 最後の12人』(現在は講談社+α文庫所収)で14年度講談社ノンフィクション賞、『石つぶて 警視庁 二課刑事の残したもの』(講談社)で18年度大宅壮一ノンフィクション賞読者賞を受賞。主な著書に『奪われざるもの SONY「リストラ部屋」で見た夢』(講談社+α文庫)、『空あかり 山一證券”しんがり”百人の言葉』(講談社)、『トッカイ不良債権特別回収部 バブルの怪人を追いつめた男たち』(講談社)など。
清武英利(きよたけ・ひでとし)
1950年宮崎県生まれ。立命館大学経済学部卒業後、75年に読売新聞社入社。青森支局を振り出しに、社会部記者として、警視庁、国税庁などを担当。中部本社(現中部支社)社会部長、東京本社編集委員、運動部長を経て、2004年8月より読売巨人軍球団代表兼編成本部長。11年11月、専務取締役球団代表兼GM・編成本部長・オーナー代行を解任され、係争に。現在はノンフィクション作家として活動。著書『しんがり 山一證券 最後の12人』(現在は講談社+α文庫所収)で14年度講談社ノンフィクション賞、『石つぶて 警視庁 二課刑事の残したもの』(講談社)で18年度大宅壮一ノンフィクション賞読者賞を受賞。主な著書に『奪われざるもの SONY「リストラ部屋」で見た夢』(講談社+α文庫)、『空あかり 山一證券”しんがり”百人の言葉』(講談社)、『トッカイ不良債権特別回収部 バブルの怪人を追いつめた男たち』(講談社)など。
登録情報
- 出版社 : 講談社 (2019/6/13)
- 発売日 : 2019/6/13
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 416ページ
- ISBN-10 : 4065163765
- ISBN-13 : 978-4065163764
- 寸法 : 10.7 x 1.7 x 14.9 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 48,933位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 672位政治 (本)
- - 711位講談社文庫
- - 11,048位ノンフィクション (本)
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5 星
小説?と思うほど生々しくドラマチック
ドラマがあまりにも面白いので原作本を買ってみた。ドラマの脚本はよくまとめているが、この複雑怪奇な事件の本質はこれを読まないと分からない。ドラマで登場人物は全て仮名だが、本書では外務族の鈴木宗男や河野洋平外相(当時) など、関係者が全て実名で記されている。その事件は、外務省職員が10億円もの機密費を着服し、競走馬の購入や愛人との遊興費などに浪費するという前代未聞の事件だ。2000年頃公になり、外務省や首相官邸の機密費を暴き、国を揺るがす大事件だったと言うが、僕の記憶にはない。その頃は、ニュースすら見る余裕のない生活をしていたようだ。著者は、新聞記者出身とのことだが、まるでその現場にいたかのように、会話をリアルに再現しており、小説のようだ。しかしこれは、紛れもないノンフィクションなのである。「サンズイ」「ナンバー」「ギョウヨコ」「ゴンベン」「セナカ」隠語が次々に出てくる。これを読んだら、警察小説など安っぽいファンタジーにしか見えず、読めなくなる。関係ないが、今角界は日馬富士の暴力問題に揺れている。それは単なる暴力事件ではなく「モンゴル力士互助会」の問題が背景にあると言われる。モンゴル互助会は、横綱を頂点とし、巨額のカネを力士たちから吸い上げ、冠婚葬祭費や見舞金などに充てているという。これは、まるで官房機密費と同じではないか。また、互助会は本場所2日前にゴルフコンペを開いたり、頻繁に酒宴を催すなど、協会や部屋も口を出せない伏魔殿になっている。まるで外務省と同じだ。歴史は繰り返す、と言うことだろうか。
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2021年11月9日に日本でレビュー済み
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警察が時代の流れと共に個人技から組織地からで捜査する時代変化を感じとる事ができる名書だと思う。
2017年12月3日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ドラマがあまりにも面白いので原作本を買ってみた。
ドラマの脚本はよくまとめているが、この複雑怪奇な事件の本質はこれを読まないと分からない。
ドラマで登場人物は全て仮名だが、本書では外務族の鈴木宗男や河野洋平外相(当時) など、関係者が全て実名で記されている。
その事件は、外務省職員が10億円もの機密費を着服し、競走馬の購入や愛人との遊興費などに浪費するという前代未聞の事件だ。
2000年頃公になり、外務省や首相官邸の機密費を暴き、国を揺るがす大事件だったと言うが、僕の記憶にはない。
その頃は、ニュースすら見る余裕のない生活をしていたようだ。
著者は、新聞記者出身とのことだが、まるでその現場にいたかのように、会話をリアルに再現しており、小説のようだ。
しかしこれは、紛れもないノンフィクションなのである。
「サンズイ」「ナンバー」「ギョウヨコ」「ゴンベン」「セナカ」隠語が次々に出てくる。
これを読んだら、警察小説など安っぽいファンタジーにしか見えず、読めなくなる。
関係ないが、今角界は日馬富士の暴力問題に揺れている。
それは単なる暴力事件ではなく「モンゴル力士互助会」の問題が背景にあると言われる。
モンゴル互助会は、横綱を頂点とし、巨額のカネを力士たちから吸い上げ、冠婚葬祭費や見舞金などに充てているという。
これは、まるで官房機密費と同じではないか。
また、互助会は本場所2日前にゴルフコンペを開いたり、頻繁に酒宴を催すなど、協会や部屋も口を出せない伏魔殿になっている。
まるで外務省と同じだ。
歴史は繰り返す、と言うことだろうか。
ドラマの脚本はよくまとめているが、この複雑怪奇な事件の本質はこれを読まないと分からない。
ドラマで登場人物は全て仮名だが、本書では外務族の鈴木宗男や河野洋平外相(当時) など、関係者が全て実名で記されている。
その事件は、外務省職員が10億円もの機密費を着服し、競走馬の購入や愛人との遊興費などに浪費するという前代未聞の事件だ。
2000年頃公になり、外務省や首相官邸の機密費を暴き、国を揺るがす大事件だったと言うが、僕の記憶にはない。
その頃は、ニュースすら見る余裕のない生活をしていたようだ。
著者は、新聞記者出身とのことだが、まるでその現場にいたかのように、会話をリアルに再現しており、小説のようだ。
しかしこれは、紛れもないノンフィクションなのである。
「サンズイ」「ナンバー」「ギョウヨコ」「ゴンベン」「セナカ」隠語が次々に出てくる。
これを読んだら、警察小説など安っぽいファンタジーにしか見えず、読めなくなる。
関係ないが、今角界は日馬富士の暴力問題に揺れている。
それは単なる暴力事件ではなく「モンゴル力士互助会」の問題が背景にあると言われる。
モンゴル互助会は、横綱を頂点とし、巨額のカネを力士たちから吸い上げ、冠婚葬祭費や見舞金などに充てているという。
これは、まるで官房機密費と同じではないか。
また、互助会は本場所2日前にゴルフコンペを開いたり、頻繁に酒宴を催すなど、協会や部屋も口を出せない伏魔殿になっている。
まるで外務省と同じだ。
歴史は繰り返す、と言うことだろうか。

ドラマがあまりにも面白いので原作本を買ってみた。
ドラマの脚本はよくまとめているが、この複雑怪奇な事件の本質はこれを読まないと分からない。
ドラマで登場人物は全て仮名だが、本書では外務族の鈴木宗男や河野洋平外相(当時) など、関係者が全て実名で記されている。
その事件は、外務省職員が10億円もの機密費を着服し、競走馬の購入や愛人との遊興費などに浪費するという前代未聞の事件だ。
2000年頃公になり、外務省や首相官邸の機密費を暴き、国を揺るがす大事件だったと言うが、僕の記憶にはない。
その頃は、ニュースすら見る余裕のない生活をしていたようだ。
著者は、新聞記者出身とのことだが、まるでその現場にいたかのように、会話をリアルに再現しており、小説のようだ。
しかしこれは、紛れもないノンフィクションなのである。
「サンズイ」「ナンバー」「ギョウヨコ」「ゴンベン」「セナカ」隠語が次々に出てくる。
これを読んだら、警察小説など安っぽいファンタジーにしか見えず、読めなくなる。
関係ないが、今角界は日馬富士の暴力問題に揺れている。
それは単なる暴力事件ではなく「モンゴル力士互助会」の問題が背景にあると言われる。
モンゴル互助会は、横綱を頂点とし、巨額のカネを力士たちから吸い上げ、冠婚葬祭費や見舞金などに充てているという。
これは、まるで官房機密費と同じではないか。
また、互助会は本場所2日前にゴルフコンペを開いたり、頻繁に酒宴を催すなど、協会や部屋も口を出せない伏魔殿になっている。
まるで外務省と同じだ。
歴史は繰り返す、と言うことだろうか。
ドラマの脚本はよくまとめているが、この複雑怪奇な事件の本質はこれを読まないと分からない。
ドラマで登場人物は全て仮名だが、本書では外務族の鈴木宗男や河野洋平外相(当時) など、関係者が全て実名で記されている。
その事件は、外務省職員が10億円もの機密費を着服し、競走馬の購入や愛人との遊興費などに浪費するという前代未聞の事件だ。
2000年頃公になり、外務省や首相官邸の機密費を暴き、国を揺るがす大事件だったと言うが、僕の記憶にはない。
その頃は、ニュースすら見る余裕のない生活をしていたようだ。
著者は、新聞記者出身とのことだが、まるでその現場にいたかのように、会話をリアルに再現しており、小説のようだ。
しかしこれは、紛れもないノンフィクションなのである。
「サンズイ」「ナンバー」「ギョウヨコ」「ゴンベン」「セナカ」隠語が次々に出てくる。
これを読んだら、警察小説など安っぽいファンタジーにしか見えず、読めなくなる。
関係ないが、今角界は日馬富士の暴力問題に揺れている。
それは単なる暴力事件ではなく「モンゴル力士互助会」の問題が背景にあると言われる。
モンゴル互助会は、横綱を頂点とし、巨額のカネを力士たちから吸い上げ、冠婚葬祭費や見舞金などに充てているという。
これは、まるで官房機密費と同じではないか。
また、互助会は本場所2日前にゴルフコンペを開いたり、頻繁に酒宴を催すなど、協会や部屋も口を出せない伏魔殿になっている。
まるで外務省と同じだ。
歴史は繰り返す、と言うことだろうか。
このレビューの画像

2020年9月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
この本は外務省や内閣官房の機密費の高額詐欺事件を追った警視庁捜査2課のドキュメンタリーです。一人の女性刑事を除いて実名で書かれています。
読んでいってまず、汚職や詐欺、横領、背任、選挙違反などの知能犯を追及する警視庁捜査2課の捜査員が約四百人もいることに驚きました。そしてその捜査員がテレビドラマの捜査1課のようなチームプレイでなく、個人単位で黙々と粘り強い捜査をしていきます。捜査員相互でライバル意識を持ち、かなりはみ出し人間が多い職場です。ノンキャリアの警察官の仕事への熱意、取り組みには頭が下がりました。
しかし、一方でこの本は読後感が良くありません。一人の外務官僚が11億円以上(!)もの現金を個人口座に入金して使っているのです。使途は一部公的なものもありますが、多くは個人の遊興費でした。役所から水増しした請求書でお金が出され、領収書の要らない金として使われていたのです。詐欺を行った官僚は当然悪いですが、その周りにいた上司や同僚がどうしてそれを見抜けなかったのでしょうか。いや、みんな分かっていて止めさせなかったのです。同罪に近いです。上位職者にも恩恵が巡っていたはずで、それを捜査しなかった警察も悪いです。本文中にも、捜査員の一人が捜査の方針がまずかったと悔やむシーンがありますが、同感です。
著者の記述にも救われない気分になりました。著者は、かつて警察担当の新聞記者だったからでしょうか、捜査2課の捜査は取調室で脅したり、すかしたりして、一匹狼型のはみ出し刑事が自白を取ることが良いのだ、と受け取れるような記述をしています。冤罪と裁判所で認定された鹿児島県の志布志事件のことに触れながらも、そのような自白強要が悪いことだとの記載が少ないです。このことも読後感が良くなかったことの大きな理由です。
中央官庁など大きな組織の犯罪に対して、一連の組織内の警察機構は無力なのか、「石つぶて」を投げることくらいしか出来ないのか、と暗澹たる気持ちになりました。何とかして改革していきたいものです。
読んでいってまず、汚職や詐欺、横領、背任、選挙違反などの知能犯を追及する警視庁捜査2課の捜査員が約四百人もいることに驚きました。そしてその捜査員がテレビドラマの捜査1課のようなチームプレイでなく、個人単位で黙々と粘り強い捜査をしていきます。捜査員相互でライバル意識を持ち、かなりはみ出し人間が多い職場です。ノンキャリアの警察官の仕事への熱意、取り組みには頭が下がりました。
しかし、一方でこの本は読後感が良くありません。一人の外務官僚が11億円以上(!)もの現金を個人口座に入金して使っているのです。使途は一部公的なものもありますが、多くは個人の遊興費でした。役所から水増しした請求書でお金が出され、領収書の要らない金として使われていたのです。詐欺を行った官僚は当然悪いですが、その周りにいた上司や同僚がどうしてそれを見抜けなかったのでしょうか。いや、みんな分かっていて止めさせなかったのです。同罪に近いです。上位職者にも恩恵が巡っていたはずで、それを捜査しなかった警察も悪いです。本文中にも、捜査員の一人が捜査の方針がまずかったと悔やむシーンがありますが、同感です。
著者の記述にも救われない気分になりました。著者は、かつて警察担当の新聞記者だったからでしょうか、捜査2課の捜査は取調室で脅したり、すかしたりして、一匹狼型のはみ出し刑事が自白を取ることが良いのだ、と受け取れるような記述をしています。冤罪と裁判所で認定された鹿児島県の志布志事件のことに触れながらも、そのような自白強要が悪いことだとの記載が少ないです。このことも読後感が良くなかったことの大きな理由です。
中央官庁など大きな組織の犯罪に対して、一連の組織内の警察機構は無力なのか、「石つぶて」を投げることくらいしか出来ないのか、と暗澹たる気持ちになりました。何とかして改革していきたいものです。
2020年7月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
テレビ番組で見た事があったのですが詳しい内容が知りたくて購入しました。
実話なので読み応えがあり面白かったです。
電車での移動時読み返してます。
実話なので読み応えがあり面白かったです。
電車での移動時読み返してます。
2021年1月6日に日本でレビュー済み
清武英利さんの本です。
警視庁一課といえば、いわゆる刑事物で有名ですが、警視庁二課、詐欺や汚職などの刑事が、国家権力の機密費に挑んだドキュメントです。
二〇〇一年の外務省の機密費流用事件が軸になっています。
ひょんなことから、内部告発があり、それを聞いた警視庁二課の中才。
調べていくうちに、外務省のノンキャリの松尾が、かなり派手に金を蓄財&散財していることが判明。
どうやら、国の機密費からの流用らしい。
「サンズイ」、すなわち汚職を疑っていた中才をはじめとする二課の刑事たちは、知らず知らずのうちに、大きな事件に足を踏み入れていた…。
立件するのが横領ではなく詐欺だとか、そういう微妙な問題を孕みながら話がすすんでいって、というのも、国家権力、特に外務省が、捜査に協力的ではないんですよね。
でも、証拠を集めていく二課の刑事。
ただ、どうやら、もっとカネは流れていただろうし、松尾の事件は氷山の一角だった可能性が大なんですよね。
また、昔気質の刑事がいなくなり、汚職が摘発できなくなっている問題なども、最後に触れられています。
派手で目立ち、人々から賞賛されることはなく、ひたすら地味に、「正義」のために働いている警察官がいるのだと、すこし感動します。
ただ、現実には「弱きを挫き、強きを助く」という警察官が多いように思えるのですが。
おもしろく、一気に読んでしまいました。
警視庁一課といえば、いわゆる刑事物で有名ですが、警視庁二課、詐欺や汚職などの刑事が、国家権力の機密費に挑んだドキュメントです。
二〇〇一年の外務省の機密費流用事件が軸になっています。
ひょんなことから、内部告発があり、それを聞いた警視庁二課の中才。
調べていくうちに、外務省のノンキャリの松尾が、かなり派手に金を蓄財&散財していることが判明。
どうやら、国の機密費からの流用らしい。
「サンズイ」、すなわち汚職を疑っていた中才をはじめとする二課の刑事たちは、知らず知らずのうちに、大きな事件に足を踏み入れていた…。
立件するのが横領ではなく詐欺だとか、そういう微妙な問題を孕みながら話がすすんでいって、というのも、国家権力、特に外務省が、捜査に協力的ではないんですよね。
でも、証拠を集めていく二課の刑事。
ただ、どうやら、もっとカネは流れていただろうし、松尾の事件は氷山の一角だった可能性が大なんですよね。
また、昔気質の刑事がいなくなり、汚職が摘発できなくなっている問題なども、最後に触れられています。
派手で目立ち、人々から賞賛されることはなく、ひたすら地味に、「正義」のために働いている警察官がいるのだと、すこし感動します。
ただ、現実には「弱きを挫き、強きを助く」という警察官が多いように思えるのですが。
おもしろく、一気に読んでしまいました。
2018年6月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
なるほど、そういうことがあったのか、という思いでいっぱい。
15年たって言えること、言えないこと、いろいろあるんだろうな、、、と。
15年たって言えること、言えないこと、いろいろあるんだろうな、、、と。
2018年2月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
前後が入れ替わっていたり、脚色があるものの、ドラマにはしっかりと殆どの要素が詰め込まれていた。この本を読むだけでなく、ドラマも併せて見ると、何倍も楽しめる作品。