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メルトダウン ドキュメント福島第一原発事故 (講談社文庫) 文庫 – 2013/2/15
大鹿 靖明
(著)
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購入オプションとあわせ買い
読み始めたら止まらないノンストップ・ノンフィクションの傑作。日本を崩壊寸前に追い込んだ福島第一原発事故。首都圏壊滅、3000万人避難の未曾有の危機に際して、官邸、東京電力、経産省、金融界では、いったい何が起きていたのか? 『ヒルズ黙示録』で鮮烈デビューした著者が、菅直人、勝俣東京電力会長、経産省官僚らキーパーソン約200人を取材してわかった驚愕の新事実。講談社ノンフィクション賞受賞作を文庫化。
「日本の『ベスト&ブライテスト』が誕生した」(ノンフィクション作家・野村進氏)、「これぞ調査報道の真骨頂」(作家・重松清氏)。第34回講談社ノンフィクション賞で、選考委員が絶賛した調査報道ノンフィクションが全面バージョンアップされ、文庫化された。ビデオ映像で明らかになった東電の杜撰な事故対応、脱原発阻止を目論む経産省官僚の陰謀などの新事実を大幅加筆した。
(本書より)「メルトダウンしていたのは、原発の炉心だけではないのだ。原因企業である東電の経営者たち。責任官庁である経産省の官僚たち。原子力安全委員会や保安院の原発専門家たち。原発爆発企業の東電に自己責任で2兆円も貸しながら、東電の経営が危うくなると自分たちの債権保全にだけは必死な愚かな銀行家たち。未曾有の国難にもかかわらず、正気の沙汰とは思えない政争に明け暮れた政治家たち。いずれもメルトダウンしていた。エリートやエグゼクティブや選良と呼ばれる人たちの、能力の欠落と保身、責任転嫁、そして精神の荒廃を、可能な限り記録しよう。それが私の出発点だった」
本書は2012年1月に出版された『メルトダウンドキュメント福島第一原発事故』を全面的に増補改訂したものである。政府事故調や国会事故調など明らかになった新事実と、貴重な一次資料となった東京電力のテレビ電話会議(2012年8月開示)のやりとりを加えて、第1部「悪夢の一週間」を大幅に加筆した。文庫化に伴い、「第4部 静かなる反動」「第5部ゼロの攻防」を新たに書き下ろし、民主党惨敗までの経緯を詳述。原発阻止を目論み、なりふり構わぬ陰謀を仕掛ける経産省官僚とそれに翻弄される民主党政権を克明に描いた。
★メディア絶賛!★
福岡伸一氏(青山学院大学教授・生物学者)「あのとき一体、為されるべきことの何が為されなかったのかを知るための一級資料」(2012年3月11日 朝日新聞書評)「爆発する原発を映すテレビの前で『うわーっ』とうめいて頭を抱える斑目春樹・原子安全委員会委員長。操作ミスから3号機を爆発させてしまった作業員。『脱原発』への向かう菅直人首相を追い落とした経済産業省の官僚たち・・・・・・。責任の転嫁と情報の混乱によって危機が連鎖していくさまは、並みのパニック映画より怖い。しかし、これは実際に起きたことなのだ」(2012年3月11日西日本新聞『3・11を読む』)
「日本の『ベスト&ブライテスト』が誕生した」(ノンフィクション作家・野村進氏)、「これぞ調査報道の真骨頂」(作家・重松清氏)。第34回講談社ノンフィクション賞で、選考委員が絶賛した調査報道ノンフィクションが全面バージョンアップされ、文庫化された。ビデオ映像で明らかになった東電の杜撰な事故対応、脱原発阻止を目論む経産省官僚の陰謀などの新事実を大幅加筆した。
(本書より)「メルトダウンしていたのは、原発の炉心だけではないのだ。原因企業である東電の経営者たち。責任官庁である経産省の官僚たち。原子力安全委員会や保安院の原発専門家たち。原発爆発企業の東電に自己責任で2兆円も貸しながら、東電の経営が危うくなると自分たちの債権保全にだけは必死な愚かな銀行家たち。未曾有の国難にもかかわらず、正気の沙汰とは思えない政争に明け暮れた政治家たち。いずれもメルトダウンしていた。エリートやエグゼクティブや選良と呼ばれる人たちの、能力の欠落と保身、責任転嫁、そして精神の荒廃を、可能な限り記録しよう。それが私の出発点だった」
本書は2012年1月に出版された『メルトダウンドキュメント福島第一原発事故』を全面的に増補改訂したものである。政府事故調や国会事故調など明らかになった新事実と、貴重な一次資料となった東京電力のテレビ電話会議(2012年8月開示)のやりとりを加えて、第1部「悪夢の一週間」を大幅に加筆した。文庫化に伴い、「第4部 静かなる反動」「第5部ゼロの攻防」を新たに書き下ろし、民主党惨敗までの経緯を詳述。原発阻止を目論み、なりふり構わぬ陰謀を仕掛ける経産省官僚とそれに翻弄される民主党政権を克明に描いた。
★メディア絶賛!★
福岡伸一氏(青山学院大学教授・生物学者)「あのとき一体、為されるべきことの何が為されなかったのかを知るための一級資料」(2012年3月11日 朝日新聞書評)「爆発する原発を映すテレビの前で『うわーっ』とうめいて頭を抱える斑目春樹・原子安全委員会委員長。操作ミスから3号機を爆発させてしまった作業員。『脱原発』への向かう菅直人首相を追い落とした経済産業省の官僚たち・・・・・・。責任の転嫁と情報の混乱によって危機が連鎖していくさまは、並みのパニック映画より怖い。しかし、これは実際に起きたことなのだ」(2012年3月11日西日本新聞『3・11を読む』)
- 本の長さ656ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2013/2/15
- 寸法10.7 x 2.3 x 14.7 cm
- ISBN-104062774607
- ISBN-13978-4062774604
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商品の説明
著者について
大鹿 靖明
1965年、東京生まれ。早稲田大学卒業。ジャーナリスト。著書に『ヒルズ黙示録 検証・ライブドア』(2006年)、『ヒルズ黙示録・最終章』(2006年)、『墜ちた翼 ドキュメントJAL倒産』(2010年)がある。『メルトダウン』(2012年)で第34回講談社ノンフィクション賞を受賞(朝日新聞社勤務)。
1965年、東京生まれ。早稲田大学卒業。ジャーナリスト。著書に『ヒルズ黙示録 検証・ライブドア』(2006年)、『ヒルズ黙示録・最終章』(2006年)、『墜ちた翼 ドキュメントJAL倒産』(2010年)がある。『メルトダウン』(2012年)で第34回講談社ノンフィクション賞を受賞(朝日新聞社勤務)。
著者について
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ジャーナリスト・ノンフィクション作家 1965年、東京生まれ。早稲田大政治経済学部政治学科卒。88年、朝日新聞社入社。現在も同社勤務(経済部記者)。朝日新聞の再生をめざす「朝日新聞再生機構」メンバー。
代表作は、第28回講談社ノンフィクション賞と第5回新潮ドキュメント賞の候補作となった『ヒルズ黙示録 検証・ライブドア』(2006年)、第34回講談社ノンフィクション賞受賞作の『メルトダウン ドキュメント福島第一原発事故』(12年)、『東芝の悲劇』(17年)。最新作は『金融庁戦記 企業監視官・佐々木清隆の事件簿』(21年)。
他の著書に『ヒルズ黙示録・最終章』(06年)、『堕ちた翼 ドキュメントJAL倒産』(10年)、編著書としてジャーナリスト、ノンフィクション作家10人との対談集『ジャーナリズムの現場から』(14年)がある。
このほか、取材班に加わったものとして『ゴーンショック 日産カルロス・ゴーン事件の真実』(20年)、『プロメテウスの罠 7』(17年)などがある。
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2023年2月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
3.11以来。私たちは罪悪感を抱いてきた。ライターというプライドや部門間の隔壁、そして対人関係のストレス。過ちを繰り返してはならない。自戒を込めてそのように思った。
読みながら涙が止まらなかった。たった一人で組織を抜け出し、なにかを変えようとした「先輩」の勇気。福島の人々たちの希望。そして復興の槌音。なにかが聞こえる。
1945年。この国は原爆を落とされ、国土は壊滅した。そして2011年、自ら原発事故を起こしたこの日本国。しかし希望を捨ててはならない。
3.11。あれから12年。「神の子」たる大谷翔平さんの活躍に期待したい。この本を、読者が好きだった母に捧ぐ。
今年こそ花見ができますように。そして夜の森で美しい桜が見られますように。三陸の海がどこまでも美しくありますように。
希望とは誰にも奪えないものです。
サザンオールスターズの「tsunami」を聴きながら。白雲なびく駿河台にて。
桜エビの季節です。
読みながら涙が止まらなかった。たった一人で組織を抜け出し、なにかを変えようとした「先輩」の勇気。福島の人々たちの希望。そして復興の槌音。なにかが聞こえる。
1945年。この国は原爆を落とされ、国土は壊滅した。そして2011年、自ら原発事故を起こしたこの日本国。しかし希望を捨ててはならない。
3.11。あれから12年。「神の子」たる大谷翔平さんの活躍に期待したい。この本を、読者が好きだった母に捧ぐ。
今年こそ花見ができますように。そして夜の森で美しい桜が見られますように。三陸の海がどこまでも美しくありますように。
希望とは誰にも奪えないものです。
サザンオールスターズの「tsunami」を聴きながら。白雲なびく駿河台にて。
桜エビの季節です。
2022年3月1日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
まだ、半分くらいしか読めてないが、現場の緊迫感がヒシヒシと伝わり、官邸の想いに東電本社や保安院が全く対応できていない様子がよくわかる。
多方面にわたる綿密な取材には感心するばかりだ。
多方面にわたる綿密な取材には感心するばかりだ。
2012年4月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
NHK・教育放送の日曜夜10時から、「ETV特集」という報道番組がある。
世の中にこんな問題が起きているよと警鐘を鳴らす、地味だが、貴重な番組である。
気骨のある記者達が、先輩から後輩に脈々と伝統を受け継いでいる。
ただ、いつの世も、こういう番組は視聴率が高くない。
しかも政治や権力に問題をたたきつけるため、局の中でいつも「問題児・異端児」にされている。
福島の東電原発事故が起こった時、直ちに取材に動き、報道番組を作ることが発案された。
マスコミなら当然の発案である。
ただ、原子力発電所の事故の問題を追ってきたベテラン記者、七沢潔は、チェルノブイリ事故を追いすぎて問題視され、NHKの中でも「放送文化研究所」というところに左遷されていた。
番組の増田プロデューサーは、七沢なしでは番組が作れないと、臨時に七沢を借りた。
組織の手順を踏んで、人に仕事を頼むことは大事なプロセスである。
七沢は、知人の放射線衛生学者の、木村真三の手を借りることを提案した。
木村は、厚生労働省所管の労働安全衛生総合研究所の研究員をしていた。
放射線が専門なのだが、職場からは「指示なしに動くな」と厳命されていた。
国の関係の諸研究所では全て、同様の命令が所員に出されていた。
木村は、このままでは調査のタイミングを失すると、職場に辞表を出して、NHKの取材チームに合流した。
放射能の種類によっては半減期が短く、すぐに調査に動かなければ事故の本質が発見できない。
すぐに避難させる対象(住民)を発見し、避難指示を出さなければならない。
そう木村は考えたのだ。
「直ちに健康に影響が出るレベルではない」
などと言っているうちに、どんどん被害は拡大する。
結果的には取り返しのつかない被害が出る恐れがある。
「いつかは影響が出るレベル」と同義語なのである。
チェルノブイリの調査経験から、放射能は決して同心円状に分布するのではなく、実に多様なまだら模様になることを知っていたからだ。
そして、部分的に、ホットスポットと呼ばれる、異常に高い放射能値を示す場所があることを知っていたからだ。
取材は3月15日から開始された。
予想どおり、高濃度の放射能が各所で発見された。
チェルノブイリ級のホットスポットも。
避難を指示された区域外に、危険なレベルの放射能値計測地が多数あり、多くの人が住んでいた。
その人々の状況をルポし、汚染状況地図を作り続けた。
問題は、30キロ以内の取材自主規制である。
マスコミは全てそれ(政府の協力要請)に従った。
しかしそれでは真実に迫れない。
増田プロデューサーは、30キロ圏内の取材例があることをたまたま知り、自主規制が解除されたと「誤解」した。
取材例は、特別許可をもらったものだったと、あとでわかったのだが。
その「誤解」のもとに、取材班に30キロ圏内突入を許可した。
しかし、取材していることはふとしたことからNHK上層部にわかり、厳しく叱責され、放送の可能性が危ぶまれた。
4月3日の放送枠は、取材結果を報道することは許されない状況だった。
やむを得ず、「福島に住む作家・玄佑氏とルポライター吉岡忍氏との対談」に番組を切り替えた。
そして、吉岡氏が現地取材するという形で、30キロ圏外の危険区域の存在と、そこに人が住み続けていることを潜り込ませた。
放送は大きな反響を呼んだ。
それを受けて、チームを非難し続けた局幹部の姿勢に変化が出、NHKの方針として、番組作成が認知された。
改めて取材に入り、5月15日から、「ネットワークで作る放射能汚染地図」というシリーズとしてスタートした。
視聴率は1%台という低さだったが、見ている人はマスコミに影響力のある人たちが多く、その人達の力で話題とされ、何回も再放送された。
現在も、オンデマンドで見ることができる。
そして、文化庁芸術祭賞を始め、多くの賞を得た。
ルポ番組は概して地味なものである。
人々がぼそぼそとものを言っている。
目を引く映像もない。
調査も地味な行為である。
延べ6000キロも車で走り回り、放射能値を測定する。
それを地図に落とすことで、汚染地図ができあがる。
それらを組み合わせて番組を作ることで、人々の心に訴えかける。
報道現場から放り出されても、自分の取材テーマ(こころざし)は変えず、追い続けたディレクター。
問題視されている敏腕ディレクターを、あいつしかいないと無理を言って呼び寄せたプロデューサー。
危険を承知で、自分で志願して現場に乗り込む取材記者たち。
「誤解」にもとづき30キロ圏内突入を指示し、自分で責任を取ったプロデューサー。
30キロ圏内に入った取材班を表向きは叱責しながら、裏では番組の実現に力を貸してくれたNHKの某幹部。
職場に辞表を出して、現地に入って測定した科学者。
そのデータを分析してくれた、京大、広島大、長崎大、金沢大等の研究者たち。
移動しながら値が自動的に測定できる装置を自力で作って提供してくれた老研究者。
そういう無数の人々のネットワークで番組は作られた。
世の中を動かすというのは、こういうことだろうなあ。
この本は、7人の報道記者が、自分の担当した部分を書き、それを寄せ集めている。
いわば「取材記」である。
僕が、上に書いたような、時系列的な記述には、必ずしもされていない。
それが読みにくさになっているのは事実である。
しかし、番組ができる経過が率直に記述されている。
普通なら書かれない、NHK当局内部の裏の葛藤までも。
仕事をする姿勢とは何か。
それを考えさせる本であった。
世の中にこんな問題が起きているよと警鐘を鳴らす、地味だが、貴重な番組である。
気骨のある記者達が、先輩から後輩に脈々と伝統を受け継いでいる。
ただ、いつの世も、こういう番組は視聴率が高くない。
しかも政治や権力に問題をたたきつけるため、局の中でいつも「問題児・異端児」にされている。
福島の東電原発事故が起こった時、直ちに取材に動き、報道番組を作ることが発案された。
マスコミなら当然の発案である。
ただ、原子力発電所の事故の問題を追ってきたベテラン記者、七沢潔は、チェルノブイリ事故を追いすぎて問題視され、NHKの中でも「放送文化研究所」というところに左遷されていた。
番組の増田プロデューサーは、七沢なしでは番組が作れないと、臨時に七沢を借りた。
組織の手順を踏んで、人に仕事を頼むことは大事なプロセスである。
七沢は、知人の放射線衛生学者の、木村真三の手を借りることを提案した。
木村は、厚生労働省所管の労働安全衛生総合研究所の研究員をしていた。
放射線が専門なのだが、職場からは「指示なしに動くな」と厳命されていた。
国の関係の諸研究所では全て、同様の命令が所員に出されていた。
木村は、このままでは調査のタイミングを失すると、職場に辞表を出して、NHKの取材チームに合流した。
放射能の種類によっては半減期が短く、すぐに調査に動かなければ事故の本質が発見できない。
すぐに避難させる対象(住民)を発見し、避難指示を出さなければならない。
そう木村は考えたのだ。
「直ちに健康に影響が出るレベルではない」
などと言っているうちに、どんどん被害は拡大する。
結果的には取り返しのつかない被害が出る恐れがある。
「いつかは影響が出るレベル」と同義語なのである。
チェルノブイリの調査経験から、放射能は決して同心円状に分布するのではなく、実に多様なまだら模様になることを知っていたからだ。
そして、部分的に、ホットスポットと呼ばれる、異常に高い放射能値を示す場所があることを知っていたからだ。
取材は3月15日から開始された。
予想どおり、高濃度の放射能が各所で発見された。
チェルノブイリ級のホットスポットも。
避難を指示された区域外に、危険なレベルの放射能値計測地が多数あり、多くの人が住んでいた。
その人々の状況をルポし、汚染状況地図を作り続けた。
問題は、30キロ以内の取材自主規制である。
マスコミは全てそれ(政府の協力要請)に従った。
しかしそれでは真実に迫れない。
増田プロデューサーは、30キロ圏内の取材例があることをたまたま知り、自主規制が解除されたと「誤解」した。
取材例は、特別許可をもらったものだったと、あとでわかったのだが。
その「誤解」のもとに、取材班に30キロ圏内突入を許可した。
しかし、取材していることはふとしたことからNHK上層部にわかり、厳しく叱責され、放送の可能性が危ぶまれた。
4月3日の放送枠は、取材結果を報道することは許されない状況だった。
やむを得ず、「福島に住む作家・玄佑氏とルポライター吉岡忍氏との対談」に番組を切り替えた。
そして、吉岡氏が現地取材するという形で、30キロ圏外の危険区域の存在と、そこに人が住み続けていることを潜り込ませた。
放送は大きな反響を呼んだ。
それを受けて、チームを非難し続けた局幹部の姿勢に変化が出、NHKの方針として、番組作成が認知された。
改めて取材に入り、5月15日から、「ネットワークで作る放射能汚染地図」というシリーズとしてスタートした。
視聴率は1%台という低さだったが、見ている人はマスコミに影響力のある人たちが多く、その人達の力で話題とされ、何回も再放送された。
現在も、オンデマンドで見ることができる。
そして、文化庁芸術祭賞を始め、多くの賞を得た。
ルポ番組は概して地味なものである。
人々がぼそぼそとものを言っている。
目を引く映像もない。
調査も地味な行為である。
延べ6000キロも車で走り回り、放射能値を測定する。
それを地図に落とすことで、汚染地図ができあがる。
それらを組み合わせて番組を作ることで、人々の心に訴えかける。
報道現場から放り出されても、自分の取材テーマ(こころざし)は変えず、追い続けたディレクター。
問題視されている敏腕ディレクターを、あいつしかいないと無理を言って呼び寄せたプロデューサー。
危険を承知で、自分で志願して現場に乗り込む取材記者たち。
「誤解」にもとづき30キロ圏内突入を指示し、自分で責任を取ったプロデューサー。
30キロ圏内に入った取材班を表向きは叱責しながら、裏では番組の実現に力を貸してくれたNHKの某幹部。
職場に辞表を出して、現地に入って測定した科学者。
そのデータを分析してくれた、京大、広島大、長崎大、金沢大等の研究者たち。
移動しながら値が自動的に測定できる装置を自力で作って提供してくれた老研究者。
そういう無数の人々のネットワークで番組は作られた。
世の中を動かすというのは、こういうことだろうなあ。
この本は、7人の報道記者が、自分の担当した部分を書き、それを寄せ集めている。
いわば「取材記」である。
僕が、上に書いたような、時系列的な記述には、必ずしもされていない。
それが読みにくさになっているのは事実である。
しかし、番組ができる経過が率直に記述されている。
普通なら書かれない、NHK当局内部の裏の葛藤までも。
仕事をする姿勢とは何か。
それを考えさせる本であった。
2012年3月31日に日本でレビュー済み
3.11 以前の平時からの安全対策、事故発生後の対応、
いろんな意味で東電に大いなる非があることは、この本を読んでよく分かりました。
これは、どうしたって非難は免れ得ないでしょう。
但し、本書は内容的にいうと、官邸側の視点にあまりにも偏りすぎている。
はっきり言えば、本書の全編に渡って政府に対して甘い記述が目立つ。
吉田所長からの15条通報を受けて、原子力緊急事態宣言をどうやって出せばいいのかを調べるため、官邸秘書官らが六法全書をめくり始めた。
昨年暮れの震災関連の特番でこの事実が放映されたのを見て、驚き呆れた国民は多い筈です。
これについて、『あれはしようがない、それよりも保安院の責任だ』 とする菅さんの談話を掲載するのみで、
著者自身が何一つ批判的な論評を加えることなくスルーしている時点で、
読み始めた冒頭から 「?」 と感じざるを得なかった。
その後も全編に渡って、官邸側目線での記述が続く。
SPEEDI の隠蔽の件についても然り。
東電側の言い分らしきものはほとんど出てこない中、
最終章でようやく、東電の部長級社員のインタビューの一説が載っている。
「まだまだ隠されていることがある。官邸には非常に落ち度がある。原発事故は民主党政権だから起きたのです。そもそも自民党政権だったら原発は1つも爆発していません。」
ここまで極端なことを言うからには、余程のことがあったのではないかと思わざるを得ないし、
事実、本書では東電側の言い分をほとんど知ることはできません。
本書が重要なドキュメンタリーであることに間違いはありませんが、
正直、公平な視点で書かれた書物であるとは言い難い。
いろんな意味で東電に大いなる非があることは、この本を読んでよく分かりました。
これは、どうしたって非難は免れ得ないでしょう。
但し、本書は内容的にいうと、官邸側の視点にあまりにも偏りすぎている。
はっきり言えば、本書の全編に渡って政府に対して甘い記述が目立つ。
吉田所長からの15条通報を受けて、原子力緊急事態宣言をどうやって出せばいいのかを調べるため、官邸秘書官らが六法全書をめくり始めた。
昨年暮れの震災関連の特番でこの事実が放映されたのを見て、驚き呆れた国民は多い筈です。
これについて、『あれはしようがない、それよりも保安院の責任だ』 とする菅さんの談話を掲載するのみで、
著者自身が何一つ批判的な論評を加えることなくスルーしている時点で、
読み始めた冒頭から 「?」 と感じざるを得なかった。
その後も全編に渡って、官邸側目線での記述が続く。
SPEEDI の隠蔽の件についても然り。
東電側の言い分らしきものはほとんど出てこない中、
最終章でようやく、東電の部長級社員のインタビューの一説が載っている。
「まだまだ隠されていることがある。官邸には非常に落ち度がある。原発事故は民主党政権だから起きたのです。そもそも自民党政権だったら原発は1つも爆発していません。」
ここまで極端なことを言うからには、余程のことがあったのではないかと思わざるを得ないし、
事実、本書では東電側の言い分をほとんど知ることはできません。
本書が重要なドキュメンタリーであることに間違いはありませんが、
正直、公平な視点で書かれた書物であるとは言い難い。
2020年8月26日に日本でレビュー済み
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ジャーナリストの友人に勧められて読みました。福島の原発事故は人災だった気がします。東電のだらしなさ、官僚と政治家、自己欲の塊がこの事故を引き起こしたことが、丹念な取材によって明かされました。これは、特別な状況じゃない、また起こりうる、そう強く思いました。国民必読と思います。
2019年6月19日に日本でレビュー済み
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あの日東京にいて私自身パニックになっていたのでこのことについてそこまで知ろうとしていなかったのもありあまりの恐ろしさに震えました。建屋が吹っ飛ぶ映像を見たときの日本はもう住めなくなるのだなと思ったことを鮮明に思い出しました。
しかもまだ終わっていない…あれから何年。
どこの会社にもありえそうな…人のふり見て我がふり直せだなとも感じました
しかもまだ終わっていない…あれから何年。
どこの会社にもありえそうな…人のふり見て我がふり直せだなとも感じました
2014年5月14日に日本でレビュー済み
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原発事故への政権の対応と、東電救済のスキームや原発事故後のエネルギー政策転換を巡る菅政権と経産省の暗闘、菅政権の挫折を淡々とながらも、リアルに綴ったノンフィクション。豊富な取材に基づき、特に、官邸関係者が、実名で、当時の緊迫した状況について、振り返りながら述べたコメントが多数引用されていて興味深い。
2012年1月時点までの情報に基づいてるという限界はあるが、あの恐怖の1週間に、福島第一原発で、東電で、そして官邸で何が起きていたのか、基本的な事実関係を頭にいれるには大変役に立つ本。
(2014/5/14読了)
2012年1月時点までの情報に基づいてるという限界はあるが、あの恐怖の1週間に、福島第一原発で、東電で、そして官邸で何が起きていたのか、基本的な事実関係を頭にいれるには大変役に立つ本。
(2014/5/14読了)
2020年6月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「メルトダウン ドキュメント福島第一原発事故」というタイトルではあるが、福島第一原発の話は最初の3割位で
基本的にこの本は、東電幹部や政治家、関係省庁での責任や賠償問題、今後の原発についての争いの話です。
政争やマスコミ、東電内部を知りたい方には面白いんではないでしょうか?私はあの日、福島第一や第二では何があったのかを知りたかったので、この内容にはがっかりです。あきらかにタイトルでつられてしまいました。
基本的にこの本は、東電幹部や政治家、関係省庁での責任や賠償問題、今後の原発についての争いの話です。
政争やマスコミ、東電内部を知りたい方には面白いんではないでしょうか?私はあの日、福島第一や第二では何があったのかを知りたかったので、この内容にはがっかりです。あきらかにタイトルでつられてしまいました。