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¥1,540¥1,540 税込
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或るろくでなしの死 単行本 – 2011/12/22
平山 夢明
(著)
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震えながら、戦きながら、そうとは知らずに……七人の人間たちが迎えた、決定的な""死の瞬間""。異能・平山夢明が魅せる、狂気の淵に決して、飲み込まれるな! 驚愕の傑作短編集。
- 本の長さ274ページ
- 言語日本語
- 出版社角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日2011/12/22
- ISBN-104048739875
- ISBN-13978-4048739870
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商品の説明
著者について
1961年神奈川県生まれ。93年よりライターとして活躍。96年『Sinker―沈むもの』で小説家としてデビュー。2006年「独白するユニバーサル横メルカトル」で日本推理作家協会賞、10年『ダイナー』で大藪春彦賞、日本冒険小説協会大賞受賞。他の著作に『ミサイルマン』『他人事』等
登録情報
- 出版社 : 角川書店(角川グループパブリッシング) (2011/12/22)
- 発売日 : 2011/12/22
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 274ページ
- ISBN-10 : 4048739875
- ISBN-13 : 978-4048739870
- Amazon 売れ筋ランキング: - 954,094位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2021年9月5日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
外国のハードボイルド調が、ドライで、日本の湿ったそれとは、違って、読みやすい。内容はかなり暗いのだが。
「はぐれ者」は、否認の心理からも洞察できる。いじめは無い、性虐待は無い、という人たちは、はそんなものはあっては困る、という現実逃避から認知が歪んでいる、という説。人間は弱い。主人公は、人生の最後に、愛する者、それが死んだ子どもであれ、と出会い、その名前を指でなぞり、遺体だったものを、大事に持ち歩いて、丁寧に丁寧に埋葬してやろうとして、死んでいった。つまり、平山夢明の作品の主人公にしては、幸せなほうではないかしら。ラストのどんでん返しは、ありがちだけど、古き良き映画のように、きれいにはまっている。
「嫌われ者」SFの世界観は、この作者のドライな語り口に、よくあっている。カズオイシグロの「わたしを離さないで」もドライな語りだから、成功したのだ。ひとりの人間が死ぬという事を尊厳を持って書く、それが文学。最後の鍵の存在が、この物語に永遠性を、与えた。不在を描くとは、有限を超えた永遠を描くこと。
「ごくつぶし」これは語り手である主人公にぜひ死んでもらいたい、と読者に思わせるつくり。とてもリアルだし、似たような残酷は繰り返し社会のニュースになっている。
主人公がモテようとしてがんばった合コンで女の子に言われるセリフもリアル。同時に、この主人公のモテたいという、下らない努力は、人間の原罪意識にまでいたっている。普通になりたい、差別される側から抜け出したい、つまり、自分は普通では無い、醜くい、劣った存在なのだ、というありのままの自分を否定する意識。この絶望の地平で僅かな生きる理由を創造するのが物語り、または、神話なのだろう。
「愛情」これは、誰に感情移入していいのか、要素がバラつきすぎて、焦点がぼやけた作品。子どもがもっとも気の毒なのだが。現実を受け入れて淡々と生きるラストが、これでもか、これでもか、と悲惨な出来事の連打の後で、消化不良。ドラマにしては、悲惨なだけだし、神話に持っていくには、聖なる何かが弱い。タイトルは愛情が入っているのにね。
「ろくでなし」平山夢明の作品は怖い。リアルで怖い。この作品で、最もこわいのは、主人公と主人公に殺される「ろくでなし」が、おなじ立場に、ある事だ。やっていることは、全く反対に描かれている。少女の保護と虐待と。
つまり、主人公は、一歩間違えば、いくらでも、虐待する方になり得るのだ。その優位性が怖い。考えてみれば、私達は、誰でもみんな子どもで、この手の大人の優位性に怯えて育った。生き残ったから、忘れていたけど。
「英雄」これってドストエフスキーじゃん。老婆の家からの話しには、「神」がでてくる。圧倒的な力を持ち、有無を言わさず主人公を罰する。描かれ方がファンタジー性を持っているからかな。不思議の国のアリスの不気味な双子みたい。
「からっぽ」定番のボーイミーツガールも平山夢明が描くと、うわぁ。素直な哀しみがあって、きれいと言えないこともない。
清水玲子の「秘密」という漫画に、主人公と同じ症状を持ついじめられっ子の話しがあった。
写真なら人の顔が見れる、それは、対人恐怖症の苦しみと喜びだろうか。現実は恐ろしくて直視も出来ないけど、カメラの中なら、写真という音や動き、匂いや感触の無い、安全で守られた世界なら、「見る」認識することができる。恐怖を、コントロールできた喜び。不確実な世界を私達は生きている。根源的な欲求なのだ。安心したい。
「はぐれ者」は、否認の心理からも洞察できる。いじめは無い、性虐待は無い、という人たちは、はそんなものはあっては困る、という現実逃避から認知が歪んでいる、という説。人間は弱い。主人公は、人生の最後に、愛する者、それが死んだ子どもであれ、と出会い、その名前を指でなぞり、遺体だったものを、大事に持ち歩いて、丁寧に丁寧に埋葬してやろうとして、死んでいった。つまり、平山夢明の作品の主人公にしては、幸せなほうではないかしら。ラストのどんでん返しは、ありがちだけど、古き良き映画のように、きれいにはまっている。
「嫌われ者」SFの世界観は、この作者のドライな語り口に、よくあっている。カズオイシグロの「わたしを離さないで」もドライな語りだから、成功したのだ。ひとりの人間が死ぬという事を尊厳を持って書く、それが文学。最後の鍵の存在が、この物語に永遠性を、与えた。不在を描くとは、有限を超えた永遠を描くこと。
「ごくつぶし」これは語り手である主人公にぜひ死んでもらいたい、と読者に思わせるつくり。とてもリアルだし、似たような残酷は繰り返し社会のニュースになっている。
主人公がモテようとしてがんばった合コンで女の子に言われるセリフもリアル。同時に、この主人公のモテたいという、下らない努力は、人間の原罪意識にまでいたっている。普通になりたい、差別される側から抜け出したい、つまり、自分は普通では無い、醜くい、劣った存在なのだ、というありのままの自分を否定する意識。この絶望の地平で僅かな生きる理由を創造するのが物語り、または、神話なのだろう。
「愛情」これは、誰に感情移入していいのか、要素がバラつきすぎて、焦点がぼやけた作品。子どもがもっとも気の毒なのだが。現実を受け入れて淡々と生きるラストが、これでもか、これでもか、と悲惨な出来事の連打の後で、消化不良。ドラマにしては、悲惨なだけだし、神話に持っていくには、聖なる何かが弱い。タイトルは愛情が入っているのにね。
「ろくでなし」平山夢明の作品は怖い。リアルで怖い。この作品で、最もこわいのは、主人公と主人公に殺される「ろくでなし」が、おなじ立場に、ある事だ。やっていることは、全く反対に描かれている。少女の保護と虐待と。
つまり、主人公は、一歩間違えば、いくらでも、虐待する方になり得るのだ。その優位性が怖い。考えてみれば、私達は、誰でもみんな子どもで、この手の大人の優位性に怯えて育った。生き残ったから、忘れていたけど。
「英雄」これってドストエフスキーじゃん。老婆の家からの話しには、「神」がでてくる。圧倒的な力を持ち、有無を言わさず主人公を罰する。描かれ方がファンタジー性を持っているからかな。不思議の国のアリスの不気味な双子みたい。
「からっぽ」定番のボーイミーツガールも平山夢明が描くと、うわぁ。素直な哀しみがあって、きれいと言えないこともない。
清水玲子の「秘密」という漫画に、主人公と同じ症状を持ついじめられっ子の話しがあった。
写真なら人の顔が見れる、それは、対人恐怖症の苦しみと喜びだろうか。現実は恐ろしくて直視も出来ないけど、カメラの中なら、写真という音や動き、匂いや感触の無い、安全で守られた世界なら、「見る」認識することができる。恐怖を、コントロールできた喜び。不確実な世界を私達は生きている。根源的な欲求なのだ。安心したい。
2020年3月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
本屋で探したけどなかったのでネットで購入。
短編集ですが、短いページにもたっぷりの狂気が詰まっていていいですね!
ちょっと読みづらい部分があってつかえつかえの読書だったので…星3。
短編集ですが、短いページにもたっぷりの狂気が詰まっていていいですね!
ちょっと読みづらい部分があってつかえつかえの読書だったので…星3。
2014年11月12日に日本でレビュー済み
あとがきを書かれた漫画家片岡人生さんによる押絵がカッコいい。
また「死」に関する静止画的思い出話群も印象的だった。
本編お気に入りは、
表題作「或るろくでなしの死」:短編ながら長編傑作「ダイナー」ばりのイカした暗殺者と幸薄少女との交流を描く。
「或る嫌われ者の死」:SF要素がほんのり感じられる日本人にとっては辛い未来予想図。差別、偏見は決してなくなりはしない。
「或るからっぽの死」:今年読んだ物語の中では一番の悲恋もの。ヒロインであるシニコのシニカルな語り口がクセになる。
おすすめです。
また「死」に関する静止画的思い出話群も印象的だった。
本編お気に入りは、
表題作「或るろくでなしの死」:短編ながら長編傑作「ダイナー」ばりのイカした暗殺者と幸薄少女との交流を描く。
「或る嫌われ者の死」:SF要素がほんのり感じられる日本人にとっては辛い未来予想図。差別、偏見は決してなくなりはしない。
「或るからっぽの死」:今年読んだ物語の中では一番の悲恋もの。ヒロインであるシニコのシニカルな語り口がクセになる。
おすすめです。
2012年1月5日に日本でレビュー済み
もともと氏のある種の破壊のカタルシスといってもいい
テーマだけでなく、筆者自身のラジオ、コラム、嗜好そのものが好きなので
客観性のある感想にはならないがとても面白かった。
7つの短編からなるこの小説のテーマは『死』であるが、
いわゆるお涙ちょうだいものとは違って人というものがどうすれば最高に苦しんで、または最高に追い詰められて死ぬか
というものが骨子にある作品郡である。そう聞くとなんてえげつない人道に背いた話なんだろうと
嫌う人もいるだろうが、今まで築いてきた物が高ければ高いほど崩れた時の衝撃は凄いものなのだ。
それは負のカタルシスとでもいうものでその今際の縁でもがく人間こそ『生』の強い光を放つのではないだろうか
この小説のラストを飾る『或るからっぽの死』はどこかとても氏ならではのハートウォーミングな仕上がりに
なっておりこの本一冊の読後感はとても素晴らしかった。
テーマだけでなく、筆者自身のラジオ、コラム、嗜好そのものが好きなので
客観性のある感想にはならないがとても面白かった。
7つの短編からなるこの小説のテーマは『死』であるが、
いわゆるお涙ちょうだいものとは違って人というものがどうすれば最高に苦しんで、または最高に追い詰められて死ぬか
というものが骨子にある作品郡である。そう聞くとなんてえげつない人道に背いた話なんだろうと
嫌う人もいるだろうが、今まで築いてきた物が高ければ高いほど崩れた時の衝撃は凄いものなのだ。
それは負のカタルシスとでもいうものでその今際の縁でもがく人間こそ『生』の強い光を放つのではないだろうか
この小説のラストを飾る『或るからっぽの死』はどこかとても氏ならではのハートウォーミングな仕上がりに
なっておりこの本一冊の読後感はとても素晴らしかった。
2015年12月5日に日本でレビュー済み
おもしろいですね
短編集となっておりますので、少々頭脳にナンのある方でも読める気がします
あくまでも「少々」ですので、あまり何のあるかただと理解できない気がします
短編集となっておりますので、少々頭脳にナンのある方でも読める気がします
あくまでも「少々」ですので、あまり何のあるかただと理解できない気がします
2018年8月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
短編なのでサクっと読めました。
この方の作品は2作目ですが、癖もなく、読後感がすごい悪いというわけでもなく、特に怖くもなく(笑)
ジャンルも色々あるので無難に暇潰しに使えます。
この方の作品は2作目ですが、癖もなく、読後感がすごい悪いというわけでもなく、特に怖くもなく(笑)
ジャンルも色々あるので無難に暇潰しに使えます。
2012年1月3日に日本でレビュー済み
鬼畜系の作品を次々と発表される平山先生ですがそれだけではいずれ息切れしてしまうのではという心配をよそに、今作ではホラー、ミステリー、SFと様々な分野に触手を伸ばしてます。それが功を奏していずれの短編も味わい深いものになっています。ダイナーのような感動を味わう事は出来ませんが、小気味よい興奮を覚える傑作です。