強大な魔力を持つ「魔王」マルディシオンにかけられた若返りの呪いを解くため、護衛の騎士セロ、侍女リリアナ、白銀の狼に仮宿しているマルディシオンとともに旅を続けるブランカ姫。
全三巻の完結巻です。
前巻では姉姫にコンプレックスを感じていた妹姫レオノーラが、マルディシオンの身体を奪おうとする魔物ペルドゥラルの手を取って消えた。
それから半年、ついに９歳目前の姿に戻ってしまったブランカ姫の一行は、マルディシオンの身体とレオノーラを取り戻すため勘を頼りにマリアスル王国北部へ。そこでは弱体化したマリアスル王国を狙う周辺諸国の不穏な動きが・・・。
ブランカは再び「救国の姫」として、マルディシオンの身体を完全に己のものとするべく動き出したペルドゥラルと対峙し、衝撃の事実を知る。
王族の義務を、痛いほどに全うしようとするブランカ。王族の立場を捨て、例え相手が魔物であってもペルドゥラルの側にあることで姉姫への心の澱から解放されたレオノーラ。
ブランカにはセロもリリアナもいるけれど、レオノーラには誰もいなかった。「お姉さまはずるい」。でもだからこそブランカは自分の義務から逃れる選択は無かったのだと思います。
そしてそのセロとリリアナは。
アクションしっかり担当、「子供は趣味じゃない」と言いつつ、でもやっぱり相手はブランかなのでいろいろクラクラしているセロ･･･はまあいいとして（いいのか？）、リリアナ、最高です。ほんとに「姫様第一」、終着点を見越しそこまで根回ししてブランカの幸せを考えていたとは。トマスさんは、そんなリリアナに…これは尻に敷かれますね。
マルディシオンについては、…せっかく口説いても、ブランカにうまく丸め込まれてしまっている（笑)。彼が、ブランカを求めた理由はある程度この旅を通して解決の目途がついてしまった、と言うか。もっと頑張ってもらってもよかったのにな〜。「愛されずともよい」と言う感情が、どう変わっていくのか見たかった気がします。まあ、彼的にこの口説き、まだ継続中のようだけど。
冒険的な挿絵の配置も今回は輪をかけて斬新だったけれど、どのイラストもとてもステキでした。来月出る短編集もとても楽しみ。マルはある意味、選択肢？が増えたのでは…？。
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