再掲 2007
図書館本
宮崎氏が主催する研究会での佐藤さんの数回にわたる講演の記録。
ソ連崩壊を自らの目でみた佐藤さんの考察は興味深いし、種々な民族、宗教が入り混じる国家の歴史が生き生きとと描かれている。
しかし、最終的に、○○人であるアイデンティティー、○○宗教を背景に持つといった括りでしか歴史が流れないのか?という疑問が浮かぶ。そんな枠を超えた世界平和を目指す外交はありえないのか?
スポーツ組というマフィアの存在があるそうだ、エリチィンもプーチンも繋がっているような記述があります。怖いですね。暗殺が日常起こることも最近のジャーナリスト暗殺や元KGBのロンドンでの殺害もこのスポーツ組なんでしょうか?
でも一般人は非常にフランクであり、働き者であり家族愛に満ちていると佐藤氏は述べています。おそらく、これは世界中同じなのでしょう。常民の姿は世界共通。
「ソ連が嘘で塗り固められたロクでもない国家であったということは間違いない。しかし、国家の崩壊によって、ロシア人、ウクライナ人、リトアニア人、アゼルバイジャン人など、ソ連領域で生活していた一人ひとりの悲惨な物語を目のあたりにして、私は国家は悪であるが必要だとの確信を抱くようになった。私はこのときから国家主義者になったのである。ただし、私は個人的体験に基づく国家主義を他人に押し付けようと思ったことはない。あのクーデター未遂事件後、私は役人として上司におもねることを止め、国益のために自分が正しいと信じることは、官僚組織から煙たがられても素直に言う事にした」
「完全なエスニッククレンジング(民族浄化)が行われて、一人も相手の民族がいなくなったが故に、それと同時に民族問題が「解決」したんです。」
なるほど。でも虚しい。
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国家の崩壊 (角川文庫) 文庫 – 2011/12/22
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ソ連崩壊から20年。国家はいかにして崩れるのか、問い直す!
1991年12月26日、ソ連崩壊。国は壊れる時、どんな音がするのか? 人はどのような姿をさらけだすのか? 日本はソ連の道を辿ることはないのか? 外交官として渦中にいた佐藤優に宮崎学が切り込む。
1991年12月26日、ソ連崩壊。国は壊れる時、どんな音がするのか? 人はどのような姿をさらけだすのか? 日本はソ連の道を辿ることはないのか? 外交官として渦中にいた佐藤優に宮崎学が切り込む。
- 本の長さ400ページ
- 言語日本語
- 出版社KADOKAWA
- 発売日2011/12/22
- 寸法10.6 x 1.6 x 14.9 cm
- ISBN-104043882017
- ISBN-13978-4043882014
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商品の説明
著者について
●佐藤 優:佐藤 優(さとう まさる)。作家・元外務省主任分析官。1960年、東京都生まれ。同志社大学大学院神学研究科修了の後、外務省入省。平成7(1995)年まで在英国日本国大使館、ロシア連邦日本国大使館に勤務した後、外務本省国際情報局分析第一課に勤務。主任分析官として活躍した
登録情報
- 出版社 : KADOKAWA (2011/12/22)
- 発売日 : 2011/12/22
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 400ページ
- ISBN-10 : 4043882017
- ISBN-13 : 978-4043882014
- 寸法 : 10.6 x 1.6 x 14.9 cm
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- - 6,962位政治 (本)
- - 8,383位角川文庫
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著者について
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元外交官で文筆家。ロシア情報収集・解析のエキスパート。魚住昭/ジャーナリスト。ノンフィクションに著作多数。青木理/ジャーナリスト。元共同通信記者。『日本の公安警察』『絞首刑』など著作多数。植草一秀/経済学者。日本経済、金融論が専門。(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 誰が日本を支配するのか!?政治とメディアの巻 (ISBN-13:978-4838721566)』が刊行された当時に掲載されていたものです)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2010年8月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ソ連が崩壊する混沌とした時期の政治の裏側を、臨場感たっぷりに著者が解説する。
特にゴルバチョフやエリツィンについてロシア人が抱く政治的な人間像は、
上っ面にマスコミが伝えるところとは大きく異なり、非常に参考になる。
コロコロと首相が替わることに批判の多い日本であるが、
数十年独裁的にひとりの政治家が統治することのデメリットも本書からは感じさせられる。
著者の相手の懐に飛び込んでいく外交活動をまざまざと見せられると、
他の外交官はこれほどまでに努力して国益のために活動しているのかと心配になる。
特にゴルバチョフやエリツィンについてロシア人が抱く政治的な人間像は、
上っ面にマスコミが伝えるところとは大きく異なり、非常に参考になる。
コロコロと首相が替わることに批判の多い日本であるが、
数十年独裁的にひとりの政治家が統治することのデメリットも本書からは感じさせられる。
著者の相手の懐に飛び込んでいく外交活動をまざまざと見せられると、
他の外交官はこれほどまでに努力して国益のために活動しているのかと心配になる。
2019年3月5日に日本でレビュー済み
病気の人間ではやってきて、投票させる。不信任仕様ものなら当然KGB。と、かなり日本からすると地獄のような寒い国についての詳しい叙述ですが、見方を変えると、不毛の大地で数限りないテロ。実際の国家の転覆。王族全て暗殺する、という恐ろしく世知辛い風土なら仕方ないことです。宮崎学氏の著作はかなり読みましたが、彼なりの堕落論のようなある種の正義論も、見方を変えればあれこれ違ってきます。彼にとって、国家のために滅私奉公ほ、国家の犬になる。という表現で、中坊公平の批判も前提条件がかなり強引なので、全て鏡のようにひっくり返して見ることができます。で、自分自身がかなり悪辣なことをしていて、その独特の正義漢を他人にだけ求めるので、生きてる人間からすると、俺はお前のチェスの駒じゃねえ、と言いたくなると思います。そして中国とかと違い、絶対安全圏から申し続けることができます。時々自分の噂を利用したりして泳いでおります。佐藤氏にも、彼にも当然云えることですが、全てを批判して何がある?だったら自分がその立場なら権力者以上のことはできるのか?ロシアの血で血を洗う風土でなく、わりかし水流し文化はあんたたちの嫌いな権力者たちがかなり鷹揚な(毛沢東とかと違い)が寄与してきたことだろ、。と。何事も表裏で、実は佐藤氏は国家的英雄一歩手前まで行った人で(交渉なんて水もの)もしかしたら立場が違えば佐藤氏は朝日新聞で金ではなく鉄の外交官として、を連載し、宮崎学氏は、返還の道は釣り合わぬバカ投資で埋まっとる、というアスコム刊の新書を出版して二人は敵同士かもしれない。見方を変えれば
2012年1月17日に日本でレビュー済み
最近、佐藤優氏の著書を色々拝見しています。その行動力と深い分析力は素晴らしいと思います。
残念ながら、対談集や雑誌や新聞への短文記事が少なくない割合を占めているので、それはそれで良いのですが、読んだらすぐ売却行的な末路の扱いになる本なので、そろそろ過去の体験談から離れて、何度も繰り返し読め、本棚に置けるような書籍を増やして欲しいですね。例えば、「日米開戦の真実」や宗教論などの書籍は良書と思いますが、史論書などにも挑戦して欲しいです。期待しています。
残念ながら、対談集や雑誌や新聞への短文記事が少なくない割合を占めているので、それはそれで良いのですが、読んだらすぐ売却行的な末路の扱いになる本なので、そろそろ過去の体験談から離れて、何度も繰り返し読め、本棚に置けるような書籍を増やして欲しいですね。例えば、「日米開戦の真実」や宗教論などの書籍は良書と思いますが、史論書などにも挑戦して欲しいです。期待しています。
2012年2月19日に日本でレビュー済み
文庫本の読者です。多くの人が登場し、時間の流れが錯綜しますが、巻末には「主な登場人物」と「年表」があります。特に人の名前はこれがあると頭の中を整理しながら読み進めます。私は人名をメモしながら読了しましたが、最初から知っていたらと思った次第です。
さて本書は宮崎氏の質問に対し、佐藤氏が解説・講義するという形式をとり、1987年からソビエト連邦が崩壊する過程を、事実と佐藤氏の見解を交えながら、政治家の個性とロシアの国民性を織り交ぜて描き出しています。特に国民性を示す事例は的確で、ロシア国民には「煙草」「アルコール」「ジャガイモ」「黒パン」を欠かしてならない、いった見解には裏付けはないものの説得力がありました。新聞記事等だけではわからないディープなロシアの崩壊の流れを示し、自国の現状にも投影することができます。
そういった一連の流れを宮崎氏が「まとめに代えて」で総括していて、本書で得たまだまとまりを欠いた知識に1本の柱を立ててくれ、さらに中島岳志氏の解説では佐藤氏のものの見方や史観を教えてくれます。うまく企画・構成された本です。
さて本書は宮崎氏の質問に対し、佐藤氏が解説・講義するという形式をとり、1987年からソビエト連邦が崩壊する過程を、事実と佐藤氏の見解を交えながら、政治家の個性とロシアの国民性を織り交ぜて描き出しています。特に国民性を示す事例は的確で、ロシア国民には「煙草」「アルコール」「ジャガイモ」「黒パン」を欠かしてならない、いった見解には裏付けはないものの説得力がありました。新聞記事等だけではわからないディープなロシアの崩壊の流れを示し、自国の現状にも投影することができます。
そういった一連の流れを宮崎氏が「まとめに代えて」で総括していて、本書で得たまだまとまりを欠いた知識に1本の柱を立ててくれ、さらに中島岳志氏の解説では佐藤氏のものの見方や史観を教えてくれます。うまく企画・構成された本です。
2007年6月2日に日本でレビュー済み
最高のロシア学の入門書になっています。学生はまず本書を読みこの対象のさまざまな襞に入っていけばいいのでしょう。私の学生の時代には振り返ってみればこのような作品がなかった。あるのはドライなアカデミックな筆致の下にソヴィエトへのロマンチックな愛着を隠し切ったe.h.carrのソヴィエト革命史であり、日本語では、能天気にもソヴィエトのグロテスクな弁護に終始した政治的な作品ばっかりでした。ベルジャーエフなどの著作は、目に触れることもなくほとんど禁書やとんでも本扱いだったようです。著者の現場での体験を下にしたソヴィエト崩壊のプロセスの回顧もたしかに面白い部分ですが、この作品の特異な部分は、ロシアのnational bolshevismへの言及です。national bolshevismは、海外の作品("philosophy steamer"や”richard pipesの”liberal on the right")では必ず言及されるテーマですが、どういうわけか日本ではあまり直接的には取り上げられなかった視点です。著者は、ロシアの本質を、顕教としてのマルクス主義、密教としてのユーラシア主義(national bolshevism)と喝破しています。そしてユーラシア主義を否定神学の一形態と捉え、宣長との比較まで取り上げているほどです。西欧での数多の議論と彼らの個人的な嗜好にもかかわらず、ロシアはつまるところアジアでもなければヨーロッパでもないわけです。そしてロシアはスターリンをこれからも必要とするわけです。ところでロシアのデフォルトは1996年ではなく1998年だったと記憶していますが。最後に、”突破者”のような団塊の世代の切り口なるものは余計でしたね。
2007年9月3日に日本でレビュー済み
(ロシアは)色々な問題を孕んでいますが、基本的には、国家から個人へ、神話から事実へと向かい、現在の生活を大事にしようとする方向に向かっていることは確かです。
そして、それは対外的関係においても健全なロジックを生み出す基盤になっていると思います。
そのような中で、ロシアは孤立主義に陥らず対外協調を重視する方向に進んでいますが、この傾向が順調に発達するためには、外部世界がロシアという国の内在的ロジックをきちんと理解することが必要です。それが前提になってこそ、協調関係が前進するのだと思います。
ロシアは民主主義の第一次試験には合格しました。エリツィンからプーチンへ合法的に権力の移譲が行われました。これはロシア史上初めてのことです。
そしてずっと西側を向いてきたロシアが、今、初めて東側、アジアの方に顔を向けてきています。これに対して日本は、ロシアの内在的ロジックを理解しながら、尊厳と名誉を持って正面から受け止めていく必要があります。そして、日本にとっては多少わかりずらい言葉を使う相手ではありますけれど、対話を強化していかなくてはならないと思います。
====================================================以上引用終わり
ソ連の崩壊はいわば政治的チェルノブイリであると比喩し、権力が炉心から融解してしまい、それによって社会全体が汚染されたと主張するブルブリスを、エリツィンが『俺はこのブルブリスに良いように操られているのではないか?』との猜疑心を擁いた所から始まったと佐藤氏は分析しています。更に、有能なブルブリスをとおざけたことが、エリツィンの国家戦略の欠如に結びつき、改革の混乱を招いたと佐藤氏の分析は続きます。
この内在的ロジックをきちんと的確に理解し、対話の糸口を見つけられる人材が今の日本にどれほどいるのでしょう。
文学界八月号で佐藤氏は、「将来有能な若手を育成し自身は分析官から身を引いた」と記述しています。サハリン1の天然ガス交渉のゼロ回答や、日ソ共同宣言50周年記念フォーラムにおける、鳩山・河野両氏の『三島返還妥協案』発言など、佐藤氏がどのような論評をだされるかと思えば、つくづく有能な主任分析官を失ったと思うばかりです。
そして、それは対外的関係においても健全なロジックを生み出す基盤になっていると思います。
そのような中で、ロシアは孤立主義に陥らず対外協調を重視する方向に進んでいますが、この傾向が順調に発達するためには、外部世界がロシアという国の内在的ロジックをきちんと理解することが必要です。それが前提になってこそ、協調関係が前進するのだと思います。
ロシアは民主主義の第一次試験には合格しました。エリツィンからプーチンへ合法的に権力の移譲が行われました。これはロシア史上初めてのことです。
そしてずっと西側を向いてきたロシアが、今、初めて東側、アジアの方に顔を向けてきています。これに対して日本は、ロシアの内在的ロジックを理解しながら、尊厳と名誉を持って正面から受け止めていく必要があります。そして、日本にとっては多少わかりずらい言葉を使う相手ではありますけれど、対話を強化していかなくてはならないと思います。
====================================================以上引用終わり
ソ連の崩壊はいわば政治的チェルノブイリであると比喩し、権力が炉心から融解してしまい、それによって社会全体が汚染されたと主張するブルブリスを、エリツィンが『俺はこのブルブリスに良いように操られているのではないか?』との猜疑心を擁いた所から始まったと佐藤氏は分析しています。更に、有能なブルブリスをとおざけたことが、エリツィンの国家戦略の欠如に結びつき、改革の混乱を招いたと佐藤氏の分析は続きます。
この内在的ロジックをきちんと的確に理解し、対話の糸口を見つけられる人材が今の日本にどれほどいるのでしょう。
文学界八月号で佐藤氏は、「将来有能な若手を育成し自身は分析官から身を引いた」と記述しています。サハリン1の天然ガス交渉のゼロ回答や、日ソ共同宣言50周年記念フォーラムにおける、鳩山・河野両氏の『三島返還妥協案』発言など、佐藤氏がどのような論評をだされるかと思えば、つくづく有能な主任分析官を失ったと思うばかりです。
2006年6月4日に日本でレビュー済み
“突破者"宮崎学の研究会で“外務省のラスプーチン”佐藤優が講師として語った「ソ連崩壊の分析と政治ドラマ」。佐藤氏はいわゆるノンキャリア官僚で同志社大学大学院で神学を修めた異色の外交官ながら、ソ連の政界に深くネットワークを築き上げ、幾多の有力な情報をもたらしたのにもかかわらず、いわゆるムネオ・バッシングに連座して逮捕・勾留され現在は休職中。ただしこの逮捕は依然正当性が疑われるところ大であり、そこに「キツネ目の男」に疑われた宮崎氏が共感を得たであろう事は容易に想像できる。
本書が秀逸なのは、外交官・学者としての思想・政体の構造分析にとどまらず、ロシア人と人間としての交流による本音・心情・事実を裏付けに織り込んでいる点である。人間ドラマとして非常に面白いのは、田中角栄の秘書官だった早坂茂三氏の著作に通ずるものがある。
特に、理念だけでソ連を改革しようとしたソ連初の大卒指導者ゴルバチョフと、建設労働者からコツコツ出世したエリツィンの「ロシア大衆観」の相違が、その後の二人の運命を分けたというくだりは深くうなずけるものがあった。(理念だけの現実知らずという点で小泉首相がゴルバチョフと共通だとする宮崎氏の解説はこじつけの感があるが)
政治問題・国際問題に強い関心がある向きだけではなくとも、大変面白い本である。特に、アメリカと中国という21世紀の二大覇権帝国に挟まれた日本は、ソ連崩壊後ユーラシアにアイデンティティを求め始めた資源大国ロシアとの関係をどのように考えていくかが今後重要なポイントとなっていくであろうから。
それにしても(その著作を読む限り)これほど憂国・真摯な外交官はいないと思われる氏のような人間を、いまだ休職中扱いにしている日本国外務省というものはどのような組織であろうか。自ら辞表を提出しているわけではない(その気になれば大学教授やCIA!などいくらでも職はあると思うが)氏は、もう一度国のために役に立とうと考えているであろうに。
本書が秀逸なのは、外交官・学者としての思想・政体の構造分析にとどまらず、ロシア人と人間としての交流による本音・心情・事実を裏付けに織り込んでいる点である。人間ドラマとして非常に面白いのは、田中角栄の秘書官だった早坂茂三氏の著作に通ずるものがある。
特に、理念だけでソ連を改革しようとしたソ連初の大卒指導者ゴルバチョフと、建設労働者からコツコツ出世したエリツィンの「ロシア大衆観」の相違が、その後の二人の運命を分けたというくだりは深くうなずけるものがあった。(理念だけの現実知らずという点で小泉首相がゴルバチョフと共通だとする宮崎氏の解説はこじつけの感があるが)
政治問題・国際問題に強い関心がある向きだけではなくとも、大変面白い本である。特に、アメリカと中国という21世紀の二大覇権帝国に挟まれた日本は、ソ連崩壊後ユーラシアにアイデンティティを求め始めた資源大国ロシアとの関係をどのように考えていくかが今後重要なポイントとなっていくであろうから。
それにしても(その著作を読む限り)これほど憂国・真摯な外交官はいないと思われる氏のような人間を、いまだ休職中扱いにしている日本国外務省というものはどのような組織であろうか。自ら辞表を提出しているわけではない(その気になれば大学教授やCIA!などいくらでも職はあると思うが)氏は、もう一度国のために役に立とうと考えているであろうに。