青春小説みたいなのを探していたら本作に辿り着き、作者が昔よく観ていたアニメ、とらドラの竹宮ゆゆこ先生だと知り購入しました。
全体的には良く出来た内容なので楽しませて頂きましたが、南野がカップラーメンを食べている時に自分の頬をとか…そういうの必要ですか?
私はそういう表現が苦手なので読むの止めようかと思いました、けど最後まで読みました…面白かったんだもん…
前述した表現がなければ間違いなく星5なのですが、あっても欲しい5です。
これからも竹宮ゆゆこ先生の作品を楽しみにしていますが、くれぐれも無理をせず、焦らず頑張って下さい。
大好きです。
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いいからしばらく黙ってろ! 単行本 – 2020/2/14
竹宮 ゆゆこ
(著)
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カオスの中でしか、私は生きている実感を味わえなくってーー。
大学卒業直後に、婚約者も、就職先も、住む場所さえなくなった富士。彼女が出会ったのは、社会のはみ出し者が集う小さな劇団でーー。背に腹は代えられぬ、私はここで生き抜くの!
大学卒業直後に、婚約者も、就職先も、住む場所さえなくなった富士。彼女が出会ったのは、社会のはみ出し者が集う小さな劇団でーー。背に腹は代えられぬ、私はここで生き抜くの!
- 本の長さ464ページ
- 言語日本語
- 出版社KADOKAWA
- 発売日2020/2/14
- 寸法13 x 2.8 x 18.9 cm
- ISBN-104041089115
- ISBN-13978-4041089118
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商品の説明
著者について
●竹宮 ゆゆこ:1978(昭和53)年、東京生れ。2004(平成16)年、「うさぎホームシック」でデビュー。シリーズ作品として「わたしたちの田村くん」「とらドラ!」「ゴールデンタイム」、長篇小説に『知らない映画のサントラを聴く』『砕け散るところを見せてあげる』『おまえのすべてが燃え上がる』などがある。
登録情報
- 出版社 : KADOKAWA (2020/2/14)
- 発売日 : 2020/2/14
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 464ページ
- ISBN-10 : 4041089115
- ISBN-13 : 978-4041089118
- 寸法 : 13 x 2.8 x 18.9 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 638,521位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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1978年生まれ、東京在住。PCゲーム会社退職後、フリー(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 わたしたちの田村くん〈2〉 (ISBN-13: 978-4840231527 )』が刊行された当時に掲載されていたものです)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2022年7月28日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
※このレビューは、今作が単独で完結した作品であることを前提に書いています。可能性は低いかもしれませんが、もし続編が刊行された場合は、削除いたします。
『ゴールデンタイム』以来、久し振りにKADOKAWAから刊行された竹宮ゆゆこの小説。その影響・・・かどうかはわかりませんが、「新潮文庫nex」や「文春文庫」で刊行された作品よりも「王道」な感じの設定になっているように思えました。今作を短くまとめると「自身の将来を思い悩んでいた主人公・龍岡富士はとある演劇を見たことをきっかけに、その公演を行っていた『バーバリアン・スキル』(通称・バリスキ)という劇団にマネージャーとして入ることになり、持ち前の世話好きの性格を駆使して、解散寸前であるその劇団を何とか盛り立てようと奮闘する」というもので、こんな風に書くとある種の「ベタさ」すら感じられそうです。
ただ、個性豊かな劇団員達との軽妙なやり取りを交えつつも、劇団を巡る状況はシリアスかつリアリティを持って描かれており、そういった硬軟織り交ぜた読み応えのある描写は良い意味でこの作者らしく、「陳腐」とは程遠い出来になっているように思えます。バリスキを主宰する「南野」というキャラクターが「自身を世界の中心だと信じて疑わない」という強烈な個性を持っていたり、本作に登場する劇『見上げてごらん』の内容が非常にシュールなものだったりと、ある意味「尖った」点もあるのですが、そういう要素でさえも物語に上手く溶け込んでいる印象があり、単に「アクが強い」だけで終わらせていない点からも作者の力量がうかがえます。
全体的に興味深く読むことができましたが、回想にしか登場しない富士の4人の兄弟姉妹(上の2人と下の2人はそれぞれ性別の違う双子で、富士はその間)や、富士がバリスキに入る際の橋渡し役となった「須藤」、喧嘩別れのような形でバリスキから独立した劇団「コヨーテ・ロードキル」のように、面白そうな設定や重要そうな役割を持っていながら掘り下げが甘い部分が存在するのが気になりました。まあ、富士の兄弟姉妹に関しては「兄弟姉妹が多い影響で世話好きの性格になったが、自分だけ双子ではないのでどこか孤独のようなものを感じていた」という富士の境遇を説明するためのキャラクターと捉えることもできますが、どうせなら、「上の2人と下の2人はそれぞれ性別の違う双子」という変わった設定をもっと活かしつつ本筋にも登場させて欲しかった印象があります。
このように「まだ掘り下げられる」または「一冊に入り切らなかった」と思われる要素が存在するうえに、話の区切りは付くものの今作は次回作に続いてもおかしくないような感じで終わっているので、私はてっきり今作はシリーズ化するものだと思っていたのですが、刊行から2年以上経った今でも次巻が出るような気配がありません。なので、今作は「これ単独で完結している割には、掘り下げ切れていない点が若干残る作品」と見なすことにし、最高から星を一つ引いてこの評価とさせていただきます。ただ、内容そのものは非常に濃く、決して「単独で楽しめないほど薄い作品」というわけではないので、その点は誤解なきようお願いします。個人的には、是非とも続編が出て欲しいところなのですが。
『ゴールデンタイム』以来、久し振りにKADOKAWAから刊行された竹宮ゆゆこの小説。その影響・・・かどうかはわかりませんが、「新潮文庫nex」や「文春文庫」で刊行された作品よりも「王道」な感じの設定になっているように思えました。今作を短くまとめると「自身の将来を思い悩んでいた主人公・龍岡富士はとある演劇を見たことをきっかけに、その公演を行っていた『バーバリアン・スキル』(通称・バリスキ)という劇団にマネージャーとして入ることになり、持ち前の世話好きの性格を駆使して、解散寸前であるその劇団を何とか盛り立てようと奮闘する」というもので、こんな風に書くとある種の「ベタさ」すら感じられそうです。
ただ、個性豊かな劇団員達との軽妙なやり取りを交えつつも、劇団を巡る状況はシリアスかつリアリティを持って描かれており、そういった硬軟織り交ぜた読み応えのある描写は良い意味でこの作者らしく、「陳腐」とは程遠い出来になっているように思えます。バリスキを主宰する「南野」というキャラクターが「自身を世界の中心だと信じて疑わない」という強烈な個性を持っていたり、本作に登場する劇『見上げてごらん』の内容が非常にシュールなものだったりと、ある意味「尖った」点もあるのですが、そういう要素でさえも物語に上手く溶け込んでいる印象があり、単に「アクが強い」だけで終わらせていない点からも作者の力量がうかがえます。
全体的に興味深く読むことができましたが、回想にしか登場しない富士の4人の兄弟姉妹(上の2人と下の2人はそれぞれ性別の違う双子で、富士はその間)や、富士がバリスキに入る際の橋渡し役となった「須藤」、喧嘩別れのような形でバリスキから独立した劇団「コヨーテ・ロードキル」のように、面白そうな設定や重要そうな役割を持っていながら掘り下げが甘い部分が存在するのが気になりました。まあ、富士の兄弟姉妹に関しては「兄弟姉妹が多い影響で世話好きの性格になったが、自分だけ双子ではないのでどこか孤独のようなものを感じていた」という富士の境遇を説明するためのキャラクターと捉えることもできますが、どうせなら、「上の2人と下の2人はそれぞれ性別の違う双子」という変わった設定をもっと活かしつつ本筋にも登場させて欲しかった印象があります。
このように「まだ掘り下げられる」または「一冊に入り切らなかった」と思われる要素が存在するうえに、話の区切りは付くものの今作は次回作に続いてもおかしくないような感じで終わっているので、私はてっきり今作はシリーズ化するものだと思っていたのですが、刊行から2年以上経った今でも次巻が出るような気配がありません。なので、今作は「これ単独で完結している割には、掘り下げ切れていない点が若干残る作品」と見なすことにし、最高から星を一つ引いてこの評価とさせていただきます。ただ、内容そのものは非常に濃く、決して「単独で楽しめないほど薄い作品」というわけではないので、その点は誤解なきようお願いします。個人的には、是非とも続編が出て欲しいところなのですが。
2020年5月19日に日本でレビュー済み
クライマックスのテンポが良く、その分読後感は爽快だった。
わたし自身、舞台製作には学生時代に関わっていて、しかもいわゆる裏方さんだったので、役者に思う存分演技してもらうために身を粉にして働く主人公には共感できた。
役者だけがいても幕は上がらないし、そもそも舞台に上がれない。会場取ったり、タイムテーブル組んだりする、いわゆるマネージャーみたいな人は必須。そういうところにも居場所はあるし、それはそれでわくわくするんだよ、ということを教えてくれる。
わたし自身、舞台製作には学生時代に関わっていて、しかもいわゆる裏方さんだったので、役者に思う存分演技してもらうために身を粉にして働く主人公には共感できた。
役者だけがいても幕は上がらないし、そもそも舞台に上がれない。会場取ったり、タイムテーブル組んだりする、いわゆるマネージャーみたいな人は必須。そういうところにも居場所はあるし、それはそれでわくわくするんだよ、ということを教えてくれる。
2020年2月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
竹宮ゆゆこの作品に出てくるヒロインはとにかくよく走る。それも女性らしく可憐に走るのではなく、身も蓋も無くこけまろびつつ猛然と走る。「知らない映画のサントラを聴く」の枇杷も「おまえのすべてが燃え上がる」の信濃も物語序盤でこの猛然たるダッシュを見せてくれた。これを個人的には「開幕ダッシュ」と呼んでいたりする。
さて本作のヒロイン龍岡富士もその例に漏れずよく走る。件の「開幕ダッシュ」は勿論の事、中盤でも、そして終盤でも走る。竹宮ゆゆこ史上最高に走りまくったヒロインじゃないだろうか?
物語はその富士が大学卒業の日に居酒屋で孤立無援になっている所から。大学を卒業したら式を挙げる予定だった婚約者から一方的に断りを入れられ、結婚を前提としていたので就職活動もしておらず、高崎に住む会社経営者の親からは実家に戻って来いと命じられた自分の状況を「どん底」と表現した事でゼミ生から「上級国民が何を言うか」と総スカンを食らった富士は居酒屋のトイレに籠って一人メソメソ。長時間籠っていた富士の個室を同級生が「生きてる~?」と声を掛け乍らドアを叩いた事でトイレのドアに張られていたであろう一枚のビラが富士の目の前に落ちてくる。その小劇団の公演予告と思しきビラに書かれた「バーバリアン・スキル」という劇団名に心覚えを感じ取り、二年前まで付き合っていた須藤の事を思い出した富士は「行かなきゃ」という思いに駆られてバーバリアン・スキルの講演会場へと向けて猛然と走り始める事に……
「生きるとは表現する事である」というメッセージがこれ以上ないぐらいに明確に打ち出された作品。
竹宮ヒロインの中では比較的常識人っぽい主人公の富士だけど、むしろ常識人過ぎてキャラの濃すぎる周りに振り回されているだけというか流されて生きているだけの「お人形さん」。幼い頃は勝手気ままな上下の双子の世話を両親から押し付けられ、その押し付けられ体質が自分の意志をはっきりと打ち出せないひどく受け身な性格として身に染み付いてしまった様な女性として描かれている。
何だか一歩間違えると山岸涼子の「天人唐草」みたいになりそうな富士だけど、開幕ダッシュを決めた末に辿り着いた廃墟としか思えない地下の会場で奇跡と出会う。開演から僅か10分で引き込まれた圧倒的なパフォーマンスとアクシデントで上演が中断した後に見せたどうしようもない泥仕合を演じる計画性の無さが同居する小劇団「バーバリアン・スキル」通称バリスキに出会った事で彼女の流されていくだけの人生は猛烈に変わっていく。
婚約者も仕事も住む所も無い富士はバリスキの主催であり、まさに野蛮人といった風体の南野に半ば強引に引っ張られる形でずぶの素人ながらバリスキに入団。金も無ければ状況を知らせるホームページすら無く、肝心要の舞台監督すらいないという手足も頭脳ももがれた様な小劇団を立て直す羽目に……というのが主なストーリー。
相変わらずコメディとしては呆れる位によく出来ている。「とらドラ」時代から追い掛けている人であればこの点に関しては文句の言い様がないぐらいに終始ドタバタ。460頁近い長編を最初から最後まで一気に駆け抜ける様に読めてしまうのは野蛮人・南野をはじめバリスキメンバーのムチャクチャぶりが流され気味の富士のキャラクターと上手く対置してあるからに他ならない。
特に一にも二にも南野である。天上天下唯我独尊を絵にかいた様な、というか自分自身を「生きる奇跡その物」と称して憚らないその性格は並ぶものを挙げるとすれば昔ジャンプで連載していた「バスタード」の主人公、ダーク・シュナイダーが一番近い。あとこれに「グラップラー刃牙」の花山薫を足して二で割ったぐらいで丁度いい。この「舞台上で何を輝かせるか」以外頭に無い暴走するナルシストに終始富士をはじめとする登場人物は振り回されっぱなしなのだけど、その嵐の様な性格と付き合わされるからこそ「自分は何をどうしたいのか?」という自問自答が富士の内に生まれる。
「ないないづくし」の中からバリスキの次回公演を、それもタイムリミットのある中で何が何でも実現せねばという無茶な課題を与えられるという状況だからこそそれまで「何となく流されている自分に気が付けない」状態だった事に富士が気付く。「南野という暴風に振り回されている自分」を自覚するからこそどうして自分が大学卒業後の人生を親の命じるまま生ける屍の様に過ごさねばならなくなったのか、何より「自分が本当はどう行きたかったのか」に辿り着かねばと考える様になる。
ハッキリ言って南野に振り回されているバリスキメンバーもとんでもない面子が揃っている。バレエダンサーとして嘱望されながらスカラシップで海外に出た途端にメンタルをポッキリ折られて挫折した蘭、引きこもりのネクラ高校生から脱してバリスキに食らいついた大也、メチャクチャな量のノベライズ仕事を引き受けながら劇団の脚本を書き続ける蟹江……基本的に全員が南野には及ばないまでも勝手に生きている連中であり、バリスキにしか居場所が無い富士を振り回す。ただし彼らは南野と違い富士に「本気で『こっち側』に来るつもりなのか?」「引き返すなら今の内だぞ?」と制止を呼び掛ける役を担っている。
目の前に転がりまくっている現実的な問題。舞台監督の雲隠れや公演資金の不足、劇場の確保、脱退メンバーとの確執……山積する素人には荷が重すぎる問題を前に富士は「本当にバリスキに参加するべきだったのか?」「自分がやっている事は他人でも良く、都合の良いままに使われているだけでは?」という疑問に終始付きまとわれる事に。でも他に行き場の無い富士にとってはバリスキの立て直しを図る以外に自分の存在意義を示す方法が存在しない。
自分の居場所はバリスキ以外にあり得ない、自分がやるべき事はバリスキの次回公演を実現すること以外に無いと「何も出来ないと思っていた自分」に鞭を打ち我武者羅に突き進む富士はかつての想い人・須藤や婚約者であった小松が去っていった理由に辿り着く。伝えるべき想いを伝えられない人形の様な存在だった過去の自分と向き合う。
冒頭で自分の惨めな境遇をトイレの個室に籠って泣くだけだった富士に「生きてる~?」という声が掛けられた場面に象徴される様に死んだように生きてきた一人の女性が自ら「表現者の集団」という暴風の中に突っ込んで行く事で「生きる事とは事故を表現する事だ」という事を学び、自分の「人生」を「人として生きる事」を再生させていく物語である。
……で、ちょっと気になったのは受け身な富士の再生と破天荒に自分の生きたい様な生き方しか頭に無いバリスキメンバーの描き方は良いのだけど、それ以外の登場人物に中途半端さを覚えた。特に冒頭で富士が再会する演劇青年の須藤と婚約を破棄した相手である小松、この二人はとにかく扱いが中途半端。
須藤は最初の方こそ富士を演劇に触れさせ、その「言うべき事を口にしない」受け身の人生に気付かせる役回りなのだけど出番が飛び飛びの上に途中でフェイドアウトしてしまうので「このキャラ出す必要あったの?」となってしまう。逆に小松は終盤でいきなり出てきて富士に重要な選択を迫るのだけど登場自体が唐突過ぎて「え、何この人?」と困惑を覚えた。
バリスキメンバーと富士、そして雲隠れしていた舞台監督であり、最終的には富士に居場所を与える事になる樋尾だけでも話が回る様に仕立てられなかったのかな、という疑問が残ったのは否めない。
序盤からラストまで一気に駆け抜ける様な疾走感は竹宮作品らしく期待を裏切らないし、「言うべき事を口に出来ない」受け身さでドツボにハマっていた女性が自分の人生を再起動させる復活の物語としてのストーリーも起伏に富んでいる。「生きる事は表現する事」というメッセージも明確……なので余計に一部の登場人物のひどく中途半端な扱いだけが気になってしまう。
竹宮ゆゆこのファンとしては大いに楽しませて貰ったけど、完成度という点でもう少しだけ煮詰めていればとほんの少しだけ惜しさが残った作品。取りあえず手に取って損はないかと。
さて本作のヒロイン龍岡富士もその例に漏れずよく走る。件の「開幕ダッシュ」は勿論の事、中盤でも、そして終盤でも走る。竹宮ゆゆこ史上最高に走りまくったヒロインじゃないだろうか?
物語はその富士が大学卒業の日に居酒屋で孤立無援になっている所から。大学を卒業したら式を挙げる予定だった婚約者から一方的に断りを入れられ、結婚を前提としていたので就職活動もしておらず、高崎に住む会社経営者の親からは実家に戻って来いと命じられた自分の状況を「どん底」と表現した事でゼミ生から「上級国民が何を言うか」と総スカンを食らった富士は居酒屋のトイレに籠って一人メソメソ。長時間籠っていた富士の個室を同級生が「生きてる~?」と声を掛け乍らドアを叩いた事でトイレのドアに張られていたであろう一枚のビラが富士の目の前に落ちてくる。その小劇団の公演予告と思しきビラに書かれた「バーバリアン・スキル」という劇団名に心覚えを感じ取り、二年前まで付き合っていた須藤の事を思い出した富士は「行かなきゃ」という思いに駆られてバーバリアン・スキルの講演会場へと向けて猛然と走り始める事に……
「生きるとは表現する事である」というメッセージがこれ以上ないぐらいに明確に打ち出された作品。
竹宮ヒロインの中では比較的常識人っぽい主人公の富士だけど、むしろ常識人過ぎてキャラの濃すぎる周りに振り回されているだけというか流されて生きているだけの「お人形さん」。幼い頃は勝手気ままな上下の双子の世話を両親から押し付けられ、その押し付けられ体質が自分の意志をはっきりと打ち出せないひどく受け身な性格として身に染み付いてしまった様な女性として描かれている。
何だか一歩間違えると山岸涼子の「天人唐草」みたいになりそうな富士だけど、開幕ダッシュを決めた末に辿り着いた廃墟としか思えない地下の会場で奇跡と出会う。開演から僅か10分で引き込まれた圧倒的なパフォーマンスとアクシデントで上演が中断した後に見せたどうしようもない泥仕合を演じる計画性の無さが同居する小劇団「バーバリアン・スキル」通称バリスキに出会った事で彼女の流されていくだけの人生は猛烈に変わっていく。
婚約者も仕事も住む所も無い富士はバリスキの主催であり、まさに野蛮人といった風体の南野に半ば強引に引っ張られる形でずぶの素人ながらバリスキに入団。金も無ければ状況を知らせるホームページすら無く、肝心要の舞台監督すらいないという手足も頭脳ももがれた様な小劇団を立て直す羽目に……というのが主なストーリー。
相変わらずコメディとしては呆れる位によく出来ている。「とらドラ」時代から追い掛けている人であればこの点に関しては文句の言い様がないぐらいに終始ドタバタ。460頁近い長編を最初から最後まで一気に駆け抜ける様に読めてしまうのは野蛮人・南野をはじめバリスキメンバーのムチャクチャぶりが流され気味の富士のキャラクターと上手く対置してあるからに他ならない。
特に一にも二にも南野である。天上天下唯我独尊を絵にかいた様な、というか自分自身を「生きる奇跡その物」と称して憚らないその性格は並ぶものを挙げるとすれば昔ジャンプで連載していた「バスタード」の主人公、ダーク・シュナイダーが一番近い。あとこれに「グラップラー刃牙」の花山薫を足して二で割ったぐらいで丁度いい。この「舞台上で何を輝かせるか」以外頭に無い暴走するナルシストに終始富士をはじめとする登場人物は振り回されっぱなしなのだけど、その嵐の様な性格と付き合わされるからこそ「自分は何をどうしたいのか?」という自問自答が富士の内に生まれる。
「ないないづくし」の中からバリスキの次回公演を、それもタイムリミットのある中で何が何でも実現せねばという無茶な課題を与えられるという状況だからこそそれまで「何となく流されている自分に気が付けない」状態だった事に富士が気付く。「南野という暴風に振り回されている自分」を自覚するからこそどうして自分が大学卒業後の人生を親の命じるまま生ける屍の様に過ごさねばならなくなったのか、何より「自分が本当はどう行きたかったのか」に辿り着かねばと考える様になる。
ハッキリ言って南野に振り回されているバリスキメンバーもとんでもない面子が揃っている。バレエダンサーとして嘱望されながらスカラシップで海外に出た途端にメンタルをポッキリ折られて挫折した蘭、引きこもりのネクラ高校生から脱してバリスキに食らいついた大也、メチャクチャな量のノベライズ仕事を引き受けながら劇団の脚本を書き続ける蟹江……基本的に全員が南野には及ばないまでも勝手に生きている連中であり、バリスキにしか居場所が無い富士を振り回す。ただし彼らは南野と違い富士に「本気で『こっち側』に来るつもりなのか?」「引き返すなら今の内だぞ?」と制止を呼び掛ける役を担っている。
目の前に転がりまくっている現実的な問題。舞台監督の雲隠れや公演資金の不足、劇場の確保、脱退メンバーとの確執……山積する素人には荷が重すぎる問題を前に富士は「本当にバリスキに参加するべきだったのか?」「自分がやっている事は他人でも良く、都合の良いままに使われているだけでは?」という疑問に終始付きまとわれる事に。でも他に行き場の無い富士にとってはバリスキの立て直しを図る以外に自分の存在意義を示す方法が存在しない。
自分の居場所はバリスキ以外にあり得ない、自分がやるべき事はバリスキの次回公演を実現すること以外に無いと「何も出来ないと思っていた自分」に鞭を打ち我武者羅に突き進む富士はかつての想い人・須藤や婚約者であった小松が去っていった理由に辿り着く。伝えるべき想いを伝えられない人形の様な存在だった過去の自分と向き合う。
冒頭で自分の惨めな境遇をトイレの個室に籠って泣くだけだった富士に「生きてる~?」という声が掛けられた場面に象徴される様に死んだように生きてきた一人の女性が自ら「表現者の集団」という暴風の中に突っ込んで行く事で「生きる事とは事故を表現する事だ」という事を学び、自分の「人生」を「人として生きる事」を再生させていく物語である。
……で、ちょっと気になったのは受け身な富士の再生と破天荒に自分の生きたい様な生き方しか頭に無いバリスキメンバーの描き方は良いのだけど、それ以外の登場人物に中途半端さを覚えた。特に冒頭で富士が再会する演劇青年の須藤と婚約を破棄した相手である小松、この二人はとにかく扱いが中途半端。
須藤は最初の方こそ富士を演劇に触れさせ、その「言うべき事を口にしない」受け身の人生に気付かせる役回りなのだけど出番が飛び飛びの上に途中でフェイドアウトしてしまうので「このキャラ出す必要あったの?」となってしまう。逆に小松は終盤でいきなり出てきて富士に重要な選択を迫るのだけど登場自体が唐突過ぎて「え、何この人?」と困惑を覚えた。
バリスキメンバーと富士、そして雲隠れしていた舞台監督であり、最終的には富士に居場所を与える事になる樋尾だけでも話が回る様に仕立てられなかったのかな、という疑問が残ったのは否めない。
序盤からラストまで一気に駆け抜ける様な疾走感は竹宮作品らしく期待を裏切らないし、「言うべき事を口に出来ない」受け身さでドツボにハマっていた女性が自分の人生を再起動させる復活の物語としてのストーリーも起伏に富んでいる。「生きる事は表現する事」というメッセージも明確……なので余計に一部の登場人物のひどく中途半端な扱いだけが気になってしまう。
竹宮ゆゆこのファンとしては大いに楽しませて貰ったけど、完成度という点でもう少しだけ煮詰めていればとほんの少しだけ惜しさが残った作品。取りあえず手に取って損はないかと。
2020年6月2日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ゴールデンタイムのアニメを見て面白かったのでこの小説を買ってみました。セリフの言い回しなどに特徴があり短文で言い聞かせるように主張しているセリフは感情が爆発しててとても好きです。
今作では龍岡富士が劇団と出会いともに演劇を作り上げる内容です。そのなかで無気力だった今までの人生を悔いて、しかし今までの人生で培った経験を活かして劇団を成功の道へと導いていく、そんな負け組人生の一発逆転のリベンジマッチを観れました
自分は大学生という時間を怠惰に、無気力に、無意味に消費してしまったので冒頭の富士の気持ちにはとても共感できました
だからこそ、そんな富士が根性で泥臭くやっと見つけた夢中になれることに悪戦苦闘する様子はとても面白かったです
自分の人生に価値を感じられなくなっているひとに熱を与えてくれる作品だと思います
今作では龍岡富士が劇団と出会いともに演劇を作り上げる内容です。そのなかで無気力だった今までの人生を悔いて、しかし今までの人生で培った経験を活かして劇団を成功の道へと導いていく、そんな負け組人生の一発逆転のリベンジマッチを観れました
自分は大学生という時間を怠惰に、無気力に、無意味に消費してしまったので冒頭の富士の気持ちにはとても共感できました
だからこそ、そんな富士が根性で泥臭くやっと見つけた夢中になれることに悪戦苦闘する様子はとても面白かったです
自分の人生に価値を感じられなくなっているひとに熱を与えてくれる作品だと思います
2021年8月12日に日本でレビュー済み
ラノベとしてはそれなり。単行本で買うほどではなかったかな。
2020年2月19日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「何に使ったらいいのかわからないすごい才能」というのがこの世にはたくさんあります。竹ゆゆ先生はそう言う人です。普通の人や普通じゃない人を作品世界にバーッとばらまいて、「アクション!」の一言で猛烈な勢いで(主に、普通じゃない方の)キャラたちを走らせ、ぶつからせるところは竹ゆゆ先生の圧倒的な個人芸です。ところがキャラたちを指揮してひとつの方向に進め、全体としてのストーリーを編んでいくのが、どうもお好きでない。「主人公タイプ」のキャラそのものがお好きでないんじゃないか? とマイソフは思っております。計算ずくでキャラに感情移入をして頂いて、いい気持になって頂いて、はい精密フィギュアでございますタペストリーでございます総額いくらでございます……という標準的なキャラビジネスに乗せていくのが、どうもつらそうに感じます。あんまりフィギュアが売れなさそうな、ひとつの方向になんか動いてないキャラクターを偏愛してしまうところがあります。
今回は、「劇団」というキャラがいます。古来マンガや小説のキャラクターには生計をどう立てているのか怪しい人がいますが、この小説は比較的リアルなので何人か近未来設計の怪しい人がいます。しかし一番崖っぷちなのは「劇団」です。みんなで手を離せば確実にブクブク沈没だし、そういうことを話し合ってる人もいます。感情移入と言うより、近所で惨劇になりかねない事態が進むのをはらはら見ているような気持ちです。そして言葉の撃ち合いに次ぐ撃ち合い。選択に次ぐ選択。
ああ、竹ゆゆ先生の個人芸には、こういう使い方があったのですね。撃ち合いの弾痕で絵を描くようなストーリーテリング。この作品、当たるといいですねえ。
今回は、「劇団」というキャラがいます。古来マンガや小説のキャラクターには生計をどう立てているのか怪しい人がいますが、この小説は比較的リアルなので何人か近未来設計の怪しい人がいます。しかし一番崖っぷちなのは「劇団」です。みんなで手を離せば確実にブクブク沈没だし、そういうことを話し合ってる人もいます。感情移入と言うより、近所で惨劇になりかねない事態が進むのをはらはら見ているような気持ちです。そして言葉の撃ち合いに次ぐ撃ち合い。選択に次ぐ選択。
ああ、竹ゆゆ先生の個人芸には、こういう使い方があったのですね。撃ち合いの弾痕で絵を描くようなストーリーテリング。この作品、当たるといいですねえ。
2022年7月2日に日本でレビュー済み
双子の兄姉、双子の弟妹がいる主人公・富士、という設定はインパクトあるが、物語にほとんど影響しないので不要だった気がする。
本筋がとても面白かっただけに、妙な設定がどこで活かされるのか気にせず読みたかった。本筋から受けたイメージは幕末の新選組。南野、桶田、蟹江がそれぞれ近藤、土方、沖田。蘭が斎藤、大也や富士は……、まぁ誰かに当てはまりそう。
不要な設定と序盤のまだるっこしささえなければ最高だった。
本筋がとても面白かっただけに、妙な設定がどこで活かされるのか気にせず読みたかった。本筋から受けたイメージは幕末の新選組。南野、桶田、蟹江がそれぞれ近藤、土方、沖田。蘭が斎藤、大也や富士は……、まぁ誰かに当てはまりそう。
不要な設定と序盤のまだるっこしささえなければ最高だった。