世界食料危機がやってくるという穀物メジャーに踊らされて、日本は40%の食料自給率を上げようとした。水田の4割が休耕田であることを考えると、減反の廃止と大規模化が目指すものとなり、株式会社の参入が行われるようになった。しかし、米の価格は安く稲作は儲からないため、大規模化を行っても、食料自給率はたいして上昇しない。それを強行すれば多額の税金が投入されるだけだ。また、大規模化は農民を極端に減少させ、農協や農水省の不要論を招くだけになる。それは自民党政権も望むものではない。
では、どうすればいいのだろうか。世界最強の農業国であるオランダに倣って面積を多く要しない農業である畜産、野菜、花卉の栽培に特化していくべきだ。そのためには規制緩和が重要なキーワードになる。さらに、日本人が得意とする栽培技術の飽くなき改善も必要となる。これらによって、日本の農業は強い産業に変貌する可能性がある。ただし、稲作を除いての話であるが。

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「食料自給率」の罠 輸出が日本の農業を強くする 単行本 – 2010/8/6
川島 博之
(著)
「食料自給率40%」におびえる日本の食卓の未来を予測する。食料自給率が低くても、農家の後継者が少なくても、日本が食料の危機にさらされることはない! 事実誤認に基づく対策こそが日本農業を追いつめ、食の安全保障を危うくする。食料自給率が低いほうが、「日本の農業」は強くなれる! 最強の農業国オランダも穀物自給率が低いなど、食と農の真実の姿を明らかにし、不毛な議論に終止符を打つ!
- ISBN-104023308307
- ISBN-13978-4023308305
- 出版社朝日新聞出版
- 発売日2010/8/6
- 言語日本語
- 本の長さ240ページ
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登録情報
- 出版社 : 朝日新聞出版 (2010/8/6)
- 発売日 : 2010/8/6
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 240ページ
- ISBN-10 : 4023308307
- ISBN-13 : 978-4023308305
- Amazon 売れ筋ランキング: - 368,214位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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2010年8月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「食糧危機をあおってはいけない」(文藝春秋、2009年)の続編という位置づけの著作である。
「農業への関心を高めるために喧伝された、食糧危機を前提とした自給率向上の議論が逆に農業関係者(農民、農協、農水省)を苦しめる罠となってる。」と説く。論理は分かりやすく一貫している。今後世界的な食糧危機が起きないとした場合の最も現実的かつ有効な政策的落しどころを提示している。
食料自給率の議論の終わりが見えるような一冊である。
「農業への関心を高めるために喧伝された、食糧危機を前提とした自給率向上の議論が逆に農業関係者(農民、農協、農水省)を苦しめる罠となってる。」と説く。論理は分かりやすく一貫している。今後世界的な食糧危機が起きないとした場合の最も現実的かつ有効な政策的落しどころを提示している。
食料自給率の議論の終わりが見えるような一冊である。
2010年11月28日に日本でレビュー済み
日本の農業を合理的に考える一冊。
日本の農業は、少ない面積でできる畜産や生鮮野菜、花きなど絞り、穀物は輸入しようというのが著者の意見。「国に保護されていいものはひとつもない。」と言ったのは本田宗一郎だが、日本のコメなんかその典型でしょう。
日本の稲作を歴史を振り返って説明しているが、農家や政治家の稲作への執着心の原因が同書を読めばわかる。
筆も立つので文章も読んでいて非常に痛快だ。
いくつか書抜くとP2「徹底した保護強化の先にあるのは、「国際価格に比べて高い国産の食料だけをみんなが食べ続ける。」食料自給率に関してはP19「あまりに条件の違う国の数値を並べて、一面的に比べても意味はない。」
日本の農業の使い進むべき方向性を数値を使って科学的に検証している。
書かれている内容もほぼ全面的に賛成。
なにより、この本すごい面白い。
日本の農業は、少ない面積でできる畜産や生鮮野菜、花きなど絞り、穀物は輸入しようというのが著者の意見。「国に保護されていいものはひとつもない。」と言ったのは本田宗一郎だが、日本のコメなんかその典型でしょう。
日本の稲作を歴史を振り返って説明しているが、農家や政治家の稲作への執着心の原因が同書を読めばわかる。
筆も立つので文章も読んでいて非常に痛快だ。
いくつか書抜くとP2「徹底した保護強化の先にあるのは、「国際価格に比べて高い国産の食料だけをみんなが食べ続ける。」食料自給率に関してはP19「あまりに条件の違う国の数値を並べて、一面的に比べても意味はない。」
日本の農業の使い進むべき方向性を数値を使って科学的に検証している。
書かれている内容もほぼ全面的に賛成。
なにより、この本すごい面白い。
2011年8月26日に日本でレビュー済み
食糧自給率のからくりを知りたくて、この本と
日本は世界5位の農業大国 大嘘だらけの食料自給率 (講談社プラスアルファ新書)
とを読みました。後者の本は、「日本は世界第五位の農業大国である」という結論を導くために、日本の杜撰な農政のあり方を批判している点では、とてもいいと思いました。ただ、論旨が弱いように感じました。
一方この本は、穀物を生産するのに必要な土地の面積、他国との比較をする上で、さまざまなデータ、表、グラフを用いている点でわかりやすかったです。ただ、データは著者の論を固めるのに有効ですが、ほんとに正しいかどうかは、読者が批判的な視点でもって読み解く必要がありますが。
おもしろいことに、この本では、農産物の輸出額と輸入額の差でもって計算すると、「日本を世界第5位の農業大国と見ることが、間違い」であると指摘している点です。
この本はとにかく、日本の土地の実情、つまり農産物ができる土地の面積から、今後の日本の農業のあり方がどうするべきであるか論じているのが良かったです。
一方この本は、穀物を生産するのに必要な土地の面積、他国との比較をする上で、さまざまなデータ、表、グラフを用いている点でわかりやすかったです。ただ、データは著者の論を固めるのに有効ですが、ほんとに正しいかどうかは、読者が批判的な視点でもって読み解く必要がありますが。
おもしろいことに、この本では、農産物の輸出額と輸入額の差でもって計算すると、「日本を世界第5位の農業大国と見ることが、間違い」であると指摘している点です。
この本はとにかく、日本の土地の実情、つまり農産物ができる土地の面積から、今後の日本の農業のあり方がどうするべきであるか論じているのが良かったです。
2010年9月20日に日本でレビュー済み
日本のように農地が狭い国でいくら小麦を作ったところで国際的な競争力は無い(儲からない)ので、農地が広大で膨大に作っている米国から小麦を買えばいいといった筋の通った理論が良い。日本より国土も人口も少ないオランダをモデルとした儲かる農業品(畜産等)の輸出に活路を見いだし、自由競争で日本の未来を明るくするという意見には賛同。具体的な数字を示して、役所の仕事を無くさないためのカロリーベースの自給率の欺瞞さを暴くのは痛快。
2011年1月3日に日本でレビュー済み
本書の主な主張は、次の3点である。
第1に、川島氏は、カロリーベースの食料自給率が低いことを農政の観点から問題にすべきでないと主張する。カロリーベースで輸入量の多い食品である小麦、肉、食料油等は、基本的には、所得増ともに輸入が増えた財であり、これらの輸入が止まっても、大きな問題ではない。しかも、これらカロリーの高い食品に関する日本の輸入元は先進国であり、貿易遮断の危険性は極めて低い。
第2に、土地が狭くても十分な生産性を上げることができる野菜や畜産の生産性向上に政策的な資源を使うべきである。
第3に、穀物の生産性を上げるためには、土地の集約度を上げなければならないが、日本では土地集約に対する政治的な抵抗は極めて強い。したがって土地集約は、あきらめるべきだ。食糧自給率は大丈夫だけら、土地集約も必要ない。
第1点については、分かりやすい。そもそもオランダの穀物自給率は日本の半分だが、おそらくは同じ理由で、このことを問題にしていない。また自給率の計算方法についても類書に見られない詳しい説明があり、大変有益である。
第2点に関しては、現に日本で野菜の自給率が高く、畜産も成長している品目なので、著者の説は、もっともである。しかもオランダは、これら食品の大輸出国であるから、見習うべきモデルがある。ただし、これら品目で生産性を上げるには、最終消費者の需要を直接生産計画に反映しやすくするため、企業の参入を促すことが決定的に重要である。しかし本書はこのことには、触れていない。
第3点に関しては、兼業農家が片手間で米を作っていることが、日本の米作の低い生産性の原因であることを認めた上で、川島氏は、兼業農家の優遇策の存続−特に減反政策の続行−を主張している。次の引用が示す通りである。
「・・・決して恵まれた産業でない農業に携わっている多くの農民から、土地の売却益という密かな楽しみを奪い、農地を無理に集約する必要はない。・・・規模拡大や減反の廃止、また、土地を手放すことに反対する農協や兼業農家への批判は、まさに弱い者いじめになっている。」(P230)。
著者が減反廃止にコミットしない理由で唯一明示されているものは、政治的な非現実性である。しかし、米の減反廃止は、米の生産性を向上させるだけでなく、FTAの締結をも促進する。しかも、著者が重要と考えている野菜や畜産の生産性上昇の障害にはならない。「減反は政治的に不可能だ」と内心考えるのは勝手だが、著者がなぜこれほど強く減反廃止に反対し、兼業農家の存続を望むのかが何ら説明されていない。
第1に、川島氏は、カロリーベースの食料自給率が低いことを農政の観点から問題にすべきでないと主張する。カロリーベースで輸入量の多い食品である小麦、肉、食料油等は、基本的には、所得増ともに輸入が増えた財であり、これらの輸入が止まっても、大きな問題ではない。しかも、これらカロリーの高い食品に関する日本の輸入元は先進国であり、貿易遮断の危険性は極めて低い。
第2に、土地が狭くても十分な生産性を上げることができる野菜や畜産の生産性向上に政策的な資源を使うべきである。
第3に、穀物の生産性を上げるためには、土地の集約度を上げなければならないが、日本では土地集約に対する政治的な抵抗は極めて強い。したがって土地集約は、あきらめるべきだ。食糧自給率は大丈夫だけら、土地集約も必要ない。
第1点については、分かりやすい。そもそもオランダの穀物自給率は日本の半分だが、おそらくは同じ理由で、このことを問題にしていない。また自給率の計算方法についても類書に見られない詳しい説明があり、大変有益である。
第2点に関しては、現に日本で野菜の自給率が高く、畜産も成長している品目なので、著者の説は、もっともである。しかもオランダは、これら食品の大輸出国であるから、見習うべきモデルがある。ただし、これら品目で生産性を上げるには、最終消費者の需要を直接生産計画に反映しやすくするため、企業の参入を促すことが決定的に重要である。しかし本書はこのことには、触れていない。
第3点に関しては、兼業農家が片手間で米を作っていることが、日本の米作の低い生産性の原因であることを認めた上で、川島氏は、兼業農家の優遇策の存続−特に減反政策の続行−を主張している。次の引用が示す通りである。
「・・・決して恵まれた産業でない農業に携わっている多くの農民から、土地の売却益という密かな楽しみを奪い、農地を無理に集約する必要はない。・・・規模拡大や減反の廃止、また、土地を手放すことに反対する農協や兼業農家への批判は、まさに弱い者いじめになっている。」(P230)。
著者が減反廃止にコミットしない理由で唯一明示されているものは、政治的な非現実性である。しかし、米の減反廃止は、米の生産性を向上させるだけでなく、FTAの締結をも促進する。しかも、著者が重要と考えている野菜や畜産の生産性上昇の障害にはならない。「減反は政治的に不可能だ」と内心考えるのは勝手だが、著者がなぜこれほど強く減反廃止に反対し、兼業農家の存続を望むのかが何ら説明されていない。