相変わらず、鋭い分析と表現です。
「その通りだ」と思って、思わず笑ってしまいました。参りました。
内容は口語的で読みやすく、分かり易く常識的で今の世情をキッチリ指摘されています。
ただ、どのように理解するかは、詠み人が今の世情をどのように理解しているかによりますね。
仮に「何も思っていない」なら、この本は役に立たないでしょうから、
買わない方が良いし、知らなくても良い事です。
値段的に、橘さんが精力を注いだ、というわけでは無さそうで、今の世の動きについて感じた事(?)を表現された
のかもしれませんね。一気に書き上げた感じ。
でも、中身は客観的で鋭く間違いは見当たらず(私の理解では)、見事な本です。立派な本です。
この著者は本当にスゴイ人ですネ。
なお、タイトルは直接的には意識しない方が良いです。背景と考えた方が良い。
この本の内容は「一部の読む人」には不愉快感を与えるかもしれない。
そういう意味で、このタイトルを見て不愉快に思う人はこの本は買わないでしょうから、
なかなか意味深なタイトルです。
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朝日ぎらい よりよい世界のためのリベラル進化論 (朝日新書) 新書 – 2018/6/13
橘玲
(著)
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購入オプションとあわせ買い
「明日は今日よりずっとよくなる」。そういう希望がほんらいのリベラル。
私たちが、そう思えないのはなぜだろう。
朝日新聞に代表される戦後民主主義は、なぜ嫌われるのか。
今、日本の「リベラル」は世界基準のリベラリズムから脱落しつつある。
再び希望を取り戻すには、どうしたらいいのか?
若者が自民党を支持するワケからネトウヨの実態、リベラルの未来像まで、
世界の大潮流から読み解く、再生のための愛の劇薬処方箋!
目次
【PART1】 「リベラル」と「保守」が逆転する不思議の国
1 安倍政権はリベラル
若者の「右傾化」は教育が悪いのか
不思議の国のアリス
変わらなければ生き残れない
3人の「ポピュリスト」
右傾化する「リベラル」政党
安倍政権は旧民主党のコピー
「一億総活躍」以外にどうしようもない社会
「リベラル」の欺瞞
2 リベラル化する世界
三位一体の巨大な潮流
「右傾化」というバックラッシュ
アメリカでは「人種差別」は減っている
今の男性は1970年代の女性よりフェミニスト
リベラルは勝利したことで敗北する
日本でも「リベラル化」は進んでいる
【PART2】 アイデンティティという病
3 「ネトウヨ」とは誰のことか
非マイノリティポリティクス
「白人至上主義者」はネトウヨ
「人種差別」をしないレイシスト
「絶望死」する白人たち
日本人アイデンティティ主義
「在日認定」とはなにか
離島は「乗っ取れる」か
誇るものの価値
4 正義依存症と愛国原理主義
「俺たち」と「奴ら」
「正義依存症」のひとびと
「愛と絆」による差別
思想的リーダーの誕生
右派論壇のポストモダンとエンタメ化
右派論壇の「愛国原理主義」
愛国の哲学者
右翼と「愛国リベラル」
「加害」と「被害」の非対称性
“右傾化"の正体
【PART3】 リバタニアとドメスティックス
5 グローバルスタンダードの「リベラル」
「己の欲せざるところ、他に施すことなかれ」
ダブルスタンダードの罠
リベラルの「理想社会」
リベラルを懐疑する「保守」
無知のヴェールと「格差原理」
チンパンジーにも「正義」はある
4つの政治思想
サイバーリバタリアン
知性主義と反知性主義
6 「保守」はなぜ「リベラル」に勝つのか
チキンで性行為をすることは許されるか
6つの道徳基盤
「保守派部族」と「リベラル部族」
アイデンティティとしての政治
ビヨンセはなぜアメリカ国歌を歌ったのか
グローバル空間の「リベラル共和国」
「安倍一強」の秘密
【PART4】 「リベラル」と「保守」の進化論
7 きれいごとはなぜうさん臭いのか
ニューリッチはリベラルの牙城
道徳の貯金箱
「きれいごと」はなんにでも使える
潜在的な偏見を可視化する
8 リベラルはなぜ金持ちなのか
政治的態度の遺伝率
知能と政治的態度の相関
ネオフィリアとネオフォビア
雑食動物のジレンマ
3歳児の「リベラル」と「保守」
「リベラル」と「保守」の遺伝子を探す
イデオロギーは匂うか
「リベラル」が嫌われるほんとうの理由
エピローグ サイバー空間のイデオロギー戦争
私たちが、そう思えないのはなぜだろう。
朝日新聞に代表される戦後民主主義は、なぜ嫌われるのか。
今、日本の「リベラル」は世界基準のリベラリズムから脱落しつつある。
再び希望を取り戻すには、どうしたらいいのか?
若者が自民党を支持するワケからネトウヨの実態、リベラルの未来像まで、
世界の大潮流から読み解く、再生のための愛の劇薬処方箋!
目次
【PART1】 「リベラル」と「保守」が逆転する不思議の国
1 安倍政権はリベラル
若者の「右傾化」は教育が悪いのか
不思議の国のアリス
変わらなければ生き残れない
3人の「ポピュリスト」
右傾化する「リベラル」政党
安倍政権は旧民主党のコピー
「一億総活躍」以外にどうしようもない社会
「リベラル」の欺瞞
2 リベラル化する世界
三位一体の巨大な潮流
「右傾化」というバックラッシュ
アメリカでは「人種差別」は減っている
今の男性は1970年代の女性よりフェミニスト
リベラルは勝利したことで敗北する
日本でも「リベラル化」は進んでいる
【PART2】 アイデンティティという病
3 「ネトウヨ」とは誰のことか
非マイノリティポリティクス
「白人至上主義者」はネトウヨ
「人種差別」をしないレイシスト
「絶望死」する白人たち
日本人アイデンティティ主義
「在日認定」とはなにか
離島は「乗っ取れる」か
誇るものの価値
4 正義依存症と愛国原理主義
「俺たち」と「奴ら」
「正義依存症」のひとびと
「愛と絆」による差別
思想的リーダーの誕生
右派論壇のポストモダンとエンタメ化
右派論壇の「愛国原理主義」
愛国の哲学者
右翼と「愛国リベラル」
「加害」と「被害」の非対称性
“右傾化"の正体
【PART3】 リバタニアとドメスティックス
5 グローバルスタンダードの「リベラル」
「己の欲せざるところ、他に施すことなかれ」
ダブルスタンダードの罠
リベラルの「理想社会」
リベラルを懐疑する「保守」
無知のヴェールと「格差原理」
チンパンジーにも「正義」はある
4つの政治思想
サイバーリバタリアン
知性主義と反知性主義
6 「保守」はなぜ「リベラル」に勝つのか
チキンで性行為をすることは許されるか
6つの道徳基盤
「保守派部族」と「リベラル部族」
アイデンティティとしての政治
ビヨンセはなぜアメリカ国歌を歌ったのか
グローバル空間の「リベラル共和国」
「安倍一強」の秘密
【PART4】 「リベラル」と「保守」の進化論
7 きれいごとはなぜうさん臭いのか
ニューリッチはリベラルの牙城
道徳の貯金箱
「きれいごと」はなんにでも使える
潜在的な偏見を可視化する
8 リベラルはなぜ金持ちなのか
政治的態度の遺伝率
知能と政治的態度の相関
ネオフィリアとネオフォビア
雑食動物のジレンマ
3歳児の「リベラル」と「保守」
「リベラル」と「保守」の遺伝子を探す
イデオロギーは匂うか
「リベラル」が嫌われるほんとうの理由
エピローグ サイバー空間のイデオロギー戦争
- 本の長さ256ページ
- 言語日本語
- 出版社朝日新聞出版
- 発売日2018/6/13
- 寸法17.2 x 10.7 x 1.25 cm
- ISBN-104022730927
- ISBN-13978-4022730923
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登録情報
- 出版社 : 朝日新聞出版 (2018/6/13)
- 発売日 : 2018/6/13
- 言語 : 日本語
- 新書 : 256ページ
- ISBN-10 : 4022730927
- ISBN-13 : 978-4022730923
- 寸法 : 17.2 x 10.7 x 1.25 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 181,161位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 267位朝日新書
- - 402位マスメディア (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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2002年、国際金融小説『マネーロンダリング』でデビュー。同年、「新世紀の資本論」と評された『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』が30万部を超えるベストセラーに。06年『永遠の旅行者』が第19回山本周五郎賞候補。『言ってはいけない 残酷すぎる真実』で2017新書大賞受賞。橘玲公式サイト http://www.tachibana-akira.com/
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2019年5月1日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2018年7月8日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
本書は橘玲の初の朝日新聞社(朝日新聞出版)刊行の記念碑的作品である。
本書自体は自著『リベラルがうさんくさいのには理由がある』(集英社)の続編でもあるし、
出世作『言ってはいけない 残酷すぎる真実』(新潮新書)を十分に意識して万人受けを考慮して
書いている。
若者が自民党を支持する理由は既に『現代ニッポン論壇事情 社会批評の30年史』(北田暁大
栗原裕一郎 後藤和智 イースト新書)にも書かれているしはっきりいってそれほど斬新なことが
書かれているわけではない。企画の勝利だ。
そもそもこの企画はどちらが立てたのかといえばそれは当然朝日であるのは間違いない。
『朝日ぎらい』というタイトルを自分たちで出した企画(厳密に言えば井上章一著『京都ぎらい』
から借りた)に橘を据えた時点で、「我々が勝ったようなものだ」とでも思っているのだろう。
そうなるとどうしても朝日の過去の企画が走馬灯のように蘇ってくるのは仕方がない。
1992年に朝日新聞本紙そのものに掲載された、「VS.朝日」なる反論大歓迎企画、
2007年に週刊朝日に掲載された「週刊朝日の悪口買いて世界一周!」なるキャンペーンの
ことだが、前者は毎回多岐に渡る政財界・作家・評論家等(渡邉恒雄含)を登場させ、
「VS.朝日」な識者からの苦言・提言を一応積極的に受け入れようと(取り込もうと?)と
していたし、後者は週刊朝日本誌85周年記念企画で読者に4,000字の本誌の悪口を
書かせて最優秀賞者には文字通り世界一周というキャンペーンだった。
現在は新書や雑誌は朝日新聞社の子会社である朝日新聞出版で出版されているが
当時は週刊朝日も親会社で出版されていた。
橘がよくこの朝日の企画に乗ったものだと改めて思うが、やはり転んでもただでは起きない
のか、橘は以前にも朝日のダブルスタンダードについて自身の公式サイトでコメントしていた
ことがあったのだ。
2012年10月26日号に掲載された、ノンフィクション作家佐野眞一と週刊朝日取材班による
橋下徹特集記事問題―「ハシシタ・奴の本性」のことだ。
それは、『週刊朝日』が、当時大阪市長だった橋下の父の出自(大阪府八尾市被差別部落出身)
を掲載し、DNAや先祖を理由として人格を否定した記述を掲載したとされている問題である。
橋下は週刊朝日を批判し親会社である朝日新聞社に対応を求め結果的には週刊朝日の謝罪と
連載の中止で幕引きになったが、橘は佐野の「橋下批判」に同意はしないものの、週刊朝日から
の謝罪と連載の中止の理由の説明が一切ないこととそれにおける言論・出版・表現の自由が
脅かされていることに責任が問われていることも指摘していた。
朝日新聞社は同じことを繰り返すのだなとつくづく思う。
めぐりめぐって本書が生まれたことに何か因縁を感じる。
ただ『言ってはいけない~』ほどではないが本書でも橘の遺伝における見解については、
つきつめてしまうと、それはブーメランということにもなる。
橘の見解に賛同できる部分もある。
リベラル派は安倍批判をするために本来の正統派である保守と共闘することがかなりの危険な
道になることに気づいていない。その通り保守なのだが、古風なリベラルと古風な保守は、
反安倍という共通点だけで組んでいるが、保守がだましているわけではない。はっきりと
年功序列・終身雇用の日本的雇用を全面的に肯定し、労働力が増え、買い手市場になり、
労働者の価値が減る、つまり女性や外国人の労働力が減ることを望んでいる、高度経済成長期で
男女雇用均等法以前の状態を望み、同一労働同一賃金は新自由主義だという主張だ。
あえていえばお互い保護主義という共通点もある。
しかしそれがリベラルのやることなのだろうか?それは「もはや国境や国籍にこだわる時代は
過ぎ去りました」と安倍晋三がウォール街で発信(本音かどうか別にして)することに耳を
ふさいでしまう右派と同じに過ぎない。
筆者自身、高度経済成長は日本的雇用があってのことだったという一面は否定しないが、
それが身分制度というか、実は福祉だったということは賛同する。
またリベラルは全般的に帰属意識が低いので、加害者意識が高いのは実は無意識に他人事に
なっているという理由もあるだろう。むしろ右派の方が自分のこととしているので被害者意識が
高いのかもしれない。例えば、原爆投下を是とする右派米国人はそれを否定すると自己崩壊する
くらい罪の意識があるのだろう。
それを考えると橘が提示する「加害」と「被害」の非対称性には納得出来る。
橘はあくまで括弧付きでしかも「広義の」とことわりながらリベラルを自認するが、「日本的
リベラル」を反面教師として自分もうさんくさいと自覚しているといいながら、自分は国際標準
のリベラルだと自認してしまうのはどうか?そこを懐疑しないことに危険性を感じる。
もともと保守もリベラルも定義はあいまいな部分があり特にリベラルは抽象的すぎて「寛容」
というどう見ても肯定語が使用されているので誰が自認しても正直抵抗がある。
蔑称よりいい意味で他称した方がいいのではないか。
ややこしいのは、橘がリベラリストでもありリバタリアンでもあると自認してしまうことであり
筆者の読解力では、リバタリアンは経済的自由と社会的自由を共に尊重するということになって
いるし、リベラリストが後者を尊重していることになっているので、どちらも該当していると
言いたいのだろう。しかし橘は基本的に富の再配分、つまり福祉(公権力の介入)に反対して
いる節がある。確かにそれが移民排斥運動を拡大させるという言い分は分るが、そこで自認
するのは広義のウイングを広げすぎではないか?要は矛盾が発生すると本書の主旨(リベラル
進化論)とずれてしまうので、取りあえず自認しておこうといったところか?
橘がいうようにアメリカは進化論的な基礎がなく建前では封建制度の歴史がないので、資本主義
が保守なのは当たり前で、アメリカを基準にするとリバタリアニズムは保守思想ということに
なってしまいがちなのだが、国際基準では(広義でいえば)リバタリアンもリベラル、2つの
思想は「リベラルデモクラシー」から生まれた二卵性双生児(一卵性双生児ではないのがミソ)
だと言いたいのだろう。
悪く言うと詭弁にも説得力を持たせるような文章で、あまりにもおさまりが良すぎてもう少しで
そのまま信じきるところだった。
橘は反アファーマティブ・アクションのようだが、「潜在的な偏見」、「内なる差別意識」を認め
留意しながら保険抜きで法の下の平等だけで公正を保てると自信を持って言えるのだろうか?
『言ってはいけない~』 で一応は末尾で環境要素にも一理あることをフォローしているようだが
基本的には後天的要素は否定し、先天的要素は肯定している。人種や性別でのあくまで平均的な
データは正確なのかもしれないし、決して職業選択を阻む目的ではないと言いたいのは分るが、
結局はカテゴリーの枠にはめさせ先入観を後押ししステレオタイプ化を進めているのではないか?
まあ身分制度である日本的雇用を批判する部分はリベラルといってもいいのかもしれないが。
あとがきの最後の2行
「“日本的リベラル”を批判する本書が朝日新聞の勇気と良識を示したものと考えたい」
言わされているのか言ってやっているのか?
どれほど部数が上がっていても少なくとも、もし朝日が読者はこの2行しか読まなくてもいいと
思っているのであれば、本書の意味は無になってしまうだろう。
本書自体は自著『リベラルがうさんくさいのには理由がある』(集英社)の続編でもあるし、
出世作『言ってはいけない 残酷すぎる真実』(新潮新書)を十分に意識して万人受けを考慮して
書いている。
若者が自民党を支持する理由は既に『現代ニッポン論壇事情 社会批評の30年史』(北田暁大
栗原裕一郎 後藤和智 イースト新書)にも書かれているしはっきりいってそれほど斬新なことが
書かれているわけではない。企画の勝利だ。
そもそもこの企画はどちらが立てたのかといえばそれは当然朝日であるのは間違いない。
『朝日ぎらい』というタイトルを自分たちで出した企画(厳密に言えば井上章一著『京都ぎらい』
から借りた)に橘を据えた時点で、「我々が勝ったようなものだ」とでも思っているのだろう。
そうなるとどうしても朝日の過去の企画が走馬灯のように蘇ってくるのは仕方がない。
1992年に朝日新聞本紙そのものに掲載された、「VS.朝日」なる反論大歓迎企画、
2007年に週刊朝日に掲載された「週刊朝日の悪口買いて世界一周!」なるキャンペーンの
ことだが、前者は毎回多岐に渡る政財界・作家・評論家等(渡邉恒雄含)を登場させ、
「VS.朝日」な識者からの苦言・提言を一応積極的に受け入れようと(取り込もうと?)と
していたし、後者は週刊朝日本誌85周年記念企画で読者に4,000字の本誌の悪口を
書かせて最優秀賞者には文字通り世界一周というキャンペーンだった。
現在は新書や雑誌は朝日新聞社の子会社である朝日新聞出版で出版されているが
当時は週刊朝日も親会社で出版されていた。
橘がよくこの朝日の企画に乗ったものだと改めて思うが、やはり転んでもただでは起きない
のか、橘は以前にも朝日のダブルスタンダードについて自身の公式サイトでコメントしていた
ことがあったのだ。
2012年10月26日号に掲載された、ノンフィクション作家佐野眞一と週刊朝日取材班による
橋下徹特集記事問題―「ハシシタ・奴の本性」のことだ。
それは、『週刊朝日』が、当時大阪市長だった橋下の父の出自(大阪府八尾市被差別部落出身)
を掲載し、DNAや先祖を理由として人格を否定した記述を掲載したとされている問題である。
橋下は週刊朝日を批判し親会社である朝日新聞社に対応を求め結果的には週刊朝日の謝罪と
連載の中止で幕引きになったが、橘は佐野の「橋下批判」に同意はしないものの、週刊朝日から
の謝罪と連載の中止の理由の説明が一切ないこととそれにおける言論・出版・表現の自由が
脅かされていることに責任が問われていることも指摘していた。
朝日新聞社は同じことを繰り返すのだなとつくづく思う。
めぐりめぐって本書が生まれたことに何か因縁を感じる。
ただ『言ってはいけない~』ほどではないが本書でも橘の遺伝における見解については、
つきつめてしまうと、それはブーメランということにもなる。
橘の見解に賛同できる部分もある。
リベラル派は安倍批判をするために本来の正統派である保守と共闘することがかなりの危険な
道になることに気づいていない。その通り保守なのだが、古風なリベラルと古風な保守は、
反安倍という共通点だけで組んでいるが、保守がだましているわけではない。はっきりと
年功序列・終身雇用の日本的雇用を全面的に肯定し、労働力が増え、買い手市場になり、
労働者の価値が減る、つまり女性や外国人の労働力が減ることを望んでいる、高度経済成長期で
男女雇用均等法以前の状態を望み、同一労働同一賃金は新自由主義だという主張だ。
あえていえばお互い保護主義という共通点もある。
しかしそれがリベラルのやることなのだろうか?それは「もはや国境や国籍にこだわる時代は
過ぎ去りました」と安倍晋三がウォール街で発信(本音かどうか別にして)することに耳を
ふさいでしまう右派と同じに過ぎない。
筆者自身、高度経済成長は日本的雇用があってのことだったという一面は否定しないが、
それが身分制度というか、実は福祉だったということは賛同する。
またリベラルは全般的に帰属意識が低いので、加害者意識が高いのは実は無意識に他人事に
なっているという理由もあるだろう。むしろ右派の方が自分のこととしているので被害者意識が
高いのかもしれない。例えば、原爆投下を是とする右派米国人はそれを否定すると自己崩壊する
くらい罪の意識があるのだろう。
それを考えると橘が提示する「加害」と「被害」の非対称性には納得出来る。
橘はあくまで括弧付きでしかも「広義の」とことわりながらリベラルを自認するが、「日本的
リベラル」を反面教師として自分もうさんくさいと自覚しているといいながら、自分は国際標準
のリベラルだと自認してしまうのはどうか?そこを懐疑しないことに危険性を感じる。
もともと保守もリベラルも定義はあいまいな部分があり特にリベラルは抽象的すぎて「寛容」
というどう見ても肯定語が使用されているので誰が自認しても正直抵抗がある。
蔑称よりいい意味で他称した方がいいのではないか。
ややこしいのは、橘がリベラリストでもありリバタリアンでもあると自認してしまうことであり
筆者の読解力では、リバタリアンは経済的自由と社会的自由を共に尊重するということになって
いるし、リベラリストが後者を尊重していることになっているので、どちらも該当していると
言いたいのだろう。しかし橘は基本的に富の再配分、つまり福祉(公権力の介入)に反対して
いる節がある。確かにそれが移民排斥運動を拡大させるという言い分は分るが、そこで自認
するのは広義のウイングを広げすぎではないか?要は矛盾が発生すると本書の主旨(リベラル
進化論)とずれてしまうので、取りあえず自認しておこうといったところか?
橘がいうようにアメリカは進化論的な基礎がなく建前では封建制度の歴史がないので、資本主義
が保守なのは当たり前で、アメリカを基準にするとリバタリアニズムは保守思想ということに
なってしまいがちなのだが、国際基準では(広義でいえば)リバタリアンもリベラル、2つの
思想は「リベラルデモクラシー」から生まれた二卵性双生児(一卵性双生児ではないのがミソ)
だと言いたいのだろう。
悪く言うと詭弁にも説得力を持たせるような文章で、あまりにもおさまりが良すぎてもう少しで
そのまま信じきるところだった。
橘は反アファーマティブ・アクションのようだが、「潜在的な偏見」、「内なる差別意識」を認め
留意しながら保険抜きで法の下の平等だけで公正を保てると自信を持って言えるのだろうか?
『言ってはいけない~』 で一応は末尾で環境要素にも一理あることをフォローしているようだが
基本的には後天的要素は否定し、先天的要素は肯定している。人種や性別でのあくまで平均的な
データは正確なのかもしれないし、決して職業選択を阻む目的ではないと言いたいのは分るが、
結局はカテゴリーの枠にはめさせ先入観を後押ししステレオタイプ化を進めているのではないか?
まあ身分制度である日本的雇用を批判する部分はリベラルといってもいいのかもしれないが。
あとがきの最後の2行
「“日本的リベラル”を批判する本書が朝日新聞の勇気と良識を示したものと考えたい」
言わされているのか言ってやっているのか?
どれほど部数が上がっていても少なくとも、もし朝日が読者はこの2行しか読まなくてもいいと
思っているのであれば、本書の意味は無になってしまうだろう。
2018年10月15日に日本でレビュー済み
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私たちを取り巻く現代社会が、AI(人工知能)やICT(情報通信技術)などテクノロジーの急速な進歩を背景に、①知識社会化、②グローバル化、③リベラル化が相互に関連しあって大きく変容している。
「知識社会化=グローバル化=リベラル化」が三位一体で進むにつれてそこから脱落するひとが増えるのは避けられない。これが「中流の崩壊」と呼ばれる現象で、欧米では彼らの怒りが社会の保守化=右傾化を招いている。
現代社会が抱える問題とは、先進国でも新興国でも、知識社会から脱落し、仕事や恋愛での自己実現に失敗し、「たったひとつのアイデンティティしかもてなくなったひと」がますます増えていることだ。彼らのアイデンティティはきわめて脆弱なので、それを侵す(と感じられる)他者に激烈な反応を示す。
「反知性主義・グローバリズム批判・保守化」というのは、愛煙家による「嫌煙ファシズム」批判と同じで、行き過ぎた「知識社会化・グローバル化・リベラル化」に対するバックラッシュ(反動)なのだ。
保守派の政治的主張は、「安全(ケア)」「公正」「自由」「共同体」「権威」「宗教」という6つの「道徳の味覚」をもっている。それに対してリベラルは、「共同体」「権威」「宗教」の3つの価値を軽視するため、「安全(ケア)」「公正」「自由」の3つしか「道徳の味覚」をもっていない。この両者が争えば、どちらのつくった料理に大衆(有権者)が魅力を感じるかは明らかだというのだ。
自由主義者(リバタリアン)は、「自由」の価値を最大化する。彼らにとっては圧政や独裁からの自由と同じく「大衆の抑圧」からの自由も重要だ。リバタリアンは国境を越えた移動の自由を支持するから移民には寛容だろうが、「結果平等」などというものはぜったいに認められない・・(省)
現代の世界は、(ほぼ)同じ価値観を共有する巨大な「リバタニア(リベラル共和国)」と、別々の価値観で分断された多数の「ドメスティックス」で構成されている。だからこそ、世界じゅうで「右傾化」が進みながらも、ひとびとの価値観はますますリベラルになっていくのだ。
資本主義というのは〈経験に対して開かれている〉ネオフィリア〈新奇好み〉に有利なシステムなのだ。 さらに資本主義がグローバル化し、テクノロジーの進歩によって知識社会化が進むと、世界中から人材を集め、国境を越えてビジネスを行なうネオフィリアの優位性はさらに高まった。その一方で、これまでの常識にとらわれ、旧態依然とした生き方を変えられないネオフォビア(新奇嫌い)はゆたかさから脱落していく。
日本では安倍一強の状況がつづくなか、政権批判の論理はおうおうにして「国民(有権者)はだまされている」というものになる。だまされるのはバカだからで、そのことを指摘するのは自分たちエリートの責務だ──。いうまでもなくこの度し難い傲慢さが、リベラルが嫌われる(正当な)理由になっている。
ーあとがきで著者は述べます。
日本のリベラルにいま必要なのは、保守化した「リベラル高齢者」の既得権を破壊する勇気だ。年金も健康保険も終身雇用も年功序列もなにひとつ変えないまま、若者に夢を与える未来を描くことなどできるはずはない。
ー年金も健康保険も終身雇用も年功序列も徐々に変わってきてますよ。
ーグローバリゼーションによる先進国のミドルクラスの崩壊という現象は、南の新興国から見ればミドルクラスの増加というトレードオフの関係です。
ー日本国内で悲観している場合ではないと思います。
「知識社会化=グローバル化=リベラル化」が三位一体で進むにつれてそこから脱落するひとが増えるのは避けられない。これが「中流の崩壊」と呼ばれる現象で、欧米では彼らの怒りが社会の保守化=右傾化を招いている。
現代社会が抱える問題とは、先進国でも新興国でも、知識社会から脱落し、仕事や恋愛での自己実現に失敗し、「たったひとつのアイデンティティしかもてなくなったひと」がますます増えていることだ。彼らのアイデンティティはきわめて脆弱なので、それを侵す(と感じられる)他者に激烈な反応を示す。
「反知性主義・グローバリズム批判・保守化」というのは、愛煙家による「嫌煙ファシズム」批判と同じで、行き過ぎた「知識社会化・グローバル化・リベラル化」に対するバックラッシュ(反動)なのだ。
保守派の政治的主張は、「安全(ケア)」「公正」「自由」「共同体」「権威」「宗教」という6つの「道徳の味覚」をもっている。それに対してリベラルは、「共同体」「権威」「宗教」の3つの価値を軽視するため、「安全(ケア)」「公正」「自由」の3つしか「道徳の味覚」をもっていない。この両者が争えば、どちらのつくった料理に大衆(有権者)が魅力を感じるかは明らかだというのだ。
自由主義者(リバタリアン)は、「自由」の価値を最大化する。彼らにとっては圧政や独裁からの自由と同じく「大衆の抑圧」からの自由も重要だ。リバタリアンは国境を越えた移動の自由を支持するから移民には寛容だろうが、「結果平等」などというものはぜったいに認められない・・(省)
現代の世界は、(ほぼ)同じ価値観を共有する巨大な「リバタニア(リベラル共和国)」と、別々の価値観で分断された多数の「ドメスティックス」で構成されている。だからこそ、世界じゅうで「右傾化」が進みながらも、ひとびとの価値観はますますリベラルになっていくのだ。
資本主義というのは〈経験に対して開かれている〉ネオフィリア〈新奇好み〉に有利なシステムなのだ。 さらに資本主義がグローバル化し、テクノロジーの進歩によって知識社会化が進むと、世界中から人材を集め、国境を越えてビジネスを行なうネオフィリアの優位性はさらに高まった。その一方で、これまでの常識にとらわれ、旧態依然とした生き方を変えられないネオフォビア(新奇嫌い)はゆたかさから脱落していく。
日本では安倍一強の状況がつづくなか、政権批判の論理はおうおうにして「国民(有権者)はだまされている」というものになる。だまされるのはバカだからで、そのことを指摘するのは自分たちエリートの責務だ──。いうまでもなくこの度し難い傲慢さが、リベラルが嫌われる(正当な)理由になっている。
ーあとがきで著者は述べます。
日本のリベラルにいま必要なのは、保守化した「リベラル高齢者」の既得権を破壊する勇気だ。年金も健康保険も終身雇用も年功序列もなにひとつ変えないまま、若者に夢を与える未来を描くことなどできるはずはない。
ー年金も健康保険も終身雇用も年功序列も徐々に変わってきてますよ。
ーグローバリゼーションによる先進国のミドルクラスの崩壊という現象は、南の新興国から見ればミドルクラスの増加というトレードオフの関係です。
ー日本国内で悲観している場合ではないと思います。
2018年10月1日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
個人的には著者、橘玲氏の著作物は常に視点が面白く、自分が常識だと考えている物事に思考が囚われていることを気付かせてくれるので新作が出ると、ほぼ読ませて頂いているくらいのファンとしての感想です。
本作についての感想としては「朝日ぎらい」という題名から連想される「なぜ朝日新聞は嫌われるのか?」という内容が主題ではありませんので、その点を期待して読み始めると肩透かしに合うと思います。また橘玲氏の特徴として、しっかりとした証拠や最新知見を積み重ねていくスタイルが、本書については若干偏りがあると感じられたので、なるほど、と膝を打つ部分も多かったのですが、全体的に見ると納得できなかった点も多く感じました。
穿った見方をすると「朝日ぎらい」という題名の書籍が朝日出版から出る時点で、朝日新聞が嫌われているのではなく世の中のリベラルの在り方が変わってしまっていることで、やむを得ず朝日新聞は嫌われてしまうという陰謀論みたいな考え方まで浮かんできてしまいました。出版不況でより先鋭的な題名を付けざるを得ないのかもしれませんが、本書については、やはり看板に偽りありと言わざるを得ない気持ちです。正直…少し残念。
本作についての感想としては「朝日ぎらい」という題名から連想される「なぜ朝日新聞は嫌われるのか?」という内容が主題ではありませんので、その点を期待して読み始めると肩透かしに合うと思います。また橘玲氏の特徴として、しっかりとした証拠や最新知見を積み重ねていくスタイルが、本書については若干偏りがあると感じられたので、なるほど、と膝を打つ部分も多かったのですが、全体的に見ると納得できなかった点も多く感じました。
穿った見方をすると「朝日ぎらい」という題名の書籍が朝日出版から出る時点で、朝日新聞が嫌われているのではなく世の中のリベラルの在り方が変わってしまっていることで、やむを得ず朝日新聞は嫌われてしまうという陰謀論みたいな考え方まで浮かんできてしまいました。出版不況でより先鋭的な題名を付けざるを得ないのかもしれませんが、本書については、やはり看板に偽りありと言わざるを得ない気持ちです。正直…少し残念。