1988ー89年に出た単行本の文庫化。「建築探偵」シリーズの第2作。
『雨天決行』で取り上げられているのは、中村遊郭、豊橋と函館のハリストス教会、東京駅など。そのほか、幼稚園や刑務所もいくつか取材されている。
面白かったのは那須の別荘群。那須はいまも御用邸があるところ。軽井沢よりも早く避暑地として開発された場所で、山県有朋、大岩巌、乃木希典などそうそうたるメンバーが別荘を構えた。この別荘地の特徴はイギリスのカントリーハウスを真似たことにある。 イギリスの貴族・上流階級は田舎に屋敷と土地を持ち、春〜秋にかけてはカントリーハウスを舞台に華やかな社交を繰り広げたことで知られる。山県らも、まさにそれを再現しようとしたのだ。エステートを経営し、パーティを開き、狩猟に興じる。たとえば青木子爵邸の廊下には鹿の角がずらりと並んでいる。彼らは鹿狩りを行っていたのである。明治20〜30年代のことという。 明治維新とともに洋風の狩猟が日本に持ち込まれる。猟銃と猟犬を用い、娯楽として行われるタイプのものだ。 はじめは横浜や神戸の居留地のイギリス人が行っていたものが、次第に日本人にも広がっていく。
そのあたりの、異文化の摂取について知ることが出来た。
美しいし、面白い本。おすすめ。

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建築探偵雨天決行 (朝日文庫 ふ 15-2) 文庫 – 1997/2/1
- 本の長さ191ページ
- 言語日本語
- 出版社朝日新聞出版
- 発売日1997/2/1
- ISBN-104022611790
- ISBN-13978-4022611796
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登録情報
- 出版社 : 朝日新聞出版 (1997/2/1)
- 発売日 : 1997/2/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 191ページ
- ISBN-10 : 4022611790
- ISBN-13 : 978-4022611796
- Amazon 売れ筋ランキング: - 129,013位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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- - 291位建築・土木工学
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2014年9月4日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
早々に届き有難うございました。出来れば、送料は一括しておくてくださったのですから、1冊分にしていただければもっとよかったです。
2014年1月12日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ちょっととぼけた感じですが、ツボを押さえた評論と大きめの美しい写真でどんどん読み進めます。
2019年5月12日に日本でレビュー済み
さて、今や、日本を代表する建築史家となられ、自ら、建築もされる藤森照信さんが、名コンビのカメラマン、増田彰久さんと組んで、日本、ひいては、世界の西洋館を、建築探偵として訪問されていた時の顛末を描いたシリーズの第2巻です
さて、本シリーズ、シリーズごとにハイライトというべき作品があるのですが、本書では、やはり、東京駅でしょうか
何せ、執筆中に、中曽根政権が、超高層ビルに建て替えるという計画を立てていながら、執筆の最後になって、竹下政権が、東京大空襲で2階になった塔を3階に戻す等、当初の建築に戻すことを決めるという事件もありましたから
そういう事情もあるせいか、東京駅には、本シリーズを通じ、最長となる32ページもの分量が当てられています
内容の方は、増田カメラマンのベストアングルといってよい写真に、藤森探偵の簡潔な説明がつきます
今となっては、探偵に、「もう少し、説明してよ」という部分があるのも確かなのですが、容量を考えたら仕方がないのでしょうね
逆に、藤森探偵が建築探偵をされていたおかげで、その「在りし日の姿」をとどめている物件がいくつもあります
読みながら、「日本って、本当に、ヨーロッパのようにリノベーションではなく、再開発をするのが好きな国なんだなあ」と残念に思ってしまいます
皆さんも、藤森探偵と共に、名建築の「在りし日の姿」を訪ねてみませんか
藤森ファン、西洋館ファンにお奨めの1冊です
さて、本シリーズ、シリーズごとにハイライトというべき作品があるのですが、本書では、やはり、東京駅でしょうか
何せ、執筆中に、中曽根政権が、超高層ビルに建て替えるという計画を立てていながら、執筆の最後になって、竹下政権が、東京大空襲で2階になった塔を3階に戻す等、当初の建築に戻すことを決めるという事件もありましたから
そういう事情もあるせいか、東京駅には、本シリーズを通じ、最長となる32ページもの分量が当てられています
内容の方は、増田カメラマンのベストアングルといってよい写真に、藤森探偵の簡潔な説明がつきます
今となっては、探偵に、「もう少し、説明してよ」という部分があるのも確かなのですが、容量を考えたら仕方がないのでしょうね
逆に、藤森探偵が建築探偵をされていたおかげで、その「在りし日の姿」をとどめている物件がいくつもあります
読みながら、「日本って、本当に、ヨーロッパのようにリノベーションではなく、再開発をするのが好きな国なんだなあ」と残念に思ってしまいます
皆さんも、藤森探偵と共に、名建築の「在りし日の姿」を訪ねてみませんか
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