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ショック・ドクトリン──惨事便乗型資本主義の正体を暴く(上) (岩波現代文庫 社会344) 文庫 – 2024/3/19

4.3 5つ星のうち4.3 113個の評価

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戦争、自然災害、政変などの惨事につけこみ、人々が茫然自失している間に過激な経済改革を断行するショック・ドクトリン。独裁政権下のチリ、ソ連崩壊後のロシア、天安門事件後の中国など、世界中を席捲した改革は何をもたらしたのか。綿密かつ豊富な取材に基づき、舌鋒鋭い筆致でその正体を暴き出す。(解説=中山智香子)
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著者について

ナオミ・クライン(Naomi Klein)
1970年カナダ生まれのジャーナリスト,作家,活動家.『ブランドなんか,いらない』『これがすべてを変える』『NOでは足りない』『地球が燃えている』など著書多数.
(公式ホームページ) https://naomiklein.org

幾島幸子(Sachiko Ikushima)
翻訳家.訳書に『終盤戦 79歳の日記』(M.サートン),『フェミニズムズ』(L.デラップ)ほか多数.

村上由見子(Yumiko Murakami)
著述家.著書に『ハリウッド100年のアラブ』,訳書に『マンハッタン,9月11日』(D.E.マーフィー)など.

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 岩波書店 (2024/3/19)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2024/3/19
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 文庫 ‏ : ‎ 480ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4006033443
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4006033446
  • 寸法 ‏ : ‎ 1.98 x 10.5 x 14.8 cm
  • カスタマーレビュー:
    4.3 5つ星のうち4.3 113個の評価

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ナオミ・クライン
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上位レビュー、対象国: 日本

2023年9月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
期待通り、とても面白い内容でした。
2人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2021年12月5日に日本でレビュー済み
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世界にはさまざまな出来レースがあると思い知らされる。知らない方がハッピーかも
9人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2011年9月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
さて「ショックドクトリン」の邦訳は何故長く出版されなかったのだろうか。妨害でもあったのだろうか。
この本で、その外国では、市場原理主義の政権が凋落したとも言われている。日本でも起きてほしい。グローバルな災害資本主義の手先や陰謀の手口が明らかになる。

歴史や公共性を崩壊させる新自由主義
--------------------------------------------------------------------------------

 日本の国力は急激に低下しつつある。わが国経済が全体的に収縮し、国民一人一人への配分自体が減少し、未曾有の格差社会を増殖させている。
 世界情勢においては偶然は存在しない。とくに経済政策は一見、経済理論と現実には隔たりが見えるようでありながらも必ず因果関係がある。たしかに自然災害など偶然が経済に干渉することはある。だが、強力な経済理論はそうした偶然さえ必然として絡めとってしまう。
 私がここで念頭に置いているのは、いま世界を席巻している新自由主義あるいは市場原理主義という経済理論だ。新自由主義の三本柱は「規制緩和」「民営化」「公共予算の削減」である。新自由主義はこの三本柱によって国家の市場への介入を最小化し、市場に任せておけば経済はうまく回るという「レッセ・フェール」(市場放任)の立場をとっている。
 しかし、それが現実政治に適用されるとき、アダム・スミス流のレッセ・フェールとは似ても似つかぬ新自由主義のカルト性が姿を現すのだ。
 ここに1冊の本がある。カナダのジャーナリストであるナオミ・クライン女史が書いた『The shock Doctrine』である。同書はニユーヨーク・タイムズのベストセラー欄の上位を長らく独占していた。日本ではまだ翻訳は出ていないが、アメリカ本国でこの衝撃的な「新自由主義の本質」に鋭く迫った本が出版され、しかもベストセラーになっているというのは、一つの時代の転機といえるだろう。
 彼女によれば、新自由主義とは結局、破壊と衝撃を与えることによって歴史性や公共性を崩壊させ、強引に更地(さらち)にしてすべてを私物化していく手法だ。

 ◆フリードマンという教祖 
 この新自由主義の教祖はミルトン・フリードマンである。彼が教鞭を執ったシカゴ大学経済学部の入り口には、「経済とは測定だ」と銅版に記してある。ここからも、このシカゴ学派が工学的発想にもとづいた人為によって社会を構築できるという思想を蔵していることがわかるだろう。
 フリードマンは、1912年生まれのハンガリー系ユダヤ人移民の子である。彼は、新自由主義こそが完璧なシステムであり、市場を政府の介入から救い汚染されていない資本主義へ回帰することによってユートピアを実現できると考えた。
 彼の提唱した新自由主義とは、政府のあらゆる規制を撤廃し、政府財産をすべて売却し、社会政策の予算を大幅に削減し、税率も最小限かつ貧富の格差に関係なく一律とすることである。ここにおいては、すべての価格は賃金も含めて市場が決めるのであり、医療保険、郵便局、教育、年金といった公共の福祉に関するものもすべて民営化すべきだと説いた。
 フリードマンによると、政府がもつのは警察と軍隊で十分ということになるのだ。
 では、この理論は現実にどのように適用されたのだろうか。
 一番よい例が、2005年にルイジアナ州を直撃したハリケーン「カトリーナ」の災害復興だ。当時93歳のフリードマンは、いわば人生最後の政策提言として『ウォールストリート・ジャーナル』に寄稿している。
 それによると、ニュー・オーリンズの学校が破壊されたことは悲劇ではあるが、これは教育制度をラディカルに改革する機会である。公共の学校を復興するのでなく、この災害を奇禍として、バウチャー(引換券)を各家庭に配布し、私立の教育機関(チャータースクール)を設立し、このバウチャーを活用することによって教育の民営化を促すべきだとした。
 このフリードマンの提言を受けて、ブッシュ政権は学校を民営化するための資金を数千万ドルにわたって投入した。ところが、現在、アメリカにおいてはチャータースクールによって教育が二極分化しており、教育の低下が社会階層の固定化に結びつき、かつて公民権運動で勝ち取られた成果が無に帰しつつある。ニュー・オーリンズではカトリーナ前に123校あった公立学校はわずが4つになり、7つしかながった私立学校が31にまで増えた。こうしてニュー・オーリンズは私立教育機関設置の実験場とされた。「公共」の制度を潰して「私」の制度に置き替えていったのだ。
 これは日本にとって対岸の火事ではない。
 途中で潰えたものの、昨年の安倍政権がやはり教育バウチャー制度を導入しようとしたことを思い出すべきだ。起訴休職中の外務事務官・佐藤優氏は、保守主義と新自由主義の間で股裂きになったのが安倍政権の自壊という現象だと指摘したが、まさに現下の日本の格差社会・貧困社会化には新自由主義の影響がある。こうした事態に対して無自覚であることは政治家にとっては許されない怠慢である。
 ここで、急激な民営化に「カトリーナ」という災害が巧妙に利用されたことに注目して、クライン女史はこれを“Disaster Capitalism”、すなわち「災害資本主義」と名づけている。

 ◆新自由主義は共同体を根こそぎ壊滅させる危険思想
 フリードマンは「危機のみが真の変化をもたらす。危機が起きれば、現在ある政策の肩代わりを提案して、政治的に不可能であったことを、政治的に不可避なことにしてしまう」と述べている。いわば、災害に備えて缶詰や水を備蓄しておくのと同様に、災害に備えて新自由主義政策を一気に進めるべく政策を準備しておくというのだ。
 このような発案のもとには、フリードマン自身の経験が影響していると見られる。
 70年代の半ば、彼はチリの独裁者ピノチェト政権の顧問をしていた。ピノチェト政権にはシカゴ大学経済学部の出身者が大量に登用されており、「シカゴ学派の革命」とも呼ばれた。事実、ピノチェト政権においては減税、自由貿易、民営化、社会政策予算の削減、規制緩和が急激に行われたのである。これらはスピードが大事であるとして、1度にすべてを変えてしまうという方法が採用された。 ここから“ショック療法”という概念が新自由主義に滑り込んできたのである。独裁政権下においては、それは、経済的ショックと同時に拷問という肉体的ショックとも併用されて新自由主義改革が進められた。「敵の意思、考え方あるいは理解力を制御して、敵を文字どおりに行動あるいは対応する能力を失わせる」という“ショック・ドクトリン”が生まれたのである。
 クライン女史は、実証的に新自由主義がこの“ショック・ドクトリン”によって推進されてきたことを明らかにしている。たとえば、スリランカにおけるスマトラ沖地震による津波被害の復興である。そこでは被災者をパニック状態に落とし込む一方で、海岸線をリゾート化する計画が進められていた。ニュー・オーリンズでもやはり住民の土地・家屋を修復することもなく、ただ更地にすることだけが進められたのである。
 新自由主義にとって邪魔なのは市場原理主義に反するような非資本主義的行動や集団である。そうした非資本主義的集団として、地域共同体や歴史や伝統に根ざした「共同体」が存在するが、新自由主義はこうした集団を徹底的に除去する。災害復興の名目で公共性、共同体を奪い、被災者が自らを組織して主張を始める前に一気に私有化を進めるのである。
 これは、日本で行われた新自由主義改革とも一致している。
 郵政民営化は、公共財産である郵政事業を民営化するという典型的な新自由主義政策であった。民営化後、郵便局にはテレビカメラが取りつけられ、『郵政百年史』といったような郵政の歴史と文化を記した本も撤去されている。
 ショージ・オーウェルが『1984年』で書いたような、きわめて不自然で歴史性を欠いた組織に一気に改変されている。オーウェルは「われわれはあなたを完全に空っぽにし、その体にわれわれを注入する」と不気味な予言をしている。

 ◆“ショック・ドクトリン”から見えてくる世界
 衝撃を与え、一気に新自由主義改革を進めるという“ショック・ドクトリン”から世界を見ると、世界は今までとは異なる姿で立ち現れてくる。「改革」のために平然と人権侵害が行われてきたことに気づくのだ。
 アルゼンチンでは3万人を抹殺して、シカゴ学派の提唱する政策を実現した。1993年にはエリツィン政権下のロシアで国会放火事件が起き、その後、国有資産は投げ売りされ、「オリガルヒア」という新興の超資本家が生まれた。1982年のフォークランド紛争も、炭鉱労働者のストライキを敗北して西洋で最初の民営化を強行する結果になった。1999年のNATOによるベオグラード空爆も、結局、旧ユーゴでの民営化に結びついたのである。
 アジアでは1998年にアジア通貨危機が仕掛けられたが、これによってIMFが介入し、民営化するかさもなくは国家破綻かが迫られた。
 その結果、国民の意思ではなく、日本の経済財政諮問会議のような一部の「経済専門家」と称する新自由主義者によって国の政策が支配されることになったのである。
 また、天安門事件の大虐殺も“ショック・ドクトリン”の一環と見ることもできる。事件の前年の9月、フリードマンが北京と上海を訪問している。中国が中国流の“ショック・ドクトリン”を利用して開放路線を発動したと考えられるのだ。今年の四川大地震では、現地は復興特需に経済が活発化しているという話も聞こえてくるのだが、中国版災害資本主義が発動されている可能性は高い。 かつて、アイゼンハワー時代にはアメリカ国内ではこの“ショック・ドクトリン”は適用されていなかった。おそらく軍産複合体の行き過ぎを懸念したのである。しかし、レーガノミックスを経た95年ごろから、ネオコンが中心になってショック療法型の経済政策が本格化する。
 そして、「9・11」のとき、大統領府はフリードマンの弟子たちで埋め尽くされる。ラムズフェルド国防長官(当時)はフリードマンの親友である。「テロとの戦い」が叫ばれ、恐怖が煽られた。そして何が変わったか。軍隊の民営化、戦争の私有化である。戦地を含む治安維持関連の民間外注が2003年には3512件、2006年には11万5000件にまで増えた。
 現代の新自由主義下においては、戦争の経済的役割がまったく違ったものになった。かつては戦争によって門戸を関放し、その後の平和な時代に経済的に干渉するという手法であったが、いまや戦争自体が民営化され、市場化されているのである。だから、確実に儲かる。
 クライン女史によると、現にイラクではPMC(プライベート・ミリタリー・カンパニー)が米正規軍13万人に対して40万人を派遣しており、ハリバートン社は2007年には200億ドルの売り上げをあげ、アメリカ資本のみならずイギリスやカナダ資本も戦争ビジネスで潤っているという。カナダのある会社はプレハブを戦場に売ることで儲け、危険な戦場で働く人のために保険会社が莫大な売り上げをあげているとのことである。
 このように見てきたとおり、新自由主義はその「リベラル」で柔らかいイメージとは裏腹に政治的自由とは一切関係なく、それどころか、災害がないならば災害を起こせばよい、ショックを与えて一気に改革を進め、共同体も歴史性も破壊し、市場原理主義というのっぺりとした原則だけで動く世界を構築しようという危険な思想である。
 新自由主義者にとっては、そのような共同体も歴史も存在せず、無機質で根無し草的なただ市場原理だけで説明ができる世界というのは、ユートピアに見えているのかもしれない。だが、人間はそのように合理性だけで生きている存在ではない。非合理的感情や共同体意識、歴史性があってこそ人間であり、そうした矛盾も非合理も抱え込んだ人間存在の幸福をはかるのが「政道」である。 

 ◆新自由主義という名のカルト的危険思想
 新自由主義が達成する世界観は、脳に電気刺激を与える人体実験の思想に酷似している。1950年代にCIAがカナダのモントリオールの精神科医とともに人体実験を行ったことが情報開示によって明らかになった。人間の心を人為的に制御することができるかという実験を行っていたのである。1988年には9人の元患者から提訴され、アメリカ政府は75万ドルの賠償金を支払い、カナダ政府は1人10万ドルの賠償を行った。
 1940年代、ヨーロッパと北アメリカでは脳に電気刺激を与えるという療法が流行した。脳の切除を行うロボトミー手術よりも永久的なダメージが少ないとされたが、このショック療法においては記憶喪失が起こり、幼児に戻るような後退現象が見られた。この後退現象にCIAが目をつけ、1953年には2500万ドルの予算で人体実験を行った。
 これこそが新自由主義のアレゴリーである。記憶を抹消し、まっさらなところに新しい記憶を与えること、これこそが新自由主義の本質であり、危険なのである。
 新自由主義は支出を削減し、あらゆる部門を民営化し、意図的に景気後退を生み出す。こうしてショックを与え、さらに新自由主義改革を推し進め、共同体、公共圈を破壊する。そして、歴史性も共同体も失われたところに、市場原理主義を植えつけていく。
 こうした新自由主義十字軍ともいうべきカルト的危険思想に、遅まきながらも、世界はようやく気づきだした。ピノチェトですら、政権後期にはシカゴ学派の言うことを聞かなくなった。民営化した鉱山会社はアメリカ資本の傘下に置かれ、国の収入源は民営化しなかった銅山会社だけになってしまい、国民の45%が貧困層になったからである。現代の中南米は明らかに、新自由主義と決別する方向に動いている。 

 ◆いまこそ新自由主義に抵抗する救国勢力の結束を! 
 こうした一連の新自由主義の動きは、ここまで過激ではないにしろ、着実に日本の中でも起きている。たしかに「9.11」や拷問といったような過激な手段は、いまだとられてはいない。しかし、新自由主義に反対する政治家が国策捜査によって政治から追放され、刺客選挙が行われ、郵政民営化をはじめとする小泉・竹中による新自由主義改革によってわが国経済・社会は着実に後退した。幸い、日本は中間層が厚く一気に貧困社会となることはなかったが、非正規雇用、ニートといった潜在的失業率はかつてないほど高まっている。中産階級は劣化し、地方と東京都の格差は拡大の一途をたどっている。
 もはや限界は明らかだ。「過ちを改めざるを過ち」と言う。信念の人であれば思い改めることも可能であろうが、カルト相手には決然と戦いを挑まねばならない。新自由主義は将来の発展のために「今は痛みに耐えよ」と言う。だが、その将来とはいつなのか。その間にわが国の共同体、同胞意識は次々に破壊されていく。このままでは、もはや回復不能なまでに破壊されるだろう。
 新自由主義に反対の声をあげる者は、旧態依然の「抵抗勢力」と呼ばれる。
 だが、市場が原理である必然性などない。公共の学校があってもよいではないか。国営の石油会社が存在して、エネルギーを安定供給することは悪いことなのか。郵便局が国営で何か悪いのか。世の中には自らの責任ならずとも不遇の立場に置かれている人もいる。それらをすべて自己責任であると切って捨てるのが政道なのか。経済的な不平等を解消するために税を徴収し、再配分することは許しがたいことなのか。
 われわれはいまこそ、新自由主義に対して決然と「否」を突きつけるべきである。われわれは記憶を抹消され、ロボトミー化されて、市場原理主義しか考えられないような存在となることを望まないからである。新自由主義に対する戦いは人間らしい生存を回復する戦いである。われわれは抵抗しなければならない。
 「抵抗勢力と呼ばば呼べ」――われわれは人間性を抑圧する市場原理主義にあくまで抵抗する。来るべき政界再編は、自民党か民主党かなどというレベルのものであってはならない。それは新自由主義に抵抗する救国勢力の結束による日本の再編でなければならないのだ。大震災もあり、禍を転じて福と為す好機である。原発の暴走の真の原因と外国勢力の跋扈の本質を,この本で知ることが出来る。

 この本が日本語で出版されたことは、救国勢力を結束させる最良の指南書を得ることになった。

待ちに待った。「月刊日本」平成20年十月号に「新自由主義に抵抗する救国勢力よ、結束せよ!」と拙論を載せて、ナオミ・クライン女史の「ショックドクトリン」を紹介した。「新自由主義の本質」に迫る本が、米国でベストセラーになっているのは、一つの時代の転換と言えるだろう、と書き、「新自由主義とは、結局、破壊と衝撃を与えることによって,歴史性や公共性を崩壊させ,強引に更地にして全てを私物化していく手法だ」とも書いた。

 次の十一月号で、森田実氏と対談をして、ショックドクトリンについて再度言及した。森田氏は、「ケインズの「雇用、利子および貨幣の一般理論」、更に言えばカール・マルクスの「資本論」、アダム・スミスの「国富論」に匹敵するほど重要な本なのではないか、と思うほどである。(中略)アメリカの市場原理主義者達が次々と転向しているという話を耳にした。”フリードマンよ、さようなら!”運動が起こっている。有名なネオコンまでもが自己批判したともいう。同書は、アメリカとヨーロッパの思想を変えつつあると言っても過言ではない。」と絶賛した。

 クライン女史のホームページに日本語への翻訳予定ありと発表されたが、しびれをきらしてツィッターで、日本語版の出版はどうなるのかと尋ねたのが八月のことだ。まもなくだとの返事を頂戴して、ようやく九月に岩波書店から上下二巻の大冊として出版された。上巻は売り切れ、重版予定だ。上下で税抜き五千円もするが、反響は想定通りだ。

 上巻の帯に、次のように書かれている。「本書は、アメリカの新自由主義がどのように世界を支配したか、その神話を暴いている。ショックドクトリンとは、「惨事便乗型資本主義=大惨事につけこんで実施される過激な市場原理主義改革」のことである。アメリカ政府とグローバル企業は、戦争、津波やハリケーンなどの自然災害、政変などの危機につけこんで、あるいはそれを意識的に招いて、人びとがショックと茫然自失から冷める前に、凡そ不可能と思われた過激な経済改革を強行する・・・・・。ショックドクトリンの源は、ケインズ主義に反対して徹底的な市場原理主義、規制撤廃、民営化を主張したアメリカの経済学者ミルトン・フリードマンであり、過激な荒療治の発想には、個人の精神を破壊して言いなりにさせる「ショック療法」=アメリカCIAによる拷問手法が重なる。」とある。下巻の帯には、「ショックドクトリンは、一九七〇年代チリの軍事クーデター後の独裁政権のもとで押しつけられた「改革」をモデルとし、その後、ポーランド、ソ連崩壊後のロシア、アパルト政策廃止後の南アフリカ、更には最近のイラク戦争や、アジアの津波災害、ハリケーン・カトリーナなど、暴力的な衝撃で世の中を変えた事件とその後の「復興」や(IMFや世界銀行が介入する)「構造調整」という名の暴力的改変に共通している。〇四年のイラク取材を契機に、四年をかけた努力が結集した本書は、発売後すぐ、絶賛する反響が世界的に広がり、ベストセラーとなった。
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2023年4月1日に日本でレビュー済み
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適切な対応でした。
2011年10月24日に日本でレビュー済み
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ナオミ・クライン著「ショック・ドクトリン」上下(幾島幸子・村上由見子 訳 岩波新書)が世界中でベストセラーになっていると言う。9月8日初版で出版され、お馴染みの「天声人語」でも紹介され、日本デビューしたばかりだ。
サブタイトルには、「惨事便乗型資本主義の正体を暴く」とあり、「ピノチェト独裁政権下のチリ、ソ連崩壊後のロシア、アパルトヘイト後の南アフリカ、アジア経済危機、9・11後の米国とイラク戦争、スマトラ沖津波、ハリケーン・カトリーナ・・・・。ショック・ドクトリンというレンズを通して立ち現れる、衝撃の現代史!」とある。
20世紀後半から現在まで、世界を震撼させた様々な出来事、世界中で起ってきた、様々な紛争や政変、経済、金融・財政危機、飢餓、貧困・格差の拡大、気候変動などによる自然災害の激化など、今まさに目前で起っている出来事、そして、これから起ころうとしている事態について、この書物を通して私なりに考えてみたいと思う。

「ショック・ドクトリン」とは何か?

まずは、「ショック・ドクトリン」(直訳すると「ショック療法」となるらしい)とは何か?を本書から紹介したい。
「ショック・ドクトリンとは、『惨事便乗型資本主義=大惨事につけこんで実施される過激な市場原理主義改革』のことである。アメリカ政府とグローバル企業は、戦争、津波やハリケーンなどの自然災害、改変などの危機につけこんで、あるいはそれを意識的に招いて、人々がショックと茫然自失から目覚める前に、およそ不可能と思われた過激な経済改革を強行する・・・。」「ショック・ドクトリンの源は、ケインズ主義に反対して徹底的な市場至上主義、規制緩和、民営化を主張したアメリカの経済学者ミルトン・フリードマンであり、過激な荒療治の発想には、個人の精神を破壊して言いなりにさせる「ショック療法」=アメリカCIAによる拷問手法が重なる。」とあり、「天声人語」を引用させていただくと、要するに、「戦争や内乱、災害などの混乱に乗じ、改革と称してひと儲けを企む勢力を指し」、「茫然自失の人々をよそに、彼らは権力に取り入り、白紙に好きな絵を描く、惨事便乗型の商売は途上国に限らない。財政難で強まる官から民へ、市場まかせの風潮も好機らしい。」そして、「震災も彼らには商機だろう。そこには生活と街と産業の再建にもがく住民がいて、予算がつけば総額十数兆円の復興計画が動き出す。東北3県は、スーツ姿の火事場泥棒にもご用心である。」
惨事に乗じて、なければ惨事を起こして、金儲けする勢力

「ショック・ドクトリンというレンズを通して」1970年代以降のさまざまな出来事を見れば、これまでアメリカを中心とした「自由市場主義」の巨大な勢力が、巨額の資金力を使い、どのように世界を意のままに操り、支配してきたか、そして、これからも、さまざまな惨事に便乗して、あるいは、なければ意図的に“惨事”を引き起こして莫大な利益を得ようとしているかが、明快に理解できるし、彼らの全体像が見えてくる。そして、意図的に引き起こされた“惨事”の目的についても説明がつく。
想像するのも恐ろしいことだが、これが今世界中で起っている出来事についてのひとつの真実であり、現代文明・人間社会の現実ではないかと思う。

著者ナオミ・クライン氏は、ジャーナリストとして、綿密な調査・取材を通して「ショック・ドクトリン」上下2刊686ページに渡って、「惨事便乗型資本主義・新保守主義(ネオコン)」勢力(複合体)の正体を克明に暴いている。 
著者によれば、その「ショック療法」で実施・強行される政策の基本は、徹底した「公共領域の縮小・民営化」、「企業活動の完全自由化・規制緩和」、「社会支出の大幅削減」という三位一体の政策である。
今野田政権が推し進めようとしている「TPP」(環太平洋自由貿易協定)は、まさに、ショック・ドクトリン勢力が、1970年代以降、世界中で起きたさまざまな惨事や、大規模な国家的危機に乗じて強行してきた手法そのものであり、東日本大震災と原発事故という未曾有の大惨事と、加えて国家財政破産の危機に乗じて、今まさに、この国で「ショック・ドクトリン」が実施されようとしているのではないかと強く危惧する。

さらに、世界各地で猛威を振るい始めた自然災害についても、決して無関係ではない。地球温暖化に伴う気候変動は人為的にもたらされたものであり、むしろ、自然災害による惨事は、スマトラ沖津波やハリケーン・カトリーナ襲来後の復興で大儲けしたように、「惨事便乗型資本主義勢力」にとって金儲けの絶好機なのでる。
今まさに、タイを襲っている豪雨による水害もまた、彼らにとっては願ってもない獲物になるのではないだろうか。

「市場経済」「経済至上主義」の行き詰まりと経済、金融・財政危機

奇しくも、2011年に入ってから、ギリシャ財政破綻に端を発して、EU諸国全体で経済・財政の悪化が表面化、デフォルト(債務不履行)寸前という事態に陥ったアメリカの財政危機、そして、これまで、急激ともいえる経済成長を遂げてきた、中国、インドを代表とする新興国のまさに「バブル経済」が崩壊の危機に陥り、悪性インフレを引き起こすなど、「市場原理主義」に基づく「市場経済」、及び、先進諸国をはじめ、中国、インドなど新興国が推し進めてきた、大量生産大量消費を基軸とした「経済至上主義」の行き詰まりや経済のゆがみが、株価、債券の暴落、為替・通貨の急激な変動や財政危機となって世界規模で同時に起こり始めたのだ。

これらの出来事に、「ショック・ドクトリン勢力」がどのように係わっているかは定かではないが、少なくとも、これまでの市場原理主義に基づく「市場経済」や、彼らが世界各地で行ってきた、過激な「市場原理主義改革」なるものによってもたらされたものであることは間違いないところだと私は思う。

また、こうした、ほんの一握りの「惨事便乗型資本主義勢力」や国際投機集団・ヘッジファンドが災難に乗じて莫大な利益を上げる仕組みが、「改革」を仕掛けられた国の財政破綻、金融機関や企業の倒産、失業者の増大、貧困・格差の拡大を招くなど、さまざまな矛盾を生みだすことは自明のことである。
そして、彼らが残したさまざまな負の遺産やツケが、後世に、子や孫の上に降りかかってくることも確かだと思う。

日本の「株安」「超円高」と国家財政破産の危機

現在進行中の日本の「株安」、とくに「超円高」ついては、まさに投機目的で仕掛けられているもので、日本の経済や財政状態が安定しているからでは決してないのである。むしろ、破綻寸前の日本の国家財政は、「彼ら」の恰好の標的だと思う。そして、復興のメドさえたっていない震災と原発事故の被災地までもが標的にされることを心から危惧する。

しかし、そもそも恰好の標的にされる原因を作ったのは誰か?
とくに、1000兆円に迫る、気の遠くなるような膨大な借金を積み重ね、国家財政破産寸前の状態にまで悪化させてしまった責任はどこにあるのか。 
それは紛れもなく、歴代の政権・政府と官僚、それを放置してきた政治家、国民の預貯金や保険料を使い、ひたすら赤字国債の購入に協力してきた金融機関、公的年金にあることは明らかだ。
そして、残念ながら、事ここに至るまで事の重大さに気付いておらず、真実を知らされないまま、幻想の中で暮らしてきた、我々庶民にも責任の一端はあると言わざるを得ない。

脱原発、食とエネルギーの自給自足をめざす、自立・循環型社会への転換

肝心なことは、早くそれに気付くことだと思う。今後予想される事態は、これまでのような対症療法的な対策では通用しないだろう。
今必要なことは、国や地方、企業や個人のレベルでも、何の生産性もない「市場経済」や「経済至上主義」の呪縛から抜け出し、原発や石油に依存する社会の在り方を見直し、食料とエネルギーの自給自足をめざす、自立・循環型の社会への転換を図ることではないか。そのためには、自らの意識改革と発想の転換を図ることが求められると思う。
待っていても何も変わらないと思う。地方、地域あるいは、最小単位の集落からでも始めるべきではないだろうか。

何れにしても、日本の国家財政破綻の危機が目前に迫っていること、その災難に乗じて金儲けを狙っている輩がいることを認識して、一日も早く行動することが肝要だと思う。
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2018年9月1日に日本でレビュー済み
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戦後、経済界はミルトン・フリードマンの新自由主義経済説が、アメリカの政界および対外政策の主流になった。シカゴ大学でこの説を学んだ人材が、アメリカ政府および世界銀行、開発銀行などの政財界に続々と進出し、第2次大戦以前のケインズ主義、ニューディール政策、開発援助などの混合経済(純粋に資本主義一本で押し通すと、恐慌など社会不安をもたらすので、重要な資源やインフラは国有化し、福祉・教育を国家が補助するなどの社会政策を加味すること)を完全に廃止して、すべての機能を民間資本の私営企業に売り渡してしまうことが社会にプラスだという徹底した市場化主義を推進していった。
 しかし、発展途上国では資源や農地などを国が保護し、インフラなどは国の資金で国営企業を設立して、国民の財産として大切に育てながら社会を近代化してきた。その過程で労働組合や、小規模農家や小規模企業家などを支持基盤とする左派政権も発展途上国では多く見られた。中南米では、キューバのカストロ政権、アルゼンチンのペロン政権、チリのアジェンデ政権などである。私が学生であった1960年代初め頃、岩波新書の『世界経済図説』第4版に世界各国のGNP一覧表があり、アルゼンチンと日本がほぼ同じ位置に記載されていたという記憶がある。その時代は南米の大国は、平等主義を理念とする政権の下でほぼ安定した社会が建設されつつあったように思われる。
 新自由主義の理念は、そういう社会に共感を持って迎えられたのではない。キューバに対しては、1961年、ケネディ政権の初期に、CIAに援助された亡命キューバ人たちがピッグズ湾侵攻作戦を行って失敗した。チリに対しては、1973年に、CIAに援助されたピノチェト将軍が大統領府を攻撃してアジェンデ大統領以下のスタッフを銃撃・殺害し、軍事政権を樹立した。そのスタッフには、シカゴ学派の経済学者たちがいち早くチリの国民の財産ともいうべきインフラ設備をアメリカ資本の大企業(もっとも大規模なものは通信事業の国際電話電信会社ITT)に売り渡してしまった。アルゼンチンでも1970年代に軍事政権下で3万人が「行方不明」になったが、そのほとんどが、シカゴ学派の経済強硬策に反対する左翼活動家であった 。つまり、その学説が優れているから普及していったのではない。軍事力を背景に、人々を弾圧することとセットで、国民の財産をアメリカの巨大資本と独裁政権が強奪したのである。それでも初期には、その国の軍事政権をCIAが後ろで援助するという形でアメリカの軍事力が表に出ることはしなかった。しかし、90年代以降はアメリカの正規軍を投入してほとんど無抵抗な市民たちを大量爆撃によってパニックを起こし、何も考えられない状態のうちに、その国の財産を大資本の所有に書き換えてしまうことを実行している。
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