大河内さんの著作で読んだのはこれで三冊目となる。本書は2008年初出で第25次講談社科学出版賞を受賞している(岩波現代文庫版は2015年)。今回のテーマは書名の副題にあるように「気候変動の謎に迫る」というもので、サイエンスライターとしての著者の主著と言えるだろう(大内さんの本業は学者です)。後に出された二冊は、地球科学に対するもう少し広い領域についてその概要が記されているので、本書を補うための良い参考書になっているともいえる。
大河内さんの本を読もうとしたもともとの動機は、最近の地球科学の進展具合をやさしく知りたかったためであったのだが、書評サイトHONZ代表の成毛眞氏(元マイクロソフト日本社長)が本書の解説で、著者をサイエンスライターとして激賞しているように、科学的事実や方法だけではなく、そこに至る背景、個人としての科学者が事実を追求するために行う信じがたいほどの生真面目さだけではなく、他者との関係としての人間的エピソードなども挿入されていて、人間の営みとしての科学という側面でも面白い読み物となっている。
本書の内容について一言でいってみると、「気候変動の要因については、ここ半世紀ほどの研究によって格段に理解が進んできた。その主な動機は科学者達の探究心に加えて地球環境問題に対する懸念であり、理由は科学技術力と経済力の向上に基づいて可能となったデータの蓄積と高い解析能力にある。分かってきたことのなかで、特に重要なことは、気候変動に人類の活動が関与していることはもはや疑えないこと、気候変動に要する時間は数千年ではなく数十年で十分であったということ、であろう。」本書の記述ではないが、地球史的に見れば、気候変動が数多の生物絶滅をもたらしたことは化石に記録されている。
付記すると、『地球史が語る近未来の環境』(日本第四期学会、東大出版2007/6)という本があって、2007/6に読んだのだが、今でもこのテーマについて一般人が科学的事実を理解するためにはベストな本だと思っている。サイエンスライター的には書いてないので一般読み物としては取り憑きにくいが、一般人に向けて第四期学会の専門家の人たちが、当時の町田洋会長の下で分担して書いた本なので一読に値する(第四期学というのは、ここ200万年くらいを取り扱う、地球の現代史あるいは人類時代を研究する学問)。因みにこの本は、大河内さんの本書にも、より深く理解するためにと採り上げられている本の一冊に含まれていた。
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チェンジング・ブルー――気候変動の謎に迫る (岩波現代文庫) 文庫 – 2015/1/16
大河内 直彦
(著)
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温暖化の背後から静かに、しかし確実に聴こえてくる気候変動の足音。地球は、これまでどう変わってきたのか。これからどう変わってゆくのか。その謎の解明にいどむ科学者たちのドラマを、スリリングなストーリー展開で描く。日本の科学ノンフィクションに新たな地平をひらいた、講談社科学出版賞受賞作。(解説=成毛眞)
- 本の長さ496ページ
- 言語日本語
- 出版社岩波書店
- 発売日2015/1/16
- 寸法10.5 x 2.1 x 15 cm
- ISBN-104006032803
- ISBN-13978-4006032807
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登録情報
- 出版社 : 岩波書店 (2015/1/16)
- 発売日 : 2015/1/16
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 496ページ
- ISBN-10 : 4006032803
- ISBN-13 : 978-4006032807
- 寸法 : 10.5 x 2.1 x 15 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 120,721位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 139位岩波現代文庫
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2021年5月16日に日本でレビュー済み
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2015年6月11日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
この本を読むまでは、二酸化炭素による地球温暖化に今一つ納得できなかったが、
大気中の二酸化炭素の増大が、地球におこる様々な温暖化の要因のトリガーであることがやっと理解できた。
本書は気候をめぐる科学者たちの壮絶な歴史であるが、どのエピソードも客観的かつデータを散りばめた記述であり、
筆者の主観も非常に抑制的かつ読ませる文体なので、スラスラ読めてしまう。
ただ個人的にはスベンスマルク効果など、地球寒冷化論に対する筆者の意見なども知りたかった。
大気中の二酸化炭素の増大が、地球におこる様々な温暖化の要因のトリガーであることがやっと理解できた。
本書は気候をめぐる科学者たちの壮絶な歴史であるが、どのエピソードも客観的かつデータを散りばめた記述であり、
筆者の主観も非常に抑制的かつ読ませる文体なので、スラスラ読めてしまう。
ただ個人的にはスベンスマルク効果など、地球寒冷化論に対する筆者の意見なども知りたかった。
2015年1月31日に日本でレビュー済み
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「本書39頁の文末が『炭素同』で切れ、40頁は写真、41頁は
別の文章が始まっている」との指摘がありますが、その件について
岩波書店「愛読者の窓」係に照会したところ、以下のとおりだったので、
この場でご紹介いたします。落丁疑惑が払拭できれば幸いです。
~~~~~~
拝啓
平素より小社の刊行物をご愛読いただき,誠に有難うございます.
お問い合わせいただいた大河内直彦著『チェンジング・ブルー』の件で
ご連絡差し上げました.
ご指摘いただいた箇所につきましては,じつは落丁ではございません.
39頁の後に続く40頁(図2-6)は本文中の挿入図版,41~44頁は
「ボックス」という挿入コラムとなっており,39頁の本文の続きは,
45頁から再開されるという構成になっております.
41~44頁の挿入コラムにつきましては,本文とは異なる位置付けで
あることが明示的になるよう,頁全体に薄いグレーの色付けを施したほか,
文字のサイズも本文より一回り小さな文字を使用しております.
しかし,その上で,やはりこの挿入コラムが本文と地続きに見えて
しまうというご指摘は他の読者の方々からも複数頂戴しており,
結果的に読者の皆さまに誤解を与えてしまったこと対し,深く
お詫びを申し上げます.
以上の経緯につきまして,何卒ご了承いただきたく存じます.
それでは,今後ともお引き立てのほど何卒宜しくお願い申し上げます.
敬具
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別の文章が始まっている」との指摘がありますが、その件について
岩波書店「愛読者の窓」係に照会したところ、以下のとおりだったので、
この場でご紹介いたします。落丁疑惑が払拭できれば幸いです。
~~~~~~
拝啓
平素より小社の刊行物をご愛読いただき,誠に有難うございます.
お問い合わせいただいた大河内直彦著『チェンジング・ブルー』の件で
ご連絡差し上げました.
ご指摘いただいた箇所につきましては,じつは落丁ではございません.
39頁の後に続く40頁(図2-6)は本文中の挿入図版,41~44頁は
「ボックス」という挿入コラムとなっており,39頁の本文の続きは,
45頁から再開されるという構成になっております.
41~44頁の挿入コラムにつきましては,本文とは異なる位置付けで
あることが明示的になるよう,頁全体に薄いグレーの色付けを施したほか,
文字のサイズも本文より一回り小さな文字を使用しております.
しかし,その上で,やはりこの挿入コラムが本文と地続きに見えて
しまうというご指摘は他の読者の方々からも複数頂戴しており,
結果的に読者の皆さまに誤解を与えてしまったこと対し,深く
お詫びを申し上げます.
以上の経緯につきまして,何卒ご了承いただきたく存じます.
それでは,今後ともお引き立てのほど何卒宜しくお願い申し上げます.
敬具
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2017年11月9日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
成毛眞さんが紹介していた本なので購入したのですが、いかんせん文庫版だと分厚すぎの為、非常にページが捲りにくいです。
本の後半に豊富な資料、参考にした記事文献が書かれているので、著者が詳しく調べられた事がはっきり分かる素晴らしい本なのですが、ページの捲りづらさが全てを邪魔しています。
購入される方はハードカバーか電子版を購入する事をお薦めします。
文庫版だと本当に読みにくく、読む気が削がれます。
本の後半に豊富な資料、参考にした記事文献が書かれているので、著者が詳しく調べられた事がはっきり分かる素晴らしい本なのですが、ページの捲りづらさが全てを邪魔しています。
購入される方はハードカバーか電子版を購入する事をお薦めします。
文庫版だと本当に読みにくく、読む気が削がれます。
2016年6月22日に日本でレビュー済み
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数万年におよぶ地球の気候変動をテーマにした科学エンターテイメント・ノンフィクションの傑作。ほとんど、一気読みした。
「海底堆積物の中には 、それが形成された当時の 、海の環境情報がさまざまな形で記録されている 。 『古海洋学者 』と呼ばれる 、大昔の海洋環境を復元する研究者たちの仕事は 、その情報を読み解くル ールを見出すこと 、そして 、そのル ールを用いて過去の気候変動の歴史を読み解いていくことである」
本書は、数千メートルの海底にある堆積物の採取方法、そして堆積物の酸素同位体の計測方法を冒頭に説明。そして、同位体の状況から数万年前の温度を突き止める過程を記述する。様々な研究者が登場。有孔虫の化石を数百匹集めて観察するという地味な研究経過の話は、面白い。冒頭だけでも、良質なエンターテイメントとなっている。
中盤以降では、地球の首振りと気候変動の関係、気候変動に重大な影響を与える大洋のコンベアベルト、そして気候変動のスイッチについて記述。単なる学術書ではなく、南極の地底にある巨大な湖の話など、ワクワクするようなエピソードもある。
繰り返すようだが、本書は良質のエンターテイメント・ノンフィクション。気候変動をテーマにしているが、二酸化炭素を絡めた説教じみた記述はない。お勧めの★5つ。
「海底堆積物の中には 、それが形成された当時の 、海の環境情報がさまざまな形で記録されている 。 『古海洋学者 』と呼ばれる 、大昔の海洋環境を復元する研究者たちの仕事は 、その情報を読み解くル ールを見出すこと 、そして 、そのル ールを用いて過去の気候変動の歴史を読み解いていくことである」
本書は、数千メートルの海底にある堆積物の採取方法、そして堆積物の酸素同位体の計測方法を冒頭に説明。そして、同位体の状況から数万年前の温度を突き止める過程を記述する。様々な研究者が登場。有孔虫の化石を数百匹集めて観察するという地味な研究経過の話は、面白い。冒頭だけでも、良質なエンターテイメントとなっている。
中盤以降では、地球の首振りと気候変動の関係、気候変動に重大な影響を与える大洋のコンベアベルト、そして気候変動のスイッチについて記述。単なる学術書ではなく、南極の地底にある巨大な湖の話など、ワクワクするようなエピソードもある。
繰り返すようだが、本書は良質のエンターテイメント・ノンフィクション。気候変動をテーマにしているが、二酸化炭素を絡めた説教じみた記述はない。お勧めの★5つ。
2015年1月20日に日本でレビュー済み
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購入した2015年1月16日第1刷版の39ページ文末は「炭素同」で切れ、40ページは写真ページ、41ページ先頭は別の文章の文頭が始まっています。
岩波書店に連絡すべきところですが、上手くできませんでしたので、ここに記した次第です。
岩波書店に連絡すべきところですが、上手くできませんでしたので、ここに記した次第です。
2017年1月19日に日本でレビュー済み
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〈ボックス〉として本文の前半に挿入された四つのコラムが本文をぶった切っているというのは、まあこういう組み方もあるよね。
愛嬌である。ページを薄く網掛けし
1 同位体比とその表記法
2 レイリー効果
3 地球のエネルギーバランス
4 放射性炭素を用いた年代測定法
と、より理論的な部分を個別に簡潔に説明してあるのである。いっそ白抜きにするかもっと長ければよかったのかもね。三ページ程度の挿入というのはちょっとね。(←こだわりすぎw)
ところで、環境の歴史はわかりにくい。わかりにくいのにわかりやすく教科書的に決定付けられているかのように書いていたらもっとわかりにくい。それをこういうふうに発見と探究の歴史にしたら、さすがに少しわかる。
地球環境を知るには、こういう科学史・科学論・科学哲学から理論科学を展望するようなアプローチが必要不可欠であろう。
愛嬌である。ページを薄く網掛けし
1 同位体比とその表記法
2 レイリー効果
3 地球のエネルギーバランス
4 放射性炭素を用いた年代測定法
と、より理論的な部分を個別に簡潔に説明してあるのである。いっそ白抜きにするかもっと長ければよかったのかもね。三ページ程度の挿入というのはちょっとね。(←こだわりすぎw)
ところで、環境の歴史はわかりにくい。わかりにくいのにわかりやすく教科書的に決定付けられているかのように書いていたらもっとわかりにくい。それをこういうふうに発見と探究の歴史にしたら、さすがに少しわかる。
地球環境を知るには、こういう科学史・科学論・科学哲学から理論科学を展望するようなアプローチが必要不可欠であろう。
2015年12月12日に日本でレビュー済み
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本書の素晴らしさは、HONZの成毛眞氏の書評に凝縮されており、付け足すことはないが、心に残った一文を挙げておく。
「いかなる分野であっても、原子、分子、遺伝子といった科学の基本単位にまで還元することによって、はじめてその発展の可能性が広がっていくのだ。」
科学研究の本質を突いた至言である。
(2015/12/12読了)
「いかなる分野であっても、原子、分子、遺伝子といった科学の基本単位にまで還元することによって、はじめてその発展の可能性が広がっていくのだ。」
科学研究の本質を突いた至言である。
(2015/12/12読了)