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チェルノブイリの祈り――未来の物語 (岩波現代文庫) ペーパーバック – 2011/6/16
スベトラーナ・アレクシエービッチ
(著),
松本 妙子
(翻訳)
2015年ノーベル文学賞受賞。
1986年の巨大原発事故に遭遇した人々の悲しみと衝撃とは何か.本書は普通の人々が黙してきたことを,被災地での丹念な取材で描く珠玉のドキュメント.汚染地に留まり続ける老婆.酒の力を借りて事故処理作業に従事する男,戦火の故郷を離れて汚染地で暮らす若者.四半世紀後の福島原発事故の渦中に,チェルノブイリの真実が蘇える.(解説=広河隆一)
1986年の巨大原発事故に遭遇した人々の悲しみと衝撃とは何か.本書は普通の人々が黙してきたことを,被災地での丹念な取材で描く珠玉のドキュメント.汚染地に留まり続ける老婆.酒の力を借りて事故処理作業に従事する男,戦火の故郷を離れて汚染地で暮らす若者.四半世紀後の福島原発事故の渦中に,チェルノブイリの真実が蘇える.(解説=広河隆一)
- 本の長さ318ページ
- 言語日本語
- 出版社岩波書店
- 発売日2011/6/16
- 寸法10.5 x 1.5 x 15 cm
- ISBN-104006032250
- ISBN-13978-4006032258
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商品の説明
出版社からのコメント
2015年ノーベル文学賞受賞
著者について
1947年ウクライナ生まれ。国立ベラルーシ大学卒業後、ジャーナリストの道を歩む。民の視点に立って、戦争の英雄的神話をうちこわし、国家の圧迫に抗い続けながら執筆活動を続ける。2015年ノーベル文学賞受賞。
登録情報
- 出版社 : 岩波書店 (2011/6/16)
- 発売日 : 2011/6/16
- 言語 : 日本語
- ペーパーバック : 318ページ
- ISBN-10 : 4006032250
- ISBN-13 : 978-4006032258
- 寸法 : 10.5 x 1.5 x 15 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 171,173位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 51位その他の外国文学作品
- - 212位岩波現代文庫
- カスタマーレビュー:
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2022年9月17日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
何処の国もそうでしょうが、放射線被曝の実態なんて判りにくいものは公表できないものでしょう。
ちょっと浴びただけでもその後に癌になる人がいるかと思えば「こんなに浴びても大丈夫なの?」というほど浴びても生き延びている人もいて、放射能に対する盲目的な恐怖で思考が停止してしまうのが嫌な人には読む価値があると思います。
実際に体験した人々による生の情報が、報道されたり漏れ伝わる情報とは如何に異なるものか、定量的な放射能災害論では推し量れない放射線被曝の実態、無知である事の是非……等々、様々な事を考えさせられる書でした。
ちょっと浴びただけでもその後に癌になる人がいるかと思えば「こんなに浴びても大丈夫なの?」というほど浴びても生き延びている人もいて、放射能に対する盲目的な恐怖で思考が停止してしまうのが嫌な人には読む価値があると思います。
実際に体験した人々による生の情報が、報道されたり漏れ伝わる情報とは如何に異なるものか、定量的な放射能災害論では推し量れない放射線被曝の実態、無知である事の是非……等々、様々な事を考えさせられる書でした。
2015年11月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ベラルーシのジャーナリスト、スベトラーナ・アレクシエーヴィチ氏によるチェルノブイリ原発事故に関するルポです。
とはいえチェルノブイリの原発事故の事実関係を解明する書というよりは、チェルノブイリ原発周辺で暮らし、
被曝により人生を狂わされてしまった人々の証言を通して、被害者たちの人生そのものを綴った書です。
証言者たちが、感情的な部分も含め、ありのままに自分の人生を語っていることから、
アレクシエーヴィチ氏が精力的かつ誠実に取材を行っていたこと、
それにより多くの証言者たちの信頼を得ていたことが窺われます。
最初の証言者から原発事故の被害の悲惨さ・恐ろしさを思い知らされます。
当時23歳のリュドミーラ・イグナチェンコ氏。
彼女は新婚で妊娠6ヶ月、消防士の夫と仲睦まじく暮らしていました。
しかし突然の原発事故にて夫が招集され、夫は大量に被曝してしまいます。
翌日、夫が収容された病院へかけつけるとそこには全身がむくんで腫れ上がった夫の姿が。
どうしても夫の傍に居たい彼女は、妊娠していることを病院に隠し、
夫の傍に居続けます。
その後に何が待ち受けているかも知らずに……。
やがて妊娠していることが病院に発覚し「(あなたは)とんでもないことをやらかしたのよ!」
「あなたは原子炉(夫のこと。大量被曝した物はその物自体も放射線を放出するため)の傍にすわっているのよ」と叱責され、
諭されてもリュドミーラは夫の傍を離れがたく、死の間際まで、そして死んでからも埋葬されるまで寄り添い続けました。
その結果、リュドミーラは被曝した女の子を早産します。
赤ちゃんは生まれながらに肝硬変と先天的心臓欠陥を持ち、生後四時間で死亡。
リュドミーラはその後も男の子を産みますが、その子も病弱でリュドミーラ自身も若くして脳卒中を起こすなど被曝の後遺症は延々とついて回ります。
原発事故さえなければ、健康に生きて行けたことでしょう。事故前にそうであったように。
リュドミーラの証言の中で数回差し挟まれる「私は彼(夫)を愛していた。でもどんなに愛しているかまだわかっていなかった。」
という彼女の言葉が哀しいです。夫を喪った後の彼女の絶望と悲しみと空虚さを思うと。
放射線の危険性をリュドミーラが当時十分に理解していたとしても、放射線を放つ夫の傍を離れることはできなかったのかもしれません。
このようにチェルノブイリ原発事故で命や大切な人やかけがえのないものを奪われた老若男女の証言が、生々しく綴られています。
世界中で原発を増やしていこうという趨勢に有る中、読まれるべき一冊であると思います。
余談ですが、本書を読んでいる途中、黒沢明監督の「赤富士」という映画を思い出しました。
「夢」という映画の中に収められている数分の短編なのですが、
放射性物質が目に見えたらというコンセプトの映画です。
また、高線量の放射線を人が浴びてしまうとどうなるか、を克明に記した書物 朽ちていった命:被曝治療83日間の記録 (新潮文庫) もお勧めです。
凄惨な描写が続くため気が重くなりますが、原発事故の危険性や命とは何か、治療行為とはどうあるべきなのかを問う良書です。
とはいえチェルノブイリの原発事故の事実関係を解明する書というよりは、チェルノブイリ原発周辺で暮らし、
被曝により人生を狂わされてしまった人々の証言を通して、被害者たちの人生そのものを綴った書です。
証言者たちが、感情的な部分も含め、ありのままに自分の人生を語っていることから、
アレクシエーヴィチ氏が精力的かつ誠実に取材を行っていたこと、
それにより多くの証言者たちの信頼を得ていたことが窺われます。
最初の証言者から原発事故の被害の悲惨さ・恐ろしさを思い知らされます。
当時23歳のリュドミーラ・イグナチェンコ氏。
彼女は新婚で妊娠6ヶ月、消防士の夫と仲睦まじく暮らしていました。
しかし突然の原発事故にて夫が招集され、夫は大量に被曝してしまいます。
翌日、夫が収容された病院へかけつけるとそこには全身がむくんで腫れ上がった夫の姿が。
どうしても夫の傍に居たい彼女は、妊娠していることを病院に隠し、
夫の傍に居続けます。
その後に何が待ち受けているかも知らずに……。
やがて妊娠していることが病院に発覚し「(あなたは)とんでもないことをやらかしたのよ!」
「あなたは原子炉(夫のこと。大量被曝した物はその物自体も放射線を放出するため)の傍にすわっているのよ」と叱責され、
諭されてもリュドミーラは夫の傍を離れがたく、死の間際まで、そして死んでからも埋葬されるまで寄り添い続けました。
その結果、リュドミーラは被曝した女の子を早産します。
赤ちゃんは生まれながらに肝硬変と先天的心臓欠陥を持ち、生後四時間で死亡。
リュドミーラはその後も男の子を産みますが、その子も病弱でリュドミーラ自身も若くして脳卒中を起こすなど被曝の後遺症は延々とついて回ります。
原発事故さえなければ、健康に生きて行けたことでしょう。事故前にそうであったように。
リュドミーラの証言の中で数回差し挟まれる「私は彼(夫)を愛していた。でもどんなに愛しているかまだわかっていなかった。」
という彼女の言葉が哀しいです。夫を喪った後の彼女の絶望と悲しみと空虚さを思うと。
放射線の危険性をリュドミーラが当時十分に理解していたとしても、放射線を放つ夫の傍を離れることはできなかったのかもしれません。
このようにチェルノブイリ原発事故で命や大切な人やかけがえのないものを奪われた老若男女の証言が、生々しく綴られています。
世界中で原発を増やしていこうという趨勢に有る中、読まれるべき一冊であると思います。
余談ですが、本書を読んでいる途中、黒沢明監督の「赤富士」という映画を思い出しました。
「夢」という映画の中に収められている数分の短編なのですが、
放射性物質が目に見えたらというコンセプトの映画です。
また、高線量の放射線を人が浴びてしまうとどうなるか、を克明に記した書物 朽ちていった命:被曝治療83日間の記録 (新潮文庫) もお勧めです。
凄惨な描写が続くため気が重くなりますが、原発事故の危険性や命とは何か、治療行為とはどうあるべきなのかを問う良書です。
2015年12月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
あまり期待せずに読んでみたら、とてもいい本でびっくりしました。
速報系のニュースだと冗長だとして刈り込まれてしまうような
その場所に立ち会った人の生きた言葉を、
いろいろなスタンスの本人たちの
語りの集積の形をとることでちゃんと残せていて
全体を深く重層的なものにしている感じがします。
声高になにかを批判するのでなく
現実の断片の集積を提示して
読んだ人に評価をゆだねているようなスタイルも
とてもよかったです
(ちょっと例として適当かわからないですが
映画「金日成のパレード」みたいなニュートラルさというか)
冒頭の、消防士の妻の語るエピソードも深く心に残るものでしたが、
個人的に一番印象深かったのは
退去するまえに、あらゆる翌年の種の袋を全部
「神様の鳥たちに」と庭に、「大地で育っておくれ」と菜園にまいて
家や納屋や1本1本のリンゴの木に
おじぎをし、お別れをしていったおばあちゃん、
のエピソードでした。
(7行だけのものでしたが)
解説で、広河隆一さんが自らのレバノンでの体験を
「『首が切断され、おなかが切り裂かれ、胎児が取り出されていた』
という言葉で表しても、肝心な、大切なものは伝わらないのだ」
しかしアレクシェービッチは…というような文脈で
この著者がなしえたことを語っていて、同じ感想を持ちました。
この著者のほかの本も岩波で出ることになったようなので、
読んでみようと思います。
速報系のニュースだと冗長だとして刈り込まれてしまうような
その場所に立ち会った人の生きた言葉を、
いろいろなスタンスの本人たちの
語りの集積の形をとることでちゃんと残せていて
全体を深く重層的なものにしている感じがします。
声高になにかを批判するのでなく
現実の断片の集積を提示して
読んだ人に評価をゆだねているようなスタイルも
とてもよかったです
(ちょっと例として適当かわからないですが
映画「金日成のパレード」みたいなニュートラルさというか)
冒頭の、消防士の妻の語るエピソードも深く心に残るものでしたが、
個人的に一番印象深かったのは
退去するまえに、あらゆる翌年の種の袋を全部
「神様の鳥たちに」と庭に、「大地で育っておくれ」と菜園にまいて
家や納屋や1本1本のリンゴの木に
おじぎをし、お別れをしていったおばあちゃん、
のエピソードでした。
(7行だけのものでしたが)
解説で、広河隆一さんが自らのレバノンでの体験を
「『首が切断され、おなかが切り裂かれ、胎児が取り出されていた』
という言葉で表しても、肝心な、大切なものは伝わらないのだ」
しかしアレクシェービッチは…というような文脈で
この著者がなしえたことを語っていて、同じ感想を持ちました。
この著者のほかの本も岩波で出ることになったようなので、
読んでみようと思います。
2018年2月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
とてもいい作品で、本当は星5つあげたいのですが、内容が悲惨でどうしようもない自分自身の不甲斐さと何も解決されていない現実でたまりませんでした。流石、ノーベル賞作家、よくここまで取材したと感服です。
2020年3月4日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
本書は、チェルノブイリ原発周辺に居住していた人たちと、原発事故の処理に関わった人たちやその家族の証言をまとめたものです。著者は「この本は人々の気持ちを再現したものです、事故の再現ではありません」と述べています。ごく素朴な庶民、農民、子供や高齢者の証言が大半を占めていますが、物理学者や当時の共産党地区委員会書記などの証言も含まれています。それだけに、統計数字や表面的な報道には表れないチェルノブイリ原発事故の悲惨さが伝わってきます。
僕は、一気に読むことができませんでした。あまりに悲惨な証言の数々に打ちのめされ、読み続けることができなくなったんです。何回も中断して、約1ヶ月かけて読み終えました。以下に自分なりに得た教訓をまとめておきます(個人の感想です)。
(1)放射線は、無味無臭、目に見えず、知覚することができません。そのため、測定器がない限り、放射線は避けようがありません。仮に測定器があったとしても、放射線は五感に感じられないために、つい人間は慎重さを失って「これくらいなら大丈夫だろう」と楽観してしまいます。現実感がないんです。でも被曝の恐ろしい作用は、確実に人体を蝕みます。
(2)原発はいったん事故が起これば危険な放射性物質を撒き散らし、事故を起こさなくても危険な高濃度放射性廃棄物を生み出し続けます。人間の手には負えない悪魔の装置なんです。
(3)政府や為政者は、しばしば冷酷に「一部の国民の犠牲」を容認します。これは、戦争と同じ発想です。訳者あとがきには「チェルノブイリは第三次世界大戦なのです」と書かれています。
(4)政府や為政者は、しばしば自分達にとって都合の悪い事実を隠蔽します。これは旧ソ連の特殊な問題ではなく、権力が本質的に持つ本能なんです。日本も例外じゃない。
(5)庶民の証言を読むと、当時の人たちがいかに放射線被曝に関して無知だったかがわかります。そして僕たちも、原発や放射線被曝に関して、どこまで理解しているのか、不安になってきます。
ここで本書から小話をひとつ。悲惨なブラックユーモアです。
ウクライナのおばさんが市場で大きな赤いりんごを売っている。「りんごはいかが、チェルノブイリのりんごだよ」。だれかがおばさんに教える。「おばさん、チェルノブイリっていっちゃだめだよ、だれも買っちゃくれないよ」「とんでもない、売れるんだよ。姑や上司にって買う人がいるんだよ」
僕は、一気に読むことができませんでした。あまりに悲惨な証言の数々に打ちのめされ、読み続けることができなくなったんです。何回も中断して、約1ヶ月かけて読み終えました。以下に自分なりに得た教訓をまとめておきます(個人の感想です)。
(1)放射線は、無味無臭、目に見えず、知覚することができません。そのため、測定器がない限り、放射線は避けようがありません。仮に測定器があったとしても、放射線は五感に感じられないために、つい人間は慎重さを失って「これくらいなら大丈夫だろう」と楽観してしまいます。現実感がないんです。でも被曝の恐ろしい作用は、確実に人体を蝕みます。
(2)原発はいったん事故が起これば危険な放射性物質を撒き散らし、事故を起こさなくても危険な高濃度放射性廃棄物を生み出し続けます。人間の手には負えない悪魔の装置なんです。
(3)政府や為政者は、しばしば冷酷に「一部の国民の犠牲」を容認します。これは、戦争と同じ発想です。訳者あとがきには「チェルノブイリは第三次世界大戦なのです」と書かれています。
(4)政府や為政者は、しばしば自分達にとって都合の悪い事実を隠蔽します。これは旧ソ連の特殊な問題ではなく、権力が本質的に持つ本能なんです。日本も例外じゃない。
(5)庶民の証言を読むと、当時の人たちがいかに放射線被曝に関して無知だったかがわかります。そして僕たちも、原発や放射線被曝に関して、どこまで理解しているのか、不安になってきます。
ここで本書から小話をひとつ。悲惨なブラックユーモアです。
ウクライナのおばさんが市場で大きな赤いりんごを売っている。「りんごはいかが、チェルノブイリのりんごだよ」。だれかがおばさんに教える。「おばさん、チェルノブイリっていっちゃだめだよ、だれも買っちゃくれないよ」「とんでもない、売れるんだよ。姑や上司にって買う人がいるんだよ」
2015年11月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
This is a book that every Japanese people have to read. A great book reminding us of the tragedy in Fukushima.The aftermath of the tragedy would threaten not only our lives but lives of the future generation.